2016年2月12日(金)
2016年1月29日(金)、グリーンコープ連合(生活協同組合グリーンコープ連合)主催の米産地協議会が八仙閣(福岡市)で開催されました。北竜町から、ひまわりライス生産組合の関係者が出席。北海道米の新品種「きたくりん」をPRされました。
会場の「八仙閣」(福岡市)
▶ グリーンコープは「生命を育む食べもの」運動を推進
・こどもたち・家族の安心安全、そして健やかな生活を願い、「生命を育む食べもの」を生み出す「農業」と「環境」に意識を向けた商品を消費者に提供しています。4つの共生(自然と人の共生、人と人の共生、女と男の共生、南と北の共生)を基本理念としています
・グリーンコープは、食品の品質と安全性に力を入れ、商品の原料は、「産直品」「国産品」「天然もの」、そして食品添加物も極めて少ない使用を心がけ、こだわり続けています
グリーンコープの農畜産物は、約150の生産者グループで作られています。
・グリーンコープ独自の仕組みとして、「グリーンコープ商品生産・製造認証システム」により、取引先(生産者・メーカー)との「約束」に基いて生産・製造されているかを確認・検査しています
・グリーンコープ共同体は、九州・中国・関西にある14の生協と連合会で構成され、組合員数約39万世帯が加入(福岡、熊本、大分、佐賀、宮崎、鹿児島、長崎、山口、広島、岡山、島根、鳥取、兵庫、大阪の14生協)
▶ グリーンコープの赤とんぼ米
グリーンコープの米は、産地(生産者)と契約内容を決めて契約した産直米「赤とんぼ(赤とんぼが飛び交う豊な自然環境で栽培される米)」を販売しています。
グリーンコープと産直契約している米産地は約31箇所。今回の協議会には、九州各地をはじめ、北海道の産地が参加。北海道からは、JAきたそらち北竜支所を代表して、北竜ひまわりライス生産組合・佐藤稔 組合長、生産者・渡邊隼斗さん、JAきたそらち北竜支所営業課・篠永雄一 課長の3名が参加しました。
左より:北竜ひまわりライス生産組合・佐藤稔 組合長、JAきたそらち北竜支所営農課・篠永雄一 課長、
JAきたそらち青年部・渡邊隼斗さん
▶ グリーンコープと北竜町の繋がり
▷ 移動村づくり大学での九州研修
北竜町では、先駆的農業の経営、先進的農業の考え方を学び、町づくりに活かす「移動村づくり大学北竜の会」(広瀬英一代表)が1975年(昭和50年)に設立。
安全な食糧の生産・機械化共同経営など、最高水準の発展的な考え方を学ぶため、新利根農場(茨城県)、名古屋市(愛知県)、広島県、大分県、熊本県などの農業先進地で開催された大学合宿研修に参加。
当時、北竜町では、町と農協が大学への参加費の半額を助成。さらに営農集団が残りの半額を負担するという派遣援助が実施されました。そのために、北竜町の農家の農家割合は62%と高いものとなりました。
▷ グリーンコープと北竜町の繋がり
北海道農業自立推進協議会が主催する農業研修「移動村づくり大学」に、北竜町の農家「移動村づくり大学北竜の会」が参加。九州の無農薬栽培を行う農場を訪れたことから、共生社生協(現グリーンコープ)とご縁を戴きました。
その後、グリーンコープから「除草剤を使わない米を作って欲しい」という要請がありました。当時の北竜町農協青年部(佐藤稔 青年部長)全員が、その要請に応え果敢に取り組んでいったことが、今日に至るグリーンコープとの取引につながっています。
▷ 北竜町での自然農法米の取り組み
北竜町では、北竜町農協5代組合長・後藤三男八(ごうとうみおはち)さんの教えを受けた、黄倉良二さん(北竜町農業協同組合8代組合長、その後合併した前JAきたそらち(きたそらち農業協同組合)代表理事組合長)が、すでに1973年(昭和48年)より、後藤亨氏(後藤三男八さん御子息)とともに「自然農法米(化学肥料や農業防除をしない米づくり)」に取り組みはじめていました。
▷ 北竜町を挙げての「国民の命と健康を守る安全な食糧生産の町」宣言
1987年:当時取引が始まっていた九州の共生社生協(現グリーンコープ)から「除草剤を使わない米栽培」という
要請を受ける。
1988年:「国民の命と健康を守る安全な食糧を生産する北竜町農民集会」で「安全な食糧生産に関する決議」が
満場一致で決議。40戸10haの除草剤を一切使わない安全な米づくりを宣言
1989年:「有機減農薬米きらら397」の栽培に北竜町農協青年部全員による取り組みがスタート
1990年:10月に、北竜町農業委員会は「人間に安全な食糧を生産する農業の育成に努める」という
北竜町農業委員会憲章を制定。同年11月、北竜町土地改良区が「自然と緑を育み、
