2018年3月28日(水)
3月27日(火)18:00〜、「北竜町ロゴマーク&ふるさと納税用米袋デザイン」が完成し、製作者であるデザイナー・梅原真 氏とコーディネーター・立正大学・鈴木輝隆 特任教授による町民発表会が、北竜町公民館1階講堂にて行われました。ワークショップ参加の皆さんをはじめ、およそ20人の町民が集まり、感動を共有しました。
町民発表に先立って、役場内で、梅原氏、鈴木教授、佐野豊 町長、北竜町議会・佐々木康宏議長、佐光勉 議員、小松正美 議員、松永毅 議員、北竜町役場・高橋利昌 副町長、企画振興課・南波肇 課長、北島勝美 議員、JAきたそらち・北清裕邦 北竜地区代表理事、北竜ひまわりライス生産組合・川村功 組合長を交えた懇談がありました。
デザイナー・梅原真 氏(右)立正大学・鈴木輝隆 特任教授(左)
▶ プロフィール
▶梅原真(うめばら まこと)氏
高知県高知市出身(68歳)。大阪経済大学経済学部卒業。1980年に梅原デザイン事務所設立。高知の高知の砂浜を美術館にした「砂浜美術館」、「一本釣り鰹の藁焼きたたき」、四万十の自然を生かした「しまんと地栗」、島根県の離島・海士町「ないものはない」などの様々なプロデュースを行い、「一次産業 ✕ デザイン=風景」をテーマに全国各地で活躍中。2016年に「土地の力を引き出すデザイン」で毎日デザイン賞特別賞を受賞。
▶ 鈴木輝隆(すずき てるたか)氏
名古屋市出身(68歳)北海道大学農学部卒業。神戸市役所、山梨県庁、総合研究開発機構、江戸川大学を経て立正大学経済学部特任教授。現在、江戸川大学社会学部特任教授。観光まちづくり、地域経営、ローカルデザインなどを専門に、クリエイターと共に各地の地域づくりに関わる。ミツバチのように全国各地を飛び回り、地域とクリエイターを結びつける“みつばち先生”と親しまれる。北海道清里町「清里焼酎ブランド」リ・デザインのプロデュース 、長野県小布施町のまちづくり 、八王子市「TAKAO 599 MUSEUM」のプロデュース などを手がけ全国で活躍中。
18時より場所を北竜町公民館1階講堂に移し、町民への発表が行われました。
北竜町ロゴマーク&ふるさと納税用米袋町民発表会
▶ 梅原真氏のお話
日本農業賞大賞受賞をきっかけに、「自分たちの町・北竜町はどんな町なのかを考える=形にしてみること」を提案いたしました。
数回のワークショップにて皆さんの話しをお聞きしながら進めていきました。皆さんから沢山の言葉をいただき、例えば「人も米もJAS」「小さな町の大きな安全」「たんぼが笑っている」「町ぐるみでJAS」などを集め、言葉としてエキスを抽出していきました。
北竜町の魅力を詰め込む
ギューッと凝縮して言葉のエキスを抽出
▶ あかるい農法
「あかるい」は、ワークショップで若者が元気に会話していた印象です。「農法」には、この町の安全な農業が、特に「生産情報公表農産物JAS規格」という、生産情報をすべて明るくオープンにしているという姿勢にあります。
この言葉を抽出するのに、大変時間がかかりました。そして次にデザインです。
色チップで色を確認
あかるい農法の真ん中は、田んぼの田、ひまわりも表す
▶「あかるい農法 北海道 ひまわりの 北竜町」とは
「あかるい」という未来を示唆する言葉と「農法」という「食は生命」につながる言葉をつなぎあわせ、北竜町の本質、あたらしい未来を表現したい。
「あかるい」という未来を示唆する言葉と「農法」という「食は生命」につながる言葉をつなぎあわせ、
北竜町の本質、あたらしい未来を表現したい
「あかるい」という言葉は、いつの日も、使い古されてもいい言葉です。「あかるい」という言葉が嫌な人はいません。
「あかるい」という言葉は未来に繋がります。
未来をつくるのが役場の仕事です。町民の心を明るくします。あかるい農民が作った農業は、生産情報公表農産物JAS規格は、あかるい情報公開です。
▶ 「あかるい農法」は北竜町の価値観
