2015年8月14日(金)
8月6日(木)、北竜町教育委員会の高齢者と子どものふれあい事業として「オーロラ上映会(アラスカの自然・野生とオーロラの特殊映像と講話)」が、北竜町公民館大ホールにて開催されました。
オーロラ上映会「オーロラが私達に語りかけるステキなメッセージ」中垣哲也氏
「オーロラが私達に語りかけるステキなメッセージ」(私達はオーロラ輝く奇跡の惑星に生きている)と題して、 オーロラメッセンジャー・中垣哲也 氏を講師にお迎えしての講演会です。
児童、高齢者合わせて約40の方々が参加し、素晴らしいお話に熱心に耳を傾けました。司会は北竜町教育委員会社会教育係・長谷育夫 係長。
左:司会・北竜町教育委員会社会教育係・長谷育夫 係長
▶ 星景写真家・中垣哲也さん(オーロラメッセンジャー)
星景写真家・中垣哲也 氏(オーロラメッセンジャー)は、1961年(昭和36年)札幌生まれ。中学生の時から星空と音楽が大好き。趣味の星景写真撮影のためにニュージーランドへ。
その時ニュージーランドの星空に魅了され、星景写真家をライフワークにすることを決意。仕事は、札幌医大病院で診療放射線技師として23年勤務し、2007年(平成19年)春より独立。オーロラ伝道師としての道を歩みはじめました。
これまでアラスカやカナダへの取材は50回以上、100万枚を超える写真を撮り続けています。オーロラ写真は連写写真を重ねて映像化しスライドショーの形で再現。動画では表すことのできない、オーロラの微妙な襞(ひだ)の動きが表現されています。
1年間の1/3は極地で取材活動。そして日本では、オーロラメッセンジャーとして全国各地を回って、講演会や上映会、オーロラ展などを開催しています。
オーロラメッセンジャー・中垣哲也 氏
▶ 今日のお話のテーマ
・オーロラのでるところは何処?
・オーロラはどうしてでるの?
・オーロラがでる所にはどんな動物がいるのか?
▶ オーロラのでるところは何処?
「オーロラのでる所は、地球儀の上と下の部分の地域で「北極と南極」です。
・100万枚以上の写真の中から今日は、その中でもすごく綺麗な写真を見ていただきます
・昔は、オーロラを撮影するためにフィルムカメラを使っていました
・今はデジタルカメラを使います。カメラを3台設置して同時に撮影しています
(オーロラは、同時にいろんな場所に発生します)
撮影機材 左:フィルム式カメラ 右:デジタル式カメラ
▶ 撮影場所は、北米大陸の「アラスカ」です
撮影場所は、北米大陸の「アラスカ」です。自然がいっぱいで、人が生活するにはとても厳しい環境なので、ほとんど人が住んでいません(1年の半分はマイナス30度にもなります)。
オーロラは、出る時と出ない時があります。
左:北米大陸の「アラスカ」 右:1年の半分はマイナス30度にもなります
▶ オーロラはどうしてでるの?
地球のことから説明しましょう。
銀河は星の集団で、人類が住む地球は、太陽系に属し、広い銀河系の中の端っこに位置しています。
天の川銀河には、約2,000億個の星があると言われています。今は夏なので、南の夜空に天の川が見えます。
地球は太陽系に属し広い銀河系の中の端っこ
▶ 地球は巨大な磁石
地球は巨大な磁石であり、北極がS極、南極がN極となっています。
そして、太陽と地球とは、距離的にもちょうどいいバランスが保たれていて、空気も水もあり住みやすい環境にあります。
オーロラは太陽と地球のコラボレーション
▶ 太陽黒点
太陽はガスの塊(気体)であり、太陽黒点は、太陽の表面のフレアと呼ばれる大きな爆発現象が発生したもの。
太陽が元気なとき、黒点が多くなります。ここ3~4年黒点の発生が多いと言われています。
太陽の表面のフレア
▶ オーロラの光は奇跡の証
地球には、太陽の高熱(太陽風) が沢山降り注がれていますが、直撃されていません。何故なら、地球は磁石になっているので、地磁気がバリアとなります。地球を太陽が放出する熱や有害物から保護し守っているのです。まさに、人間がこの宇宙空間で生きていけるのこの地磁気のおかげです。
オーロラの光は、地球が生命の宿る奇跡の星であることを示している輝きなのです。
地球は大きな磁石
▶ オーロラは酸素や窒素と衝突して発生
地球に吹き込んでくる太陽風(ガス)は、地球の磁力線にそって極地へと運ばれていきます。そして、太陽風は大気中にある原子・分子(酸素や窒素など)と衝突し、オーロラが発生します。私達を守ってくれる地球の磁石の力がオーロラを発生させるのです。オーロラは、太陽の活動が活発な時期に発生しやすいです。
太陽風は大気中にある原子・分子(酸素や窒素など)と衝突
▶ 光の色の種類
白は、すべての光が集まった色。
人間には、見える色・見えない色(紫外線など)があります。
虹の色は7色と言われていますが、実は無限の色が存在しています。
太陽光とオーロラ光のスペクトル比較
▶ オーロラの色は3色:赤・青・緑
オーロラは空気の粒にぶつかって光ります。
そして、地上から100km以上の高度で発生します。
オーロラは地上から100km上に
▶ 神の怒りと恐れられたオーロラ
推古天皇の時代に残された記述「天に赤気あり。その形はきじの尾に似たり」。
昔はオーロラの存在を知らなかったので、オーロラの光を「山火事」「戦争がおきた」など悪い出来事が起きたのではないかと想像していたそうです。
推古天皇の時代に残された記述「天に赤気あり。その形はきじの尾に似たり」
▶ 日本でのオーロラ観測
1956年(昭和31年)に、北海道、新潟県、関東でオーロラが観測されました。
当時、オーロラ現象は、不吉なこととされていたので「オーロラを見てはいけない」とさえ言われました。
現在では、様々な研究によりオーロラの実態が明らかになってきました。
最近では、今年2015年(平成27年)3月に、北海道名寄市と陸別町で「オーロラ(赤い低緯度のオーロラ)」が観測されました。
▶ ニュージーランドで撮影したオーロラ
南半球・ニュージーランドにて、天の川を魚眼レンズで撮影
▶ オーロラがでる所にはどんな動物がいるの?
