・北竜ひまわりライス生産部会・活動概況 >
・第1章 地域概況 > ・第2章 組織の構成 >
・第3章 活動内容 >
・第4章 組織の主要指標 >
・第5章 組織構成農家の主要指標 >
・第6章 経営の特色・地域社会活動の特色について >
・資料 >
・北海道審査会・黒澤不二男 審査委員長講評
第3章 活動内容
1.生産活動
生産組合の特徴と活動に対する理解を深めるため、産地の歴史から説明する。
▶(1)町内全域低農薬栽培の取り組みに係る経過
① 低農薬栽培の原点
ア.消費者が求めているのは安心・安全なお米だった
北竜町における低農薬・有機栽培への本格的な取り組みの契機は、消費者との交流から始まる。
昭和61年(1986年)、農協青年部は、札幌市民生協(現コープさっぽろ)を訪問し、北竜米販売推進のため意見交換を行った。席上において、生協理事が「道産米を食べましょうということだけでは、生協組合員へのアピールは弱い。何か北竜町の米に対する特質、特徴がないだろうか? 例えば有機栽培とか無農薬栽培の米という目玉が必要だ」と発言された。
さらに昭和62年(1987年)、九州の生協連合組織であるグリーンコープから、「安全性の高い、すなわち除草剤を使わない米を作ってもらえないか?」と依頼があった。
これらのことから、青年部役員は、消費者が安全な米、食料を必要としていることをあらためて噛みしめることになり、以後、青年部を中心に低農薬・有機栽培への本格的な取り組みを始めた。
このような取り組みが契機となり、平成2年(1990年)に、北竜町「国民の命と健康を守る農民集会」において、安全な食糧生産に関する宣言が行われ、全国で初めて(※)北竜町・北竜土地改良区・農業委員会がそれぞれ同宣言 <資料 2.3.4.> を行った。
※ 町内の農業団体がそれぞれの立場で安全な食糧生産を宣言することは全国を見ても例はない
■ 米価要求よりも大事なこと
平成2年(1990年)、当時の青年部は全国の農協では毎年行われていた米価要求大会を止め、その代わりに「国民の命と健康を守る農民集会」を開こうと提起した。
米価要求大会は、単協から都道府県、そして全国大会という形で、国に生産者米価の引き上げを要求するものであり、農協運動の柱の一つだったが、当時の青年部は「自分たちは安全な食料を生産する実践をしているから、それを訴えたい」という考えを示した。
全国で北竜町農協だけが米価要求大会をやめるといえば、町の中にも反発は少なくなかったと思われた。
よって、青年部の意見だけでなく、従来通りの米価要求の内容も含めて提案し、農民集会の中で集会の性格を決める形をとった。猛烈な反対の声が出るものと予想されたが、青年部が提案するや否や、町一番の長老が手を挙げ、「よし、若い者でやってみろ。応援してやる」と言った。
議長が質疑を諮る間もなく生じた椿事に、400人近い参加者は黙ったまま。ようやく議長が会場に意見を求めると、返ってきたのは満場の拍手だったという。
こうして、北竜町の農業が目指す方向は、明確なものとなった。
※ 詳細な経過については <資料 7.> のとおり |
イ. 青年部の先駆的な取り組み
昭和63年(1988年)、青年部(佐藤稔 部長)は、札幌市民生協との交流の中で確認した方向を、青年部全体のものにしていくため、青年部として有機栽培米、有機無除草剤米への取り組みを開始。
平成元年(1989年)には有機・低農薬米の作付けに取り組み、同年には全町規模で有機栽培米の作付けを開始することになった。
その結果、平成4年(1992年)には北海道クリーン農業地区の指定を受け、平成5年(1993年)には北海道青年農業賞を受賞するに至っている。
ウ.ひまわりが生んだ消費者との交流
農協婦人部(現女性部)がひまわり栽培に取り組むことになる契機は、活動の記念に何か取り組みたいという志からであった。婦人部のひまわり栽培への取り組みは、農村においてあまり注目されてこなかった景観の重要性を確認させることにもなり、ひまわりが都市住民を北竜町に呼び寄せ、北竜町が日本一の「ひまわりの里」と呼ばれるまでになった。
② 町内全域低農薬栽培に係る転換点と生産組合の設立経過
平成15年(2003年)の北竜町水田農業ビジョンの作成にあたり、北竜町産米の産地指定率の低下、高品質米出荷割合の低さが大きな課題として認識されていた。また、米価下落に伴う所得減少や、高齢化による離農も発生していた。
