北瑞穂アイス 誕生!(北瑞穂生産組合・永井稔 組合長)北竜町産米・北瑞穂(きたみずほ)を使った無添加アイスクリーム!

2020年2月25日(火)

北瑞穂生産組合(永井稔組合長)が北竜町産米「北瑞穂(きたみずほ)」を使用したアイスクリームを開発。2月17日(月)より、北竜町内の「お食事処 向日葵(ひまわり)」にて提供が開始され、同日、地元の真竜小学校、北竜中学校の給食でお披露目されました。

写真提供:北竜町
北瑞穂生産組合・永井稔 組合長(右)、安達明広さん(左) 写真提供:北竜町長 佐野豊 活動報告 Facebookページ

北瑞穂(きたみずほ)とは「米ゲル」化可能な高アミロース米

「北瑞穂」は、2012年に品種登録。加工に適した高アミロース米(アミロース含有率が約30%)で、「米ゲル」化が可能なお米。「米ゲル」は、高アミロース米を粒のまま水を加えて炊飯し、糊化させて、高速せん断撹拌したもの。

添加物を一切使わない北瑞穂アイス

「米ゲル」化の製造工程で、水分量等を調整することで、やわらかいゼリーからプリン状、高弾性のゴム状のものまで、幅広く物性の制御が可能になるという特徴があります。高アミロース米「北瑞穂」の米ゲル化により、溶けにくいなめらかなアイスが誕生!

北瑞穂アイスクリームは、米・牛乳・砂糖だけで作られていて、安定剤や乳化剤など不使用の無添加アイスクリーム。「北瑞穂」を使った米ゲルジェラードの開発は北海道内でも初めての試みとのことです。

北瑞穂生産組合・永井稔 組合長のお話

この度、お忙しい中、北瑞穂生産組合・永井稔 組合長(42歳)に、北瑞穂アイスの開発についてのお話を伺いました。

北瑞穂について語る永井さん
北瑞穂について語る永井さん

北瑞穂との出逢い

「今から5〜6年前、士別町の機械会社(農機具等)の方から『こんな面白いお米があるよ! 興味ある?』と聞かれ、最初は、『忙しいので、興味無い!』と即答した永井さん。

その場では、聞き流していましたが、なんとなく心惹かれるものがあり、空知農業改良普及センターに『こんなお米知ってる?』と話題提供したものの、帰ってきた答えが『知りません!』。当時は、まだまだ世間に知られていないお米でした。

そこで、試験場で調べてもらったところ、たまたま、北瑞穂育成に携わった人がいて、北海道農業研究センターで種を扱っていることが判明。

手植え・手刈り・天日干し・脱穀・玄米にして精米

永井さんは、北瑞穂の種を3kgほど購入し、独自で試験栽培にトライ。最初は、手植え、手刈り、天日干し、脱穀、籾取、玄米にして精米するなど、すべて手作業で行ったそうです。

米粉に加工

この頃から、米粉として活用する話が持ち上がっていました。現在も、北瑞穂を製粉し米粉にして、様々なお菓子に使用したり、さらには日本酒や麹など加工品の製造に取り組んでいます。

米粉の専用品種米は日本でも数種のみ

農林水産省が発表した米粉用米品種としては、1番品種(菓子・料理甩)、2番品種(パン甩)、3番品種(麺甩)の3種類があります。北瑞穂は、3番品種に属し、アミロース含有量が多く、パスタなどコシの強い麺甩に適しています。耐冷性に優れ、栽培適地は北海道。

参考ページ
米粉の情報・農林水産省/ノングルテン・用途別基準について米粉の用途に応じた主な米粉用米品種の特性(PDF)

試行錯誤を重ねた日々について。。。
試行錯誤を重ねた日々について。。。

北瑞穂生産組合設立:2019年1月

(株)竜西農場(北竜町)の安達明広 代表取締役との出逢いがきっかけとなり、2019年1月に北瑞穂生産組合を設立。現在組合は、永井稔 組合長と安達明広さんと二戸で成り立っています。

安達明広さんは、農家に従事する以前は米穀店に勤務されていました。法人の研修生として、竜西農場に就農(2年間)後、構成員に登用され、農業者としてスタート。2年後、理事に就任。その後、構成員の減少が引き金となり、株式会社を設立。

