2019年7月9日(火)
6月26日(水)14:00から、空知真宗教団連合主催による第36回「親鸞に学ぶ公開講座」が、北竜町公民館大ホールにて開催されました。雨竜町・北竜町・沼田町の真宗6か寺である願海寺(沼田町)・清雲寺(北竜町)・専福寺(雨竜町)・大宣寺(雨竜町)・法光寺(北竜町)・竜泉寺(北竜町)が主管となるものです。
会場:北竜町公民館大ホール(2F)
▶ パンフレット:第36回「親鸞に学ぶ公開講座」講師:英月 氏
「あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ」真宗佛光寺派・大行寺住職の英月 氏
英月氏は、1971年、京都生まれの47歳。身長173cm、独身。京都市下京区に位置する真宗佛光寺派・大行寺の第9世住職。
都市銀行の社員を経て、2001年に渡米。2010年まで、サンフランシスコで生活し、ラジオパーソナリティやテレビCM出演。大行寺後継のために帰国。講話や法話で全国を飛び回ってご活躍中。
▶ 司会:公開講座実行委員会・道下甫 氏
司会:公開講座実行委員会・道下甫 氏
▶ 合掌
合掌
▶ 真宗宗歌
会場の参加者全員により、真言宗歌が歌われました。
1.ふかきみ法に あいまつる
身の幸なにに たとうべき
ひたすら道を ききひらき
まことのみ旨 いただかん
2.とわの闇より すくわれし
身の幸なにに くらぶべき
六字のみ名を となえつつ
世の生業に いそましん
▶ ご挨拶:公開講座実行委員会・垣原典章 委員(清雲寺 住職)
公開講座実行委員会・垣原典章 委員(清雲寺 住職)
「今日は沢山の方々がお集まりいただき、ありがとうございます。主管寺院から実行委員を出して協力していただきました。2か月間にわたり、何度も集まって準備をしていただきました。本当にお手伝いありがとうございました。
浄土真宗を開かれた親鸞聖人は、生まれてから約850年、亡くなってから約760年が経過。その中で、様々な事情があり、いろいろな宗派に分かれました。10派が集まり、真宗協和会というグループが結成され、様々な活動を実施してきました。
昭和40年に入り、真宗教団連合の名のもとに共同宣言を発表したり、カレンダーを制作したりして様々な活動を行い、真宗教団連合北海道支部が結成されました。空知の活動としても、門徒通信や公開講座など開催しています。
今回は、京都の大行寺住職・英月先生をお招きしての講話です。英月先生は、お寺に生まれて、しばらく会社務めを経験した後、渡米し、様々な活動をされました。
先生の著書の中に『親鸞さんは、歌謡史に残る作詞家であり、ヒットメーカーである』と書かれています。仕事の時でも、応援の時でも、昔を思う時でも、仲間が集まって意識を高める時でも、歌われる歌があります。
親鸞さんの話は難しいといって避けるのではなく、歌を歌うように、親しんで、難しかったら調べて学んでいくことが、我々に課せられた毎日の歩みであると思います。英月先生のお話を聞いて、読経だけでなく、日常のことを噛み合わせながら、聞いていただきたいと思います。宜しくお願いいたします」と、柿原住職のご挨拶です。
ご挨拶:清雲寺・垣原典章 住職
▶ 英月氏ご紹介:公開講座実行委員会・上月哲雄 副委員長
「英月さんは、真宗佛光寺派・大行寺のご住職です。10年近い海外生活の経験を生かして、テレビでは、芸能人の皆さんの悩みに応える等活躍をされています。
京都大行寺の長女としてお生まれになり、僧侶とお見合いすること35回。そのストレスから一時的に聴力を失い、家出をするように単身アメリカへ渡りました。在米中は、ラジオパーソナリティやテレビCMに出演。
また、「写経の会」を主宰されご活躍されましたが、大行寺後継のために帰国されました。そのユニークな経歴がメディアの注目を集め、『写経の会』『法話会』は、全国各地からの参加があり大人気となっています。
本日は、ご自身の経験や人生の生き方について『あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ』と題しまして、お話をいただきます。それでは、英月さん宜しくお願いいたします」と、上月 副委員長からのご紹介でした。
▶ 「あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ」真宗佛光寺派・大行寺住職の英月 氏
英月氏講話
「京都の真宗佛光寺派・大行寺住職・英月でございます。北海道は何度かご縁をいただき、この地へ参りますのは初めてでございます。深川駅までお迎えに来ていただき、途中、車の中ではお話をするのを忘れるほど、窓からの景色が広いなぁ、なんと豊かな大地なんだろうと思いました。
こうしてここで、皆さんにお会いできるのは、2か月も前から準備をしてくださった方々やお集まりくださる方がいらっしゃるお陰だと嬉しく思います。第36回目の公開講座ということで、守って来てくださった方々がおられるからこそ、36回も続けられているのです。始めるのは簡単だけれども、続けるのは大変。必要だからこそ続けられるのです。
