2023年1月26日(木)
1月23日(月)、北竜町産酒米「彗星」を使用し、日本酒「尾瀬の雪どけ」を醸造する酒造「龍神酒造」への表敬訪問が実施されました。
龍神酒造(群馬県館林市)表敬訪問
3年程前より、酒米「彗星」の生産者である北竜町在住の渡邊靖範さんが提案されていたのですが、コロナ禍で実現できませんでした。今回、JAきたそらち販売部米穀課・高木真樹 課長、ホクレン岩見沢支所・堀米克誌 主査を始めとする関係者のコーディネートにより、表敬訪問が実現しました。
龍神酒造・表敬訪問の参加者
- 北竜町・佐野豊 町長
- JAきたそらち酒米生産組合・佐々木芳雄 組合長(共栄ファーム代表・北海道指導農業士)
- JAきたそらち酒米生産組合・干場守 監事
- JAきたそらち酒米生産組合・渡邊靖範さん(北海道指導農業士)
- JAきたそらち北竜地区・北清裕邦 代表理事
- ホクレン岩見沢支所米穀課・堀米克誌 主査
- ホクレン東京支店米穀課・菊池航季さん
- JAきたそらち販売部米穀課・高木真樹 課長
- JAきたそらち販売部米穀課・松田和弥さん
北竜町ポータルの取材として、北竜町集落支援員・寺内昇 & 寺内郁子が同行しました。

龍神酒造について


酒蔵「龍神酒造」は、水源豊かな館林市(群馬県)の地に、江戸時代に創業した酒蔵。尾瀬の雪どけが滞積してできた名水「龍神の井戸」の上に酒蔵を作り創業をスタート。
龍神酒造では、小規模の蔵では珍しい自社精米機で丁寧に精米し、全量手磨きの洗米(良質の麹の為に糠を完全に落とす作業)から上槽まで一貫して手作業で行う丁寧な造りを実践されています。
また、設備においても、殺菌のための瞬間火入れをするパストライザー(瓶に入った状態の日本酒を熱湯シャワーにかけて火入れする方法)、低温管理のための冷蔵倉庫を完備。原料米は、山田錦をはじめ希少な酒造好適米を仕入れ、酒米ごと工程を変えて醸造。
日本酒ならではの酒造りの伝統を守りつつ、常に新しい手法を取り入れる等、様々な設備投資など惜しみなく行っています。

各種受賞
- 平成18年・19年酒造年度 全国新酒鑑評会 金賞 連続受賞 審査結果はこちら >>
- ワイングラスでおいしい日本酒アワードメイン2022・メイン部門
最高金賞受賞「尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 生詰」(龍神酒造株式会社)審査結果はこちら >> - ワイングラスでおいしい日本酒アワードメイン2021・メイン部門
最高金賞受賞「尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 生詰」(龍神酒造株式会社)審査結果はこちら >> - ワイングラスでおいしい日本酒アワードメイン2020・メイン部門
最高金賞受賞「尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 山田錦45」「尾瀬の雪どけ 純米吟醸 雄町50」(龍神酒造株式会社)審査結果はこちら >>
龍神酒造における北海道産米への取り組み
❂ 訪問時に配布された龍神酒造の資料より抜粋
- 平成29年(2017年)北海道産米「吟風・きたしずく・彗星」を試用開始
- 平成30年(2018年)彗星採用
- 令和1年(2019年) 彗星80俵
- 令和2年(2020年) 北竜町産米彗星を指定し本格的に使用(720俵)
- 令和3年(2021年) 北竜町産米彗星(節減米)を指定し960俵を使用
- 令和4年(2022年) 北竜町産米彗星(節減米)を指定し960俵を使用
彗星の品質
❂ 訪問時に配布された龍神酒造の資料より抜粋
- 精米性の良さ:50%以下の高精白も可能
- 原料処理:吸水時間は他県の酒造好適米と比較すると長め。吸水後や蒸米はとてもさばけて良い(独特とも言える)。麹米としても使用可能
- もろみ:最終的な資化性は良好、配合や発酵管理を改善することで品質も向上
- 味わい:クセなく香り高い吟醸酒と相性が良く、清涼感があり飲みやすい味わい
- 彗星100%使用の限定酒として毎年販売しており人気が高い
- 主に使用米をうたわない製品の掛米として使用
龍神酒造・酒蔵見学
酒蔵・ろ過場・瓶貯蔵庫(冷蔵倉庫)、自家精米施設、販売店舗などを見学させていただきました(醸造所は撮影禁止)。龍神酒造(株)製造部・田部井英明 係長が案内してくださいました。
玄米を精米し、白米・洗米・浸漬・蒸米・製麹(タンクに蒸米・麹・水を入れ酵母を増やし、じっくりと発酵)、もろみ搾り、日本酒と酒粕に分け、日本酒に火入れを行い貯蔵、数か月から数年間貯蔵後、香味を整え瓶詰めして完成。
酒蔵・ろ過場