そのような中、北竜地区が一体となり販売に直結した栽培努力と需要拡大に向けた活動を行うため、米の生産組合を設立することとし、合わせて農協の玄米ばら施設増設の検討も行った。
その後、北竜町水田ビジョンが策定され、北竜町うるち米生産組合(196戸)を設立し、既に組織化されていた北竜町もち米生産組合(16戸)と合わせ水稲作付者が全員が組合に加入することとなり、平成19年(2007年)に両組合が合併し、「北竜ひまわりライス生産組合」(199戸)となった。
■ 町内全域農薬節減米の難しさ
当時の生産組合の役員であった吉尾氏は「なぜ全戸加入なのか?」、「低農薬により病害虫が多発したらどうする?」、「誰が責任をとるんだ?」といった不安の声を受け止めながらも、「これから北竜町が米産地として生き残っていくために必要であること」、「低農薬でも予察の徹底により病害虫を抑えられこと」など、役員が懇切丁寧に納得いくまで説明に回り、全員の理解を得ることが出来た。
|
▶(2)町内全域低農薬栽培の取り組みに係る概要
① 低農薬栽培の実績
北竜町水田ビジョンに掲げた「町内全面積低農薬栽培実施方針」の下、平成19年(2007年)より、全戸が農薬節減米の生産に取り組んでおり、使用農薬は11成分以下に抑え(北海道慣行基準は22成分)、種子消毒については温湯消毒と一部生物農薬を使い分け、「0」成分(北海道慣行基準は2成分)に抑えている。
クリーン農業の観点と農薬費のコスト低減の両面からできるだけ化学農薬については減らすよう検討し農薬の選定を行っている。
平成28年(2016年)産では、農薬節減米、特別栽培米、勇気JAS米の作付け面積が全体の90%を超えるまでとなった。
さらに、平成28年度(2016年度)からは北海道慣行基準の 80%カットにあたる、使用農薬 4成分以下での「高度クリーン栽培」への取り組みも始めた(詳細な数値は添付<資料 6.>のとおり)。
低農薬栽培の実績
※ 春作業スタート時はほぼ全戸の生産者が農薬節減米の生産に取り組む。しかし、栽培期間中に病害虫や雑草の繁茂により、やむを得ず農薬を使わなければいけない状況になり、農薬節減米の厳しい基準を満たせない生産者もいる。
ただし、近年では生産組合の取り組みによって生産者のレベルが上がり、平成28年(2016年)産では約9割の生産者が節減米栽培に成功している。
■ 低農薬米生産の失敗
平成11年夏(1999年)、夜温が下がらずいもち病が発生してしまった。そのため、やむを得ず追加防除を行った為、低農薬米となったのは極わずかであった。そのため、米を待っていた実需や消費者に多大な迷惑をかけた。
この反省により、「どうすればもっと的確に病害虫を抑えられるか」、「どうすればより消費者に信用される安全な米を届けられるか」という思いが強くなり、さらなる技術の向上につながっていった。
|
▶(3)低農薬・有機栽培の取り組み内容
① 除草剤を使わない米栽培
低農薬栽培の取り組みとして、荒代掻きから10日間程度おいて雑草の芽を出させ仕上げ代で鋤き込むことで、除草剤の代替技術としている。秋田県大潟村で開発された乗用型ローター式及び歩行型の株掻き付きテラガモ等の除草機を利用している。土づくり・土壌診断・発生予察を行うことを基本にしながら、土壌改良剤・生物農薬・食酢・ドロオイクリーナー(乗用型)等を利用している。
なお、この代替技術は、「有機農業技術研究成果集(パートⅡ)」(道農政部食品政策課・道総研中央農業試験場有機農業技術開発研究班、平成25年3月)の有機農業実践事例として紹介されている。
これらの取り組みを栽培技術面で牽引してきたのが、かつて青年部長として除草剤を使わない米作りを呼びかけた前北竜ひまわりライス生産組合長の佐藤稔 氏である。佐藤氏は平成20年(2008年)、地域活性化につながる優れた技術を持つ農業者として、農水省が制定した第一回「農業の匠」にも選ばれている。
左より:除草機、除草機、ドロオイクリーナー
② 水稲種子温湯消毒
種もみ消毒は、かつては農家が個々に行っていたが、平成24年(2012年)より水稲温湯消毒プラントを導入し、化学農薬に頼らない、よりクリーンな種もみの消毒を始めた。
温湯消毒機械
③ 土壌診断 培養窒素 施肥相談会の実施
農協の協力のもと、農協施設で水田や温床の土壌診断を実施し、データを基に個別面談を行っている。
④ 病害虫発生予察体制
