2025年9月5日(金)
- 1 佐々木康宏 町長・建設業社長から町長へ、その決意の背景
- 2 佐々木町長が描く、北竜町の未来予想図
- 2.1 Q. 町の行く末に不安を感じたとのことですが、具体的にどのような課題があり、どう解決していきたいですか?
- 2.2 Q. もし、お金も労力も時間も人脈も、すべてが無限にあったとしたら、町長として何をしたいですか?
- 2.3 Q. では、もし「北竜町長として」すべてが自由に使えたら、どんなことにチャレンジしたいですか?
- 2.4 Q.町長になって、建設業の価値を高めるためにやってきたこと、これからしていきたい展望をお聞かせください。
- 2.5 Q.北竜町の保育園の将来像、教育の理想像についてお聞かせください。
- 2.6 Q.北竜町は、「ひまわり」が観光の中心になっていますが、移住者に対してどんなことをアピールしていきたいと考えていますか。
- 3 北竜町の強みと未来への投資
- 4 未来のまちづくりと、若者へのメッセージ
- 5 その他の写真
- 6 関連記事・サイト
佐々木康宏 町長・建設業社長から町長へ、その決意の背景
9月2日(火)09:30より、北竜町役場の応接室が、未来を担う若者たちの熱気に包まれました。キャリアデザインキャンプに参加する6名の大学生が、佐々木康宏 町長との対談に臨んだのです。
建設、そして保育。それぞれの専門分野の視点から、学生たちが投げかける鋭く、そして真摯な質問の数々。
佐々木町長は、その一つひとつの想いを真正面から受け止め、ご自身の経験と未来へのビジョンを熱く語ります。
世代を超えた真剣な言葉のキャッチボールが繰り広げられた、活発な対談の模様をお届けします。

Q. 建設業の社長から、なぜ町長になろうと思われたのでしょうか?
町長になる前に、町議会議員を9期38年ほど務めていました。そのうち議長も5期経験させていただきました。その中で、役場の職員の皆さんや各種団体の皆さん、もちろん子どもたちからお年寄りまで、町民の皆さんすべてを知っている、という自負があります。
北竜町は人口約1,600人弱の小さな町ですから、昨日生まれた赤ちゃんのことは分からなくても、ひと月前までに生まれた町民なら全員わかります。そうした長い政治経験の中で、どうも北竜町の行く末が不安に感じられるようになったのです。
この町はひまわりを45年間も育ててきた歴史があり、人口規模だけではない、素晴らしいポテンシャルを秘めた本当に楽しみな町です。そういった町の様々な資源を活かしながら、もう一度「第二期北竜創生」のようなものを実現したいと、ずっと想い続けていました。ちょうどその想いと、町長選挙に出馬する時期が重なったため、立候補を決意しました。ですから、私にとってはこれまでの活動の延長線上で、今も仕事に取り組んでいます。
Q. 議員や社長という立場でも出来ることがあった中で、あえて「町長」に立候補された決め手は何だったのでしょうか?
まちづくりにおいて、最終的な決定権を持つのは町長一人なんです。これは日本の地方自治の制度上、変えられません。議員は町長に対して様々な議論を投げかけ、皆で相談しながら一つの結論を導き出す手伝いをしてくれますが、それを最終的に実行できるのは町長しかいない。
地方自治は「大統領制」のようなもので、町長がすべての決定をし、その代わりとしてすべての責任を負う立場にあります。それは町に唯一無二の存在です。政治家を志すのであれば、そこを目指すべきだと考えていました。

