びっくりドンキー田んぼの生きもの調査2014・ナチュラルファーム黄倉(北竜町)

2014/07/24 14:48 に 寺内昇 が投稿   [ 2015/07/01 6:47 に更新しました ]
2014年7月25日(金)

7月20日(日)朝10時より、「びっくりドンキー田んぼの生きもの調査」が、北竜町「ナチュラルファーム黄倉(おうくら)」で開催されました。
びっくりドンキーの本部・株式会社アレフでは、自然と農業と環境から食の安全を考える取り組みとして、1988年(昭和63年)から北海道内で実験農場を開設し研究を続けています。

(株)アレフでは、「農薬も化学肥料も使わずにお米が栽培される田んぼでは、植物、虫、鳥など様々な生きものが共存し合いながら、生態系の循環が成される」という考えから、「ふゆみずたんぼプロジェクト」が2006年(平成18年)からスタート。

その活動を経て、2009年(平成21年)より「生きもの豊かな田んぼ」の生物多様性に配慮したお米の導入を開始。全国22店舗で年間およそ400万食が提供されています(2013年現在) 。

北海道で、「生きもの豊かな田んぼのお米」の取り組みに参画しているのは、現在5つの農家さん。当別町の竹田さん、檜山さん、坂牧さん、北竜町の黄倉正泰さん、そして昨年から仁木町の農家さんです。


ナチュラルファーム黄倉  生きもの豊な田んぼ・びっくりドンキー 
左:ナチュラルファーム黄倉  右:生きもの豊かな田んぼ・びっくりドンキー


ナチュラルファーム黄倉(おうくら):黄倉正泰さん・桂子さんご夫妻

「ナチュラルファーム黄倉」の黄倉正泰さんは、1973年(昭和48年)より、お父さま黄倉良二さんが取り組まれていたMOA自然農法の水田を継承。黄倉さんの圃場は、41年間農薬を使用しないお米栽培が続けられています。

黄倉さんの圃場での「びっくりドンキー田んぼの生きもの調査」の開催は、今年で3回目。
今回の生きもの調査の参加者は、16組の親子連れ(43名)、スタッフ報道関係を入れると合計51名となりました。

調査方法の説明

まずは、ナチュラルファーム黄倉の倉庫に集合。インストラクターの橋部佳紀さん、荒木洋美さんより、今日のスケジュール、道具の取り扱い方、採取方法、注意項目など丁寧に解りやすい説明がありました。

「田んぼは、お米が育つところなので、稲は踏まないように注意してください。暑いので、飲み物補給は十分に!虫さされにくれぐれも注意し、刺された場合は、直ぐに知られてくださいね」と注意項目についてのお話。そして4つの道具(網(大・小)・虫かご・バケツ)の使い方についてのお話がありました。


インストラクターは橋部佳紀さん(右)と荒木洋美さん(左)  (株)アレフ・ふゆみずたんぼプロジェクト 
インストラクターは橋部佳紀さん(右)と荒木洋美さん(左)(株)アレフ・ふゆみずたんぼプロジェクト
ナチュラルファーム黄倉:黄倉正泰さん桂子さんご夫妻  橋部佳紀さん 
左:ナチュラルファーム黄倉:黄倉正泰さん桂子さんご夫妻  右:橋部佳紀さん


田んぼで生きもの採取

いざ、田んぼへ。その前に、みんなで一緒に記念写真。


有機栽培の田んぼを前に記念撮影
有機栽培の田んぼを前に記念撮影


そして、いよいよ田んぼへゆっくりと足を踏み入れます。
田んぼの水は、大人のひざ下。こどもは、ぬかるんだ田んぼで一歩前進するのも大変。


「裸足で田んぼに入るのって、ちょっと勇気いるよね」
「泥のプールみたいで、面白いでしょ!」
「ぬるくて、足がきもちいい~」
「カエルがいっぱいいるよ」
「あっ!転んじゃったぁ~、洋服が泥んこになっちゃった~」
「大丈夫、着替えもってきたから、思いっきり汚してもいいよ~」
「足の指の間から、泥がぬる~と出てくるよ」
「泥パックしているみたいで、とっても気持ちいいよ~」・・・


色々な会話が、田んぼいっぱいに響き渡りました。


田んぼの中から撮影するアレフ・近藤慶司カメラマン  調査模様 
左:田んぼの中でもシャッターチャンスを逃さないアレフ・近藤慶司カメラマン

調査模様  見つけた! 
見つけた!


およそ1時間あまり、虫カゴやバケツにたくさんの虫を採集し、大満足のこどもたち。
今日初めて田んぼに入る経験をしたというお母さんやお父さんからも「気持ち良かったぁ~」という言葉が。。。

用水路の綺麗な水で、しっかりと足を洗って、板谷地区コミュニティセンターへ向かいます。


いるかな?  いるかな? 
いるかな?