「あかるい」という言葉には、この町の明るさ、農業の明るさ、情報を公表している明るさが含まれています。
「農法」はとても重要な言葉で、米の生産に関する情報を日本全国に公表しているということは、北竜町の価値観として世界にも広げることができます。さらに、農業のジャンルを超えた、あかるい町を作るという広いイメージにも繋がっていきます。
町が「あかるい農法」を行っていますというメッセージは、日本全国へも世界中へも、この町の考え方が伝わっていくことを意味しています。
▶ 北海道 ひまわりの 北竜町
デザインは、田んぼの「田」を表しています。濃い色のところが水田。薄い色がひまわりです。町にはひまわりの花柄が沢山あるので、あえて花の形を無くし、田んぼを基準としたビジュアルに直し埋め込んで、メッシュの記号として表しました。
今回工夫したところは、「北海道 ひまわりの 北竜町」という言葉です。北海道というイメージが北の地であることを示していて、北海道のひし形を思い出します。その北海道にある北竜町ということを明確に示しています。更に、ひまわりの絵柄を使わなかったので「ひまわり」という文字で補っています。
結果「あかるい農法 北海道 ひまわりの 北竜町」という言葉に凝縮されました。
▶ ロゴが生み出すコミュニケーション
このマークを見た人は、「あかるい農法」って何?と疑問を持ちます。このマークが示された名刺を差し出した時、「あかるい農法とは何ですか」と聞かれ、「実はこういうことです!」と自分の言葉で説明することができます。ここにコミュニケーションが生じ、その輪が何倍にも広がっていきます。ロゴマークの言葉がコミュニケーションを生むためのあかるい道具となり得ます。
▶ 役場と農協が同じロゴも可能
役場と農協の皆さんが一体となって、同じロゴマークを共有することもできます。多分、日本でそのようなことをしている自治体は無いと思います。
ロゴマークのデザインには、縦のデザイン、横のデザインがあります。使用する用途毎に使い分けをしていきます。例えば、ロゴマーク入りセロテーブ・ガムテープ、ホームページ、車のボディ、名刺、封筒などに使用できます。
ガムテープ、セロテーブ
ホームページのロゴ
車のボディ
名刺
封筒
▶ 「あかるい」という人を明るくさせる言葉
様々なものに町の想い「あかるい農法」を明記すると、そこには「人を明るくする言葉」が入っているので、使えば使うほど、限りなくこの町の良さが知れ渡り広がっていきます。
道路の脇に、「あかるい農法 北海道 ひまわりの北竜町」の幟を目にしたとき、「何やろなぁ~、あかるい農法って、どんな町なんやろなぁ~」と疑問を抱きます。サンフラワーパーク北竜温泉のショップに立ち寄り、ひまわりライスのお米を手にした時、その意味が理解できます。この町の人々に接し、話しを聞いて、この町の明るさを理解することできるのです。
▶ ふるさと納税返礼品用のお米袋のデザイン
真ん中の2つの円が重なっている白い部分は、ひまわりが2つ重なっているデザインであり、雪の町・北竜町の雪だるまのイメージでもあります。
「北海道 低農薬」の印象が、強くインプットされます。「あかるい農法」という言葉で、北竜町の生産情報公表農産物JAS規格が位置付けられます。
「日本の農業賞大賞を受賞しました」と厳かに書いてあります。自慢はしていません。「JAS認定をいただいたんです」とおとなしく明示してあります。
ふるさと納税用米袋(表)
表のデザインは、情報が少ないほど信用ができます。高級感のあるデザインで、「この米は高そうだなぁ~」「このお米安全なんだ」「食べてみたら、めちゃめちゃ美味しい~」というイメージのギフトとなります。
裏には、JASマークと生産者情報の説明、北海道の形に色抜きをした部分は透明でお米が透けて見えるようになっています。さらに北竜町の位置が示してあります。
ふるさと納税用米袋(裏)
▶ 北竜町って「あかるい農法」をやっているところだよ!