クリーンな栽培を町内一体となって取り進めるには、少ない農薬で最大の効果を発揮する必要があり、病害虫発生予察は適期防除に有効な手段となっている。そのため、情報をより正確にかつ早く伝えるために関係機関と連携し、病害虫予察体制を構築している(予察体制図は <資料 6.> 参照)。
病害虫発生予察
■ 無除草剤の大変さ
除草剤を使わない米栽培は、草取りとの戦いである。上記のような技術が確立されていない時代、消費者に求められる米づくりとして、昭和63年(1988年)、青年部は1戸4反の田んぼで70名が取り組みを始めた。しかし実際には雑草に追われる毎日であり、大変苦労した。
「こんなにも大変なものなのか」、青年部は挫折しそうになった。見るに見かねた父母、祖父母世代が草取りを手伝うが、過去の経験もあり若者の何倍も草をとり、大活躍した。
青年部はどれほど農業が大変なものなのか実感し、労働単価が適切に反映される価格と消費者の求める価格とのギャップを認識しながら考察を深めていった。
|
2.共販活動
▶(1)「ひまわりライス」ブランドの構築
北竜ひまわりライス生産組合は、青年部と生協などとの関わりを契機とした消費者の求める農薬節減米の独自販売(直売)を展開し、所得確保に寄与している。年間生産量約 9,600 tonのうち、約2,000 tonを「ひまわりライス」ブランドとして販売している。
1俵あたりの精算単価は農協共計と比較すると、平成26年(2014年)産ななつぼしで約1,700円、おぼろづきで約 5,000円高くなっており、全量を全道共計へつなげた場合と比較すると平成26年(2014年)産において、総額約 5,781万円の販売メリットが生まれ、137戸で按分すると1戸平均約 42.2万円の所得効果となっている(※平成27年産は精算未了)。
ひまわりライスの販売効果
※ もち米を含めた品種ごとの明細については <資料 7.> のとおり。
※ ひまわりライスは消費者へ継続して購入してもらうために、価格変動を極力減らしている。そのため、米価が高騰した平成24年・25年(2012年・2013年)のときは割安感から引き合いが強くなり、販売量が増えたが、米価が下落した平成26年(2014年)は1俵あたりの販売メリットが大きくなり、総額の販売メリットが大きくなった。
ひまわりライス販売風景
▶(2)日本でただひとつの生産情報公表農産物JASを導入
① 生産情報公表農産物JASとは
「ひまわりライス」ブランドを強力に後押しするのが「生産情報公表農産物JAS」である。
北竜ひまわりライス生産組合が、平成18年(2006年)に取得した「生産情報公表農産物JAS規格」によって、生産情報のトレーサビリティが確保された。だれが、どこの田んぼで、何の農薬を使って栽培したが誰にでもわかる仕組みである(認証の仕組みは <資料 8.> を参照)。
水稲栽培で、200戸近い農家が所属する水稲の生産組合が「生産情報公表農産物JAS規格」を取得したのは 日本で初めてで、現在でも、同条件で同規格を取得している組織は、日本でただひとつである。
② 消費者による公表JASを利用した生産履歴の検索
■ 手順1:米袋JASシールのQRコードからHP「生産情報公表農産物JAS|JAきたそらち 北竜支所」にアクセス
または、http://www.hokuryu-mai.com/ を入力してアクセス
HP「生産情報公表農産物JAS|JAきたそらち 北竜支所」にアクセス
■ 手順2:HPのロット番号入力欄に米袋JASシールに記載されているロット番号を入力(例:F77026)
生産物情報、使用農薬(除草剤・特定農薬)、使用肥料、生産者情報(圃場地図・栽培履歴詳細)がわかります。
生産物情報、使用農薬(除草剤・特定農薬)、使用肥料、生産者情報(圃場地図・栽培履歴詳細)
③ 生産情報公表農産物JAS制度の取り組み
生産情報公表農産物JAS制度とは、農産物の生産履歴に関する情報を意欲のある事業者が消費者に正確に伝えることを第3者機関が認定するJAS規格制度である。
|
生産組合の活動がスタートした平成16年(2004年)7月、農水省から「生産情報公表農産物のJAS規格」に農産物を追加にする案が示された。
生産組合でも直ちに協議を行い、平成18年(2006年)産米から対応するべく対策を取った。そして平成18年(2006年)より、「生産情報公表農産物のJAS規格」により、消費者に向けて生産情報の提供を開始した。
