2011年7月17日(日)
7月半ば、数日続いた、梅雨を思わせるような雨、雨、雨。。。 そんな雨もひと休み・・・ 7月17日(日)、ナチュラルファーム黄倉では、北海道ふゆみずたんぼプロジェクト「夏の田んぼの生きもの調査」が行われました。 ◆ 主催は「ナチュラルファーム黄倉」「NPO法人 生物多様性農業支援センター」「創地農業21」 「創地農業21」の運営にあたっているのは、株式会社アレフ。(株)アレフの事業展開の主軸となっているのが、ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」です。 (株)アレフでは、安全・安心・健康な「食」を提供するために、食材に対する研究は、「農業」「環境」の分野へと広がりました。自然と調和する持続可能な食材の生産、エネルギーの節約、廃棄物の削減やリサイクルなどさまざまな研究・活動に着手。その活動は、常に子供たちの未来を考えた社会活動の実践に繋がっています。 ・NPO法人 生物多様性農業支援センターのホームページ
◆「北海道ふゆみずたんぼプロジェクト・田んぼの生きもの調査」は循環型水田農業を目指す こうした(株)アレフの「農業」に対する取り組みの一環として、2006年に「田んぼの生きもの調査」がスタートしました。 「ナチュラルファーム黄倉」では、同年より「北海道ふゆみずたんぼプロジェクト」に参画し、定期的に田んぼの生きもの調査を行ってきました。 「ふゆみずたんぼプロジェクト」とは、冬の田んぼに意図的に水を張り、渡り鳥のガンなどはじめ多くの生きものの生息地の再生を目指します。さらに、水鳥が落とすフンなどが天然の肥料になり、水鳥が土中の雑草の種子を食べることによって除草効果をもたらすという、循環型水田農業の実現も目指しているのです。 北海道でこのプロジェクトに参画し、調査に取り組んでいっらしゃる農家は4農家。当別町・竹田さん、月形町・岩槻さん、南幌町・土井さん、そして北竜町・黄倉さんです。
◆「ナチュラルファーム黄倉」の有機栽培水田に生きづく希少な生きものたち 「ナチュラルファーム黄倉」の黄倉正泰さんは、お父様が1973年(昭和48年)から始めたMOA自然農法水田を引き継がれ、北竜町で26年間、お米を栽培。 およそ38年間、黄倉正泰さんの圃場では、化学肥料や農薬を使用しないお米の栽培が継続されているのです。 そして2001年(平成13年)には、JAS有機農産物圃場の認定を取得されました。 「ナチュラルファーム黄倉」で栽培されるお米「有機JASのななつぼし」は、はるみずたんぼのお米です。 「はるみずたんぼ(早期湛水水田)」では、田植え前の6月初旬まで田んぼに水を張り、生きものたちが暮らせる環境を整えます。その生きものたちの力を借り、農薬を使うことなく雑草や害虫を抑えて、安心・安全なお米作りをしていきます。 生きもの調査の中で、「ナチュラルファーム黄倉」の有機栽培水田には、準絶滅危惧(環境省レッドリスト2007)に指定されている「イチョウウキゴケ」や希少種(北海道レッドデータブック2001)の「オオイトトンボ」が生きていることが発見されています。 イチョウウキゴケは、水面に浮遊する葉状体がイチョウの葉の形に似ていることから名前がつけられたとのこと。かつては全国の水田に豊富に生育していましたが、近年は農薬散布の影響で激減し、絶滅が危惧されている植物です。 40年間もの長い時を超えて、たくさんの生きものたちの生命の循環が繰り広げられている黄倉さんの田んぼです。さて、どんな生きものたちが発見されるのでしょうか。。。
◆ 小雨模様の中、28名(子ども10名、大人18名)の方々が集合 地元北竜町のご家族、中学校の大橋誠校長先生、中学校の先生、札幌市、旭川市、滝川市からいらした方々、そして北海道大学大学院の田中孝之准教授はご家族で参加。 田中先生は、北海道大学大学院の情報科学研究科でロボット,メカトロニクスシステムなどの研究をされています。また、身体も負担を軽減するスマートスーツを開発している(株)スマートサポートの技術顧問もされていらしゃいます。このスマートスーツのテスターとして、スマートスーツを田んぼの草取りの時に装着していらっしゃるのが黄倉桂子さん。改良が重ねられ、3年目を迎える今年の試着は第3号。年々研究開発がすすめられています。
◆ インストラクターは橋部佳紀さんと荒木洋美さん 観察方法、採取方法など、わかりやすく丁寧に教えてくださいました。「田んぼの生きものは、全国で5,000種類以上いると言われています。今回の調査では、NPO法人 生物多様性農業支援センターが対象種として、150種類に絞っています。まず、どんな生きものがいるのか予想してみてください」
シートの予想欄にチェックをいれて・・・網と虫取りカゴをもって、いざ田んぼへ出動!