田んぼでころんでパンツも濡れちゃった  用水路で足を洗います「思ったより冷たいね」 
左:パンツも濡れちゃった  右:用水路で足を洗います「思ったより冷たいね」

皆が採取してきた生きものを分類  皆が採取してきた生きものを分類 
皆が採取してきた生きものをインストラクターさんが分類


昼食「おにぎり弁当」

昼食は、「おにぎりお弁当」。
おにぎりは「ナチュラルファーム黄倉」で栽培された特別栽培米「きたくりん」のお米です。

きたくりんは、「いもち病」に強い、空育175号として開発された農薬節減米で、粘り強い「北の大地のクリーンなお米」という特徴があります。冷めても美味しくて「おにぎり」に最適なお米です。
「きゅうりとメロンのお漬物」は、黄倉さんのお母様手作り。

とっても美味しかったです。ごちそうさまでした!


ナチュラルファーム黄倉さんで収穫されたお米を使っています  キュウリとメロンの漬物 
左:黄倉さんの田んぼで収穫されたお米を使っています  右:キュウリとメロンの漬物


観察記録「田んぼでよく見られる生きもの」:橋部佳紀さんのお話

いよいよ「田んぼの生きもの」のまとめです。

▷アマガエル

田んぼにいる多くの生きものは、「ニホンアマガエル」です。 田んぼに水が入ると、ニホンアマガエルは、草の所に卵を生みます。卵は水の中でオタマジャクシになり、カエルに成長していきます。今日田んぼの中にいた小さなカエルは、今年カエルになったばかりのものです。

アマガエルは、田んぼで成長する生きもので、田んぼにとても相性の良い生きものです。田んぼにとって、カエルがいるといいことって何でしょう?

カエルはいろんな小さな虫を食べます。その中には、稲を食べてしまう害虫さんもいます。そこで、カエルは、殺虫剤を使わないでお米を作っている農家さんにとって、害虫を食べてくれる有難い味方になっています。
黄倉さんの田んぼには沢山カエルがいます。


コモリグモ  生きもの豊な田んぼ・びっくりドンキー 
左:コモリグモ  右:生きもの豊かな田んぼ


▷クモ

卵の入った白い塊をお尻につけていたり、生まれたばかりの子グモを親グモが背中に乗せていたりすることがあります。子守りをしているようにみえるので「コモリグモ」といいます。このクモは、網は張りませんが、水面を歩いて、いろんな虫を食べます。クモも害虫を食べてくれる、お米にとって味方の生きものです。

▷トンボ

「アキアカネ」というトンボを今日は1匹捕まえました。トンボの幼虫がヤゴです。
アキアカネなどのアカトンボの仲間は、秋に水たまりに卵を産み付け、春に田んぼに水がはいると卵が孵ってヤゴになります。ヤゴは、ミジンコ、ユスリカの幼虫、イトミミズなど小さな虫を食べて成長します。
そしてトンボになり飛び立っていきます。
田んぼの水の中で成長するのに適合した生きもので、田んぼの代表的な生きものとなっています。

黄倉さんの田んぼには、ミジンコがたくさんいます。小さなドジョウたちもいます。
田んぼに魚が増えると、鷺などの鳥たちが魚を食べにやってきます。

▷ 田んぼの生きもの種類は「5,668種類」

田んぼには、何種類の生きものがいると思いますか?
日本の田んぼのには「5,668種類」の生きものがいます。雑草や微生物を含めての数です。もちろん、地域や季節によっても、存在する生きものが異なります。
田んぼには、5,000種類以上の生きものたちを育てる力があります。
黄倉さんはお米も育てていますが、それと共に、いろんな生きものも育てているのです。

▷ 生きもの豊かな田んぼ

健康な田んぼから、健康なお米が育ち、健康なお米を食べた人は健康になれます。
田んぼの生きものを調べるということは、田んぼにたくさんの健康な生きものが、繋がり合って美味しいお米がつくられていることです。

私達びっくりドンキーは、生きものが喜んで暮らせるような健康な田んぼを応援することを目標に様々な活動を続けています。現在、「生きもの豊かな田んぼ」という取り組みを行っています。

