2012年3月29日(木)
3月27日(火)、JAきたそらち北竜支所の施設において、水稲種籾温湯殺菌装置による種籾殺菌が行われました。
JAきたそらち北竜支所では、初めての取り組みです。
お忙しい中、JAきたそらち北竜支所営農課・高木真樹さんにお話を伺いました。
左:高木真樹さん(JAきたそらち北竜支所営農課)
右:涌井一生さん((株)ヰセキ北海道施設部)
今まで水稲種籾の殺菌は、各農家がそれぞれ農薬などを使い行っていましたが、JAきたそらち北竜支所では、今年から農薬を使わない、水稲種籾温湯殺菌装置を使うサービスを開始しました。
この水稲種籾温湯殺菌装置(SR-600)は、井関農機株式会社製の装置。温湯殺菌から冷却まで全自動で種籾殺菌を行います。 湯温と殺菌時間を正確に管理することができるため、発芽率を保つことができる温湯殺菌装置です。
井関農機(株)が開発した本システムの特徴は、湯温がプラスマイナス1℃で管理できること、さらに、温湯中にエアーブローするため粒が撹拌されて均等に殺菌できるという、高木さんのお話です。装置の処理能力は、1時間に最大600kg(5kg×120袋)です。
作業にあたったのは、JAきたそらち北竜支所の高木さんをはじめ4名の方々。
水稲種籾温湯殺菌装置の稼働状態を、(株)ヰセキ北海道施設部の桶井一生さんが見守る中、慎重に作業が進められました。
病原菌に接触感染しないよう、作業員の方々は、消毒済みのエプロン・キャップ・長靴を着用します。
▶ 水稲種籾温湯殺菌装置を使うメリット
1,農薬を使わず、お湯で種籾を殺菌するので、環境に優しい安全なお米となります。
また、播種の段階でも、農薬を減らすことができます。
2,各農家における種籾殺菌作業時間を、他の作業に振り向けることが可能になり、 作業の合理化がはかれます。
3,利用料は、1kg当たり60円ですが、農薬を使用するより安価で、
費用が削減できます。
4,水稲の種子伝染性病害である、ばか苗病、いもち病、苗立枯細菌病、褐条病に対して
農薬を使った場合とほぼ同じか、それ以上の防除効果が期待できます。
温湯殺菌の作業は、3月27日(火)にスタートして、4月18日(水)までの23日間、およそ36ton(約7,200袋)の種籾の温湯殺菌が、この大型装置を使用して行われます。北竜町の全農家の70%ほどが、温湯殺菌を依頼しています。
水稲種籾温湯殺菌装置の設置は、北海道と北竜町の助成金、そしてJAきたそらち北竜支所の自己負担により実現しました。
左:殺菌前の種籾 右:種籾を区別するネットの色
▶ 作業行程:
1.十分に乾燥した種籾は5kgごとにネットに袋詰めされる。間違い防止のために、 種の種類ごとにネットの色分けする(例えば、ゆめぴりかは緑色)。 2.タイマー予約を使い、作業時間に合わせて湯温を60度まで上げる。 3,籾バケット1個あたり、籾袋10kg(5kg/袋×2袋=10kg)を投入。 4,温湯槽で、60度の温度を保ちながら(±1度)、エアーブローによって10分間攪拌。 このエアーブローによる攪拌は、井関農機が独自に開発したもの。 ネットの中の種籾が、このエアーブローで強く撹拌されることによって、籾袋の内部まで 確実に処理することが可能となる。 5,10度以下の水の冷却槽で、再びエアーブローにより4分間攪拌し、排出。 6,種籾脱水機で、様子を見ながら3~4分間脱水を行い、水分を取り除く。 この脱水機では、一度に種籾50kg(5kg×10袋)の脱水が可能。 7,温湯殺菌後、使用済みのお湯は、下水に排水。 装置内部は、ホースで水洗いすることで、比較的簡単に洗浄できる。
水稲温湯殺菌装置(SR-600)全体
左:装置全体 右:作業前の靴底消毒
左:種籾を装置に投入 右:短時間冷却中
60℃の温湯と空気のブロアーで殺菌中(10分間)
左:排出後、脱水装置へ 右:10袋を3〜4分で脱水
温湯殺菌後の稲の種籾は、、各自農家に持ち帰り、11℃~12℃の水におよそ7日間浸漬。 その後、32℃前後のぬるま湯に1〜2日浸して、発芽・発根を促進。 2mm程度出芽した状態で,育苗箱への播種が行われます。
全員で手分けして殺菌作業
より環境に優しい、安心・安全なお米づくりを目指して、
絶え間なく続けられる人々の偉大なる努力と技術に
大いなる尊敬と感謝と祈りをこめて。。。
◇ いくこ&のぼる
|