2014年4月8日(火)
3月26日(水)、北海道指導農業士「渡邊靖範氏 受賞祝賀会」&「高田敏幸氏・山本剛嗣氏永年勤続感謝の集い」がサンフラワーパーク北竜温泉にて開催されました。
左:会場の模様 右:司会・北竜町産業課・有馬一志 課長
北海道指導農業士制度は、次世代の担い手の育成指導や、地域農業の振興に協力する優れた農業者の活動を助長することを目的としたものです。経営実績に優れ、担い手の指導性があり、地域のリーダーとして活躍する農業者を市町村長の推薦により北海道知事が認定します。
原則として、農業士は30歳から45歳くらいまでの農業者。指導農業士は40歳から60歳くらいまでの農業者を対象としています。65歳以上の会員は特別会員扱いとされます。
1971年(昭和46年)創立から現2013年(平成25年4月)までの42年間で、北海道指導農業士は700名(女性56名)、北海道農業士は1,386名(女性36名)が認定を受けています。
平成25年度における全道の新規認定者は、北海道指導農業士34名、北海道農業士50名、そして26名の指導農業士の方々に知事から感謝状が贈呈されました。
認定者への称号贈呈式は、2014年(平成26年)2月18日、札幌全日空ホテルにて執り行われました。
左:会場 右:北海道農業士の皆さん(左から:山外明人 様、永井修 様、高橋孝行 様、伊藤隆幸 様)
▶ 町長挨拶:北竜町・佐野豊 町長
北竜町産業課・有馬一志 課長の司会による開会の宣言に続き、北竜町・佐野豊 町長のご挨拶です。
「渡邊靖範さんは、北竜町では5人目の北海道指導農業士に北海道知事から認定されました。2月の認定式には、北竜町ご出身の北海道庁・竹林農政部長からの伝達となりました。
今日は、北竜町の指導農業士さん、農業士さんが全員お揃いです。北竜町の発展のために皆さんのご尽力を戴きたいと願っています。
長年にわたり、指導農業士としてご活躍を戴いております、高田敏幸さん、山本剛嗣さんおかれましては、知事からの永年勤続感謝状を授与され、そのお祝いも合わせての今日の感謝の集いとさせていただいきます。
今後共、若い農業士さんの手本となるようご指導の程、宜しくお願い申し上げます。
農業士のご指導においては、農業改良普及センター・木俣支所長をはじめ、空知農業改良普及センターの関係の職員の皆様方の多大なるご尽力によるご推薦で称号を受けるものです。改めて、皆様に感謝と御礼を申し上げます。
今年から農政改革で、農業情勢が大きく変化を遂げます。指導農業士さん、農業士さんに一層のお力をいただかなければと思っておりますので、何卒、宜しくお願い申し上げます。
本日ご出席の皆様のご健康・ご多幸をご祈念し、今年も美味しいお米が沢山収穫できることを願い、お祝いの言葉とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます」
▶ 来賓祝辞:空知農業改良普及センター北空知支所・木俣栄 支所長
「高田さん、山本さんにおかれましては、長年指導農業士としての役職を務めて戴き、地域への農業の発展に大きく寄与されてたことに対して、心より感謝申し上げます。
続いて、この度指導農業士になられた渡邊さんにも、これからの様々な分野においてお力をお借りしなけれなりません。
農業士の役割は、認定を受けながらも、なかなかその力を発揮出来ないのが現状です。
一昨年、北空知農業後継者育成支援協議会が立ち上がりました。その発端となったのが、指導農業士さんからの要望で、息子の農業指導が難しい、ということでした。
様々な方法で、後継者の農業指導・支援を行うことが推進されています。いろんな方々の経営の展開を学んでいくことが、若い後継者にとっては、目新しくて楽しい経験となっています。
同協議会が開設する「北育ち元気塾」は、8回程の研修で構成されています。田んぼ・施設園芸・花卉等を見ながら研修を積み重ね、その中で生きた教育が展開されています。今後皆様には、こうした研修・教育の部分でお力添えを戴きたいと願っております。
農業情勢が厳しくなってきております。特にお米につきましては、昨年と同じ量を確保するのは、非常に難しいという状況にあるようです。この水稲地帯においても、複合的に野菜栽培等に力を入れて所得確保を見据えての取り組みが必要かと思っております。普及センターには、各部門毎に得意とする職員がおりますので、指導農業士、農業士の方々と一緒になって、この地域が先頭をきって進められるよう、ご協力の程お願い申し上げます。
御三方のご発展ご活躍をご祈念申し上げて、挨拶の言葉とさせていただきます」
▶ 受賞者挨拶:北海道指導農業士・渡邊靖範 様
「本日は大変忙しい中、お集まり戴き、このような会を開催して戴き、皆様に心から感謝いたします。ありがとうございます。
昨年、知事より永年勤続感謝状が授与された高田さん、山本さんには長年のご尽力に心より感謝申し上げます。今後共宜しくお願いいたします。
今年2月18日札幌にて、本町出身の北海道庁・竹林孝 農政部長より認定証が授与されました。
