【ひまわりすいか栽培・接木】杉本克裕ファーム【北竜ひまわりすいか生産組合】

2025年3月10日(月)

今年は、北竜ひまわりすいか生産組合のすいか栽培の出荷までの年間作業を取材することを予定しています。

その第1段として2月末から、順次育苗の播種作業がスタート。3月に入り、杉本克裕ファームでは接木作業が始まったので、お忙しい中、お話を伺いました。

スイカ苗接木作業
スイカ苗接木作業

杉本克裕さん

杉本克裕さん(67歳)は、北竜町生まれ北竜町育ち。代々農業を受け継ぎ、ひまわりすいか栽培は40年を超えるベテラン生産者さん。

大じいちゃんの時代から受け継がれた農業を実直に守り続け、独自の方法を探求し見出しながら、日々学びの農業を実践している杉本さんです。

すいか栽培40年のベテラン・杉本克裕さん
すいか栽培40年のベテラン・杉本克裕さん

ひまわりすいか・接木

1,000株を超える苗数

「スイカ播種からの育苗は、台木・穂木共にJAきたそらち雨竜支所育苗施設にて行っていただいています。2月21日に播種した苗を3月6日に受け取りました。

苗数は、合計1,240株ほど(枯れ苗など含め多少多めに育てる)。播種から40日後の5月5日頃定植となる予定です。日程は天候や苗の成長具合に左右されるので、その都度調整していきます」と杉本さん。

温度調整される育苗苗
温度調整される育苗苗

接木の目的

接木の目的は、連作障害を防ぎ、土壌病害虫に抵抗力のある苗を育てて生育促進を図るためです。

呼び接ぎによる接木

台木のユウガオの新芽を取り芽かきをして、「呼び接ぎ」の方法で接木を実施。

台木の新芽を取り除く芽かき作業
台木の新芽を取り除く芽かき作業
すいか穂木の苗
すいか穂木の苗

台木は、茎を上から下へ斜めに切り下げ、穂木の茎は、下から上へ斜めに切り上げて、切り口を噛み合わせる。クリップで止めてポットに植え付け。

「クリップで止めた後、10日後には、すいかの根を切る。ユウガオが栄養を吸って、すいかが大きくなっていきます。

昔、自分達で芽立ちしていた頃は、茎の切り方が反対だったり、クリップの留め方が緩くて付かなかったり、上手く処理できないことも多かったです。いろんな方法を試して、より良く育つ方法を選択していきます」と説明する杉本さん。

カミソリ刃を使う細かい作業
カミソリ刃を使う細かい作業

ひまわりすいかの苗(穂木)に「下から」切り込みを入れる

ひまわりすいかの苗(穂木)に「下から」切り込みを入れる
ひまわりすいかの苗(穂木)に「下から」切り込みを入れる

ユウガオ(台木)に「上から」切り込みを入れる

ユウガオ(台木)に「上から」切り込みを入れる
ユウガオ(台木)に「上から」切り込みを入れる

結合します

結合します
結合します

結合した状態

結合した状態
結合した状態

接木クリップで圧着

接木クリップで圧着
接木クリップで圧着

試行錯誤のチャレンジ魂

栽培は全てその年の天候に対応した作業を進めます。活着するまでは、ビニールのトンネルをかけ遮光し、活着したら時々日光に当てて慣らしていきます。

「定植前の育苗は、ギリギリまで低温で保ち、畑に行った時にどんな自然界の環境に耐えうるように逞しく育てます。環境に対応できない弱い苗になってしまわぬよう、愛情込めて苗を鍛え上げ育てます。

我が子のように苗を丈夫に育てることを考えて、天候と向き合いながらの温度・湿度調整の試行錯誤の毎日です。温度を高めにして、ビニールテントの開閉で湿度を逃したりして湿度調整していきます。

定植前は水分を限界まで減らす

定植の3日前は、苗への水を控えて苗の喉をカラカラにして限界まで我慢させます。畑で定植したときに充分な水分を与えると、苗は喜んで生き生きと活気付き元気になります。

毎年、良好な栽培方法、不良な栽培における問題点など常に近隣の畑と比較検討しながら、問題点を探り試行錯誤を重ねています。スイカの成長を見守り、しっかりと向き合いながら丁寧に真心込めて育てていきます。

定植後も水分調整が大切

例えば、定植後のハウス内が、好天で太陽の熱で高温になった時、萎れてしまう苗と元気な苗の違いは、土壌の水分量に起因します。

土壌に水分を与えすぎると根が浅く横に伸びてしまう。一方、水分量を少なくして多少乾いた環境を与えられた根っこは、水分を求めて、地中深く根っこを下に伸ばします。

根が浅く横のびした苗は、地表が高温になると暑さですぐにしなってしまうが、深く下に伸びた根っこは、地下の深い部分は温度が上がっていないので、元気にすくすく成長していきます。

毎年天候が異なり、また同じ敷地内でも棟によって微妙に土地の状態が異なるため、本当に場所によって、気候によって栽培を対応させることが必要です」と、年中学びの繰り返し、毎日が真剣勝負のすいか栽培について熱く語ってくださった杉本さんです。

真剣に丁寧に愛情込めて。。。
真剣に丁寧に愛情込めて。。。

北竜ひまわりすいか生産者組合の歴代ポスター

帰り際、ガレージの中を拝見。北竜ひまわりすいか生産者組合の歴代ポスターが壁にズラリ。。。

昨年発足40周年を迎えた、北竜ひまわりすいか生産組合の活動を支えてきた生産者の皆さんの顔が並ぶポスターに感動!

歴代ポスター「笑顔輝く夏の味」
歴代ポスター「笑顔輝く夏の味」
若き頃の杉本さん
若き頃の杉本さん

さらに、壁板には、毎年出荷された箱数が何年にも渡り刻まれていて、汗と涙と努力の積み重ねの歴史を実感し感無量!

壁板に記載された年毎の箱数
壁板に記載された年毎の箱数

苗に対して、常に甘やかさず、逞しく元気に育つ苗の環境状況を考慮しながら、苗の成長にじっくり向き合いながら、日々真剣に愛情込めて栽培に取り組んでいる杉本さんです。

笑顔が可愛い奥様・育子さんと一緒に!

笑顔が可愛い奥様・育子さんと一緒に!
笑顔が可愛い奥様・育子さんと一緒に!

今後のスイカの苗の健やかなる成長を心よりお祈りいたします。

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◇ 取材・文章:寺内郁子(撮影・編集協力:寺内昇)

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