「生きもの豊かな田んぼ」とは、

1.農薬や科学肥料を使わないイネを育てています
2.農家が自分の田んぼの生きものを調べます
3.生きもののことを考えて田んぼをつくっています

レストラン「びっくりドンキー」で食べられる「生きもの豊かな田んぼ」のお米

・「生きもの豊かな田んぼ」のお米は、レストラン「びっくりドンキー」の全国22店舗のお店で食べられます
・北海道では4ヶ所:伏古店(東区)、清田店(清田区)、南郷通店(白石区)、ファーム野幌店(江別市)
・他の「びっくりドンキー」のお店は、除草剤を1回だけ使用しますが、殺虫剤や殺菌剤は使用していません

▷「生きもの豊かな田んぼ」の栽培農家 

北海道5つの農家さんと山形おきたま産直センターの皆さん
・北海道で5つの農家さん
 当別町の竹田さん、檜山さん、坂牧さん、北竜町の黄倉正泰さん、仁木町の農家の方
・山形おきたま産直センター(山形県南陽市)の皆さんです


生きもの豊な田んぼ育てている人・北海道  生きもの豊かな田んぼ育てている人・北海道 
生きもの豊かな田んぼ育てている人


恵庭市えこりん村「ふゆみず田んぼ」

えこりん村で行っている「ふゆみず田んぼ」は今年で9年目。
8年間で27種類のトンボが見つかりました。
その他にもいろんな生きものがいるので、是非夏休み遊びにきてください。


今日採集した生きもののまとめ

・今回採取した植物や虫たちは、34種類(植物5種、虫29種)
・実際に採集した草や虫を観察しながら、丁寧に解説。


田んぼの生きもの調査票  採取した生きものを発表用に整理します 
採取した生きものを発表用に整理します

今日の調査で採取した生きものは・・・  今日の調査で採取した生きものは・・・ 
今日の調査で採取した生きものは・・・


▷藻・浮草類:浮草
▷水田雑草:オモダカ(白い花)、ミズアオイ(紫の花)、ヒルムシロ、ヘラオモダカ(葉がヘラのような形)
 ※ 現在田んぼでは、稲の穂が出ているものもありますが、出てないものは、茎の中に穂が準備されています(写真参照)
▷カエル・両生類:ニホンアマガエル、オタマジャクシ
▷クモ類:コモリグモ、クモSP
▷トンボ類:赤トンボ(アキアカネ)
▷ヤゴ(トンボの幼虫):赤トンボのヤゴ
▷土の中の生きもの:ユスリカ幼虫、イトミミズ、ヒル、ガガンボ幼虫
▷貝類:モノアラガイ、ドブシジミ、ヨコエビ「横向きに泳ぐエビ)
▷水生昆虫類:ヒメゲンゴロウ、ヒメアメンボ、ゴマフガムシ、コミズムシ、カゲロウの幼虫、マツモムシ、ボウフラ
▷昆虫類:キアゲハ、モンシロチョウ、コオロギ、ウリハムシモドキ
▷害虫:ドロオイムシ(幼虫)、ドロオイムシ(成虫)
▷その他:ドジョウ、ミジンコ、フクドジョウ、イネミズゾウムシ

以上です。みなさんの予想はいかがでしたか?
今後、びっくりドンキーでご飯を食べる時は、こんな生きものが元気に育っている田んぼを思い出してくださいね!


もうすぐ顔を出す稲の穂  プロジェクターを使って分かり易く 
左:もうすぐ顔を出す稲の穂  右:プロジェクターを使って分かり易く


この後、みんなで採集した生きものの中で「お気に入りの生きもの」の絵を各自で描き、発表しました。


田んぼの生きもの  お気に入りの生きものの絵  田んぼの生きものの中でお気に入りを絵に書こう! 
田んぼの生きものの中でお気に入りを絵に書こう!


雄大なる自然の偉大なる大地に息づく、
健康な田んぼには、健康な生きものが集まり、共存し
命の循環が育まれていきます。

たくさんの「田んぼの生きもの」たちの存在は、
私達に、自然の偉大さと生命の尊さや素晴らしさを教えてくれました。


ボクのワタシの作品で〜す!  ボクのワタシの作品で〜す! 
ボクのワタシの作品で〜す!


思いやりの心溢れる「ナチュラルファーム黄倉」さんの田んぼで、

深い愛情と限りない優しさをもって育まれた健康的なお米たち、

そして、すべての田んぼの生きものたちの尊い生命の循環に、

大いなる愛と感謝と祈りをこめて。。。


真っ青な空と青々と茂るナチュラルファーム黄倉・有機栽培米の稲穂 
真っ青な空と青々と茂るナチュラルファーム黄倉・有機栽培米の稲穂


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● ふゆみず田んぼ・アレフ

ナチュラルファーム黄倉(おうくら)
 〒078-2512 北海道雨竜郡北竜町字和32-1
 Tel・Fax:0164-34-3552

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◇ 撮影・編集=寺内昇  取材・文=寺内郁子