認知症サポーター養成講座の内容を私なりにわかりやすくお伝えしたいと思います。精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。

トイレの失敗を防ぐ【No.07】

2016年10月17日(月) 

《秋を楽しみましょう》

ぐっと朝晩の冷え込みを感じる季節になりました。紅葉はこれからの楽しみですね。
季節の変わり目で気候や気温に、体も柔軟に慣れてくれたらいいのですが、風邪をひいたり、体調管理が難しい時期です。「冷えは万病のもと」といいますから、あたかかくお過ごしください。

最近、病院の定期検診で、担当のお医者さんから体重が減量したことを褒められました。具体的な数値はあえて省略(笑)その言葉を励みに、さらに健康な生活を続けていけばいいのですが、この時期、なにかと口に運びたくなります。『食欲の秋だからいいじゃない』と最近は気が緩みがちです。気のゆるみがベルトの緩みにもつながりますから要注意。

スーパーには美味しそうな彩りあふれる食材が並んでいます。北竜町の新米も美味しい!!
美味しいものを健康的にいただくことが大切ですよね。
味覚の秋、読書の秋など、いろんな秋をおおいに楽しみたいですね。

《トイレの失敗を防ぐ》

今回のテーマはトイレでの対応について、お話したいと思います。

年齢を重ねると、機能的な衰えもありますし、感覚が鈍くなることもあると思います。
トイレを使用するたびに、今まで一人でできたことができなくなくなると、失敗して衣服を汚したりすることがあります。

そうした時、どんな気持ちになるのでしょう。誰しも、失敗したいと思ってしているわけではありません。しかし失敗が重なれば、落ち込んだり、自信を無くしてしまうこともあります。わたしたちは周囲に対して、排泄の音も気になるくらいですから、人に見られたくないことですし、失敗してもなかなか困った時は助けをもとめづらいことです。

専門職である介護福祉士としての立場で説明を加えますと、排泄ケアにおいては、人間の尊厳に関わることですから、その方の意向や性格を踏まえ、自立を支援し、羞恥心やプライバシーなど細やかな配慮が大切です。自信の喪失につながるような失敗体験を未然に防ぐといったことも求められることです。

認知症の方がどのような場面で失敗するのか、その対応方法をあげてみました。

トイレの場所がわからずに迷ってしまい、間に合わない。

◯ 対応方法⇒

トイレの場所をわかりやすくする。『黄色・青色』は高齢者が見づらい色との調査結果があります。その方の見やすい色を探り、本人にわかりやすく案内の表示を目線の高さに貼ってみたりするのもよいと思います。

 認知症の方で、場所の認識が弱い方でも「トイレは使用後、水を流しましょう」といった案内を指でなぞりながら、「ああ、ここトイレか」と理解される方もいます。

足腰が弱い方やトイレへの移動が難しい方にはポータブルトイレが便利です。持ち運びやすく軽いものや、部屋の景観を損なわないような家具調ポータブルトイレなどもあります。
排泄用品など、あらかじめ準備したり本人に合ったものを選ぶことで介護の負担も軽くなることがあります。

トイレの座り方、使い方がわからない。

衣服をおろすのに手間取ったり、衣服の上げ下げがわからない。

◯ 対応方法⇒

 トイレでは、ご本人も間に合わないと焦りがあり、手助けをする方も本人が衣服の下げおろしたりするより、手伝ったほうが、早く済ませられるとおもい何でも手伝ってしまうことがあります。すべて手伝ってしまうような対応が習慣化すると、本人も頼りきりになり、しだいに出来ていたことが出来なくなってしまいます。できるかぎり、安心してご自身でできるようにサポートしていくことが望ましいです。

トイレを例にあげてお話ししてきましたが、排泄は人が生活する上で欠かせないものです。人間には『排泄欲』という欲求があります。欲求が満たされることは、すなわち満足するということです。快適に排泄をすませることは、人間らしく生きる上で大切なことです。

介護を仕事する者としては、排泄ケアは生活の質を高めるとても大切な部分です。家庭においても、本人が気持ちよくトイレを終えると、介護している方もホッとしますし、タイミングがあうと一緒に喜んだりすることもありますよね。気持ちの良い関わり方によって喜びや笑顔に通じていきます。


《思いやりの心》

本人にしてみれば、うまくできないことを、恥ずかしいとおもったり、苛立ちを感じたりすることがあると思います。家族で介護される方も、「どうして言ったとおりにしてくれないの?」ともどかしさや時に怒りの感情をいだくことがあると思います。

「どうしてわからないの!」「また失敗!」ととがめたりすることは、本人を傷つけるだけでなく、本人の混乱を招きます。介護をされる方も言ってはいけない事と理解していてもつい口にしてしまうことがあるのではないかとおもいます。

医療や介護サービスを利用しながら、家族で介護される方の精神的負担の軽減を図ったりすることで余裕が生まれることもあります。介護保険制度や介護の相談窓口など利用しながら、介護者がひとりで悩みをかかえこんだり、ストレスをため込まないといったことが大事です。

私自身、認知症サポーターとして、家族で介護をされている方の大変さを理解し、どのような応援ができるのか考えていきたいと思います。

認知症の方に限らず、誰だって理不尽なことを言われれば、決して気持ちのいいものではありません。感情的になり冷静でいられなくなることがあります。その方にもよりますが、感情のコントロールが働きにくくなり、心の中に抱いた感情を自分のなかでおさめることができずに、周囲にあたり散らしたりすることがあります。こういう行動を「問題行動」「異常行動」とみなすのは正しくありません。

その行動(行動心理症状・BPSD)には原因があります。人とのかかわりの中で発生することもあり、接し方次第では症状をやわらげたり、あらわれないようにすることができます。

認知症がすすむと身の回りの事も自分ですることが難しくなりますが、人の手助けがあればできることもたくさんあります。「大丈夫だよ」と優しさと思いやりの心で理解する姿勢が大切です。

今月は町内中学校で「認知症サポーター養成講座」を開催します。どうぞよろしくお願いします。

(参考資料『認知症を知ろう 認知症サポーター中学養成講座副読本』)


ひまわりの里 朝焼け(撮影:香味文香) 
ひまわりの里 朝焼け(撮影:香味文香)


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