有機栽培米の田植え@ナチュラルファーム黄倉

2011/06/13 1:42 に 寺内昇 が投稿   [ 2013/01/29 22:07 に更新しました ]
2011年6月14日(火)

ナチュラルファーム黄倉では、6月に入り、田んぼの代掻き・田植えが無事終了し、除草の準備に入りました。お忙しい中、黄倉正泰(おうくらまさやす)さんにお話をお伺いしました。


すくすく育つ有機栽培の稲たち
すくすく育つ有機栽培の稲たち


◇ 代掻きは田植え前の大切な作業 

水稲の代掻き(しろかき)とは、田んぼに水を引き入れて、土を砕き均(なら)して田植えの準備をしていくものです。 有機栽培における代掻きは、除草作業を軽減するための大切な作業で、通常は1回のところ2回行います。 

1回目は、田植えの3~4週間前。2回目は田植えの前日となります。 

この田植え直前の代掻きは、1回目の代掻き後に生えてきた草を、トラクターで土に練りこんでいくものです。こうすることによって、種子で繁殖する草はほとんど枯れてしまうそうです。 

種子以外で繁殖する草としては、芋で繁殖するオモダカやヒルムシロなどがあります。この芋を土から取り除く方法は、人の手ではほとんど不可能といってもよく、秋起こしの作業の中で行っていきます。 秋起こしでは、トラクターで圃場の土を深いところから反転させることによって、土の表面から15cm程下に埋まっている芋を土の表面に出します。表面に出た芋は、太陽によって乾かされ、また冬期、北海道の厳しい寒さでしばれ、枯れたり、芽が出にくくなるのです。 

秋起こしに始まり、田植え前の2回にも及ぶ代掻きなど、除草の時間と手間を縮小するためのたゆまぬ努力が続けられます。こうした努力と継続、忍耐力に、深い感謝と尊敬の念を抱かずにはいられません。


1回目の代掻き    1回目の代掻き
1回目の代掻き(撮影:2011年5月17日・18日)

2回目の代掻き    2回目の代掻き
左:2回目の代掻き(撮影:2011年6月1日)  右:畦の右側は特別栽培米


育苗    育苗
苗床(撮影:2011年5月16日)

育苗    育苗
苗床(撮影:2011年5月23日)


◇ 田植え 

圃場に水を張り、浮いてきた稲の茎や根っこなどを、畦(あぜ)に引き上げる作業を「ゴミ上げ」といい、田植えの前に行います。

 有機栽培米の田植えは、出芽した雑草を土に練り込む作業があるため、通常の田植えより時期が遅れます。有機栽培の特徴のひとつといえます。 

ビニールハウスですくすくと育った苗は、苗箱ごとトラックに積載。積み込まれた苗は、たっぷりと水がかけられ田んぼへと旅立ちます。 田んぼに運ばれた苗の田植え機への積み込みは、能率のよい連携作業。 

さらに、田植え機械の植え残した部分は、苗を手で植える作業(補植作業)が行われます。田んぼに入り、腰を曲げての中腰の姿勢は、大変な作業。


ハウスの稲    稲のポットに散水
左:苗の搬出中のハウス   右:苗のポットに散水
(撮影:2011年5月26日・27日)

力を合わせて・田植    圃場の端は手で整地
左:力を合わせて     右:田んぼの端は手で整地
(撮影:2011年5月26日・27日)

田植    手で補植
田植え(左:機械での田植   右:端は手で補植)
(撮影:2011年5月26日・27日)


◇ 田植え後の作業 

田植え後もたくさんの後片付けの作業が続きます。 育苗箱は、用水路の水で綺麗に泥落とし。数を揃えてヒモで縛ってまとめます。 苗床の後片付けも一仕事。ハウスの中でも除草剤は使いません。雑草は、桑を使った手刈りの草取りを行います。


◇ 除草作業

除草作業は、有機栽培米の栽培過程で最も手間ひまのかかる部分であり、収量を確保するために大切な作業となります。この作業は、6月の末まで続けられます。 

チェーン除草、ティラガモ除草機、ロータ式除草機などで、稲株の周りの草を取る作業は、延べ2回。1回の機械による除草には5日間かかるので、2回だと合計10日間。 

さらに、機械では取りきれない株周りの除草は、人が手で7日間かけて行います。 こうして繰り返される除草作業は、私達にとって想像を絶するような大変な作業に違いありません。


日に日に育つ稲    日に日に育つ稲
日に日に育つ稲たち(撮影:2011年6月13日)

有機栽培ならではのミズスマシ    有機栽培の畦・草刈り中
左:有機栽培の田んぼの生きもの・ミズスマシ      右:有機栽培の田んぼの畦・草刈り中


これから始まる機械除草、人手による除草、 大切な稲を守る為、雑草と向かい合う毎日は、 限界を超えた壮絶なる自分との戦い。 


田んぼに生存する、いのち溢れる生態循環の中で、 

お互いが共存しながら息づいている素晴らしい田んぼに、 

限りない愛と感謝と笑顔をこめて。。。


大空を舞う
田んぼを見守るかのように大空を舞う・・・
@ナチュラルファーム黄倉(撮影:2011年5月18日)



◆ 参考・特集記事 ほか

特別栽培米・おぼろづき(北海道北竜町産)の新米が満天☆青空レストランで紹介されました(2011年10月22日放映)
有機栽培米の防除〜新米の収穫@ナチュラルファーム黄倉(2011年9月28日)

スマートスーツ・ライト(北海道大学の田中孝之准教授と(株)スマートサポート(札幌市、鈴木善人社長)が開発)を、有機栽培米の草取りでモニター中(2011年7月21日)
夏の田んぼの生きもの調査 @ナチュラルファーム黄倉が開催されました(2011年7月17日)
7月17日「夏の田んぼの生きもの調査」参加者大募集!(2011年7月7日)

有機栽培米の草取り@ナチュラルファーム黄倉(2011年7月10日)
有機栽培米の播種・育苗@ナチュラルファーム黄倉(2011年5月17日)
有機栽培米・苗床の準備@ナチュラルファーム黄倉(2011年4月11日)


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◇ いくこ&のぼる

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