佐々木町長が描く、北竜町の未来予想図
Q. 町の行く末に不安を感じたとのことですが、具体的にどのような課題があり、どう解決していきたいですか?
私が町長選で掲げた「7つの柱」という公約が、まさに地方創生のベースになっています。その7つの公約がうまく作用した時、10年後に北竜町がどのような姿になっているか。町長になってまだ1年半ですが、常に10年後の姿を描いています。
その未来を創るためには、役場の職員だけでなく、各種団体の方々、子どもたち、お年寄りまで、町民1,600人すべてが、これからの10年に向かってそれぞれの想いを伝えてほしいのです。それを形にしていくのが私の仕事です。
具体的な例を一つ挙げますと、今年の10月1日から町の単独事業としてコミュニティバスを2路線走らせます。一つは深川方面、もう一つは滝川方面です。高校生の通学、町民の通院や生活を支えるためです。これまで北竜町には、日常的に使える公共交通機関がありませんでした。これは圧倒的なマイナスです。この小さな町がバス路線を持つことは大変なことですが、こうした具体的な取り組みを、これからどんどん進めていきたいと考えています。
Q. もし、お金も労力も時間も人脈も、すべてが無限にあったとしたら、町長として何をしたいですか?
もし北竜町のことですべてが無限に使えるのであれば…そうですね、総理大臣になりたいですね、日本の(笑)。
今回、皆さんにこの町に来ていただいたのも、北竜町を少しでもいいから変えてほしい、という想いがあるからです。北竜町が変われば、私たちが属する「空知(そらち)」が変わる。空知が変われば北海道が変わり、北海道が変われば日本が変わる。そんな壮大なことを考えるなら、総理大臣になってみたい、なんて子どもみたいなことを考えてしまいますね。
もちろん100%無理な話ですが、想いはそれくらい大きいということです。
Q. では、もし「北竜町長として」すべてが自由に使えたら、どんなことにチャレンジしたいですか?
この町が最も人口の多かった時代、約6,500人の規模まで、もう一度人口を戻すにはどうすればいいか、ということに挑戦したいです。
最盛期の時代は、町全体に向上心があり、活気や一体感があって、町全体が輝いていました。前に向かっていく精神に溢れていました。当時は楽しい町でした。その後、人口減少が進み、だんだん町の魅力が欠如していって、人々が町を去る現象が続きました。様々なマイナス要因で、町の活力が失われていったと思います。
北竜町は133年の歴史を刻んできましたが、これからは未来の歴史、未来のキャリアを作っていく番です。そのためには、やはり町の活気の象徴である人口を、かつてのピークまで戻したい。そのための方法論や財源がすべてあるのなら、ぜひ実現したいですね。私の任期中に、そこへ向かうためのベースだけでも作りたいと考えています。
人口減少は、正面から受け止めなければいけなし、避けられないと認識しています。そこに立ち向かっていくためにも、町の魅力向上や移住・定住促進、関係人口の拡大など様々な施策を講じていきます。
2030年までに、関係人口1,600人創出を目指します。町民一人が町外の人ひとりと関係を持ち、町民ひとりひとりがまちづくりに関与をしていく「町民みんなでまちづくり」を目指しています。
この関係人口1,600人の実現は、非常に難しいことですが、不可能だとは思ってません、やれると思っています。
2025年4月1日からゼロからのスタートで、様々な施策の具体性が出てくると思います。全てが成功すると思わないし、失敗したらやり直せばいいし、何度もチャレンジしていけばいいと思います。

Q.町長になって、建設業の価値を高めるためにやってきたこと、これからしていきたい展望をお聞かせください。
建設業は、道路や川・橋などを建設するだけでなく、災害が災害が起きた時には一番最初に出て行って、住民の安全を確保するっていうのは、建設業の一番の役割なんです。
災害が起きた時に、消防とか自衛隊とかいろんな警察とか出て行くんですけどね。ある警戒線まで行ったら、「行け!」っていう命令が,建設業に出されるんです。警戒という言葉が出されたら建設業はもう自分の命をかけて重機に乗って川やなんかを掘削したり、道路を開いたりしていくことが災害に対する役割です。
北海道に2万1千社の建設業がありますが、179市町村の中には建設業がない町も多い。合併や支店設置で、町のコンビニのように、どの町にも建設業がある「建設業のコンビニ化」を目指し、建設業の価値を高めて、災害対応や地域安全確保の役割を果たしていきたいと考えています。
Q.北竜町の保育園の将来像、教育の理想像についてお聞かせください。

1歳・2歳保育から英会話教育を開始し、中学卒業時には、ネイティブな英会話ができるようにしたい。翻訳機を使うのもありますが、目を見て相手と直に言葉を交わし、心の交流を大切にしていきたいと思います。小さな町なので、「全員留学の町」を目指し、教育課程の見直しも進行中です。
令和9年度から地方独自の教育課程が認められるため、北竜町では、来年令和8年8月の文部省申請に向けて、「北竜学」を新設予定です。「英会話学科」「北竜学科」「チャレンジ学科」の3つを設ける計画をしています。
今後、子供達の様々なチャレンジに対して町が支援していくなど「子供チャレンジ支援」の実施が予定されています。
教育の理想像は、学力・運動・芸術・感性などに順位をつけず、子どもたちの自由度と可能性を尊重する教育を目指しています。
Q.北竜町は、「ひまわり」が観光の中心になっていますが、移住者に対してどんなことをアピールしていきたいと考えていますか。
移住者を呼び込むための対策と住んでもらうための対策は異なります。
ひまわりのスタートは、当時農協職員の発案により、ひまわりの景観と健康的なひまわり油の搾油という観点から、250戸の農家のお母さんたちが中心となって「1戸1アール」運動としてひまわりを植えたことが始まりです。さらに商工会青年部の若者たちの協働によるひまわり栽培規模拡大に伴い、1ヘクタールで1万人、5ヘクタールで5万人、10ヘクタールで10万人に見学者が増加。現在23ヘクタールに、20万人を超える方が来訪しています。こうしたひまわりの観光産業が少しずつ移住・定住策に繋がっていきました。
北竜町は水田面積1,600ヘクタール、120戸の農家が全員農薬を50%以下に抑えたひまわりライスを生産しています。町全体で減農薬に取り組んでいるのは日本で北竜町のみ。北竜町は、川と山に囲まれているので、隣の町で農薬を使っても飛んでこきません。川で遮断され山で遮断されるということで、この地形も日本一の安全な食料、ひまわりライスの生産の町には最も適しています。地形的にも安心・安全な食料生産の農業の町として、移住定住策の柱になっています。

