2020年11月18日(水)
この度、2010年から2020年までの取材資料をベースに、北竜町のお米「ひまわりライス」についての歴史、精神、活動などについてまとめました。
この記事に基づいて、「稲魂宿る北竜町のおむすび」の動画を作成。この動画は、北海道農政事務所が主催する「令和2年度『受け継ぎたい北海道の食』動画コンテスト」に応募いたしました。
北竜町(北海道)とは
農業を基幹産業とし、ひまわりの花をシンボルとする町・北竜町。
人口約1,750人程の小さな町。広さは東西に28km、南北に14km、総面積158.70平方km、全面積の70%が山林となり、水稲栽培が、耕地の90%弱を占めます。
ひまわりライス
北竜町のブランド米「ひまわりライス」は、1988年(昭和63年)より、農協青年部の主導により減農薬栽培がスタート。平成16年には全農家が使用農薬成分を慣行栽培の50%に削減。
2006年(平成18年)には、「生産情報公表農産物JAS」の認証を取得し、生産者トレーサビリティが確保される仕組みを導入。
北竜ひまわりライス生産組合の減農薬栽培への取り組みをはじめ、農協、生産者、役場、商工会など北竜町が一丸となって販売促進に取り組む姿勢が高く評価され、第46回日本農業賞大賞受賞(2017年大賞受賞)
受け継がれていく先人の米作りの魂「国民の生命を守る農業の心」
1893年(明治26年)5月、千葉県印旛郡埜原村から渡道された吉植庄一郎氏を団長とする25戸の開拓移民団によって、この北竜の地に開拓の鍬がおろされました。
吉植庄一郎さん「農は国の大もとなり」
吉植庄一郎さんの「農は国の大もとなり」という精神は、本埜村において受け継がれ、さらには開拓地である北竜町においても、国民の命を守る農業の精神として、その後、歴代 農協組合長に受け継がれ、
北政清さん「農民による農民のための産業組合」
「農民による農民のための産業組合」を提唱した北政清さん、
後藤三男八さん「国民のための安全な食糧生産」
「国民のための安全な食糧生産」に生涯を捧げた後藤三男八さん、
黄倉良二さん「食べものはいのち(生命)」
その精神をしっかりと守りぬいていった、JAきたそらち・黄倉良二 元代表理事組合長の「食べものはいのち(生命)」の精神が提唱され続けています。
北竜町「国民の命と健康を守る安全な食糧生産宣言の町」
1990年(平成2年)10月に、農業委員会が「北竜町農業委員会憲章」を制定し、同年11月には、北竜土地改良区が「水を守り、緑を守り、土地を守る」と宣言。そして同年12月には、北竜町(森正一 町長)が「国民の命と健康を守る安全な食糧生産宣言の町」を宣言!
こうして北竜町は、農民集会・農協青年部・農業委員会・土地改良区・北竜町役場を挙げて、「国民の生命と健康を守る安全な食糧生産の町」を決意し、オール北竜が一丸となって、国民の生命を守る農業に取り組んでいきました。
句碑「天と地と水 そして農民の心」(JAきたそらち北竜支所 敷地内)

黄倉良二さん(JAきたそらち 元代表理事組合長)のお言葉「食べものはいのち」の魂
「この村には、吉植庄一郎さんの魂を受け継いだ、北政清、後藤三男八という優れた指導者がおらました。とりわけ私が、北政清さん、後藤三男八さんから教えられたことは『農業とは、人間の安全な食糧を生産することだ。そのことを忘れるな』ということです。それを何百回も、何千回もお話いただきました。
私どもの農業というものは、水を大切にする、豊かな力のある水をきちっと守っていき、受け継いだ農地を汚染させない、劣化をさせないことです。
そして、農民の魂、天と地と水に感謝をしながら、あなたの生命を守るという熱い百姓の魂、これらが結合してはじめて、人の生命を守れる食糧を生産できると考えています。
北竜町は、脈々と128年間、この農業を受け継いで参りました。これからも若い人たちが、生命を守る農業をしっかりと受け継いでくれると思います」と、熱く語ってくださった黄倉良二さんです。
国民の生命を守る水稲栽培
水稲種籾温湯殺菌装置(JAきたそらち北竜支所の最新施設)
JAきたそらち北竜支所では、2012年から農薬を使わない、水稲種籾温湯殺菌装置を使うサービスを開始。湯温と殺菌時間を正確に管理することができるため、発芽率を保つことができる温湯殺菌装置です。
田植え
緑に染まる田んぼ
黄金色に輝く田園
たわわに実る稲穂たち
稲刈り
色彩選別機(JAきたそらち北竜支所・玄米ばら調整集出荷施設)
北竜町のひまわりライスは、減農薬で栽培され、コンピュータ化された近代的な施設によって厳格に品質とロットが管理されている安心・安全なお米です。
色彩選別機で、玄米に光を当て、着色粒、未熟粒、被害粒、死米、砕粒、石、ガラス、プラスチック、金属片などの異物を選別・除去していきます。最後に、強力な磁石のテツキャッチャーで、設備などから出るかもしれない金属片を取り除いて万全を期します。
