2024年8月13日(火)
8月5日(月)16:00〜、北海道空知総合振興局・鈴木賢一 局長をお招きし、「北竜町農業青年への講話」と農業青年たちとの意見交換が、北竜町商業活性化施設「COCOWA」多目的スペースにて実施されました。
講話:今後の北竜町農業へ期待すること
〜水活交付金の見直しを契機に十年後の空知農業を考える〜
司会進行:奥田正章 副町長
佐々木康宏 町長のお話
「鈴木局長、野上課長のお話を伺い、皆さんとの意見交換で、更に親交を深めていただくことを期待しています」と、佐々木町長。
意見交換出席者
北海道空知総合振興局:2名
- 空知総合振興局・鈴木賢一 局長
- 空知総合振興局 産業振興部・野上竜也 農務課長
北竜町:19名
- 北竜町・佐々木康宏 町長
- 北竜町・奥田正章 副町長
- 北竜町役場総務課・高橋克嘉 課長
- 北竜町農業振興協議会・橋本哲 委員
- 北竜町農業振興協議会・高田昌幸 委員((株)ファーム善蔵 代表)
- 北竜地区JAアグリサポート協議会・深瀬友博 代表(個人農業)
- 北竜地区JAアグリサポート協議会・藤井孝裕 副代表(個人農業)
- JAきたそらち北竜農協青年部・川村祐太 監事(個人農業)
- JAきたそらち北竜農協青年部・善岡龍哉 営農・農政部会長(農事組合法人 豊竜農場)
- 農事組合法人ほのか・坂巻裕人 理事
- 農事組合法人ほのか・吉尾太志
- 北竜商工会青年部・三原淳平 部長((株)へきすい)
- 北竜商工会青年部・山崎哲也 副部長(平建設(株))
- 北竜建設業協会建青会・藤信清彦 会長((株)北興建設)
- 北竜建設業協会建青会・佐々木進一 副会長((株)北創)
- 北竜建設業協会建青会・藤信清孝 企画委員長(塩見建設(株))
- 北竜町役場産業課・續木敬子 課長
- 北竜町役場産業課・井口純一 参事
- 北竜町農業委員会・長谷育男 事務局長
北海道空知総合振興局・鈴木賢一 局長
講話:今後の北竜町農業へ期待すること
〜水活交付金の見直しを契機に十年後の空知農業を考える〜
- 自己紹介
- 食料・農業・農村基本法の一部改正の概要
- 北海道農業の現状と課題
- 空知農業の目指すべき方向性
- 空知農業の取り組み事例
- 北竜町農業への期待
- 終わりに
① 自己紹介
- オホーツク管内佐呂間町出身(昭和42年6月生まれ57歳)
- 岩手大学農学部を卒業後、平成4年4月に北海道庁へ入庁
- 平成17年4月から3年間、空知支庁(当時)農務課生産振興係長
- 道農政部農政課長、農政部次長を歴任し、令和5年6月より空知総合振興局長に着任
- 趣味は、ランニング、クロスカントリースキーなど
② 食料・農業・農村基本法の一部改正の概要
改正概要としては、農業・農村をめぐる諸情勢の変化に対応し、食料安全保障の確立、環境と調和のとれた食料システムの確保、農業の持続的な発展のための生産性の向上、農村の振興(地域資源の有効活用、農福連携の環境整備、鳥獣害対策)に関連する基本的施策を定める。
参考事例
- 食料自給率の低下(日本の食料自給率は先進7か国(G7)で最低水準であり、国は2030年までに食料自給率を45%まで引き上げることを目標としている)
- 国内で自給可能な食材の献立を考える
- 肥料価格の推移として、現状は化学肥料は大半が輸入に頼り、価格が急騰している。今後、耕畜連携による堆肥確保、汚泥肥料の有効活用など、今ある国内資源の有効利用が重要
- 農産物の適正な価格形成として、生産資材価格の高騰や消費者物価を踏まえた販売価格のあり方を検討
- 大きく変わる北海道の気象として、年平均気温の上昇、降水量の増加、日射量の減少、無霜期間の拡大、早期雪解けなど
- ゲリラ豪雨の増加
- 暑さに強い「高温耐性米」の開発。北海道では、現行の耐冷性と食味の良さに高温耐性を加えた北海道型の高温耐性米の開発を検討。現行品種の水・肥培管理の徹底の両輪で検討する必要がある
- 世界の人口増加(アジアやアフリカを中心に増加)2050年頃には100億人弱
- 北海道と空知管内の人口推移と推計(人口減少)
- 稲作農家の減少と米不足。2025年には、国内自給率約100%を満たせない可能性、2030年には、米の確保には、飼料用を主食用にする必要があるのか!?、2040年には、不作なら政府備蓄米も底をつく!?