まず、私が撮影に出かけているアラスカ州について説明します。
アラスカ州は、どんなところ?
アラスカ州は、アメリカ合衆国最北端なる州。人口73万人、面積はアメリカ合衆国の州のなかで最大の州。
1年の半分は、マイナス30度位の気温になります。氷河期から永久凍土に覆われていて、万年雪、氷河が広がっています。
万年雪、氷河
▶ 南極と北極は季節の逆転(極夜&白夜)
南極の昭和基地では、白夜(太陽が沈まない現象)が訪れ、オーロラがみられます。ペンギンもいます。
昭和基地(南極)とペンギン
6月になると、極夜(太陽が沈んだ状態が続く現象)となります。
6月の日照時間は0.0時間
▶ アラスカの野生動物
アラスカ州の野生動物を紹介します。
「ラストフロンティア」アラスカで見られる野生たち
トナカイ、ビーバー(家づくり)、ワシ、ヘラジカ(ムース)、オオカミ、ジャコウウシ。
野生動物に対して、絶対に何も刺激しない。人間が柵の向こうから見学します。熊は自由に動きまわります。
熊は自由に動きまわります
左:トナカイ 右:ヘラジカ(ムース)
左:オオカミの子ども 右:ジャコウウシ
▶ 野生動物と人間が共生
野生動物と人間が共存して生活しています。
パークレンジャー(自然保護官)は、動物たちのあらゆる習性を学びます。例えば、熊に対して、してはいけないことなどです。
野生動物の習性を熟知し、野生動物たちの世界に入りこんでいかないことが、動物を仲良く共存する最適な方法。
熊たちは、人間が熊に対して何もしないことを良く知っているので、人を襲ってきません。
決してやってはいけないことは、「野生動物に餌をやること」。
もしやってしまうと「熊は人間が餌をくれる」と思うようになり、人間に近づいてくるようになります。
この危険な状態を予防するために、人間から餌を貰った熊は即刻射殺されてしまうのです。
野生動物と人間が共存して生活しています
▶ 熊の冬眠(半年間)
熊は食べれるだけ食べて、冬眠のための栄養を蓄えます。
熊は食べれるだけ食べて、冬眠のための栄養を蓄えます
▶ 撮影した様々なオーロラ
中垣哲也氏が撮影されたオーロラが、鮮やかな色と刻々と姿を変えて、スクリーンに映し出されました。
数々のオーロラ
「自然は、祖先から譲り受けたものでなく 子孫から借りているものである」
ナバホ族(アメリカ先住民の言葉)。
「自然は、祖先から譲り受けたものでなく 子孫から借りているものである」
中垣さんのサイン入り特大「オーロラカレンダー2016」
中垣哲也 氏を囲んで
こどもたちや高齢者の皆さんは、最後まで熱心に耳を傾け、アラスカの自然やオーロラの偉大さ、美しさに心動かされたようです。「とてもわかりやくすくて、地球の自然やオーロラの凄さがよく理解できました」と参加した男の子が、中垣講師に直接、率直な感想を述べていました。
アラスカの自然の素晴らしさ、言葉では表すことのできないほどの美しいオーロラの輝きは、地球の命の鼓動のようにさえ感じられます。
中垣哲也 氏の言葉:「AURORA EARTH」写真集より抜粋」
「刹那に駆け抜けていくオーロラほど尊く感じるのはなぜだろう。
宇宙が刻む悠久の時の流れの中で、私達が存在できるのはほんの一瞬。
それを理解することができれば、人はきっと謙虚になれるはず。
儚いからこそ、その「一瞬」は精一杯輝こうと。。。
参加者に配られた数々の写真カード
宇宙の巨大なエネルギーを地磁気のバリアで保護し、
地球を守り抜いていることを示すオーロラの輝き。。。
生命が宿る奇跡の星であることを示す
自然界の最も美しい輝き「オーロラ」に、
限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
中垣哲也氏がニュージーランドで撮影したオーロラ
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▶ 中垣哲也 氏 ホームページ
・オーロラダンス(AURORA DANCE)
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子