ろ過場

名泉「龍神の井戸」の跡
酒蔵施設内には、「龍神酒造」という蔵の名前の由来に因み、昔、仕込み水に使われていた名泉「龍神の井戸」の跡が残されていました。

瓶詰め施設

瓶貯蔵庫(冷蔵倉庫:低温管理のための冷蔵倉庫)


右より:北竜町・佐野豊 町長、龍神酒造・田部井英明 係長
JAきたそらち酒米生産組合・渡邊靖範さん、JAきたそらち北竜地区・北清裕邦 代表理事

龍神酒造(株)毛塚勲 代表取締役社長との懇談会
龍神酒造(株)事務所にて、毛塚勲 社長を囲んで、見学第2グループの北竜町・佐野豊町長、JAきたそらち北竜地区・北清裕邦 代表理事、JAきたそらち酒米生産者・渡邊靖範さん、ホクレン岩見沢支所米穀課・堀米克誌 主査、JAきたそらち販売部米穀課・松田和弥さんとの座談会が行われました。


北竜町・佐野豊 町長
北竜町の酒米生産者の渡邊靖範さんより、北竜町産米「彗星」で日本酒を醸造している群馬県館林市の「龍神酒造」様への表敬訪問同行の依頼を受け、今回の訪問が実現しました。
訪問前に「尾瀬の雪どけ」を試飲させていただき、大変美味しい日本酒と実感しました。
北竜町のお米は、日本農業賞大賞を受賞(2017年)した安心安全なお米で高く評価されています。町の全農家が、農薬の北海道慣行基準を50%削減したお米を栽培しています。
酒米に北竜町産酒米「彗星」を採用していただけたのは、「龍・竜」繋がりと伺いとても嬉しく思います。「龍・竜」繋がりといえば、以前、「龍・竜」の字を含む自治体が集う交流事業「ドラゴンサミット(日本全国17市町村参加)」に参加し、1991年には北竜町でサミットが開催されました。平成の大合併で構成自治体の廃止等により、残念なことに2005年からのサミット開催が取り止めとなりました。
「龍神」という名前に親しみを感じます。また「尾瀬の雪どけ」は、清涼感を感じる素晴らしいブランドだと思います。
「龍・竜」をご縁に、北竜町産米「彗星」を使用した最高に美味しい日本酒を醸造していただいていることに深く感謝いたします。今回も生産者との出会いの貴重な機会を設けていただきありがとうございます。今後とも宜しくお願い申し上げます。
毛塚勲 社長
質問:なぜ北海道のお米「彗星」なのか?
❂ 毛塚勲 社長:同業者で知り合いの酒蔵が、北海道の酒米を使っていることを知ったのが最初のきっかけでした。北海道の酒米を使い始めるにあたって、札幌のホクレンさんにアプローチしてご紹介いただきました。
まずは、初年度の平成29年(2017年)に、北海道における酒造好適米「彗星」「きたしずく」「吟風」の3種を使わせていただきました。その中で、「彗星」が私どもの造りに一番マッチしていると直感しました。そこで「彗星」を使い込んでいこうということになりました。
その後、年々量を増やして、現在令和4年(2022年)は、北竜町産「彗星」(農薬節減米指定)を960俵ほど取引しています。
お客様にも大変好評いただいております。龍神酒造の酒米の4割から5割ほどを「彗星」を使わせていただき、今は主流米となっています。
弊社のお酒は香りと甘みがある日本酒で、ターゲットとしているのが若い年代の人々や海外のお客様が多く、ワインのように飲みやすく優しい清涼感のあるお酒となっています。
質問:北竜町産「彗星」と表示されていないのは?
