マンマのネットワーク料理教室「夏の名残のイタリアン」で黒千石事業協同組合・村井宣夫 会長ご講演

2014/09/09 15:06 に 寺内昇 が投稿   [ 2014/10/01 18:44 に更新しました ]
2014年9月10日(水)

9月に入り、田んぼは、たわわに実った稲穂で黄金色に輝きはじめました。
9月2日(火)、札幌エルプラザ4F・料理実習室(札幌市)にて、マンマのネットワーク (正式名称:北海道女性農業者倶楽部) 主催による料理教室が開催されました。
会員、一般参加者、事務局関係者合わせておよそ30名の方々が集い、夏野菜のお料理を堪能しました。


マンマのネットワークによる夏野菜のお料理  マンマのネットワークによる夏野菜のお料理 
色鮮やかな夏野菜たち(撮影:2014年9月2日)


「マンマ」は、北海道弁で「ごはんを食べる」、イタリア語で「お母さん」という意味。
マンマの会は、まさに「お母さんのごはん」!
2007年(平成19年)6月に設立したマンマのネットワークは、アグリビジネスを目指す女性農業者と消費者が交流を深めながら、食と農を通じて、技術向上と農村の食文化を様々な形で伝えていく活動を展開しています。

・会長 :小栗美恵さん(千歳市・花茶)
・副会長:寺町敬子さん(北見市・ジャム工房 緑夢ファーム)
・副会長:山田富江さん(本別町・豆ではりきるお母さんの会)
・事務局:片山寿美子さん(元北海道農政部総括専門技術員)

女性農業者と消費者約70名(正会員30名、賛助会員40名)の会員で構成されています。


マンマのネットワーク・小栗美恵 会長(千歳市・手作りアイスクリーム「花茶」

 マンマのネットワーク・小栗美恵 会長 
マンマのネットワーク・小栗美恵 会長

「今日は、ご参加戴き、ありがとうございます。
マンマの会は、正式名称を『北海道女性農業者倶楽部』といい、農家の女性たちが起業家を目指して、自分の好きなものを深めるための勉強会の場です。消費者との交流も大切にし、料理講習会も2〜3ヶ月に1度くらい開催しています。
 今日は、夏の終わりに秋に向かっての夏野菜のイタリアン料理で、珍しいお野菜が揃っており、皆さんがご家庭で作れるような料理を用意してあります。
 また、黒千石の村井さんより健康に関する為になるお話をお伺いできますので、講話もお楽しみください。
長い時間にはなりますが、楽しくお料理をして、美味しく頂きたいと思います。今日一日、よろしくお願いいたします」

会長の小栗美恵さんは、千歳市で、手作りアイスクリーム&ファームレストラン「花茶(かちゃ)」を運営されていらっしゃいます。花茶農園で採れた野菜や果物がたっぷりのアイスクリーム、石窯で焼くナポリピッツァ、バジルの冷製パスタ、季節の野菜カレーなど野菜が主役のメニューが盛り沢山です(「花茶」訪問の記事はこちら >>)。


寺町敬子 副会長(北見市・ジャム工房緑夢ファーム

寺町敬子  副会長 
寺町敬子 副会長


山田富江 副会長(本別町・豆ではりきるお母さんの会

山田富江 副会長(本別町) 
山田富江 副会長(本別町)


事務局・片山寿美子さん(元北海道農政部総括専門技術員)

事務局・片山寿美子さん 
事務局・片山寿美子さん


健康講話:「食べることを大切に」村井宣夫 氏(黒千石事業協同組合 会長)

 実習に先立って、村井宣夫氏(北竜町黒千石事業協同組合・会長)による講演会「食べることを大切に」が行われました。

健康講話「食べることを大切に」 
健康講話「食べることを大切に」

黒千石事業協同組合・村井宣夫 会長 
講師:黒千石事業協同組合・村井宣夫 会長(82歳)


北海道の農産物は日本一!

20年前までは、「キタヒカリ」「ほしのゆめ」「きらら397」の品種から、今では、「おぼろづき」「ななつぼし」「ゆめぴりか」が、「ササニシキ」「コシヒカリ」を「参った!」と唸らせるほどの美味しさになってきました。

麦・大豆の国内消費の5~6%が国内生産

麦・大豆の国内消費の5~6%が国内生産で、90%を超える量が海外輸入で賄われています。
「国産大豆は、水に浸すと透明で綺麗なままですが、輸入大豆は、一晩浸すと水が濁って大豆が見えなくなってしまう」という農家の方のお話を紹介。
「麦」は、輸入搬送過程で「燻蒸処理」を施します。燻蒸とは、殺菌力の強いガスを掛けて虫を死滅させる方法。マーケットに並んでいる輸入農産物は、燻蒸処理され、長旅に耐えた、何日も腐らないものであるというもの。

野菜作りの農家・農産物の実態

ある農家を訪問した際、販売する野菜と自宅で食べる野菜を区別しているという農家の実態に驚愕!
「梅雨の時期」は虫と病気との戦いとなり、消毒は10回以上! 日本列島は、気象環境によって農薬の使用量が異る状況もあるということです。