恐る恐る、田んぼへ素足を入れる子どもたち。 「冷た〜い!」「泥のプールみたい!」「ふわふわしているよ」「慣れるとあったかいね」 「なんかでっかいの見つけたよ。捕まえた!」「あっ、逃げられた!」 元気な、楽しい声が田んぼいっぱいにこだまします。
・・・<おおきいよ つかまえたけど にげられた(主人の俳句)>・・・
お父さん、お母さんと一緒に、虫たちと悪戦苦闘しながらも、思いっきり田んぼの土を踏みしめて、たくさん採取できました。 今回採取されたのもや見つかった生きものたちは、39種類。 インストラクターの橋部さん、荒木さんから、採取した生きものたちについての丁寧な説明に、真剣に耳を傾ける皆さん。。。
▶ カエル: オタマジャクシ、雨蛙、
田んぼには、四季を通して数えきれないほどのさまざまな生きものたちが存在しています。 植物の枯れたものや動物の糞尿などを → 細菌やユスリ蚊の幼虫が食し → その排泄物を植物性プランクトンや藻類が吸収 → それをオタマジャクシが食す → オタマジャクシは、ヤゴやゲンゴロウやヘビ、サギに食べられる・・・まさにそれは食物連鎖。 田んぼは、命に満たされ、循環しています。全ての生きものたちが、子孫を残そうとして懸命に生きています。それぞれが食べたり食べられたりして食物連鎖を繰り返し、生態系を形成しているのです。
◆ 感動が渦巻く発表会 12時、会場を板谷コミュニティーセンターへと移動。 昼食は「ナチュラルファーム黄倉」で栽培された美味しいお米(ゆきひかり、ゆめぴりか)を使ったおにぎり弁当です。手作りのウリやきゅうりのお漬物、いんげんサラダも大変美味しいかったです。ご馳走様でした。
午後は、採取した生きものたちをじっくりと観察しながら絵を書いたり、感じたことを俳句に詠んだり、感動の余韻に浸りながら楽しいひとときを過ごしました。 出来上がった作品は感想を交えて発表。。。それぞれの皆さんの個性溢れる絵の数々、豊かな感受性に心うたれました。
最後に発表されたインストラクターの橋部さんの作品は「アゼムシロ」の花のスケッチ。 「アゼムシロの花は、私の好きな花で、今年も黄倉さんの畦に咲いていてくれて嬉しいです。この花は、畦が葉の大きな雑草に覆われていると成育できません。アゼムシロが咲いていることは、畦が綺麗に手入れされている証なのです。淡い紫色の小さな花で、5枚の花びらが非対称になっているのが面白くもあり、可愛い花です。こうして、農薬や化学肥料を使わない黄倉さんの田んぼは、他では見ることのできないような生きものたちが生存しています。ご飯を食べる時に、田んぼにいるたくさんの生きものたちを思い出してくださいね」と橋部さんの心のこもったお言葉。
締めくくりは、黄倉さんの感謝と真心こめたご挨拶。 「皆さんの作品を拝見して、感動して涙がでてきました。私達は、農薬や化学肥料を使わないお米を栽培することは、妻が行っている草取りをはじめ、たくさんの努力と忍耐を必要とする作業と向き合っていく毎日の連続です。 皆さんの俳句や絵に描かれた生きものたちの尊い命にふれることが出来、大変感動し、癒されました。本当にありがとうございました」 黄倉正泰さんの命あるお米に対する愛情が輝いた瞬間です。
命育むお米たち・・・そこに宿る生きものたちの生命
全てに注がれる愛情によって、守られ、受け継がれていく命。。。 素晴らしき命の循環に 大いなる愛と感謝と笑顔をこめて。。。
夏の田んぼの生きもの調査・写真(64枚)はこちら
◆ 参考・特集記事 ほか ・特別栽培米・おぼろづき(北海道北竜町産)の新米が満天☆青空レストランで紹介されました(2011年10月22日放映) ◆ ナチュラルファーム黄倉(おうくら) ◇ いくこ&のぼる |