昭和46年より昨年まで、700人の方が北海道指導農業士を受賞されています。今回34名が新たに加わり、伝統と歴史のある会の一員になったことを自覚し、新たな決意を抱いたところであります。
昨年7月に普及センターの土田さんと役場の長谷さんから「指導農業士推薦」のお話を戴きました。
お役に立てることがあればとお話を受け、それぞれの団体より推薦を戴き、年末に推薦通過のお知らせを戴きました。
私は、高校卒業後、農業につき30年がたちます。色々失敗もあり、喜びもありました。また高校卒業の1年後には、北竜町消防団に入団し、これまで30年程務めてまいりました。その中で、沢山の先輩や後輩、仲間たちといろんな話をしてきたことが、役に立っているのではないかと思います。
今後、若い方々に自分なりの形で、農業の素晴らしさを伝えていければと感じております。
今年1年が災害のない、秋には実りある年になりますことを、皆さんのご多幸をご祈念申し上げて、感謝の言葉といたします。本日は誠にありがとうございました」
▶ 感謝状受賞者挨拶:北海道指導農業士・高田敏幸 様
「私は、平成9年に受賞し、17年がたちました。指導農業士は、65歳になると特別会員として、身体の続く限り皆さんとともに努めてまいります。いろいろなことで意見を述べますが、あまりうるさがられないよう、これからは控えめにしていきたいと思います。
指導農業士の大きな役割は、次の時代を担う担い手を育成をすること、もうひとつは、地域農業に貢献することです。
自分の農業においての道半ばでありますので、皆さんとともに切磋琢磨していきたいと思います。色々な研修の中で、「百聞は一見に如かず」で色々な所に出かけて行って皆さんと一緒に様々なことを学んでいければいいなと思っております。今日はこのような席を設けて戴いたことを嬉しく思い、心より感謝いたします。
本日はありがとうございました」
▶ 感謝状受賞者挨拶:北海道指導農業士・山本剛嗣 様
「北海道指導農業士の受賞に際しては、空知農業改良普及センター北空知支所・土田さんのご尽力あってのことと深く感謝申し上げます。
私が指導農業士になりましたのは平成7年。当時農業委員を務めておりました。空知管内では20名の指導農業士がおりましたが、北竜町にはまだ指導農業士はいませんでした。講習会や研修会での学びの中で、空知管内の一芸に秀でた農業を行っている方々のお話を沢山伺って、大変勉強になりました。
現在、指導農業士、若い農業士の方々が増えて、これからの農業に対してご尽力戴けるものと感じております。私ももう少し農業を続けていきたいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。
皆さんの努力で今年も良い年となりますよう、皆様のご健勝とご多幸をご祈念申し上げて、お礼の言葉といたします。本日はありがとうございました」
▶ 祝杯:JAきたそらち北竜地区代表理事・北清裕邦 様
「皆さん、ご存知の通り、渡邊さんにおかれましては、メロンの二期作に早くから取り組まれておりまして、素晴らしい実績を残されていらっしゃいます。
農協の総会において、渡邊さんは青果の部で第7位になられ、表彰を受けられています。しっかりと栽培技術を身につけられての結果だと思います。おめでとうございます。
高田さん、山本さん、長年に渡っての指導農業士としてご尽力対し感謝申し上げます。本当にありがとうございました。山本さんは、うるち米の部で第5位という良い成績を納められました。『全量一等、全量低タンパク』という面で、卓越した栽培技術をお持ちの証と言えます。
今、北竜町の課題をひとつだけ申し上げます。メロン・すいかの栽培が激減しております。
これから新規就業者の受け入れ等の折には、指導農業士さん、農業士さんのご協力を戴きたいと思います。
今年も春作業が始まり、毎日暖かい日が続いております。このまま順調にいい出来栄えをむかえることができることを願っております。
今日ご参加の皆様の益々のご活躍と今年の豊作を心から願いながら、乾杯をさせて頂きます。乾杯!!!」
この後、盛大に祝賀会が催されました。
乾杯・サンフラワーパーク北竜温泉のお料理
健全な経営実績に基づき、優れた栽培技術を駆使して
命育む農業を歩み続ける人々、
全力を尽くして、地域農業を次世代へと繋げていく頼もしい魂に
大いなる尊敬と感謝と祈りをこめて。。。
▶ 空知農業改良普及センター北空知支所・土田千春 様のお話
指導農業士・農業士の推薦において、町と農家の橋渡しをする重要な要となるのが空知農業改良普及センター。後日、空知農業改良普及センター(深川市)の土田千春様にお話をお伺いしました(3月31日訪問)。
● 指導農業士・農業士の推薦条件
まず、役場からの推薦をもとに、役場・農協・普及センターで検討し推薦者を挙げます。農業経営・収量・技術のそれぞれにおいて一定基準が定められており、通常値以上の実績をあげている方が推薦されます
さらに、新規就農者の育成、体験学習の受け入れが必要となることから、その受入実績があることや、ご家族の賛同・協力が得られることも重要なポイントとなります
