北竜町図書館・1月新着図書『55歳からのハローライフ』村上龍 著(幻冬社)

2013/03/13 19:31 に 寺内昇 が投稿   [ 2013/03/13 19:48 に更新しました ]
2013年3月14日(木)


55歳からのハローライフ 
『55歳からのハローライフ』村上龍 著


北竜町図書館・1月新着図書より、『55歳からのハローライフ』村上龍 著(幻冬社)をご紹介。

「55歳からのハローライフ」は 村上龍が綴る 地方新聞に連載された5編の中篇小説。
主人公は、人生の折り返し点を過ぎて、「再出発」しようとする中高年で、人生のセカンドライフ探しがテーマです。

5つのお話は、

・「結婚相談所」:58歳で離婚した女性が、結婚相談所を訪れ、様々な男性との出会いから、本当に自分が歩みたい道を探し求める
・「空を飛ぶ夢をもう一度」:リストラされた54歳の男性が、交通誘導員のバイト先で、中学時代の友人に再会し、自分自身の真実の幸せを見直す
・「キャンピングカー」:早期退職して、妻と2人、キャンピングカーで旅をしようと夢を描いていた58歳の男性が、それを望まない妻の気持ちを知り、第二の人生に対して心迷う
・「ペットロス」:愛犬との別れによって感じることのできた、定年退職後6年を迎えた夫と妻の心模様
・「トラベルヘルパー」:トラックドライバーだった62歳の男性の老いらくの恋が、これからの人生の道しるべとなっていくお話



全体から感じられるポイントは、

人生の荒波

これら5編の小説のいずれも、どこにでもありような出来事の中に、胸にせまりくるような切実な状況と不安定な心模様が存在します。
様々な人生において、それぞれの主人公たちが 襲いかかる困難を、自分なりに受け止めて、変化していく心の様が丁寧に描かれています。


心癒す飲み物

そして、どのお話にも登場するものが、飲み物。アールグレーの紅茶、水、コーヒー、プーアール茶、日本茶。
これらの飲み物は、それぞれの人生において、大切な存在。ただ単に、水分を補給するためだけのものではなく、苦しい時に、心を落ち着け、癒す存在となっています。
確かに、飲み物から伝わってくる香り、味わい、色味など、五感を通して身体や心に与える影響は大きいもの。日常の中に、心を癒してくれる飲み物の存在を改めて実感します。


友人、愛犬との別れが示した生きる意味

生きとし生けるものに いつかは訪れる死。
死にゆくものが示してくれた、生きる意味。それまで感じることのできなかった生命の尊厳。
死は、別れでもあり、始まりでもあるということを。。。
死は、けっして悲しいだけのものではなく、生命の尊さ、生きる意味を示してくれるものであることを。。。


村上龍の想い「人生における信頼関係」

「すべての層に共通することもある。それは、その人物が、それぞれの人生で、誰と、どんな信頼関係を築いてきたかということだ。
「信頼」という言葉と概念をこれほど意識して書いたのも、はじめてのことだった」。


紅茶 
写真提供:microsoft.com


人生における「信頼関係」は、

誠実、真心、お互いを信じて支えあう心、

心と心を繋ぎ合う、偉大なる力の源、

まさに人それぞれの心の中心核と成り得るものです。

無我夢中で走り続けたファーストライフ。

ふっと立ち止まって迎えたセカンドライフ。

あなたは、どの道を選び、どのように歩んでいきますか?


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<本の帯より抜粋>
「希望は、国ではなく、あなた自身の中で、芽吹きを待っている」
多くの人々が、将来への不安を抱えている。だが、不安から目をそむけず新たな道を探る人々がいる。
婚活、再就職、家族の信頼の回復、友情と出会い、ペットへの愛、老いらくの恋・・・
さまざまな彩りに充ちた「再出発」の物語



◇ 撮影=寺内昇  取材・文=寺内郁子


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