町内全域でこの規格を取得したのは全国で初めてかつ唯一である。
生産情報公表農産物のJAS規格では、一般的な荷受けと異なり、生産者は圃場番号、刈取り日を伝票に記入する必要がある。公表する生産履歴情報に誤りは許されないことから、生産者における正確な記帳と生産組合における確認の徹底、収穫や乾燥・調製作業の細かな仕分けやコンタミ防止など、果たすべき責任が大きい。
大規模法人では100筆以上の圃場があるため、管理には多大な手間がかかっている。より正確な情報を消費者に届けたいという信念の下、全ての生産者がこれを受け入れ、一丸となって取り組みを進めている。
■ 米におけるトレーサビリティの仕組み
【北竜ひまわりライス】生産情報公表農産物JAS規格に基づき厳しく管理
④ 生産情報公表農産物JAS取得を目的とした集荷施設の強化
生産情報公表JAS規格導入にあたり、玄米のロット番号から生産者の特定を可能にするためには、集荷施設の強化が必要であった。
そこで平成17年(2005年)春、トレーサビリティシステムの導入として、従来施設集荷では対応出来なかった部分をカバーできる体制を築くため、既存の玄米ばら集出荷施設を改修し、機能強化を図った(総事業費約 5.4億円)。
トレーサビリティシステムの他、以下についても強化した。
ア.異物除去のための全量色彩選別機による処理能力
イ.全ての品種・栽培方法の受入を可能としながらもコンタミ防止
ウ.有機JAS法の小分け業者取得
エ.有機JAS対応
施設を強化することにより、多くの分類に小分けすることが出来るようになった。ここまで分類することにより、消費者からは様々なニーズに対応できる産地として認知してもらえることができ、生産者からみれば努力して栽培したお米に差をつけてもらえることで、より一層品質の向上に取り組むやりがいにつながった。
■ うるち米の小分けシステム
うるち米の小分けシステム
※ 調整前は栽培区分、タンパク、整粒、調整ランクを全て掛け合わせることにより、うるち米355種類、もち米29種類のお米が生産されている。
※ 調製後は整粒、調製ランクは色彩選別機を通した後に集約されるため、販売種類についてはうるち103種類、もち12種類の仕分けとなっている。
■ 米の集荷から公表JASまでの流れ
⑤ 対面販売を通じた消費者需要の調査
農薬節減米に取り組むきっかけは消費者との交流であり、今も「消費者が求めるお米はとは何か」ということを、生産組合による対面販売を通して常に研究している。
活動内容としては、取引先卸への訪問及び、スーパー等小売店での対面販売を数多く実施し、生産者が店頭に立ち、顔の見える販売を強化し、公表JASのPRも現地で行っている。
また、青年部・女性部においても、積極的に米販売PRを行っており、北竜町の全生産者でひまわりライスを売り込んでいる。
特に公表JASは販売しているお米が、誰がどこでどのように作っているか、店頭でもスマートフォンの画面を通じて見せることが出来るため、消費者には大変好評である。
⑥ 行政と一体となったPR活動
生産者、行政、JAが一体となって、平成26年度(2014年)よりふるさと納税の返礼品として、ひまわりライスの取り組みを開始した。「ひまわりライス」の取り扱い以降、北竜町は北海道内での寄付額が上位となった。
その効果により、公表JASへのホームページ閲覧数が平成26年(2014年)から平成27年(2015年)にかけて倍増し、ひまわりライスブランドの認知度だけでなく、生産情報公表農産物JASの認知度向上にも寄与している。
■ 参考 ■ 北竜町ふるさと応援基金寄付金年度別状況
■ 参考 ■ 平成27年度(2015年度)道内ふるさと納税額の住民一人当たり納税金額ランキング
■ 参考 ■ 公表JASへのホームページ閲覧数の推移
▶(3)北竜町のお米の美味しさに魅せられて
~ふるさと納税を利用されて購入された消費者から寄せられた声より(抜粋)~
・昨年のふるさと納税で始めて北竜町のお米をいただきました。これまで食べたお米の中で一番美味しかったです。北海道を訪れる機会があれば、ぜひ北竜町に行ってみたいと思っております。(東京都在住)
・昨年貴町へ寄付をし、お米(ゆめぴりか)を頂きました。これが非常に美味しくて忘れられません、これまで色々なブランド米(産地も色々)を食べましたが貴町の「ゆめぴりか」は最高でした。生産者と関係者の方々に感謝しています。今後も応援します。(東京都在住)