食べ物の選択は、消費者自身が行うことが大切

農家の実態を踏まえた上で、家族の食べ物は、主婦自身がしっかりと産地や材料を調べ、見極めて選択していくことが主婦の役目であり、家族のたべものを管理し守っていく責任が主婦にあります。

夜と昼の温度差があるほど、野菜は美味しく育つ

北海道の野菜が美味しい理由は「夜と昼の温度差がある」からです。
北海道の場合、昼夜の温度差が大きく、葉に溜まったでんぷんが実に移行することによって糖分が多くなっていくことによって、美味しさが増していきます。
特に、じゃがいも、とうもろこし、かぼちゃは、甘さが増して美味しくなります。

農家とお付き合いする大切さ

良い農家さんとお付き合いすると「良いもの」を食べることができます。
化学肥料で栽培した野菜は腐りますが、有機肥料で栽培した野菜はカラカラになって腐りません。化学肥料と有機肥料には、大きな違いが生じます。
故に、良い農家の方々と繋がり、農家の人々の考えや栽培方法を知ることによって、信頼し安心できる、美味しいたべものに出会うことができるのです。

医食同源、四里四方の教え

「医食同源」とは、「食べ物は医者と同じ、良い食べ物を選択していれば、病気にならない」という意味をもつ中国の格言。
「四里四方」は、生まれた所の16km四方のもの(水を含めて)を食べていれば、病気にならないという教え。遠くのものは、身体に合わないという教え。
その昔、東京へ行くとき、亡くなった婆婆が必ず言った言葉は「のぶお、朝何も食べなくていいから、味噌汁だけは飲んでけ」これが昔の人の格言!
味噌汁は水当りしない、立派なお薬なのです。昔の人は経験と体験で家族の健康を守ってきました。

怪我と病気は自分で治せ!

20歳で怪我をした時、父親が息子に行った言葉は「のぶお、怪我と病気は自分で治せ!」。
怪我と病気は自分の不注意!病気にならない努力をすることが大切です。

病気にならない方法

1.ストレスを貯めないこと

家族の中で一番ストレスを感じるているのが子ども、そしてペット、最後が親だそうです。

2.良い食べ物を食すること

原因不明の病気はアトピー、アレルギーとされています。
アレルギーの原因は、食べもの(特に添加物)の影響を受けていることが多い。
アトピー、アレルギー疾患をもつ大学生は、決断力・判断力・思考力に欠けることが多くなっています。
家庭の味、料理方法を子どもに伝えていかなかった歪が、子どもの身体にあらわれて、病を招いているとも言えます。

3.家庭の味を伝えること

家庭生活における経験、体験、実践をさせる家庭教育は、世の中で生きていくため、あるいは、健康な身体を育てるの大切な要素であり原点です。
是非、家庭料理、家事手伝いを子供達に伝えていってください!

4.人生「健康てんでこ」(村井宣夫 会長ブログ「健康てんでこ」

良い食べ物を選択し、バランス良く腹八分に食し、適度な運動、常に恋する心でピンピンコロリ・・・「健康てんでこ」が私の人生の最良の生き方です!!!


「食は命」・・・命育む北海道の食の大切さ、素晴らしさを、ショッキングな社会の実態を含めて、様々な視点から「食は命」に関わるお話でした。
皆さん、村井宣夫氏の迫力のある力強いお話に熱心に耳を傾け、メモをとっていらっしゃいました。


村井宣夫さん  熱心に耳を傾け、メモをとっていらっしゃいました 
熱心に耳を傾け、メモをとっていらっしゃいました


実習・講師:柴田照子さん(恵庭市・恵みの庭 柴田農園

そしていよいよ実習です。
講師は、恵庭市の花苗農家「恵みの庭 柴田農園」で西洋野菜の栽培に取り組む柴田照子さん。北イタリアで学んだ栽培技術を駆使し、100種類以上の西洋野菜を栽培。柴田さんは、珍しい西洋野菜を使った新感覚のピクルスの開発にも取り組んでいらっしゃるそうです。

<献立>

1.バーニャカウダ(マンマのネットワーク風)
2.ズッキーニのスープ
3.イタリアナスのステーキ
4.ペンネラビァータ&ペンネジェノベーゼ
5,黒千石まめ御飯、エンドウ豆御飯
6.秋野菜の醤油漬け(元気漬け)

柴田照子さん(恵庭市・恵みの庭 柴田農園) 

実習 
柴田照子さん(恵庭市・恵みの庭 柴田農園)

寺町敬子さん(北見市・ジャム工房緑夢ファーム) 
クッキングの助手を務められる寺町敬子さん(北見市・ジャム工房緑夢ファーム)


皆さん、4テーブルに5~6人のグループに分かれます。
クッキング手順など、柴田さんの丁寧で解りやすい解説を聞きながら、手際よく、クッキングが進行していきました。


実習風景 
実習風景


1.バーニャカウダ(マンマのネットワーク風)

