2020年9月25日(金)
9月10日(木)、北海道たねの会(久田徳二 会長)のご紹介により、日本共産党議員団の方々との種苗法をめぐる問題についての現地懇談会が北竜町にて開催されました。
- 1 国会議員団の概要
- 2 黒千石事業協同組合(高田幸男 理事長)との対談(於:JAきたそらち北竜支所)
- 3 意見交換
- 3.1 質問:登録されているのは、品種改良された「竜系3号」ですが、「在来品種・黒千石」は、どうですか?
- 3.2 質問:登録品種の「竜系3号」は自家採取しているのですか?
- 3.3 久田氏:
- 3.4 高田理事長:
- 3.5 紙 議員:
- 3.6 その他のご意見:
- 3.7 高田理事長:
- 3.8 紙 議員:
- 3.9 高田理事長:
- 3.10 質問:黒千石大豆(竜系3号)の種は、岩見沢市の生産者・岡山さんが栽培しているとのことですが、厳格な栽培をされていのですか?
- 3.11 質問:「竜系3号」の栽培方法は、普通の大豆と異なるのですか? 農薬使用などに関してはどのように対応しているのですか?
- 3.12 質問:黒千石大豆は、北海道のどの地域でも栽培できるのですか?
- 3.13 黄倉良二 氏:
- 3.14 紙 議員:
- 3.15 黄倉氏:
- 3.16 田村 議員:
- 3.17 黄倉 氏:
- 3.18 久田氏:
- 4 その他の写真
国会議員団の概要
国会議員団メンバー
国会議員団の方々は、参議院・紙智子 議員(共産党)、衆議院・田村貴昭 議員(共産党)、田井共生氏(紙議員秘書)、川邉隆史氏(田村議員秘書)、山口佳織氏(田村議員秘書)、前衆議院議員・はたやま和也氏(共産党)、日本共産党国会議員団北海道事務所・小田一郎 事務局長、北海道たねの会・久田徳二 会長(北海道大学客員教授)、大楠哲平氏(NHK札幌拠点放送局ディレクター)です。

スケジュール
北竜町では、黒千石事業協同組合(高田幸男 理事長)との対談と圃場視察、農事組合法人ほのか(水谷茂樹 代表)の組合員の方々との懇談、そして北竜町で自伐型林業を実践する上井達矢さんとの対談が実施されました。
09:00〜12:00 JAきたそらち北竜支所会議室にて、種子法に関する対談 & 黒千石大豆の圃場視察
13:30〜15:20 農事組合法人ほのか 事務所にて組合員と懇談
15:30〜17:00 サンフラワーパーク北竜温泉内レストラン風車にて、上井達矢さんと自伐型林業について対談
黒千石事業協同組合(高田幸男 理事長)との対談(於:JAきたそらち北竜支所)

元JAきたそらち代表理事組合長・黄倉良二さんお話
配布された資料に基づき、北竜町の農業への取り組みについてご説明されました。

黄倉さんの総合司会のもと、参加者からお話がありました。
参議院・紙智子 議員

北竜町とのご縁
北竜町とのご縁は、1991年(平成3年)。当時、私が参議院比例代表候補として、道内各地を訪問中に北竜町を視察。黄倉良二さんが北竜町農業協同組合の代表理事組合長を務められていました。
当時、子どもたちのアトピーが増加傾向にありました。「子どもたちが食べるものは安全なものでなくてはいけない」という視点から、アトピー性皮膚炎の改善に効果があるとされるお米「ゆきひかり」に取り組んでいる北竜町に、視察で訪問いたしました。
訪問して強く印象に残った言葉として「日本に農業が必要なのか必要でないのか、はっきりしてください」という黄倉さんのご意見。裏を返せば、当時、農業が必要ではないような日本農業の実情を疑問視されてのご発言でした。
後日、国会質問において「日本に農業が必要か、必要でないのか」ということを北海道の地元からの意見として、そのまま提出しました。
「食べものはいのち(生命)」である農業の大切さを強烈に印象付づけられました。
政界の流れ
2001年(平成18年)から、参議院議員として農林水産委員会に所属しています。日本が農産物輸入自由化路線が進む中、「攻めの農政」という効率優先の農業が推し進められ、大切なものが見落とされて行くような流れでした。
現在、8月末の安倍首相の辞任表明で、総裁選びが行われています。内政・外交において行き詰まりの現れだと感じています。抜本的に、大きく政治の方向を切り替えていく大切な時期を迎えていると思います。