・昨年頂いた減農薬のゆめぴりかとても美味しいです。新潟の有名米より美味しい!また納税でお願いしました。みなさん頑張ってください。(神奈川県在住)
・昨年ゆめぴりかを頼んだところ、あまりの美味しさに驚きました。スーパーで買うゆめぴりかとここまで違うとは。ふるさと納税のおかげで知ることができました。美味しいお米をこれからも作り続けて欲しい、とよろしくお伝えください。(神奈川県在住)
・ゆめぴりかは色々頼みましたが、北竜町のものが一番おいしかったです!これからもおいしいお米作ってください!(静岡県在住)
■ お米が美味しくて嫁ぐことを決意
女性部北竜支部長 竹林由美子さん
私は30年前、北竜町に嫁いできました。北竜町に嫁いできた理由のひとつは、お米がとても美味しかったからです。
当時、北竜町産のお米を初めて食べたときにそのおいしさに衝撃を受け、「こんなに美味しいお米があるなら、ここに嫁ぎたい!」と思いました。
農家を続けられる一番の理由は、「無から生命が育まれること」です。そして、北竜町の豊かな自然の中でおいしいお米を作っていることに誇りを持っています。
▶ 北海道新聞 公認ブログ「車中泊で北海道巡り」
【北竜町】お米がおいしいので嫁ぐことを決めました・竹林由美子さん |
▶(4)もち米独自の取組
① 異品種混入(コンタミ)防止の取り組み
沢づたいである西川地区の地形を利用してもち米の団地化を行い、うるち米の混入を防いでいる。また、色彩選別機の導入(農協の調製施設)により、うるち米等の異品種混入は過去発生したことがない。
② 水稲種子のヨード検査
全てプラント種子を使用しているが、自分達の眼で再度「うるち」の混入がないかの確認をするべく、ランダムに採取した種子のヨード調査を行っている。
③ 各種調査の実施
生産実績をまとめる為の不稔調査等は生産組合で行い、収量構成要素の確認を自分達の手で行っている。
④ 精米の取組
もち米精米工場をもち米生産者で運営し、農協の委託精米に限らず、自らのもち米も精米し販売に力を入れている。
⑤ 加工品の販売
もち米生産者が運営する「有限会社・田からもち」では、切りもちや加工品の「おかき」の販売等に力を入れ全道、全国で販売を展開している。
⑥ 各種イベントにおける販促活動
北竜町内外で開催される催事・イベント(年間約8~10イベント)に出店し、もちつきや精白もち米の販売等、消費拡大PR活動を行っている。イベントでは、品種の特性に合わせてPRを実施しており、「風の子もち」では赤飯の試食、「はくちょうもち」ではもちつきを行っている。
もち米生産者が作る切り餅・おかき
左:イベントで販売されるもち米 右:記念式典で挨拶を行う大場もち米生産組合長
3.若い農業者による食育活動
テレビの生放送で町のPRを行うノースドラゴン
「ひまわりライス」は、当時の農協青年部が中心となって米作りのルールをつくり、町全体に広げていったものであり、その後を継ぐ若者たちが、今度はご当地ヒーローを通じて、アクションを起こしている。
過疎化が進む北竜町を盛り上げようと、農協青年部のほか、商工会青年部、役場職員、農協職員と多彩な顔ぶれが集まり、60人以上の若者が参加する「アグリファイター・ノースドラゴン」の活動が平成25年(2013年)にスタートした。
「農家だけが元気でも町は栄えない。商店も、行政も元気じゃないと。ヒーローと一緒で、タッグを組んで強くなるんです」と農協青年部からの意見で町内の若者が動き出した。
町内のイベントにも積極的に参加
ノースドラゴン道内外の店頭でのヒーローショーによりひまわりライスをPRしているほか、町内イベントでは食育をテーマとしたアクションショーを実施している。
それらの活動の成果により、ノースドラゴンは地方創生のメンバーに選ばれる等、町の顔として活動を行っている。
また、生産者が忙しい時期は商工会がノースドラゴンになってお米の販売を手伝い、商工会のお祭りの時は生産者がノースドラゴンになって盛り上げるなど、異業種同士でサポートしあう機運も生まれた。
農協青年部からは「町のためにもなるし、自分の仕事のためにもなる。そういう活動にすることで、長く続けていきたい」と話している。
活動実績
ひまわりまつりを盛り上げるノースドラゴン
スーパーの店頭で食育活動を行うノースドラゴン
関連特集記事