北竜町ひまわりの里「誕生物語」

2011/09/13 2:16 に 寺内昇 が投稿   [ 2014/03/19 20:35 に更新しました ]
2011年9月13日(水)

太陽の陽をいっぱいに浴びて、2011年の夏を、元気いっぱい命を謳歌したひまわり達。130万本のひまわり達は、全て鋤き込まれ、ひまわりの里は、芽生えはじめたえん麦(緑肥用)で、薄っすらと緑色に染まっています。今年も見事なに咲き誇り、たくさんの人々に明るさと元気をプレゼントしてくださったひまわりさん達、ありがとう!



太陽に向かって凛と咲くひまわり


そして、130万本のひまわりを愛情たっぷり育て、見守ってきた皆さんに心からの敬意と感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。そんなひまわり達の誕生とその足跡をたどってみました。

ひまわりの里年表
  • 1979年(昭和54年):夏、元農協職員・四辻進さんが、農協研修でヨーロッパを訪問した際、旧ユーゴスラビアのひまわり畑に感動したのをきっかけに栽培の取り組みがスタート
  • 1980年(昭和55年):農協婦人部がひまわり1戸1アール運動を展開
  • 1987年(昭和62年):第1回ひまわまつり開催。まちおこしボランティアグループ「北竜町竜トピア会」が設立
  • 1988年(昭和63年):台風による集中豪雨でひまわり畑が大打撃を受ける。災害復旧事業が行われる
  • 1989年(平成元年):商工会青年部を中心に、役場、農協、土地改良区の職員みんなが協力し、ひまわりの里を造成
  • 1991年(平成3年):北竜中学校によって、世界のひまわり30種類が「世界のひまわりコーナー」で栽培される。ひまわりまつり期間中の2日間、「観光ガイド」として、中学生が観光客をエスコート
  • 1992年(平成4年):老人クラブ会員による、ひまわりの里の草取り支援が開始。この奉仕活動は、「ひまわりの里草取り十字軍」として現在も受け継がれている
  • 1997年(平成9年):大型施設「ひまわり観光センター」がひまわりの里にオープン。同時に「ひまわり売店組合」が設立される。同センターは、飲食店・特産品販売など、観光客が楽しむ憩いの場所となる
  • 2001年(平成13年):6月29日、大型竜巻に襲われ、町内、ひまわりの里は甚大な被害を被る。翌日、町民約400人が自発的に立ち上がり、周辺のゴミ拾いなど、ひまわりの里の復旧作業に取り組んだ。こうした町民達の熱意が伝わったのか、倒れていたひまわりは息を吹き返し、驚異的な回復を遂げ、きれいな花を咲かせた
  • 2002年(平成14年):「ひまわりボランタリー協会」が設立(原則として会員は60歳以上)。ひまわり号(身体障害者300名のひまわりの訪問プロジェクト)来町時の支援、ひまわり観光ガイド、ひまわり健康茶の無料サービスなどの奉仕活動を行う
  • 2003年(平成15年):北商ロードレース(1965年・第1回開催)が、コースをひまわりの里に変更
  • 2006年(平成18年):ひまわりパークゴルフ場36ホールが完成。これを記念に「全道ひまわり杯パークゴルフ大会」を開催。この年、ひまわりの里23.1haに、130万本の作付けを行う。過去最高の作付け面積となる
  • 2009年(平成21年):「ひまわり3連水車」が完成。北海道知事・高橋はるみ氏が北竜町を表敬訪問。北竜中学校の「世界のひまわり」に、観光ホスピタリティ実践感謝状が授与される



燦々と咲くひまわりの里をサイクリングする家族


現在に至るまで、32年間の歳月が積み重なりました。

農協婦人部の活動に始まり、ひまわり観光協会、竜トピア会、商工会青年部、売店組合、老人クラブ、ひまわりボランタリー協会、中学生による世界のひまわり栽培、役場、農協、土地改良区の職員の皆さん、そして北竜町民が一丸となり、協力しあって、ひまわりを守ってきました。 

実にたくさんの人々の支え、協力があるからこそ、ひまわりの里に毎年、見事なひまわりの花達が咲き誇ることが出来るのです。 町中の人々の偉大なるパワーを、ひまわり達はしっかりと受け止め、感謝の心を抱いているに違いありません。だからこそ、毎年、ひとつひとつの命を謳歌し、華麗なる花を咲かせて、私達に明るさを元気を与えてくださるのでしょう。

