いつもの様に、ふつうの事がふつうに出来る有難さに改めて感謝するものでございます。
自由が効かず、不便な思いをした事があったもので尚更、有難味を強く感じました。
二年程前、不覚にも滑って転んで左手首を骨折してしまいました。
はじめてのギプスをされて、片方だけの手しか使えない不自由さを味わいました。
その間、そのギプスの圧迫により、顔に似ず柔な肌の持ち主であったのか、手首から肘の間の皮膚が赤く膨れ上がり、火膨れ状態になっていきました。
骨折の方よりも、こちらの方が不安になりかなりな重症患者に見えたようでした。
が・・さすがそこは整形外科の田中先生。あわてる事もなく、優しく丁寧に診てくれて、日時はかかったけれども、その皮膚の方も骨折の方も同時に快方へと向かっていきました。その時の田中先生の手が、魔法使いの手のように見えたものでした。
それからが大変Iリハビリという部門が待ち構えていたものでした。
童顔で若いリハビリの相馬先生と出合い、「お手やわらかに・・・」と懇願するも、すっかり固まった指、手首、しまいには肩までもが思うように動いてくれませんでした。
相馬先生は、その痛さから少しでも気を紛らわせてあげようとして、「今日は空が青いネ、雨もないネ」と世間話を持ちかけてくれていましたが、私には
“そんな天気なんかどうでもいい”
“早く終ってほしい”
只それだけ思っておりました。
普通の人の倍くらいの月日はかかった様でしたが、毎日毎日つらいリハビリを受けてたお陰で、今では当然のごとく以前のように何でも出来るようになりました。
整形の田中先生、リハビリの相馬先生・・・
本当にお世話になりました。
有難うございました。
そうそう、先生以上にも大変お世話になった人がいました。それは我が家のご主人様。
私の毎日の通院での送り迎えから始まって炊事、洗濯、掃除とイヤな顔一つせずに本当によく助けてくれました。
主夫業がすっかり板についたように見えて有難かったものでした。
今は、あの時の恩返しのつもりで、ホステスとは言えないけれども、一寸科をつくって好きなお酒のお酌をしてあげております。
人々に感謝、普通にも感謝・・・
◆ 北竜町民・中村幸子(なかむら ゆきこ)さん
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