法話という教えは、難しいことでも、勉強でもないんです。私の人生・生命に関わることなのです。
▶ 親鸞聖人の教え
親鸞聖人の教え・英月氏講話
『竊に以みれば 難思の弘誓は 難度海を度する大船
無碍の光明は 無明の闇を破する恵日なり』
親鸞聖人が書かれた全6巻からなる浄土真宗の根本聖典『顕浄土真実教行証文類(けんじょうどしんじつきょうぎょうしょうもんるい)』。
『竊に』の漢字は、上の部分が窖(あなぐら)で、左半分が穀物、右半分が虫。つまり、『窖に穀物を置いておくと、虫さんがきて、取られてしまう』ということから窃盗の窃に時になっています。
尊い仏の教えを言葉にして表すのは、かすめ取るようなものであり、恐れ多いという謙った思いがこめられています。そればかりではなく、教えの大きさ広さをこの文字が表しているのではないかと思います。
『生きとしいけるのもすべてを救いたい』という広い誓です。渡るのが難しい誓を渡してくださる大きな舟。その光を誰にでも届けられる光です。明るさのまったくない闇を破ってくださる日の光のようなものです。これが、親鸞聖人が受け止められた教えです。
▶ 教えに出会って人生の質が変化する
目に見える具体的な生活は変化しないけれど、人生の質が変わりました。周りに抱え込んだ問題(苦しいこと、腹立つこと、悲しいこと等)が解決して救われた。問題が解決したというより、問題を抱えたまま、救われていくということが起こったのです。
法話と世間一般の話との違い・英月氏講話
▶ 法話と世間一般の話との違い
世間一般の話は、『+(プラス)』の話。自分にとってプラスになるいいお話。目先の得なものに飛びつくと、結果的に損をしてしまうことがある実例。自分が本当にしたいこと、望んでいることに集中して物事を選択すること。
法話とは、『ー(マイナス)の』話。辛いこと苦しいことを手放すことによって、開放されるということに気づかせていただく。
宗教的な教えは、救いでないと成り立ちません。救われたという事実に繋がらないと教えにはならないのです。
法話とは、ー(マイナス)の話・英月氏講話
▶私を別の私に変える
救いとは、『私を別の私に変える』こと。環境を変えることによって、自分の中の問題を解決していく。
お見合いを35回以上し、そのストレスから一時的に聴力を失う。自分を変えるために渡米。次から次に発生する様々な問題(言葉、お金、仕事)をクリアしながら、お金をため米国の大学を出て、企業に勤める。
アメリカでの生活は、自分自身の存在感をつかめず、溺れそうになりながら、必死にいろんなものを握りしめていました。昔の仏教者の言葉に『本当のことがわからないと、本当でないものを本当にする』がありかす。本当のものがわからないので、がむしゃらにニセのものを掴んでいってしまいました。
日本に帰国し、教えを学び、様々なものを手放しましたが、今でも、自分でも気づかないうちに、いろんなものを握っています。
▶ 本当・真実がまさに親鸞聖人の教え
真実とは、親鸞聖人の教え。浄土真宗の『宗』は、中心であり真実の拠り所。浄土を真の拠り所として、生命を歩ませていただきますという教えです。
本当・真実がまさに親鸞聖人の教え・英月氏講話
▶ 休憩
教えとは・英月氏講話
▶ 米国での写経の会
教えに出会うきっかけは、『猫のお葬式』。お葬式は、亡くなったものが浄土にいってほしいという願いだけではなく、残された人々のために必要な儀式。友人に依頼されて実施した猫のお葬式。その後、毎月の法要を1周忌まで行いました。
その時の友人の言葉が『ありがとう!救われました。このおつとめは、自分にとってとても必要なことで、救われました! 私の他にもおつとめの存在を知らない人が沢山いるので、写経の会をしたらどうですか?』。この言葉をきっかけに、アメリカで『写経の会』をスタート。アメリカに渡米して6年目の年でした。
道具や場所を用意するが大変でしたが、もっと肝心なことは、仏教を理解しお話しすること。当時何も知らなかった私に偶然に与えられのが、米国仏教団の僧侶とに出逢いでした。
ラジオパーソナリティをしていたときに遭遇したラジオ局の移転の関係です。ラジオ局の移転先が、当時、西本願寺の米国の拠点であった米国仏教団のサンフランシスコ本部ビルだったのです。そこで、インタビューをきっかけに、ありがたくも僧侶に阿弥陀様のお話を聞かせていただくことができ、様々な知識を得ることができました。
写経は、当初4人でスタートし、月1回開催。日本帰国まで3年間継続して、最終的に毎月の参加者は80人となりました。その3年間の中で、写経をする人々の心が変化し、なにより私自分自身が変化して、僧侶としての自覚がもてるようになったのです。
僧侶としての自覚がもてるようになった・英月氏講話
▶ 私が私として頂いた生命を生き抜いていく
大行寺後継のため日本に帰国し、今年の8月で丸9年が経過。目に見えない教えが、目に見える教えとして形となったものがお寺です。米国では、お寺の建設は実現しませんでしたが『写経の会』は今でも継続されています。
