北竜町鉢植えひまわり栽培の名人・山田俊久さん

2014/05/12 14:31 に 寺内昇 が投稿   [ 2015/06/15 2:58 に更新しました ]
2014年5月13日(火)

山田俊久さんは、北竜町生まれの北竜町育ちの83歳(昭和6年生まれ)。
毎年、北竜町役場・公民館・サンフラワーパーク北竜温泉などに設置されている鉢植えやプランターのひまわりは、山田俊久さんご夫妻が大切に栽培していらっしゃるひまわりです。
山田さんに、鉢植えのひまわり栽培などについてのお話を伺いました。


山田俊久さん(83歳) 
山田俊久さん(83歳)


山田さんのひまわり栽培

「ひまわりのもやし栽培」からスタート

山田俊久さんが、ひまわりの栽培に関わったキッカケとなったのが、北竜温泉のお湯を使ってハウスで栽培する「ひまわりのもやし(スプラウト)」です。1994年〜1995年(平成6~7年)頃の取り組みでした。

当時、栃木県の農業で「ひまわりのもやし」が栽培されていました。そこで、北竜町でもと「ひまわりもやし」への取り組みがスタート。
「ひまわりのもやし」は、ひまわりの種をお湯につけて発芽させ、発芽した芽と茎を食するもの。
新芽には、ビタミン・ミネラル・フィトケミカルなどが豊富で、酵素を多く含む食材とされています。
3~4年程栽培は続けられましたが、不況のため種の会社が倒れ、種の入手が困難になったため中止となりました。


プランターのひまわり栽培 
鉢植えのひまわり栽培


ひまわりの鉢植え・プランター栽培

品種は、矮性種「ビッグスマイル」「グッドスマイル」。
近年に入り、5年前から、役場のからの依頼を受けて、プランター・鉢植えのひまわり栽培に取り組むようになりました。1つのプランターに、ひまわりの品種「ビッグスマイル」(アメリカ産)の3本を植栽。
鉢植えには、「グッドスマイル」など数種類の品種を1本ずつ植えていきます。

栽培は温度調整に手間がかり、2~3時間おきに温度管理しているとのこと。
天候の変化を見ながら、ハウス内の温度を15度~25度に保ちます。
ハウスの苗床には、熱線がセットされていて、ハウス内に外気を取り込みながら温度管理をします。
鉢植えやプランターに使われている土は、培養土に畑の土を2割程混ぜたものを使っています。


ビッグスマイル 
グッドスマイル


納品先は、北竜町役場、公民館、サンフラワーパーク北竜温泉、サッポロビール園

毎年6月から役場への納品がスタート。時期をずらして4回に分けて納品。
その他、公民館、サンフラワーパーク北竜温泉などに納品しています。
また、サッポロビール園には、7月に約50鉢が納品されます。


種植時期をずらして栽培 
プランター栽培(ビッグスマイル)


露地のひまわりを鉢に移植してもうまくいかない

鉢植えのひまわりを、途中から露地などに移し替えて育てるのは難しい。
鉢の中で成長するひまわりは、鉢の中でこそ成長を遂げます。

また、露地植えしたひまわりを鉢に移しても、成長させるのは難しい。
植えてしばらくすると枯れてしまったり、成長しなかったりします。

試行錯誤を何度も繰り返して、現在の背の低いひまわりをプランターで3本植栽する方法に辿りつきました。
鉢植えにする場合は、最初から鉢に種を撒いて、鉢で成長させるのが一番。


蕾がついています 
蕾がついた、納品間近のひまわりたち


山田さんのご先祖は近江商人

北竜町に入られて4代目にあたる山田俊久さん。
山田家のご先祖は、明治30年頃(1897年)、滋賀県から渡邊農場の小作人として北竜に入りました。

滋賀県の実家は近江商人。当時、近江商人は松前藩に重宝されていました。
近江商人は情報網を持っており、京都や大阪の状況をより早く確実に伝えることができたそうです。
松前藩が近江商人を大切にした理由が、この情報収集と伝達にあったとのことです。

山田さんは、北竜町出身の北竜町育ちです。若い頃は、農協青年部として活発に活動。10年程前に農地を売却し、
その後、ひまわり栽培に着手されました。


ご夫妻で栽培 
ご夫妻でひまわりを栽培


機械いじりが大好きな山田俊久さん

80歳を超えてる今でも、インターネットで情報収集の毎日。
子供の時から機械いじりが大好きで、どうなっているんだと興味が湧くと何でも分解していました。
今でも多趣味で、その中でも興味があるのはデジタル機器とネットサーフィン。

「時代に順応していかないと生きてはいけない。
今まで、こだわりを持ち続けたら生きていけない時代を歩き、時代の変化の瀬戸際を生きてきました。
今は平和な時代。そして北竜町は、道で転んだらすぐにとんできて起こしてくれるような、町の人々は実にいい人達ばかりです。
現代は、インターネットで情報分析していれば、世の中の動きが良くわかります。
ニュースや時代の流れも知ることができ、時代遅れになることはありません。
今は、美味しく食べて、健康で元気で過ごしていけることがなによりの幸せです」

とお話される山田さん。 毎日ノートパソコンを開いて、情報収集に余念がない好奇心旺盛な山田さんです。

これからの夢・北竜町の未来の姿

「植物の種は尽きてしまうけれども、発想の種は無限です。
そして、新しいことが無くても、古いことを訪ねていけば、沢山の発見があります。
たとえ小さな町であっても、そして裕福でなくても、心豊かに過ごせる北竜町であればいいと思います。
山村・寒村だけれども、不自由なところは何もありません。水も食べ物も、安心で美味しいし、災害も少ない。
仲良く心豊かに暮らせるので、言うことないほど良い町です。
大きな望みより、自分の家の廻り、そして地域・町内会が綺麗に掃除されて、綺麗な花がたくさん咲いていることが一番の望みです」

温和な優しさを秘めた笑顔でゆっくりと語ってくださった山田さん。
豊な自然がもたらす清らかさ・純粋さが存在するこの小さな町・北竜町。
その素朴さ故に、無限に広がる心の豊かさが北竜町に存在していることを、山田さんの言葉が表現していました。
私達は、キラリと光る北竜町の宝ものにまたひとつ出会えたことを大変嬉しく、幸せに感じました。

有り難くも、帰りに戴いたプランター「グッドスマイル」3本のひまわり娘たち。
山田さんそして奥様、ありがとうございます!
今年は、この小さな可愛いひまわり娘「グッドスマイル」たちの成長をずっと大切に見守っていきたいと思います。
そばにいるだけで、自然と笑顔になれるひまわりの花「グッドスマイル」
どんな成長を見せてくれるのでしょうか、楽しみです ♬


みどり団地でひまわりを栽培 
戴いた3本のひまわり娘たち@みどり団地


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◇ 撮影・編集=寺内昇  文・取材=寺内郁子