2022年2月21日(月)
株式会社竜西農場(安達明広 代表取締役)では、竜西農場で栽培されたお米、大豆を使った味噌「手づくりあったか味噌」づくりが行われています。この度4日間に亘り、味噌作りを取材させていただきました。
「手づくりあったか味噌」は、1975年(昭和50年)頃から、農事組合法人竜西農場で製造されていた味噌。株式会社竜西農場に移行後も製法が引き継がれ、改良を重ねて現在に至っています。
- 1 (株)竜西農場 和事務所 & 味噌工場
- 2 作業メンバー
- 3 原料(化学調味料無添加):大豆(北竜町産、遺伝子組換えでない)、米(北竜町産)、食塩
- 4 手づくりあったか味噌の味わい
- 5 味噌作りの手順
- 5.1 1.一晩水に浸して水切りしたお米を蒸す
- 5.2 2.蒸し上がった米を10分程おいて、40℃(42~43℃)くらいまで冷まし、麹菌をふる(種切)
- 5.3 3.種麹を混ぜたお米を板箱に入れて布巾をかけ保温器に入れ温め発酵
- 5.4 4.温度調整を丁寧に行いながら発酵させる(48時間保温)
- 5.5 5.米麹切り返し(床もみ)
- 5.6 6.出麹(でこうじ)
- 5.7 7.塩切り
- 5.8 8.大豆を一晩水に浸し水気を切って、煮る or 蒸す(釜茹と蒸し器を交互に使用)
- 5.9 9.煮た大豆を機械で潰す
- 5.10 10.潰した大豆を丸めて、中央を凹ませ(赤血球型・ドーナツ型など)、40℃くらいまで冷やす
- 5.11 11.味噌仕込み
- 5.12 12.樽に仕込んだ味噌は1年半〜2年程寝かせる
- 6 メンバーの感想
- 7 「手づくりあったか味噌」は北竜町内で販売
- 8 その他の写真
- 9 関連記事
- 10 (株)竜西農場
(株)竜西農場 和事務所 & 味噌工場
現在、味噌づくりが行われている工場は、7年前に新たに建築されたものです。
作業メンバー
作業メンバーは、安達直子さん、永井美保子さん、赤松未紀さん、高橋みゆきさん。農家のお母さん達を中心に構成されています。
原料(化学調味料無添加):大豆(北竜町産、遺伝子組換えでない)、米(北竜町産)、食塩
原料は、竜西農場産米(ななつぼし & ゆきさやかブレンド米)と竜西農場産大豆(遺伝子組換えでない)、麹菌(種麹)は、秋田今野商店(秋田県大仙市)より取寄せ、塩は並塩を使用。
蒸したお米に麹菌を混ぜて米麹をつくり、煮た大豆と塩と米麹を混ぜて味噌を造り、約1年半〜2年じっくりと寝かした味噌です。
北竜町産米「ゆきさやか」
北竜町産大豆
ダイヤソルト並塩
手づくりあったか味噌の味わい
北海道における味噌は、「麹:大豆=1:1」の割合が多いのですが、「手づくりあったか味噌」は、「麹:大豆=0.7:1)の割合。麹の割合が抑え気味なので、甘味が少なく、塩味が強目の味噌です。どちらかというと、本州の一般的な味噌に近い味わいとのことです。
味噌作りの手順
味噌づくりは1年で3回程行われ、1回で400kg程の「手づくりあったか味噌」が仕込まれます。今回は、今季最後の仕込みとなりました。
1.一晩水に浸して水切りしたお米を蒸す
- 蒸し器で、湯気が上がったら30分程蒸す(お米99kg:4.5kg × 22袋)
2.蒸し上がった米を10分程おいて、40℃(42~43℃)くらいまで冷まし、麹菌をふる(種切)
- 麹菌と片栗粉を1対7.5位の割合で混ぜて振る。片栗粉を混ぜるのは、発酵率を高めるための手法(22kgに対して2gの麹菌を振る)
3.種麹を混ぜたお米を板箱に入れて布巾をかけ保温器に入れ温め発酵
- 保温器には、米麹90kg保温され、保温器内にお湯を張って湿度を保ちます。熟成には、温度と湿度が重要。保温器は育苗器を使っています
4.温度調整を丁寧に行いながら発酵させる(48時間保温)
- 35℃で保温(30℃〜40℃が繁殖適応温度)