バーニャカウダ 
バーニャカウダ

▷ソース

・にんにくを牛乳と水で柔らかくなるまで煮込む。
・みじん切りにしたアンチョビを加え、少しずつオリーブオイル加えていき、最後に豆腐を混ぜ合わせる

▷野菜

・ビーツはキオッジャビーツ(うずまき模様)、ゴールデンビーツ(黄色)の2種類で、5ミリの厚さに切って塩茹
・ミニコスレタス、セロリ、ミニトマト、キュウリなど、食べやすい大きさにきって盛る


バーニャカウダの説明 
バーニャカウダの説明

バーニャカウダ作り 
バーニャカウダ作り


2.ズッキーニのスープ

ズッキーニのスープ 
ズッキーニのスープ


・ズッキーニは、10cmの長さ、縦四つ切にし塩水につけて30分アク抜き
・水のコンソメを加え火に掛ける
・3cm幅にきったベーコンをオリーブオイルで炒める
・バターとオリーブオイルでズッキーニを炒める
・コンソメスープにベーコンとズッキーニを加え10分煮込んで、塩で味付け、バターを加えて、皿に盛り、チーズとパセリをかけて完成


3.イタリアナスのステーキ

イタリアナスのステーキ 
イタリアナスのステーキ


・にんにくチップ:にんにくは薄切りにして、オリーブオイルで炒める
・きつね色になったら取り出しキッチンペーパーで油を切る
・イタリアナスは、2~3cmの厚さに輪切りにし、片面を塩コショウで味付けし、両面焼く
・皿に盛りにんにくチップ、パセリを乗せ、食べる直前ににんにくオイルをかけて完成


イタリアナスのステーキ作り 
イタリアナスのステーキ作り


4.ペンネラビァータ&ペンネジェノベーゼ

ペンネラビァータ&ペンネジェノベーゼ 
ペンネラビァータ&ペンネジェノベーゼ


・ペンネラビァータ:茹でたペンネを、唐辛子の辛みのきいたトマトソースで和えたもの
・ペンネジェノベーゼ:バジル、にんにく、オリーブオイルなどをペースト状に粉砕したのがジェノベーゼソース

※ ジェノベーゼソースは、講師の柴田照子さんの「恵みの庭 柴田農園」(恵庭市)で栽培されたバジルのソースです。
 柴田農園の「ジェノベーゼソース」は、「北のハイグレード食品」2013年度の10品の一つに選定されました。
 (参考:ジェノベーゼソース・北海道庁 2013「北のハイグレード食品」選定商品のご紹介)


実習風景 
実習風景


5,黒千石まめ御飯、エンドウ豆御飯

黒千石まめ御飯、エンドウ豆御飯 
黒千石まめ御飯、エンドウ豆御飯

御飯はおぼろづき、黒千石大豆は、北竜町黒千石協同組合で栽培された黒千石大豆。
エンドウ豆は、本別町の山田富江さん「豆ではりきるお母さんの会」のエンドウ豆です。


6.秋野菜の醤油漬け(元気漬け)


秋野菜の醤油漬け(元気漬け) 
秋野菜の醤油漬け(元気漬け)

▷ 漬け液

・黒糖、ザラメを200ccの水で煮溶かす
・醤油、酢、唐辛子を加えひと煮立ち
・野菜を漬け液に加え混ぜ合わせる

▷ 野菜

・野菜は、荒目に切って塩を振り、しんなりさせる
・キャベツ、キューリ、タマネギ、長ネギ、ニンジン、大根、唐辛子など
・おろしにんにく、千切り生姜、みじん切り長ネギなど
・2~3時間で食べれて、保存期間は一週間程度

参加した皆さんは、お料理ベテラン主婦の方々ばかり。それぞれの役割分担が流れるように展開していきました。
見事な手際良さで、あっという間のクッキング!
驚くべきパワーの凄さに、圧倒されました!


試食会 & 感想発表

1時間半後、すべてのお料理が終了し、豪華に盛りつけ完了!
各テーブルに並べられた素晴らしいお料理の試食&感想の発表です。


素晴らしいお料理の試食&交流会 

素晴らしいお料理の試食&交流会 

素晴らしいお料理の試食&交流会 

素晴らしいお料理の試食&交流会 
素晴らしいお料理の試食&交流会


美味しいお料理を頂きながら、参加者の皆さんの自己紹介と感想が述べられました。


前会長・九栗貞子さん 
前会長・九栗貞子さん

自己紹介と感想発表 

自己紹介と感想発表 
自己紹介と感想発表


愛情たっぷり、ピッチピチの野菜たちの命を育み

人と町と大地が繋って、美味しいものを生み出していく

元気パワーが漲るマンマのネットワークの皆さんに

大いなる愛と感謝と笑顔をこめて。。。


xxx 
豊穣の秋・北竜町の稲穂(撮影:2014年9月8日)


マンマのねっとワーク(北海道女性農業者倶楽部)


◆ 関連記事・ページ

<道新ブログ>【札幌市】マンマのネットワーク・料理教室「夏の名残のイタリアン」(2014年9月11日)
黒千石事業協同組合・黒千石の紹介


◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子