そしてきれいな水を確保し、安全な農産物生産に努める」と宣言。
更に同年12月、北竜町・森正一 町長が、「国民の命と健康を守る安全な食糧生産宣言の町」を宣言。
こうして、北竜町は、農民集会、農協青年部、農業委員会、土地改良区、北竜町役場が、町を挙げて「国民の命と健康を守る安全な食糧生産の町」を決意し宣言し取り組んでいきました。
▶ 生協連合グリーンコープ設立
1988年(昭和63年)3月、共生社生協連合と福岡地区事業生協連合(ちくれ ん)の二つの事業連合の機能を統合し、「生協連合グリーンコープ」が設立(1992年(平成4年)12月、生活協同組合連合会 グリーンコープ連合として法人登記を完了)。2007年(平成19年)9月に「グリーンコープ共同体」として新たにスタート。
▶ 現在の北竜町産米の契約数量
現在、グリーンコープ連合には、JAきたそらち北竜支所より「きらら397」が年間25トン程の取引があります。
▶ 今回の目的は高度クリーン栽培米「きたくりん」のPR
今回米産地協議会に参加した、JAきたそらち北竜の方々(北竜ひまわりライス生産組合 佐藤稔組合長)は、協議会前日、グリーンコープ連合事務所を訪問し、北海道米の新品種「きたくりん」をアピールしました。
北竜町の生産者が自ら全国を廻って、自分達が栽培するお米を自信を持って売り込む姿は、たくましく、そして力強く感じました。
高度クリーン栽培米「きたくりん」は、いもち病に強く水田防除を省略できるので、慣行よりも農薬を削減して栽培できるのが特徴の農薬節減米です。北竜町では、慣行栽培で農薬使用22成分のところ、「きたくりん」は4成分の農薬使用で栽培が可能となります。(注:高度クリーン栽培米は、中空知地区で取り組んでいる「特別栽培米」よりも更に減農薬で栽培されたお米)
平成28年度から、「きたくりん」の取引が始まるとのこと。今まで以上に「安全」で「美味しい」北竜町産のお米を食べていただけることを祈念します。
▶ 協議会の内容
グリーンコープの組合員拡大・供給状況、米の供給状況などの説明がありました。
協議会の模様
司会は、グリーンコープ連合農産部・池下圭さん。
司会の農産部・池下圭さん
グリーンコープ連合のスタッフ
2015年度の状況について詳しくお話が、グリーンコープ連合・野口雅彦 農産本部長よりありました。
グリーンコープ連合・野口雅彦 農産本部長
舞台の様子
会場の様子
1.挨拶
お忙し中、皆さんお集まり戴き、ありがとうございます。
九州は、この3日間の豪雪で、交通事情が悪化し輸配送関係を中心に大変困難な状態となりました。長崎県の産直青果産地には2日間集荷が不可能となり、青果においては多くの欠品がでました。集荷・配達の遅れなど、様々な混乱が発生し、組合員の方々にご迷惑をおかけしました。皆さんも米だけではなく、野菜や果樹など様々な作物を生産されていると思います。色々大変だとは思いますが、共に頑張っていきたいと思います。
2.グリーンコープ連合の活動報告
2008年(平成20年)に20周年を迎え、当時は、グリーンコープ組合員数が40万人を超えていました。
その後低迷が続いていました。2014年に向かって、福岡県を中心にメディア展開した結果、組合員数も増加し事業も伸長・拡大してきました。
そして、組合員数、受注実績の数字を元に説明。今後グリーンコープ生協ふくおか・くまもとを中心に、組合員拡大、事業拡大・強化など積極的な取り組みを進めていきます。
会場の様子
3.米の利用状況
2008年度(グリーンコープ20周年)以降の米の利用実績を説明。
2015年産米の集荷実績と供給状況を説明。
米は年1作なので、年間の供給計画を組み、その後、集荷実績の報告を受けて調整。
予約米(定期供給)、自由注文米など、米の年間注文重量、年間利用人数など(前年比)を提示。自由注文米は徐々に増加傾向にあるが、今後はさらに予約米に力を入れ、安定した供給方法・仕組みを考えていきたい。
資料を読みながら
4.産直赤とんぼ米の生産奨励金のお支払いについて
生産奨励金は、米の栽培ランク毎に、基本奨励金と加算奨励金で構成。
生産奨励金は、組合員に供給できた分(積立金額)を全産地の集実績数で按分して支払う。
有機栽培(JAS有機認定米)、無農薬(化学合成農薬不使用)、減農薬(収穫までの化学合成農薬成分数は4剤以内など)で栽培された赤とんぼ米が対象。
野口雅彦 農産本部長
5.2015年産米の集荷実績と2016年産米の計画数量の確認
6.グリーンコープの産直米事業の拡大と強化に向けて