今回の北竜町訪問目的
現在国会では、閣議決定された種苗法の改正案に対し、各地から請願署名が集められネット上でも多くの論議が炎上したため、種苗法改正に関しては継続審議となりました。
今回の訪問の目的は、次回の国会での審議に向けて、今の段階でしっかりと調査することです。
農業の現場における農業者皆さんの「自家採種」における努力や苦労など、もし法律が成立した場合における影響や問題等について詳しく聞き取りをして、国会に臨みたいと思っています。
さらに、「種苗法」について、農家の人々にも実情や問題点をしっかりと知っていたただくことも大切であり、正しく伝えていきたい思います。
衆議院・田村貴昭 議員

私は、衆議院議員・農林水産委員会所属、九州沖縄比例代表、北九州出身、1961年(昭和36年)生まれです。
種子法復活案が審議され、また、地方自治体においても条例が制定されており、種子は大切だという流れが生じています。
種苗法改正案は、国内の優良な育種知見を守るための大切な法案として、通常国会での審議入りが断念され、先送りとなったこれまでにない珍しい事例です。
コロナ禍の中で、農業自給率が減少する一方、日本の農業はこのままでいいのかという世論が広がってきています。こうした中、農業の現場のご意見を伺い、議論させていただける機会を得られたことは、とても貴重でタイムリーなことであると心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
黒千石事業協同組合・高田幸男 理事長

黒千石事業協同組合の経緯
私は60歳まで百姓をやっていました。2004年(平成16年)に、北海道で復活した黒千石大豆は、北海道の在来種です。逞しい生命をもっている黒千石大豆を復活させたいという一心で、2007年(平成19年)に法人を設立いたしました。
これまでの15年間に紆余曲折ありましたが、現在、安定した生産と販売を行っております。
2年前の2018年(平成30年)には、当組合が内閣官房及び農林水産省主催の「第5回ディスカバー農山漁村(むら)の宝」に認定されました。全国の応募1,015団体から優良事例32団体が選定。北海道ブロックでは応募98団体から、黒千石事業協同組合をはじめ3団体が選定されました。選定証授与式及び交流会が首相官邸にて開催されました。
幻の黒千石大豆
黒千石大豆は、「安心・安全・自然・健康な黒千石大豆」を掲げ、太陽の力と北海道の土の力で健康に繋がる大豆であることを皆さんにお伝えしています。
種につきましては、黒千石は、「在来種」と在来種を品種改良した新品種「竜系3号」の2種類があります。
在来種は、1942年(昭和17年)に、北海道立総合研究機構中央農業試験場にて、飼料・農家畜の餌、十勝方面の緑肥用として、畑作物優良品種「早生黒千石」と命名されました。しかし、様々な緑肥や化学肥料も開発されたために、黒千石大豆は使用されなくなり、1959年(昭和34年)には登録が廃止され、一旦途絶えてしまいました。
2001年(平成13年)北海道森町の農業研究家・田中淳氏により、黒千石大豆の在来種が発見され、50粒のうち28粒の発芽に成功。幻の黒千石大豆と言われる所以です。
2005年(平成17年)には、北竜町・滝川市・乙部町で黒千石大豆の栽培がスタート。そして2007年(平成19年)、北竜町にて黒千石事業協同組合を設立し現在に至ります。
品種改良された新品種「竜系3号」
収量年間360トン前後を確保して、経営も順調なスタートをきりました。2009年(平成21年)、景気悪化の折、売り先の中間業者が倒産。在庫をかかえたまま、入金の見通しが絶たれ、生産者への支払いが不可能な状況へとなりました。
さらに追い打ちをかけるように、晩秋の降雪により、収穫目前の黒千石の畑が、雪に埋もれるという悪夢に襲われてしまいました。
黒千石大豆は、大豆の中でも、早い時期に播種をスタートさせ、降雪前の晩秋に収穫となるという積算温度(毎日の気温を合計した値)が高い大豆です。

