2026年3月25日(月)
北竜町農業研究セミナー開催
令和8年3月20日(祝)午後4時より、北竜町役場2階会議室において、「北竜町農業研究セミナー」が開催されました。祝日の夕刻という時間帯にもかかわらず、農業者・建設業者・行政関係者など多くの方々が集まり、会場は熱気に包まれました。
プログラムは次のとおりです。
- 開会挨拶:北竜町・佐々木康宏 町長
- 来賓挨拶:参議院・船橋利実 議員/北海道議会・植村真美 議員
- 基調講演:N CORE株式会社・中嶋将 代表取締役
- 質疑応答
- 閉会挨拶:JAきたそらち・永井稔 北竜地区代表理事
開会挨拶:北竜町・佐々木康宏 町長
佐々木康宏 町長は、集まった皆さんへの感謝の言葉とともに、このセミナーへの深い期待を語りました。
皆さん、こんにちは。4時という時間帯に、こんなにたくさんお集まりいただきまして、ありがとうございます。今日、北竜の未来の農業をつくるという研究セミナー、非常に期待をしておりました。
町長は、今年初めて策定に着手した「北竜町農業ビジョン・振興ビジョン」にも触れ、若い農業者たちを中心にいま動き始めたところだと述べました。
北竜町農業ビジョン、振興ビジョンというのを今年作り始めて、初めて町として作ったということで、青年の人たちを中心になって、今始めたところです。そういうところに今日のお話がどんどん入っていくことによって、新たな方向性ができるんだろうなと、大変に期待しております。
船橋 参議院議員が地方創生交付金に尽力されたことへの感謝も述べ、「町全体を挙げて、今のところに挑戦しています」と、北竜町一丸となった農業への取り組みを力強く語りました。
来賓挨拶
参議院・船橋利実 議員
船橋 議員は、ネクタイなし・ジーパン姿というリラックスしたスタイルで登場。その理由をユーモアたっぷりに語り、会場をなごませました。
皆様方、ネクタイもしていらっしゃる方がおられる中で、ネクタイもせず、バッチもつけず、ジーパンを履いて何者だという感じだったかと思っておられますが……
参議院側では我々過半数ないものですから、毎日、野党の皆様方に厳しい追及を受けておりまして、ネクタイをしていると首が絞められるんじゃないかという緊張感がありまして(笑)。
今日はリラックスした雰囲気で臨ませていただきたいという思いでこのような出で立ちであります。
船橋 議員は、今回の講演者との出会いのきっかけを語り、植物工場技術とType-Gというバイオ資材への驚きを率直に伝えました。
本業は何ですかとお聞きをすると、植物工場をやっているというお話でありました。その技術の中身を聞いていくと、目を見開かんばかりに驚くような、先進的かつ革新的な技術をお持ちであるということがわかりました。聞けば聞くほど、開いた口が驚きで塞がらないというぐらいの素晴らしい技術であります。
気候変動による北海道農業の不安:雪不足、水不足、猛暑にも言及しながら、
農業は、食を求める皆さん方にとって喜ばれる農業であること、そして農業をやっておられる皆さん方が豊かになっていく農業であること、これを目指していかなければいけない。
と、農業者への深い思いを語りました。
10年後、エノコア方式というのは、あるいはそのType-Gという肥料が、当たり前の技術になっているというふうに、私自身は確信をしております。ぜひこの機会を有効にご活用いただいて、これからの北竜町の農業政策に、まちづくりに生かしていただく機会につながってまいりますようにと願っております。
北海道議会・植村真美 議員
植村 議員は、この取り組みが生まれた経緯を語りました。自ら講演者をJAきたそらち・永井 北竜地区代表理事に紹介し、北竜町での開催につながったことを明かしました。
「こういった話があるよ」ということを永井さんにお話をさせていただいたところ、北竜町内でも聞きたい町民がいるのではないかということで、1月に関連施設に見学にも行き、今日の講演が実現しました。
また、ホテルの朝食に北竜町産の黒千石大豆の納豆とひまわり油が並んでいたエピソードを紹介し、地域の特産品の魅力を改めて実感していることを伝えました。
そういった身体に良いだったりとか、これはスペシャルな食べ物なんだよねっていうことに、インバウンドの方々をはじめ、とても求める方々が多いんだなと感じているところです。
さらに、農業者の高齢化・後継者問題など厳しい現実にも目を向けながら、「新しいことに挑戦したいという農業者の方々が最近すごく多い」という明るい変化にも触れ、今日の講演が「新たな方向性を見つけるきっかけになれば」と期待を伝えました。
基調講演:N CORE株式会社・中嶋将 代表取締役
「速くて、よいものを」を信条に、現在は革新的な水耕栽培技術とバイオスティミュラント資材の開発・普及に取り組んでいます。国内外4,000品種以上の水耕栽培実績を持ち、米国特許も取得済みです。
なぜ、農業を変えなければならないのか
中嶋 代表は講演の冒頭、世界規模の食料問題から話を始めました。
15〜18世紀にかけて、世界人口は毎世紀1億人ずつ増加していました。しかし18世紀から19世紀にかけて瞬間に、人口は一気に15倍に膨らみました。私たちが今行っている農業「堆肥・窒素・リン・カリを使い、播種・間引き・追肥・収穫するという近代農法」は、まさにこの1800年代後半に確立された技術です。つまり、人口1億人増に対応できる技術かもしれないが、15倍の人口増には対応しきれない。そこに異常気象が重なっています。