選別されたお米は、調製タンクに入れられた後、自動給袋機で包装されます。
生産情報公表農産物JAS認証によるトレーサビリティーの確保
水稲栽培の集団組織として全国で初の認証取得
北竜ひまわりライス生産組合(現在約145戸)が、2006年(平成18年)に取得した「生産情報公表農産物JAS」の認証により、生産情報のトレーサビリティ(生産履歴確認可能システム)が確保されました。誰が、どこの田んぼで、何の農薬を使って栽培したが誰にでもわかる仕組みです。
水稲栽培の集団組織としては、全国で初めての「生産情報公表農産物JAS」の認証取得です。
農薬節減米、特別栽培米をすすめる
2016年(平成28年)には、農薬節減米、特別栽培米、有機栽培米の作付け面積は全体の90%を超える。
さらに、除草剤を使用しない栽培の草取りの作業として、新たな除草機の導入など工夫・開発・研究を重ねています。2016年(平成28年)産から、新たに農薬を 80%削減した「きたくりん」の栽培・販売を開始 。
現在、ふるさと納税の寄附金額は5億円を超え、返礼品の98%が、「ひまわりライス」となっています。
生産者が自ら消費者に届ける「ひまわりライス」販売促進活動
佐野豊 町長をセールリーダーとして、生産者自らが消費者にPRする米販売促進活動が活発に実施されています。
台湾台中市・食品スーパーマーケット裕毛屋(ゆうもうや)
台湾台中市の食品スーパーマーケット裕毛屋(ゆうもうや)にて、「北竜町物産展」が2017年開催。
札幌市・北海道どさんこプラザ札幌店
大阪市・スーパーマーケット・サンプラザ羽曳が丘
大阪でのアグリファイターノースドラゴンたちのお米販売促進活動(スーパーマーケット・サンプラザ羽曳が丘(はびきがおか)店)
新米を楽しむ会「碧水支え合いの会のお母さん達のおむすび」
碧水地域支え合いセンター(北竜町)にて、今年の新米に感謝をこめて、碧水支え合いの会の会員であるお母さん方による「新米おむすび」を味わう会が実施されました。
佐野豊町長、碧水支え合いの会の山本保雄 会長・浅野進 事務局長をお招きして、皆さんとご一緒に、新米おむすびの至福の味を堪能しました。
尚、ご協力いただいたお母さん方は、碧水支え合いの会が毎月開催している「独り暮らし高齢者の方々を招いた昼食会」のお弁当作りをボランティアとして実施されてます。心より感謝申し上げます。
新北海道スタイルで、マスク、消毒をしっかりと管理
愛情こめて握るお母さんのおむすび
炊飯ジャーから、寿司桶に移して、粗熱をとる
炊きたてのご飯に塩をまぶす
ふんわり、しっかりと愛情こめて!!!
お茶碗にラップを敷いてご飯を入れ、大きさを統一する
塩おむすびで!!
新米おむすびは、しっかりとお米の美味しさを味わうために、具は入れずに「塩むすび」で!!!
食べやすいように、海苔を添えて。。。
至福の味わい!!!
炊きたての新米ごはんは、粒がツヤツヤピカピカ!
ふんわり、しっかりと握られたお母さんのおむすびは、至福の味わい!!!
二五八漬け & 味噌作り
二五八漬け「うまいぞ 玄ちゃん」は、北竜町のお母さんたちのグループ「ふみの会」が作る、玄米・米麹・塩を使った漬物の素です。
また、味噌「母さんたちの手作りみそ」は、北竜町の大豆加工研究会にグループのお母さんたちが作る手作り味噌です。
野菜の漬物は、二五八漬け「うまいぞ 玄ちゃん」で漬け込んだもの。味噌汁は、母さんの手作り味噌です。
梅干し、野菜の二五八漬け、味噌汁とともに!
うまい!! 最高!!!
お母さんたちが愛情こめて握る、北竜町の新米おむすび!
感謝をこめて、いただきます!
お母さんのおむすび、美味しい!
佐野町長も太鼓判の味わい!
「うまい!! 最高!!!」
稲魂育む北竜町の四季
生命芽生える「春」
ひまわり輝く「夏」
黄金色に染まる「秋」
白銀の世界広がる「冬」
稲魂宿る北竜町のひまわりライス
開拓における「パイオニア精神」、安心安全な食を守り抜く「食べものはいのち」の精神、「和の一致団結力」で魂を注ぎ続ける、北竜町のお米づくり。
北竜町のお母さんたちの愛情たっぷりに握るおむすびには、この3つの精神が込められ、未来の北竜町を担う子供たちに受け継がれています。
稲魂宿る北竜町のひまわりライスに、心からの感謝をこめて。。。
動画『稲魂宿る北竜町のひまわりライス』
関連記事・サイト
・「受け継ぎたい北海道の食」動画コンテスト・表彰式 & 交流会(北海道農政事務所主催・札幌市)(2019年3月18日)
・黒千石大豆の動画が優良賞受賞:北海道農政事務所主催「受け継ぎたい北海道の食」動画コンテスト表彰式及び交流会の開催(2019年3月5日)
・【北海道農政事務所】令和2年度「受け継ぎたい北海道の食」動画コンテストの開催について(2020年8月28日)
◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子