そこで、「早熟、耐倒伏性強、安定多収」を目指して品種改良に取り組むことになりました。
2009年(平成21年)に拓殖大学北海道短期大学・名誉教授、公益財団法人北農会・顧問(前会長理事)である三分一 敬(さんぶいち たかし)先生に黒千石の品種改良を依頼したところ、先生は「分かった、俺が友情で品種改良する」と力強く受けてくださり、人工交配の研究がスタートしました。
2014年(平成26年)には、農林水産省の補助金(3か年)を使い、「北竜町コンソーシアム」を組織化し、品種改良を推し進めました。
研究が重ねられ品種改良された黒千石大豆は、1週間ほど収穫も早くなり、耐倒伏性にも強く、実質的な収量の増加が見込まれる優良大豆として改良されました。
2016年(平成28年)には、育成系統番号「竜系3号」を農林水産省に品種出願し受理され、一般栽培が開始されました。
種は「百姓のはじまり」
現在、生産のほぼ50%づつが、在来品種「黒千石大豆」と品種改良新品種の「竜系3号」に分けられ、区別して生産・販売を実施しています。
「竜系3号」につきましては、品種の開発者である三分一敬先生と利用許諾契約を結んでいます。契約で許諾料を三分一敬先生にお支払いしています。
種は「百姓のはじまり」であり、一番大事な部分だと思います。黒千石大豆の在来種、そして、先生が品種改良してくださった黒千石大豆「竜系3号」を大事に愛情をもって育てていくのが、私達組合員の使命だと感じています。
意見交換
質問:登録されているのは、品種改良された「竜系3号」ですが、「在来品種・黒千石」は、どうですか?
・回答(高田理事長):在来種である「黒千石」大豆は、北海道の各地で栽培されています。
質問:登録品種の「竜系3号」は自家採取しているのですか?
・回答(高田理事長):そうです。岩見沢近郊の岡山秀樹さんの圃場で、「竜系3号」の種用の黒千石大豆の栽培を行っています。
久田氏:
品種改種の登録者が、種の値段を引き上げたり、売ることを拒否しない限り問題は発生しません。
しかし現在は、ゲノム編集の技術を持った外資系企業や国内の大企業が、在来種に限りなく近い新品種を作り出すことが可能になってきます。そのような場合、企業に種の権利を略奪されてしまう恐れがあるので、今後、その点に注視していかなければならないと思います。
高田理事長:
現在、黒千石大豆における問題点として、病害虫・ダイズシストセンチュウ抵抗性が弱いことが挙げられます。そこで、白大豆「スズマルR」を使って、センチュウ抵抗性のある黒千石大豆の品種改良に取り組んでいます。
三分一敬 先生とは、絶大なる信頼感のある人間関係が築き上げられています。先生のご苦労は並大抵のものではなく、人生をかけて黒千石の開発研究に挑んでいらっしゃることに、深く頭がさがる想いです。
紙 議員:
将来的に、大企業によるゲノム技術の品種改良が行われる可能性があることを心して進めていかなければと思います。
その他のご意見:
・例えば、将来的に、遺伝子分析の結果、今の「センチュウ抵抗性の弱い黒千石大豆」を「センチュウ抵抗性のある黒千石大豆」に、ゲノム技術で品種改良した企業が品種登録でき、新しい品種として世に出せるという危険性があるということです。
・もっと多収で、今の黒千石大豆の味と同じで、センチュウ抵抗性があって、早く成長する黒千石大豆を研究開発し、他の地域で売り出して、それが広がってしまったら、黒千石大豆の「価値」を奪われてしまうことになります。
高田理事長:
将来的に難しい多くの不安材料も存在していて、法的な部分においては、アドバイザーなど専門家の方々に相談しながら、その都度対処していきたいと考えています。
しかしながら、こうして人生をかけて品種改良に取り組んでくださっている三分一敬先生をはじめ、苦難を乗り越えて栽培してくださっている生産者の方々、そして長年、黒千石大豆のファンとして応援して支えてくださっている消費者の方々との計り知れない信頼感と黒千石大豆への想いがあります。
この想いがある限り、不安材料を飛び越えて、安心・安全・健康な黒千石大豆の存在に繋がっていけると深く信じて、私達は頑張っています。

紙 議員:
高田理事長が言われたように、消費者との信頼関係はとても大切になってきます。
以前、法律で定められていた種子法(主要農作物種子法)における、主要農作物とは、「米・大豆・麦」を示しています。
規制改革推進会議において提出された資料がお米に関するものだけで、大豆や麦の資料が提出されていませんでした。その時点で、政府の関心はお米に集中していたようです。
今後、政府がどのように勧めていくかわかりませんが、お米は、日本の主食になっているので、種の部分をしっかりと定めていかなければならないとして法律が定められていました。しかし、国はこれを廃止してしまいました。
お米でいうと、三井化学アグロ株式会社のハイブリッドライス品種「みつひかり」は、F1品種のため、生産者が毎年購入しなければならないし、年々種子価格が上がっているので、生産者にとって心配が尽きないお米です。
今回、何故、種苗法を改正するのかという基本的な質問に対しては、政府の「日本で作った優良な育種知見が、海外に流出されるのを防ぎ、知的財産権を守ること」を目的とする点においては、皆も賛成しています。
しかし、それを実施するための具体的な法改正の中身というと、これまで自由に行われていた自家採種も禁止となります。
品種登録されていない在来種と一般品種については許諾は必要ないので、法改正後もいままでとほとんど変わらないとされていました。しかし、実際調べてみると、北海道には、登録品種が数多くあることに大変驚きました。
農家の方が登録品種を使い、自家採種によって、突然変異的に優れた品種が作りだされていることもあります。農家の方々の努力で受け継がれているものを禁止するのは、農家の権利を奪うものになってしまうことになりかねません。