北竜町の強みと未来への投資
Q. 北竜町といえば「ひまわり」という圧倒的な武器がありますが、それに次ぐ「ナンバー2」の柱はありますか?
もう一本の柱は、まさに「地方創生」そのものです。今回皆さんが参加してくれているような事業、これから3年間かけて行っていく様々な取り組みが、もう一つの大きな柱になります。ぜひ、その柱を一緒に作ってほしいと願っています。
Q. 保育について、将来的に人材が足りなくなるというお話がありましたが、具体的にどのような人材を、どれくらいの財源をかけて確保したいと考えていますか?
保育士の求人はもちろん出していくのですが、特に「男性保育士」にぜひ来ていただきたいと考えています。保育園の仕事には結構力仕事もあって、そういう部分を担っていただけると大変助かります。新卒でも中途でも構いません。
財源については、「ふるさと納税」が大きな鍵になります。現在、寄付の95%以上が特産品の「ひまわりライス」によるもので、年間4億円前後のお金が全国から集まっています。これが6億、7億、10億と増えていけば、財源はより豊かになります。
ふるさと納税の使い道には5つの項目があり、その一つに「教育・保育・子育てのため」という項目があります。ひまわりライスをもっと多くの人に選んでいただき、「子どもたちのために」と寄付してくれる人を増やすことで、しっかりと財源を確保していきたいです。
Q. ふるさと納税を増やすために、具体的にどのようなPRをしていきますか?
今回、伴走型支援をしてくれる「つながる地域づくり研究所」さんと連携しています。コンサルタントというと、普通は「はい、これ」と資料を渡して終わりですが、彼らはマラソンの伴走者のように、常に腕を組み合いながら一緒に走ってくれる存在です。
今、「つながる地域づくり研究所」さんと一緒に、より皆さんの目に留まり、お米の価値を認めて買っていただけるような仕掛けを考えてくれています。寄付してくださる方にとっても、単にお米を買うだけでなく、自分の想いが町の発展に繋がるような「心の納税」になるような仕組みづくりをお願いしています。

未来のまちづくりと、若者へのメッセージ
Q. 町長という行政の立場から見て、これからのまちづくりにおいて、建設業はどのような役割を担うべきだとお考えですか?
もっと「センスのある建設業」であってほしいですね。私の世代までは、鉢巻きを締めて「よっしゃ、やるぞ!」というイメージでしたが、これからの時代は違います。
例えば、建物や道路、川を整備するにしても、そこに「彩り」を加えていいはずです。黄色い道路があったっていい。法律を調べても、国道を黄色にしちゃダメだという法律はありません(笑)。そんな「センス」や「遊び心」、あるいは「童心」を持った建設業が、この町には必要だと思っています。息子を含め、業界の皆にもそういう話をしていこうと思っています。
Q. 皆さんとの交流で生まれた「北竜東京会議」のような繋がりを、今後どうしていきたいですか?
いわゆる「関係人口」なんて言葉は使いません。ただ、皆さんと北竜町の関係を、常に持ち続けてほしい。私も、皆さんのことをずっと気にしています。去年の10人のメンバーが今どこで何をしているか、元気でやっているか、気になって仕方ないんです。
ぜひ「北竜東京会議」や「北竜大阪会議」を開いてほしい。それは北竜町の出身者を集めるのではなく、今回のように関わってくれた皆さんが、また集まって北竜町について話をしてくれる、そんな会です。ぜひ、そんな楽しい関係性を続けていきましょう。

地方創生・人口回復・教育改革を柱に、町の活性化と持続可能な発展を目指す北竜町のまちづくり。具体的な施策や数値目標を掲げ、町民や関係人口の拡大、保育・教育体制の強化、建設業の価値向上など多角的なアプローチで地域課題に取り組む佐々木町長の心のこもった真摯なメッセージと素直な学生さんたちの素晴らしいディスカッションに、限りない愛と感謝と祈りを込めて。。。
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