除雪・排雪作業(NPOひまわり・北海道北竜町)

2011/04/21 0:58 に 寺内昇 が投稿   [ 2012/02/20 14:05 に更新しました ]
2011年1月28日(金)

28日の早朝、窓に取り付けられた温度計は、マイナス23℃。まさに「しばれる~!」。吐く息が凍ってしまいそうな程の空気の中、透き通るような青空が広がっています。

年が明けて1月に入ってから降り続いている雪。去年12月は降雪量が少なかったことから、地元の方々の中では「1月に入って降り続くこの雪は、天からのしっぺ返し」という言葉が飛び交います。

そして、最近連日、朝に夕に除雪作業が続けられています。雪深い季節の中、こうした除雪作業のお陰で、私達は雪道を車で走行することができるのです。毎日除雪車を目にする度に、感謝の気持ちでいっぱいになります。


冬の北竜町を守る14人・NPOひまわり
冬の北竜町を守る 逞しい14人の皆さん(NPOひまわり)


北竜町での町道の除雪作業は、2010年から「特定非営利活動法人 NPOひまわり」が、町から業務を受託して行っています。

「NPOひまわり」の指定管理業務の一つである「除雪作業」について、法人の事務を所掌されている藤信清彦さんにお話をお伺いしました。藤信さんは北興建設の社員であり、冬期は出向でNPOに勤務されています。

NPOひまわりの事務所でお話しをお伺いしている2時間の間に「水道管凍結の処理依頼」の電話が3件も入ってきました。「マイナス23℃」。。。温度計が壊れたのではないかと思わせる「しばれる日」を物語る状況です。

「雪を踏んだ時、発砲スチロールを踏みつける様な『キュッ!、キュッ!』という音がしたら、しばれてきている証拠。水道管凍結などに十分注意する必要があります。夜寝るときは、水道管の水抜き作業が必須です」と藤信さんのお言葉。

「特定非営利活動法人 NPOひまわり」(理事長・藤井雅仁氏)は、2006年9月設立。町内の建設業7社が中心となって設立されました。

地域への社会貢献を目的として、町営施設(ひまわりの里、ひまわり観光センター、ひまわりパークゴルフ場、金比羅公園、B&G海洋センター、北竜町スキー場など)の指定管理や、町道整備を行っています。また、冬のスノーフェスティバルにおける雪像造りなどにも、ボランティアで参加。それらの中のひとつに、町の生命線である町道の除雪作業があります。


北竜町車輛センター1    北竜町車輛センター2

冬の北竜町を守る除雪機

北竜町車輛センター3    特定非営利活動法人 NPOひまわり 事務所


◆ 除雪機械運転員の方々は、大型特殊免許・車両系建設機械免許を取得。本職は農家経営

除雪作業における除雪機械運転員は14名。除雪経験20年のベテランの方から、今年から参加された方まで、バランスよく役割区分されています。年齢は40代、30代の方々で構成されています。

全員が本業は農家の方々。大型特殊免許、車両系建設機械免許(機体重量が3ton以上の作業車を運転操作できる免許)の両方を取得されていらっしゃいます。

◆ 除雪車8台で、3地区・約160路線の町道を除雪

除雪ダンプ車3台 、除雪ドーザ2台、除雪専用車1台、ロータリー車2台。除雪ドーザは、2名が乗車して交代で運転します。

コースは3地区(南部地区、中部地区、北部地区)に分かれ、160路線もの町道を除雪してまわります。

全員の方々が、除雪作業全体を把握し、業務はローテーションが組まれています。誰もがどんな状態でも、どの機械でも対処できるように、協力し合って作業が進められています。

◆ 毎日の業務は午前3時のパトロールから開始。5時には全車出動して早朝除雪を開始

午前3時からのパトロールは、業務責任者の村上勝博さんと藤信清彦さんが交代で行います。午前2時半から準備を始め、1時間ほどのパトロールで、町内全ての道路の降雪状況を把握。

10cm以上の積雪が確認された場合は、早朝除雪。パトロールの結果を受けた日直が、4時に全員に電話連絡で集合をかけます。そしてエンジンの暖機を経て、5時には全車出動開始となります。

通行量が増える通勤時には作業が終了するように、3時間後の午前8時頃までには作業を終了。

昼間は、路面を平らに綺麗にする作業などの手直しを行います。

降雪状況によって、夕方5時から夜8時、夜10時に出動となることもあります。原則としては、深夜作業は行わないとなっているそうですが、1日に60cm以上降雪する場合などは、連続して10時間もの作業時間となることもあるそうです。


除雪作業1    除雪作業2

除雪作業3    除雪作業4
町道の雪を取り除く除雪作業


◆「自分達の町は、自分達で守る」除雪に心を込めて

除雪機械運転員の皆さんは、農家であり、町の道路状況や周囲の状況をしっかりと把握されていらっしゃる方々です。町の道路の特徴に熟知されていらっしゃいます。

除雪について、如何に能率的、効果的に作業を行うことができるかという話し合いが繰り返えされています。
予算内で、今まで以上に効果的に除雪するには、どのように走行すると良いか?
降雪状態に応じて、路面を重視するか、それとも路幅を重視した方が安全か?

幾度となく失敗や困難に直面しながらも、試行錯誤の繰り返しです。町を知り尽くしている町民が、最善を尽くす方法に向かって日々知恵を絞っています。

◆ お天道さまと仲良くする仕事です

予想のつかない自然を相手に行う作業は、農業も同じです。
その中での困難や努力は計り知れないものにちがいありません。

「お天道さまと仲良くする仕事です」。。。

藤信さんのこのお言葉は、北竜町の町民の方々に存在するありのままの心を示しているよう感じました。


排雪作業1    排雪作業2

排雪作業3    排雪作業4
雪を運び出す排雪作業


この日、青空の彼方に「大雪山系」の山々がくっきりと浮かび上がりました。
「明日の天気は雪」。町民の方々は身体で実感していらっしゃいます。


気まぐれな、厳しい自然と立ち向かい

地域を愛し、地域の生活を守り、切磋琢磨して雪との戦いに挑む方々に

心からの尊敬を感動と感謝をこめて。。。


くっきり見える大雪山系の山々@農道
くっきり見える大雪山系の山々
@農道(北海道北竜町)撮影:2011年1月28日


 いくこ&のぼる

◆ 特定非営利活動法人 NPOひまわり(理事長 藤井裕仁)
 北竜町字和6番地の6(北竜町商工会館内)
 0164-34-2442

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