ひまわり観光協会・南秀幸さんのお話

こうして、ひまわりの里を支え、活動していらっしゃる方々のひとりが、ひまわり観光協会 事務局の南秀幸さん(51歳)です。

南さんは、北竜町役場産業課課長補佐として、町の産業・林業の振興という重責を担いながら、ひまわりまつりのイベントなど、観光事業全体を取り仕切っていらっしゃいます。どのイベントにも、いつも走り回って活躍していらっしゃる南さんの姿がそこにあります。

南さんは、6年前の2005年(平成18年)に産業課に異動。以降、ひまわり観光協会事務局員として、ひまわりまつり事業の中心的役割を担っていらっしゃいます。事業展開で生じる様々な問題、困難解決における苦労は計り知れないものがあるに違いありません。ひまわりまつりについてのお話をお伺いいたしました。


「ひまわりまつり終了後は、各種団体が集まって反省会を行います。今年の様々な問題点をじっくり相談しながら、来年に向けてのイベントや予算などを話し合います。

今年は、事前PR活動の成果もあり、多くのマスコミに、北竜町のひまわりのことを取り上げていただきました。来年も同様に、PR活動に積極的に取り組んでいきます。また、ホームページを見てひまわりの里を訪れた方も多く、インターネットでの情報発信は効果的でした。

今『北竜町のひまわり』をアピールしていくことの重要性を感じています。 今年は『周辺のお薦めスポットを教えて欲しい』という観光客の問い合わせがいくつもあったので、今後、周辺の町なども検討したいと思います。体験型、着地型の観光も大切な要素となります。来年から稼働する北竜町農産物直売所との関連もじっくりと考慮していきます。たくさんの課題が山積みです」 


年を重ねる毎に、生み出される問題点に目を反らすことなく、しっかりと向き合っていく、南さんの真摯な姿勢がしみじみと感じられるお話です。


「この町に対して私達は何が出来るのか?
素晴らしいひまわりの花を咲かせるには、どのように活動したらいいのか? 
みんなが一致団結し、協力しあって、ひまわりまつりを盛り上げていくにはどうしたらいいのか?
観光客の人々の立場に立った、観光客のニーズにあった環境作りとは?
毎回、自問自答を繰り返しています。

北竜町がひまわりの町としての誇りと自信をもって、みんなで良いひまわりを咲かせようという気持ちを持ち続ければ、『まちづくり』そのものが良い方向へ進んでいくのではないかと思います。

大切なことは、変化を持たせることです。人々が求めるものに応えられるように、自らが変わっていく必要があります。一方では、ひまわりを大切にしてきたという伝統を崩すことなく、守り続ける。

常に新しい視点をもって、何処かに変化をもたらすことによって、感動と楽しさを生み出せるように思います。変化がなく、同じ所に留まって、ぬるま湯に浸かっていたのでは、世の流れに応えることはできません。

今までと違うからといって排除するのではなく、新しいものを受け入れ、お互いに刺激しあい競争しあってこそ、発展と活性化に繋がっていくのだと思います。そして、若者達には、思う存分パワーを発揮して欲しいと思います。

今後、みんなが『幸せだなぁ』と思えるような町づくりに努力していきたい」



太陽と語り合うひまわりさん


伝統を受け継ぎ、守り抜いていこうとする確固たる精神力、常に世の中の流れを感じ取り、楽しむ心を持ち続けていく斬新な魂、困難に屈することなく、前向きに立ち向かう旺盛な行動力・・・南さんの「ひまわり」に対する熱い想いが強く伝わってきました。 


人々の心を癒し、明るく元気にしてくれるひまわりさん、ありがとう! 

そして、こんな素敵なひまわりの花達を愛情深く育て、見守ってくださるみなさん、ありがとう!

心から感謝の気持ちでいっぱいです。

来年もまた、明るく元気なひまわりさんにお会いできる日を楽しみに、夢見ています。



「ありがとう」の言葉が響き渡る広大なひまわりの里で、 

 尊い命を宿して、華麗に咲き誇り、 

 一瞬の幸せを謳歌して大地に戻っていくひまわりの花達に、

永遠の愛と感謝と笑顔をこめて。。。



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北竜町のひまわりさん、元気をありがとう!2011  写真(84枚)はこちら


◆ 参考・記事

ひまわりの里「特集記事」一覧


◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子