❂ 毛塚勲 社長:龍神酒造では、醸造上のオペレーションで、手持ちのお米から使っていくというスタイルをとっており、製造時期によって使用米の比率が変わります。酒造法では、お酒の表示が非常に厳しく規制されていて、お米の使用比率が表示と正確に合致していないと違法になります。そこで、殆どの日本酒のラベル表示は「国産米」としています。
当社では「彗星」を主力で使っていますが、100%「彗星」を使用した日本酒に「彗星」とつけているのが年1回だけになっているのはこのためです。
今後、生産者様のこだわりと付加価値を反映させた、高級な酒づくりをチャレンジしていきたいと思います。
国内流通酒とは嗜好が異なるアルコール度数の高い海外向けの日本酒にもトライしていきます。できるだけ国内の日本酒はフレッシュなものを提供していきたいと思います。一方、船便で2か月以上かかる海外向けのものは、劣化しにくい品質の安定化を優先し、香りも華やかさを目指しています。
質問:酒名「尾瀬の雪どけ」の命名の由来は?
❂ 毛塚勲 社長:日本酒の「尾瀬の雪どけ」は、清冽で清らかなお酒のイメージから名付けられた銘柄です。私の父が命名しました。
JAきたそらち北竜地区・北清裕邦 代表理事
北竜のお米は低農薬で栽培しています。北海道敢行農業で使われる農薬の半分の11成分でやっています。
その農薬の中に、ネオニコチノイドという発達神経に有害な殺虫剤があります。今年から「ネオニコチノイド」の殺虫剤を使わないで、他の農薬に変えて全体を統一することと決定しました。
お米の味わいにどう変化していくかわかりませんが、食べて人間の身体に優しい米づくりを目指していきます。付加価値のあるお米として評価していただければと思います。
酒米生産者・渡邊靖範さん
私が栽培する酒米「彗星」が、御社との取引において最初から関わっています。「龍・竜」つながりで御社様に美味しい日本酒を醸造していただけることに大変感謝しています。
今回のような企画は3年前から提案していましたが、この度やっと実現したことを嬉しく思います。今後是非、御社様に、真夏の8月のひまわりが満開の時期に北竜町にお越しいただき、北竜町を感じていただければと思います。
ホクレンとJAを通じて、生産者と酒造り者との心が交流した貴重な瞬間!!!
丹精込めた造り手の技と魂をじっくりと感じることができた素晴らしい体験をありがとうございました。
自家精米施設
龍神酒造の精米施設は醸造所とは別に、販売店舗と同じ敷地に設置されています。







販売店舗





「尾瀬の雪どけ 純米大吟醸 生詰」龍神酒造株式会社
皆さんと記念撮影
最後に、店舗前にて皆さん一緒に記念写真!

祝い酒「尾瀬の雪どけ」を居酒屋「魚金」で味わう
感動の余韻を残したまま、電車で秋葉原へと移動。
秋葉原で龍神酒造の銘酒「尾瀬の雪どけ」を扱っている居酒屋「魚金(うおきん)」を訪問し、皆さんで祝い酒「尾瀬の雪どけ」を存分に味わい乾杯しました。(参考ページはこちら >>)






美味しいお酒と美味しいお料理!ごちそうさまでした!!!

大切に子育てするように、愛情込めて丁寧に作られていくお米&お酒!
お米の生産者とお酒造りの方々の貴重な出逢いと有り難いご縁により、さらに美味しい素晴らしい日本酒が誕生し進化していくことに、限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子