外部からの人材確保・育成に努め、お米を主力とした農業の中で、冬場は、味噌や麹加工にも取り組まれています。さらに、メーカーとのタイアップで、日本酒などの加工用原料提供も推進されています。

安達さんは、お米の流通・販売に関する知識も豊富なので、お米やお酒に関する製造・販売先開発などがどんどん進んでいきました。去年2019年11月には、北竜町産「北瑞穂」を使い試験醸造された純米原酒「二世古」が販売されました。

参考ページ
北海道庁/道内の若手農業経営者事例:夢の実現に向けて道を切り拓く北海道の若手農業経営者の物語・(株)竜西農場 代表取締役 安達明広さん(北竜町)

北瑞穂を使った米ゲル・アイスクリーム作りにチャレンジ

岩見沢農業改良普及センターの協力を得て、北瑞穂の米ゲル化・アイスクリームづくりにチャレンジ! 東北の酪農家さんからアイスの作り方を教えていただき、何度も試作を重ねました。

北瑞穂アイスの最終的な味は、永井ご夫妻、安達ご夫妻、農業改良普及センター、農協など各関係者など皆で試食して決定。2020年2月、製造会社も決定し、商品化が実現しました。

米ゲルは特許技術・許諾契約締結

「米ゲル」は、国立研究開発法人 農研機構食品総合研究所(茨城県つくば市)の研究により開発された新食品素材の特許技術。北瑞穂生産組合は、研究所と許諾契約を締結。

地域産業クラスターものづくり支援事業

北海道科学技術総合振興センターの「地域産業クラスターものづくり支援事業」の助成を受けています(開発費の三分の二に当たる50万円の助成)。

米ゲルアイスの特徴

  1. 北瑞穂の米ゲルは、牛乳で炊いたミルク粥を高速せん断撹拌してゲル化した後、砂糖を加えながら、アイスクリーム機で撹拌してアイスクリームにします
  2. 米ゲルジェラードは、溶けにくい、タレづらい。保水性が高く、離水しにくく、日持ちが良い
  3. 加水量の調整で、ゼリー状からゴム状に柔らかさが変化。さらに、アイスクリームの保存温度によって、食感が変化します。マイナス13℃くらいが食べごろとなります
小中学校の給食時にお披露目した形の「北瑞穂アイス」
小中学校の給食時にお披露目した形の「北瑞穂アイス」

お食事処 向日葵(北竜町)にて提供中

現在、お食事処 向日葵さんのデザートメニューにて提供中。アイスの適温・マイナス13℃くらいにキープされた食べごろのアイスに、北瑞穂のパフをトッピングして試験販売されています。

北瑞穂パフがトッピングされたアイス!
北瑞穂パフがトッピングされたアイス!
メニュー提供
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グルテンフリーといったアレルギー対策米粉活用の可能性

今後の展望を笑顔で語る永井さん
今後の展望を笑顔で語る永井さん

「現在、アイスの保存方法を検討中です。何度でキープしたら最適保存が可能か、また美味しい状態をいかに保てるかを探し出し、北瑞穂アイスを全国展開したいと考えています。

今後、小麦粉に代わる米粉の需要性、グルテンフリーといったアレルギー対策米粉活用の可能性など、お米の新たな開拓が求められると思います。

余剰米を加工品に回すのはもったいないと思うので、北海道北竜町のお米産地として、加工専用米としての『北瑞穂』の栽培を積極的に進めていきたい考えています」と、力強く語ってくださった永井さんです。

お問合せ先:北瑞穂生産組合

・永井稔 組合長 Tel:080-3234-5981

北瑞穂生産組合・永井稔 組合長
北瑞穂生産組合・永井稔 組合長

水分量によって姿を変えて大活躍する高アミロース米「北瑞穂」、
この偉大なる北竜町産米「北瑞穂」を愛情深く栽培する北瑞穂生産組合のさらなる発展に、
限りない尊敬と感謝と祈りをこめて。。。

北瑞穂生産組合の益々の発展に祈りをこめて。。。
北瑞穂生産組合の益々の発展に祈りをこめて。。。

関連記事・サイト

・<北竜町民> 永井稔(ながい みのる)さん
・<町民コラム> MIHO’s 黒千石 Cooking

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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子