③ 北海道農業の現状と課題
- 小麦の生産推移:転作による水田機能の維持には、水田における生産性の向上が重要
- 北海道大豆の生産:年々増加しており、全国の4割を示す。北海道における生産力の強化は、何よりも重要であり、畑地に加え、転作田での生産性向上に向けて取り組んでいく必要がある
- ソバの生産:畑地化した農地でソバを生産し続けるためには、現行より単収をアップさせる必要がある
- 農業産出額の推移:全道4大振興局の中で、トップは十勝、次に網走、上川、空知と続く
- 変化への対応:チャールズ・ダーウィンの言葉「最も強いものが生き残るのではない。最も賢いものが生き延びるのではない。唯一生き残ることができるのは、変化に対応できる者である」
- 歴史と伝統を守りながらも、それぞれの時代に合った農業を行っていくことが大事
④ 空知農業の目指すべき方向性
- 水活交付金の見直し:今後5年間(令和4年〜8年)に一度も水張りが行われない農地は交付対象水田としない方針。 湛水管理を1か月以上行ない、連作障害による収量低下が発生していない場合は、水張りをおこなったものとみなす
- 空知農業への期待と役割:食料自給率の向上と食料安全保障の強化に最大限寄与する空知農業。
ポイントになることは、「人づくり(技術と知恵を伝承できる仕組みづくり)」、「土づくり(堆肥の確保と有効活用、土壌分析の実施)」、「需要に応じた生産(水稲は、高品質米と低コスト米の2極化、田畑輪換の取組、高品質・高収量における畑作化の取組)であり、農業農村整備事業の推進、生産・流通体制の整備(法人化による効率化を図る、農協間連携によるロットの確保)を行っていく
⑤ 空知農業の取組事例
- 空知型輪作の推進(連作回避に向けて乾田直播を導入)
- 飼料用稲(WCS)の生産と耕畜連携
- 酒米・山田錦の生産(芦別市(有)加藤農場の取組)
- にんにくの生産(JAピンネの取組)
・畑の新顔作物としての推進(にんにく、さつまいも、落花生) - 加工用トマトの生産(北海道加工用トマト拡大協議会・JAいわみざわの取組)
- 空知の花の生産
- 醸造用ぶどう(ワイナリー)の生産
- 下水汚泥の肥料としての活用(岩見沢市の取組)
⑥ 北竜町農業への期待
- 水田機能の維持・確保
・水稲(高品質米、特別栽培米(ひまわりライス)、酒米、輸出用米)
・田畑輪換(水稲・小麦・大豆・そばによる4年輪作)
・高収益作物(ひまわりすいか、ひまわりメロン、花き) - 農業経営の持続的発展
・農業法人の設立(農地の維持・管理)
・農作業の支援組織(コントラクター)の設立(労働力の補完、作業の効率化)
・スマート農業の推進
・農作物のブランド化(ロットの確保、地域間連携)
⑦ 終わりに
「『食は命の源』(生きることは食べること)において、北竜町の農業には、日本人の食料を生産し続けるためのポテンシャルを秘めています。
農業を大事にし農業に対して誇りをもっていただきたいと思います。
これからの時代、10年後に向けたキーワードは、『需要に応じた生産』と『変化への対応』を頭に入れながら、今後も従事していただきたいと思います」という鈴木局長のお言葉で締めくくられました。
鈴木局長の貴重な素晴らしい話の数々、誠にありがとうございました。
質疑応答
- スマート農業について
- インフラ整備の需要について(人口密度の低い地域について)
- 土づくりについて(堆肥・肥料の対策について)
- 土壌診断の実施について(土質に必要な成分の確認)
- 補助金支援の制度について
- 堆肥における農畜連携について
- 新規就農者受入れシステムの構築について
- 輸送の問題について
等、様々な質問や意見が出され、活発なディスカッションが行われました。
空知総合振興局・鈴木賢一 局長の貴重なお話を伺い、将来を担う北竜町の若者たちが、積極的の意見交換して、これからの変化に対応できる空知農業を考えていくかけがえのないひとときに、限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
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◇ 取材・文章:寺内郁子(撮影・編集協力:寺内昇)