教えに出会ったときに開かれていく救いというのは、私を私に変えること。一般的な言葉で表現すると『あなたはダイヤの原石。磨けば磨くほど光る。努力して磨いていってこそ、本来のダイヤの輝きになっていく』と言われます。
教えの中の言葉は『私達はダイヤの原石ではなく、炭である。炭は磨いても磨いても真っ黒。炭は炭として生命を全うしている。そして『火』は教えである。
私達はこの教えに出会わせていただくことによって、様々な問題をかかえたまま、自分自身の生命を全うさせていただける。私が私として頂いた生命を生き抜いていく。これが救いなのです。自分にとって都合の良い私欲的なものを手放し、取り除いてくれるものが教えです。
▶ 阿弥陀如来
量るばかりの私達を、量り知れない、量ることを超えた世界があると導いてくれるのが阿弥陀如来。量り知れないということは、息詰まることがないということを表している。私の都合、私の思いは息詰まる。それを超えた働きがあります。
▶ 英月氏の標語:行き詰まるのは 私の思い 道は必ずある
・この道もあの道も行き詰まった もう道がないと思うけど 行き詰まるのは 私の思い 道は必ずある
▶ 親鸞聖人の教え
『ひそかにおもんみれば、難思の弘誓は難度海を度する大船、無碍の光明は無明の闇を破する恵日なり』
次から次に沸き起こる難門に、渡してくださる大きな舟、大きな舟に乗せていただき超えていく。問題を無くすとはおっしゃっていない。舟に乗るのは方向性が定まるということ。自分の都合ばかり見ていた私が、都合を超えた御浄土という方向性を見出す。
すると、真っ暗闇が、教えという光によって破られる。都合で見ていた自分の思いが破られるという意味。
真の拠り所である真実、真実に出逢わせていただき、真実たりえない自分を知る。真実たり得ない自分は、ダイヤの原石ではなく『炭』である。『炭』である自分というものに出逢わせていただく。この御子のままで、今救われるという教えなのです。
これまでの様々な苦しみは、そのどれひとつかけても今の私になりえない。教えに出会うことは、今が変わる。今が変われば、過去の質が変わる。辛かった過去がキラキラした過去に変わる。親鸞聖人の教えは、今が変わり、過去が変わり、そして、未来が変わることです。生命まるごと包んでくださる教えです。
お念仏を念じて、量りしれない世界である阿弥陀を唱えるさせていただく処に、私を包み込む大きな世界が、そして大きな教えがあることに気づかせていただけるのです。仏を念じ、今を生きる、世間を生きる、生きている力をいただけるのです。
お念仏を灯火として、一歩を共に踏み出していきましょう。本日はありがとうございました」、英月氏の講話でした。
▶ 閉会式・ご挨拶:公開講座実行委員会・田中盛亮 委員長
公開講座実行委員会・田中盛亮 委員長
「本日は、空知真宗教団連合主催の第36回『親鸞に学ぶ公開講座』開催にあたり、雨竜町、北竜町、沼田町に真宗6か寺による会が実行されました。ご理解とご協力をいただいたお寺の皆様に心から敬意を表する次第です。
今回は『あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ』の構題で、京都市大行寺御住職であられます英月先生にお話をいただきました。数々の人生体験、9年半にも及ぶ在米での体験など、感動あふれるお話、私達が生きていく上での示唆を与えてくださるようなご講演をいただきました。
私は英月先生の倍ちかい人生を歩んでいるにもかかわらず、そのようなことにも気づかずに生きてきました。
我々は、いつもプラスばかり求め、マイナスは面白くないと思い込んでいました。人生は、プラスもマイナスも共有することであり、そのことに気づかせてくださることが教えであり、学ぶことであり、ちょっとの心掛けで『ありがとうの一日が始まる』ということを受け止めさせていただきました。この講座を通じて、親鸞聖人の教えを深めると同時に、自分自身を振り返る貴重な機会になったと思います。
今一度、今日の英月先生の講演の感動へ、拍手をお送りいただければと思います。
大変お忙しい中、ご講演いただきました英月先生の御健勝と今後益々の御発展を祈念申し上げます。
お集まりいただいた皆さん、そしていろいろとご協力いただいた、すべての皆さんに心からありがとうと感謝を申し上げて、最後の言葉といたします。ありがとうございました」と、田中盛亮 委員長。
ご挨拶:公開講座実行委員会・田中盛亮 委員長
皆さんで真宗宗歌を合唱し、終了となりました。
合掌
ありがとうございました
▶ 実行委員会と英月氏記念撮影
集合写真・空知真宗教団連合主催の第36回「親鸞に学ぶ公開講座」
英月住職の素晴らしいお言葉に導かれ、
握りしめていた欲や苦しみを手放し、あるがままの自分を受け止めて、
今の瞬間を輝いて生きていく親鸞聖人の尊い教えに、
限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子