農業を主力とする北竜町のメッセージ、自治体としての方向性である「町民のあかるい町」、そして、生産のすべてを明るく公表する北竜町の生産情報公表農産物JAS規格の農産物を作るというのイメージを、エネルギーを持ってこのマークに込めました。
「北竜町って北海道のあそこだよ!『あかるい農法』をやっているところだよ!」と道外からも、北竜町が行っている安全で明るい農業であることを認識していただくことができます。
町民への発表会の様子
▶ 鈴木輝隆 教授のお話
▶ 町の考え方を明快な言葉で伝える
少子高齢化で人口減少の現在、2050年頃には、人口が半分以下になる地点が現在の居住地域の6割以上を占めます。いままで通りにはいかない不安があり、今、日本は曲がり角にきています。
しかし、小さな町でも水田があり、そこには文化やそこに暮らす人々の誇りや、いろんなものが残っています。これからは自分達で生きていかなければなりません。北竜町という町を知ってもらい、そこで生産されたお米を買ってもらうことにより、稲作が継続し、文化が残っていきます。
町が生きていく形を示し、周りに共感していただいてこそ、生き残っていけます。そのために町の考え方を伝えていくことが大切です。皆に理解し、知ってもらえば、その町の存在感と楽しさが伝わります。
それを伝えるためには、明快な言葉が必要で、印象に残る言葉を借りないと自分達の想いはつたえることはできません。
▶ 「あかるい」イメージ=お米が美味しいに違いない
梅原さんの「あかるい」という言葉は、JAS規格などでオープンにしているということもありますが、物事に明るいということは、「物事をよく知っている」ということであり、さらに「澄み切った」「活きが良い」「活き活きしている」「生命力がある」「バイタリティに溢れている」「元気で伸び伸びしている」という意味を含みます。
そして「農法」とは、いい農業をイメージさせる言葉であり、農薬を極力使わない、有機で栽培したり、そういう技術を持って、あるレベルの農業をおこなっていくことを示します。そこに工夫があり、努力の積み重ねの中で、明るい自分たち独自の農業が行われているというメッセージが示されています。
この「あかるい」イメージによって、そこで生産されているお米が美味しいに違いないと感じる情報が、一瞬にして伝わっていきます。
▶ 子ども達が「北竜町のあかるい生き方」を実感
知識は時間が立つと古くなりますが、知性は、工夫を重ねることで、いつの時代でも古くなりません。そんな知性を感じる地域や農業は、工夫を重ねて、いつの時代も生きていけるものです。農法の言葉には、知性が含まれていると思います。
ただ物を売るだけでなく、知性のある地域の人たちが、磨かれて、育てられていくことを願っています。これまでのように、ひまわりだけを表現するのではなく、自分たちの考え方、メッセージを発信していくことによって、子どもたちが「北竜町のあかるい生き方」を実感し、元気に学んでいくことに繋がっていけると思います。
色んな所に、情報が発信されることによって、わが町を誇りに思い、自信を持って生きる応援になっていくと思います。
▶ デザインには応援してくれる力がある
デザインには、応援してくれる力があります。応援することは、町の旗印を持ったことになるのです。皆さんの中にあった意識を、梅原さんが発見し、形として表現され誕生したものが今回のデザインです。
発表会の様子
▶ 北竜町民の感想
「かっこいいデザインだと思います。文句はありません。農家の名刺にも使えたらと思います」
「素晴らしいデザインだと思います。田んぼの文字やひまわりをイメージするようなデザインがいいですね。北竜町の町が北海道の地域であることもすぐにイメージできて、素晴らしいと思います」
「シンプルでわかりやすくて、内容も濃くて素晴らしいです。『デザインはコミュニケーションをつくる』という言葉の意味を考え続けていたのですが、コミュニケーションを生み出すロゴマークであることを実感し理解できました。町も農協も農家も、町全体で統一された名刺ができるといいなぁと思いました」
ありがとうございました
昨年秋より、何度も足を運んでいただき、北竜町のイメージを素晴らしい素敵な形にしてくださった梅原氏と鈴木氏に心からお礼申し上げます。
ありがとうございました!
全てを公表し、明るい元気な心をもって、生命を生み出し、
町全体がひとつにつながっていく素晴らしい北竜町のロゴマークに、
限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
春が近い北竜町
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子