高田理事長:
黒千石大豆においては、「地域団体商標」を登録しようと試みたのですが、黒千石大豆は、北海道の各地で栽培させており、固定した地域ブランドを確保することは難しく登録は不可能でした。
質問:黒千石大豆(竜系3号)の種は、岩見沢市の生産者・岡山さんが栽培しているとのことですが、厳格な栽培をされていのですか?

回答(高田理事長):
「三分一先生の自宅の近くに岡山さんの圃場があり、三分一先生が、定期的に圃場を訪れ、点検見守りを行っています。そこで採種した種「竜系3号」は、全量を黒千石事業協同組合(北竜町)の倉庫に集荷し保管しています。
また、在来種については、黒千石事業協同組合(北竜町)に集荷した種の中で、最も優良な豆を選んで、翌年の種とし、各地域の生産者に配っています。
収穫した豆も播種用種も、全量すべて一括して、黒千石事業協同組合が管理しています。倉庫では、在来品種「黒千石大豆」と品種改良種「竜系3号」を完全に分けて、混じり合わないようにしっかりと管理して保管しています。
質問:「竜系3号」の栽培方法は、普通の大豆と異なるのですか? 農薬使用などに関してはどのように対応しているのですか?
回答(高田理事長):
各地区によって栽培方法は異なり、地元農協の指導に応じて栽培されています。できるだけ除草剤などを使用を抑えて栽培しています。
この黒千石大豆は、開花してから豆が熟成するまでに、マメシンクイガ(病害虫)が発生します。美味しい豆には必ず入ってきて、豆を食べてしまうというかなりやっかいな虫です。開花してから1〜2回、この害虫の防除のための殺虫剤散布を実施しています。
更に使用した農薬など、栽培履歴については、生産情報トレーサビリティーが確保され徹底した管理をしています。今回、精度の高い色彩選別機械の導入を進めています。
質問:黒千石大豆は、北海道のどの地域でも栽培できるのですか?
回答(高田理事長):
寒暖の差の大きい地域が栽培に適しています。北海道では、上川地方士別市に栽培圃場がありますが、現在ここが北の限界地区となっています。
さらに、黒千石大豆は、普通の大豆より積算温度が高い豆です。
積算温度とは、種を植えてから実が成熟するまでの毎日の気温を足した合計の温度で、通常の豆が2,300度なのに対し、黒千石は2,700度で、日照時間を多く必要とします。
それだけ、太陽の力(光)をより多くいただいて育つので、甘みも美味しさもある、逞しい豆なのです。
また黒千石大豆は、他の豆より播種が早くて、収穫が遅い作物です。
播種は5月連休明けに、すぐに行います。播種が早いと霜・雑草・虫などの問題も発生します。収穫は10月末で、降雪直前になるので、収穫の判断が大変難しい作業となります。
また、黒千石大豆は、とてもデリケートな豆で、天候に敏感に左右されるので、その年の収穫量も変動が大きくなります。
健康志向の消費者の方々が年々増加傾向にある世の中です。添加物のない、自然の力で育った食べ物をいただくことが健康に繋っていくと考えています。
黄倉良二 氏:
近年、アトピーの人が年々増加しています。最近の研究では、お米「ゆきひかり」が米アレルギーの抑制に有効であるという研究結果が確認されています。
北竜町では、お米「ゆきひかり」の栽培を続けています。このお米は、作付け面積が激減し、ホクレンでは2年に一回の種の供給となっています。北竜町では、この品種を絶やしてはならないと、毎年、自家採種をしています。こうした優良な品種が減少し、その価値が見失われていくことに危機感を抱いています。
紙 議員:
今回の種子法廃止の目的が、「知見」の海外流出防止とされています。さらにこれまで国が管理し研究し、国と農家が、長い年月をかけて苦労して生み出した優良品種である種子を、民間に提供するとされています。
法的な管理のもと、試験場等で実施されていたので、設備もお金も人も必要でした。政府は、いままで培ってきた知見を民間に提供しなさいという通知を出しています。その提供先である民間には、海外企業も入っているというのです。そこに矛盾が生じます。それでは、優良品種が海外へ流出するのを促してしまうことになりかねません。
海外に種子が流れた、シャインマスカットやイチゴなどにおいても、農水省が国として海外で登録をしておけば、海外流出が防止できたかもしれませんが、やっていませんでした。
その責任を、農家の自家採種に向けていることは、おかしいくないですか
黄倉氏:
農家では、「合理的科学的に広く民間に技術を提供することによって農業が前進する」のではないかと、錯覚しています。実情をしっかりと把握してないがために、反対者が少なく驚いています。
「種は生命の源」です。これまで、こんなに大切にしていたものを、今になって何故、改正しなければならないのか理解できません。
田村 議員:

政権、財界、外資系企業、その先にあるものの正体が、何であるのかを考えていかなければならないと思います。「画一化されたものを対価を払って買ってください。それ以上のものはやらないでください。それが一番安定的な事ですよ」と、表現しているように思われます。
海外への知見流失防止といいながら、水際作戦はどうするのか? 種をポケットに入れれば、海外へ持っていくことは容易なことなのです。本当に海外への知見流出防止をしようとするならば、農水省が言っているように、国同士で登録しあうことが一番いいことだと思います。
それを、現場である農家のせいにしていること自体、本末転倒であり、その先の透けて見えるものは何なのかを見ていかなければならないと思います。黄倉さんが言われているように、「危機感」が急速に高まってきているように感じます。
黄倉 氏:
コロナ禍で、海外に依存し続けられない食料があることがはっきりしてきました。巨大な資本に参加させて、価値の高い物だけを育成していく。しかも自国で、それも地元の農家が自ら育成することは規制される。
一番大変なのは、消費者です。規制されて作られたものしか手に入らないのが消費者です。高い代価を払はなければなりません。
食べ物は、先人が生命を守ることを連綿とやり続けました。生きるための食べ物を大切にしてきました。
久田氏:

戦前、日本はずっとお米の国でした。戦後日本に、アメリカが余った小麦を持ってきて、全国でパン食のキャンペーンを展開していきました。
学校給食を次々にパン食に乗り換えていきました。パン、スパゲッティ、食べ方、作り方等を流行させ、日本は30年でご飯食からパン食にひっくり返ってしまいました。
今朝の新聞にも掲載されていましたが、この話は1980年から始まっていました。40年間かけても尚、今でも追求し続けているのです。このスパンの長さは凄いものです。
食習慣を変えるには、長い時間がかかります。人が何を選択して、どんな食を選ぶか変えるのは時間がかかります。
今、海外のメジャーになっているものは、「米」です。北海道以外の都府県には、民間のお米がかなり入ってきています。お米「みつひかり」は、38都県ですでに作られています。三井化学アグロ株式会社は、ここ2〜3年で、自分たちの米の販売を100倍にも増やすと計画しています。目的にしているのは、「米」です。
戦後、日本人に「米」を諦めさせて、小麦文化を押し付けました。ある程度は成功したのですが、まだ残っているので、自分たちの知的財産で掠め取ってしまおうという大きな力が働いているのではないかと考えられます。
こうして、メジャーが日本の農家を自分たちの方法に染めていきます。「米」を支配できるようになれば、豆や野菜も支配の手が伸びていきます。くれぐれも、今まで苦労して作り上げてきた作物を大事にして守っていっていただきたいと思います。
田井共生様(紙議員秘書)のご配慮で、国会議事堂議員バッチ飴(りんご風味)・議事堂飴(サイダー風味)が皆さんに配られました!!


ここで、黒千石事業協同組合との懇談会を終了し、高田理事長の案内にて、サンフラワーパーク北竜温泉前に広がる黒千石大豆の圃場を見学。
高田理事長の説明受けながら、黒千石大豆の生育様子を観察。黒千石大豆は、青々とした成長途中の枝豆状態でしたが、生のままで試食。
黒千石大豆は、普通の大豆(枝豆)に比べ、毒性がないので、枝豆の時期に生のままでも食べることができるという高田理事長のお話でした。





見学後、各自でサンフラワーパーク北竜温泉内レストラン「風車」にて、ランチタイムとなりました。
その他の写真
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子