- 麹菌は、15℃以下では活動しなくなり、発熱して50℃を超えると自滅状態となる
- 麹菌は、呼吸しながら繁殖し、呼吸の際に、熱と炭酸ガスを発生
- 適度に空気を入れ替えないと酸素不足で繁殖できなくなるので、こまめな温度調整が必要
5.米麹切り返し(床もみ)
- 翌日、麹菌の発酵が進むように米を混ぜる
6.出麹(でこうじ)
- 熟成完了後、大きな板箱に移してほぐし放熱(出麹)
- お米のまわりにふわふわとした白い花が咲いたようになる状態が糀の良い発酵状態
- 糀には、たくさんの酵素が含まれています
「糀」と「麹」の違い:「糀」日本で作られた国字。米にコウジカビが「花が咲くように生える様子」から生まれた漢字。「麹」中国から来た漢字。穀物を蒸して麹菌(コウジカビ)を繁殖させたもの。(『マルコメ』より引用)
7.塩切り
- 塩(6kg)と麹(8.5kg)を混ぜる。塩を混ぜることで発酵が止まり温度が上がらない状態になるので、1日そのままの状態で保存でき、翌日でも作業が可能となる
8.大豆を一晩水に浸し水気を切って、煮る or 蒸す(釜茹と蒸し器を交互に使用)
- 今回の大豆全量:4kg × 30袋
袋ごと流水でもみ洗いし、一晩水に浸す - 1釜で大豆24kg(4kg × 6袋)、30分ほど煮る
9.煮た大豆を機械で潰す
10.潰した大豆を丸めて、中央を凹ませ(赤血球型・ドーナツ型など)、40℃くらいまで冷やす
- 中央を凹ませて、大豆が冷めやすくする
11.味噌仕込み
- 米麹・煮大豆・塩を混ぜ合わせる作業
- 混ぜ機で、すべての材料(米麹・煮大豆・塩)を混ぜる
12.樽に仕込んだ味噌は1年半〜2年程寝かせる
メンバーの感想
安達直子さんは、これまで味噌づくりを受け継いぎ改良を重ねること21年。メンバーとして作業に参加した、永井美穂子さん、高橋みゆきさん、赤松未紀さんは10年に亘り続けています。
- 「ここで味噌づくりをするようになってから、自宅で自家製味噌を作るようになりました。周りの人に配ったら、すごく喜ばれます。この味噌づくりは、とてもいい経験になっています」と永井さん
- 「実家の母によくプレゼントするのですが、『昔の味噌の味がして、懐かしい味だね』と喜んでくれます」と高橋さん
- 「お味噌づくりを見学に来て、この味噌を味わった時、自分好みの好きな味の味噌だったので、作り続けたいと実感したのが始まりです。
先代の味噌づくりを長年受け継いでいますが、特に、手順・道具の配置など作業工程の効率の良さに、いつも感心しています。
そして、食品加工研究センターなど様々な研修会に参加して学んでいます。学んだことを活かして、作業方法を変えたりして、試行錯誤しながら改善しています。
何より、美味しく食べてくださいる方々がいらっしゃるので、本当に嬉しく思います」とお話くださった安達さんです
「手づくりあったか味噌」は北竜町内で販売
「手づくりあったか味噌」は、サンフラワーパーク北竜温泉ショップ、北竜町商業活性化施設「ココワ(COCOWA)」にて販売されています。
サンフラワーパーク北竜温泉
- 北海道雨竜郡北竜町字板谷163番地2 Tel:0164-34-3321 (地図はこちら >>)
北竜町商業活性化施設・ココワ(COCOWA)
- 北海道雨竜郡北竜町字和6番地6 Tel:0164-34-4111 (地図はこちら >>)
北竜町の竜西農場で栽培されたお米・大豆、そして自家 製法の米麹で作る北竜町伝来の貴重な味噌「手づくりあったか味噌」。
北竜町の大自然の中に息づく、太陽エネルギーをいっぱい浴びた、竜西農場の「手づくりあったか味噌」に、限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
その他の写真
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子