指導農業士と農業士は、各々認定要件が分かれています。農業士は30歳代~40歳代の若手の方々で、40歳代後半から65歳までを指導農業士として認定されます。65歳からは特別会員として指導にあたっていただいています
● 北空知指導農業士・農業士会
「北空知指導農業士・農業士会」とは、北空知で農業を営んでいらっしゃる北海道指導農業士・農業士の皆さんで構成されている団体です
北空知管内から、平成25年度は新たに4名が指導農業士を受賞されました
会の構成員は、指導農業士28名、農業士24名です(平成26年2月現在)
◎ 北竜町の指導農業士
山本剛嗣 氏(昭和23生生まれ)平成7年認定
高田敏幸 氏(昭和22年生まれ)平成9年認定
佐藤 稔 氏(昭和30年生まれ)平成15年認定
高田秋光 氏(昭和38年生まれ)平成17年認定
渡邊靖範 氏(昭和26年生まれ)平成26年認定
◎ 北竜町の農業士
伊藤隆幸 氏(昭和49年生まれ)平成21年認定
髙橋孝行 氏(昭和51年生まれ)平成21年認定
永井 稔 氏(昭和52年生まれ)平成21年認定
山外明人 氏(昭和55年生まれ)平成21年認定
● 地域が発揮する教育力:北竜町の農業リーダーの教育パワー
土田さんは「北竜町では、指導農業士が、農業士として推薦された若者に『農業士本来の意義』について熱心にお話をされていてそのパワーは凄い」と驚いていらっしゃいます。
「農業士の仕事には、町の発展・活性のために力を尽くし取り組むという大切な役目があります。
北竜町では、若い農業士が困難な時に、先輩の指導農業士の方々が全力で協力し指導するという姿勢が貫かれています。
北竜町の指導農業士さんは『地域のために、自分の時間をボランティアとして使うことは、10年先、20年先の北竜町の農業のために意義のあることなんだよ』と農業士の本来の意義についてじっくりと若い農業士さんにお話されています。
また、北竜町ならではの取り組みとして、指導農業士と農業士の交流会が開催(年2回)されています。 夏は圃場で視察研修・講習会、冬は温泉で反省会・勉強会。難題が発生した場合には、そのつど勉強会を開催しています。
こうした農業士に対する先輩方々の力強い、熱心なフォローによって支えられ、若手農業士たちは、不安なく、安心して農業士を務めることがでることは本当に素晴らしいことだと思います」
と優しく語る土田さんです。
● 農業士の実践の場である「北育ち元気塾」
地域農業の担い手となる後継者の育成を支援することを目的として、「北空知農業後継者育成支援協議会」が平成24年5月に設立。今年で3年目を迎える
Uターンの方や就農の方が増加傾向にあり、指導農業士さんの要望により設立
協議会は、各市町(深川市、妹背牛町、秩父別町、雨竜町、北竜町、沼田町)と2つのJA(北いぶき、きたそらち)からの負担金で運営
元気塾の塾生は、就農5年以内の農業後継者、女性農業者、研修生を対象。平成26年度は、39名が参加予定
研修期間を1年として、年8回くらいの研修会・講習会が設定
カリキュラムは1年間で完結。希望があれば、3年間(3回)参加が可能
研修会に指導農業士・農業士の方々から直接お話を聞いたり現場を視察したり、実践的な哲学を体験することは、塾生にとって貴重な体験
開講式と閉講式では、指導農業士が講師を務める
期間中の研修会では、現地研修と講義は、農業士が得意分野(稲作を中心に、畑作、園芸、花き、 経営)の農業指導(農業士の現地研修は、6月・7月・8月の3ヵ月を予定)
元気塾では、栽培技術等を学習。最近では、体験談の中でも特に「失敗例」についての質問が増加傾向
失敗したときの対処法や対策についての農業士さんの話は、貴重な経験となっている
農業で戸惑った事、失敗した事、勉強し直したことなど、農業における「自分の歩み」について、農業士さんがざっくばらんに話されている
● 地域の農業発展の要となる普及センターの役割
「技術を伝えながら、地域の中で農家の皆さんが農業経営をしっかり継続していけるお手伝いをすることが、普及センターの役目だと考えています。
農業経営に、第三者の視点を向けることによって、当たり前だと感じてる部分や自分では見えない部分が明らかになり、良い方向に進む場合があります。
農業士さんのお仕事は、今の農業をこれから先の農業へと繋げ、発展させていくことです。
私達の仕事は、そのお手伝いをさせていただくことだと思います」
と土田さんは、一言一言、言葉を丁寧に噛み締めながらお話くださいました。
先人から受け継がれていく町の農業。
町、農協、普及センターが協力しあって
町の農業を支え、これからの農業の発展のために
全力で尽くしていくすべての人々に、
大いなる尊敬と感謝と祈りをこめて。。。
冬の北竜町の田んぼ(サンフラワーパーク北竜温泉を臨んで)
◆ 関連ページ
・北海道の指導農業士・農業士制度の紹介(北海道庁農政部)
・北空知指導農業士・農業士会の紹介(空知農業改良普及センター)
・空知農業改良普及センター 北空知支所
・北育ち元気塾(北空知農業後継者育成支援協議会)
◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子