2011年6月14日(火) ナチュラルファーム黄倉では、6月に入り、田んぼの代掻き・田植えが無事終了し、除草の準備に入りました。お忙しい中、黄倉正泰(おうくらまさやす)さんにお話をお伺いしました。
◇ 代掻きは田植え前の大切な作業 水稲の代掻き(しろかき)とは、田んぼに水を引き入れて、土を砕き均(なら)して田植えの準備をしていくものです。 有機栽培における代掻きは、除草作業を軽減するための大切な作業で、通常は1回のところ2回行います。 1回目は、田植えの3~4週間前。2回目は田植えの前日となります。 この田植え直前の代掻きは、1回目の代掻き後に生えてきた草を、トラクターで土に練りこんでいくものです。こうすることによって、種子で繁殖する草はほとんど枯れてしまうそうです。 種子以外で繁殖する草としては、芋で繁殖するオモダカやヒルムシロなどがあります。この芋を土から取り除く方法は、人の手ではほとんど不可能といってもよく、秋起こしの作業の中で行っていきます。 秋起こしでは、トラクターで圃場の土を深いところから反転させることによって、土の表面から15cm程下に埋まっている芋を土の表面に出します。表面に出た芋は、太陽によって乾かされ、また冬期、北海道の厳しい寒さでしばれ、枯れたり、芽が出にくくなるのです。 秋起こしに始まり、田植え前の2回にも及ぶ代掻きなど、除草の時間と手間を縮小するためのたゆまぬ努力が続けられます。こうした努力と継続、忍耐力に、深い感謝と尊敬の念を抱かずにはいられません。
◇ 田植え 圃場に水を張り、浮いてきた稲の茎や根っこなどを、畦(あぜ)に引き上げる作業を「ゴミ上げ」といい、田植えの前に行います。 有機栽培米の田植えは、出芽した雑草を土に練り込む作業があるため、通常の田植えより時期が遅れます。有機栽培の特徴のひとつといえます。 ビニールハウスですくすくと育った苗は、苗箱ごとトラックに積載。積み込まれた苗は、たっぷりと水がかけられ田んぼへと旅立ちます。 田んぼに運ばれた苗の田植え機への積み込みは、能率のよい連携作業。 さらに、田植え機械の植え残した部分は、苗を手で植える作業(補植作業)が行われます。田んぼに入り、腰を曲げての中腰の姿勢は、大変な作業。
◇ 田植え後の作業 田植え後もたくさんの後片付けの作業が続きます。 育苗箱は、用水路の水で綺麗に泥落とし。数を揃えてヒモで縛ってまとめます。 苗床の後片付けも一仕事。ハウスの中でも除草剤は使いません。雑草は、桑を使った手刈りの草取りを行います。
◇ 除草作業 除草作業は、有機栽培米の栽培過程で最も手間ひまのかかる部分であり、収量を確保するために大切な作業となります。この作業は、6月の末まで続けられます。 チェーン除草、ティラガモ除草機、ロータ式除草機などで、稲株の周りの草を取る作業は、延べ2回。1回の機械による除草には5日間かかるので、2回だと合計10日間。 さらに、機械では取りきれない株周りの除草は、人が手で7日間かけて行います。 こうして繰り返される除草作業は、私達にとって想像を絶するような大変な作業に違いありません。
これから始まる機械除草、人手による除草、 大切な稲を守る為、雑草と向かい合う毎日は、 限界を超えた壮絶なる自分との戦い。
田んぼに生存する、いのち溢れる生態循環の中で、 お互いが共存しながら息づいている素晴らしい田んぼに、 限りない愛と感謝と笑顔をこめて。。。
◆ 参考・特集記事 ほか ・特別栽培米・おぼろづき(北海道北竜町産)の新米が満天☆青空レストランで紹介されました(2011年10月22日放映) ・スマートスーツ・ライト(北海道大学の田中孝之准教授と(株)スマートサポート(札幌市、鈴木善人社長)が開発)を、有機栽培米の草取りでモニター中(2011年7月21日) ◆ ナチュラルファーム黄倉(おうくら) ◇ いくこ&のぼる |