短い時間で作れることと、安定して作れる仕掛けがあれば、食料は担保できるんじゃないかというので、一生懸命勉強しております。
全国525か所ある閉鎖型水耕栽培施設は、現在すべて赤字。最大の原因は電気代です。先進国で2番目に高い日本の電気代のもとで植物工場を運営することの難しさを説明しながら、「早く作れば電気代は安くなる」という発想の転換が、技術開発のすべての起点となったと語りました。
光を使わない光合成:エノコア方式の仕組み
中嶋 代表が2017年に米国特許を取得した技術の核心は、「光を使わずに光合成を促進する」という、一見矛盾した発想にあります。
根を物理的に揺らすことで植物は急速に成長します。この技術によりレタス150gの栽培期間は、バージョン1の29日から、バージョン2で25日、バージョン3で20日にまで短縮されました。
東京大学の研究によれば、レタスの生理的限界は17日とされており、「あと3日」に迫っています。「これができたら、マイクを置いて山口百恵のように引退します」と中嶋 代表は笑顔で語りました。
1苗から60〜80玉のメロンを・多品種への展開
水耕栽培の応用として、ハウス内でのメロン多収穫システムも紹介されました。一般的に1苗から4〜6玉しか収穫できないメロンが、この技術では1苗から60〜80玉、糖度14.6度以上のものが収穫できます。栃木県佐野市のハウスでは20機を導入し、1個2,500円で販売した実績も紹介されました。年4作が可能なシステムです。
また、根に280Vの電圧をかけることでわさびの栽培期間を1年半から4か月に短縮する技術など、若い世代が目を輝かせるような革新的なアプローチも次々と紹介されました。
収量を3割上げるバイオスティミュラント資材「Type-G」
演後半では、土壌用のバイオスティミュラント資材「Type-G」が紹介されました。514種類の菌を含む純粋なバイオ資材で、46農家・400品種でのテストを経た実証済みの技術です。
主な効果は2つ。
- 栽培期間30%短縮:100日かかる作物が70日で同量収穫できる
- 同期間での収量3割増:100日栽培すれば3割多く収穫できる
500種類の菌が連作障害の原因(硝酸態窒素・有害物質など)を分解し、14種類の菌が植物の成長を促進します。堆肥を寝床として菌が働き、効果は約半年持続します。豚糞・牛糞・鶏糞・馬糞それぞれを単独でベースとして使用でき(混合不可)、北海道での普及に向けて豊浦町に工場建設が予定されており、その後は岩見沢にも展開が計画されています。
米での実証では、土壌混和と追肥の併用が最も安定した効果を示し、1反の田んぼ全体でムラなく3割の増収を達成しました。また、鹿児島のサツマイモ「もとぐされ病」汚染土壌を改良し、病原菌を土壌から完全に消失させた事例も報告されました。
「目指しているのは、種を植えたら翌日収穫できるType-Gを作ること。そうすると農家さんはリスクゼロになりますよね」と中嶋 代表は語り、まだバージョン1のこの技術のさらなる進化を誓いました。
質疑応答:北竜の土地で活かすために
講演後、参加者から活発な質問が寄せられました。
Type-Gの北海道での入手方法について質問があると、中嶋 代表は「現在も購入可能だが、本州からの輸送費が高い。今年、豊浦町に工場を建設するので、道内での安定供給が始まる」と回答しました。
メロンやスイカの水耕栽培については「太陽光を活用するハウスでの栽培を前提としており、ハウスで果菜類は全品目対応できる。きゅうりは1株から250本の実績もある」と説明。北海道冬期の暖房費問題についても「対策したシステムを豊浦のショールームで公開する予定」と頼もしい回答がありました。
バイオスティミュラントについて、「市場には名ばかりの商品が20社以上出回っており、純粋にバイオだけでやっている会社は2社しかない」と中嶋 代表は指摘。「まず比較対象を用意してテストしてほしい。テスト分は無償で提供する。成果が出たら買ってほしい。それだけです」というシンプルで誠実なスタンスを伝えました。
会場では、廃校予定の中学校施設を水耕栽培の拠点として活用するアイデアや、農業と建設業の連携による土づくりから新技術を導入する構想など、北竜町ならではの現実的な議論が広がりました。
閉会挨拶:JAきたそらち・永井稔 北竜地区代表理事
閉会の挨拶に立ったJAきたそらち・永井稔 北竜地区代表理事は、今回のセミナー企画の背景を語りました。
北竜町自体がもう1,500人ほどの小さな町になっていて、第一次産業が主となる町です。その中でどのように生き残っていくのか。今後、世界的に人口爆発が起こっている中で、食料を取り合う本当の食料戦争になっていくと思っております。そういう中で、どのようにこういう小さな町でも生き残っていくかというところで、今後の指針になったのかなと思います。
中嶋 代表のチャレンジ精神と勤勉さへの敬意を示しながら、
水耕栽培やType-Gを活用できるような形で、農業を進めていけたらいいのかなと思っております。
と、北竜町農業の未来への意志を力強く語り、セミナーを締めくくりました。
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