日本における米の消費量の低下に伴い、グリーンコープの米の利用も低下傾向にあります。組合員の増加を図り、クリーンコープの米の利用拡大・基盤強化につなげていきたい。
過去・現在において、グリーンコープの産直米は、ほとんどが農協系統流通となっているので、今後、直接取引の検討をお願いしたい。生産者グループとの直接取引、農協との直接取引、さらに、出来秋一括集荷の対応、価格の相談などもそれぞれの生産者と行っていきたい。
その他、災害地支援活動をはじめ、グリーンコープの様々な運動のことを知って頂き、参加をお願いしたい。
会場の模様
7.米取引マニュアルの更新と配布について
2006年度版の作成から10年経過したので、改定して作成した2016年度版「米取引マニュアル」を説明。今後2年に1回、更新する予定。
BMW技術の耕種農業での活用の推進、ネオニコチノイド系農薬の排除にむけての取り組み、残留農薬定期検査の項目を追加、グリーンコープの残留放射能検査方針を明記などが変更点となっています。
(注:BMWとは、B=バクテリア・M=ミネラル・W=ウォーターの略で、土の中のバクテリアと石のミネラルを利用して汚水を浄化するという技術)
8.作物栽培計画書について
概要報告書、生産者名簿、圃場一覧表、作物栽培計画書などの項目に基づいた書類の提出。
9.作業日誌などの記録は、正確に必要事項の漏れがないよう記録する
作業日誌の記録内容:作業日にち、作業圃場、作業作物(品目)、作業内容(種子消毒、田植え、施肥、除草、稲刈り、架け干し、防除等など)。
10.グリーンコープ商品認証システムにおける自主確認報告書の提出について
運用ルールに基づく対応をお願いします。
しっかりと耳を傾ける北竜町メンバー
11.その他
▷ 残留放射能測定について
残留放射能測定は、新米の時期に各産地1検体の測定、その後、4月以降の供給米においても順次測定を行う(検体費用はグリーンコープ連合負担)。
▷ 残留農薬検査について
毎年20品目前後の検査を計画的に実施(検査費用はグリーンコープ連合負担)。
▷ 産地助成金の活用報告書の配布と提出
2017年度以降は廃止。
▷ 抱樸館福岡 食材提供のお願い・専務スタッフ 宮崎利明さん
生活困窮者のための自立支援施設「抱樸館(ほうぼくかん)福岡」を2010年(平成22年)5月に開所。NPO法人抱樸、社会福祉法人グリーンコープが運営。グリーンコープに集う人々の支援の輪が広がっています。
抱樸館福岡では、毎月12俵(720kg)のお米を使っています。
農協や生産者団体の方々からのお米の提供のお願いです。運賃は抱樸館福岡で負担。着払い、別払い、あるいは引取に伺うなどそれぞれ相談させていただきます。宜しくお願いします。
若い生活困窮者が多くなっています。年間の食費は1,200万円。これをグリーンコープや取引先から提供戴いています。主に野菜の規格外のもので、野菜の8割~9割は無料、卵も全量無料で提供戴いています。
お米は、毎月720kgと使用割合が多いので、古米や備蓄米、網下米などで提供戴けるととても有り難い。普通に炊いていただけるものであれば、大切に使わせて頂きたいと思います。できれば、白米でお願いできれば嬉しいです。宜しくお願いします。
抱樸館福岡・専務スタッフ 宮崎利明さん
▷抱樸館 食材担当・遠竹宣宏さん
今まで社会で孤独を味わった方々が、抱樸館の食堂に集まって食事をすることで、改めて食の大切さを学んでいると思います。1日3食の食事を提供している中で、パン食が2食、たまに麺があります。1週間に18食はお米を利用させて頂いております。提供いただいている古米でも十分美味しく頂いております。お声がけ頂き、送っていただけたらと思っております。宜しくお願いいたします。
抱樸館食材担当・遠竹宣宏さん
3時間に渡る協議会が終了し、この後、同八仙閣にて、懇親会が開催されました。
八仙閣フロント
会場ホワイエ
翌日、グリーンコープ連合 多の津物流センター農産本部を訪れ、野口雅彦 農産本部長のお話を伺いました。第2部へと続きます。
▶ 写真(75枚)はこちら >>
▶ 第2部はこちら >>
◆ 関連記事・ページ
・グリーンコープ連合・米産地協議会(福岡市)に北竜町参加【第1部】(2016年2月14日)
・グリーンコープ連合・野口雅彦 農産本部長のお話【第2部】(2016年2月14日)
・グリーンコープ連合ホームページ
・社会福祉法人グリーンコープ「抱樸館福岡」ホームページ
◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子