2026年4月7日(火)
北竜町の大地が目覚める春、100ha 分の「いのち」が芽吹く
4月に入り、まだまだ町のあちこちに残雪の風景が広がっています。みずほ圃場の育苗ハウス内には、雪が残っていません。
「今年は雪溶けが早かった。ハウス内の除雪作業なしで、そのまま春作業に入れました」。
北海道の農家にとって、この一言がどれほど大きな意味を持つか。例年であれば、ハウスの中の雪をかき出す重労働から春が始まります。それが今年は不要だった。自然が農家の味方をしてくれた春。株式会社みずほの2026年シーズンは、穏やかな追い風とともに幕を開けました。
6棟のハウスに宿る、100ヘクタールの夢
株式会社みずほが水稲の育苗に使うビニールハウスは6棟。長さ100メートルが6本、合わせて「100町分(約100ヘクタール)」の苗を育て上げます。
取材に訪れた4月上旬、職員たちはハウスパイプへのビニール紐がけ作業の真っ最中でした。横棒の取り付け、ビニールの巻き付け、押さえ紐の設置、それぞれの持ち場で、手際よく黙々と作業が進みます。
「風のない日を見計らって、ビニールがけをするんです。週明けの条件が揃う日を予定しています」。
10人のチームが動かす、大規模農業の現場
現在、株式会社みずほでは役員・職員合わせて10人体制で春作業を進めています。播種(種まき)シーズンには、さらに2人が加わる予定です。
中村隆浩さん(札幌在住・即応予備自衛官)
「自衛隊を辞めようと考えた時期、農業が自分に合っていると実感しました。自然の中で身体を動かすのが好きなんです」。
みずほとの出会いは、新規就農フェアで農場長の櫻庭さんに声をかけてもらったことがきっかけ。元自衛隊員の規律と体力が、農業の現場で新たな輝きを放っています。
佐藤勇樹さん(新十津川在住)
「以前は北流のダンボール会社で働いていました。後藤さんのお母さんにみずほを紹介していただいたんです。機械が好きで、外仕事も好き。新十津川からの距離も苦にならないので、こちらで働いています」。
農業は重労働というイメージを持っていたという佐藤さん。しかし実際に働いてみると、農機を使った作業が多く、体にも合っていると感じています。機械への愛着と、広い空の下での仕事——それが佐藤さんを北竜町の田園に引き寄せました。
小松努さん(深川在住・小松正美代表の長男)
「3月まで、きたそらち農業協同組合(深川市)に勤務していました。父も年をとってきましたし、実家ですので、後継者として決意しました」。
農作業の年間の流れは理解しているものの、実際に手を動かすのは今年が初めて。不安を正直に打ち明けながらも、その眼差しには確かな覚悟がありました。
「農業に新しくトライするチャンスは、これからもあると思います。是非、挑戦していただきたい」。
自らが新参者であるからこそ、その言葉には重みがあります。
密苗の心臓部——育苗箱と種もみ浸水タンク
次の工程として、種もみを水に浸ける準備、いわゆる「水槽づくり」が始まります。
倉庫の中には、今後、特注の浸水タンク(AQUA PRO AQ-300)が3基、横一列に設置が予定されています。
「ここに3基並べて水を張り、種もみを水につけます。その後こちらに移して温度をかけ、発芽させます。種もみがハトの胸みたいにぷくっと膨らんで、芽が出る寸前くらいになったら、播種の準備をします」。と長谷川清隆さんが説明。
種もみはあらかじめ農協で温湯消毒が施されており、浸水時には酢も加えられます。長年の経験と科学が組み合わさった、緻密な工程です。
一方、倉庫の一角には密苗専用の育苗箱が天井近くまで積み上げられていました。その数、全使用量の約3分の2。まだ増やせる余地があると言います。
西野友也さんが一枚の育苗箱を手に取り、説明してくれました。
「ポット苗の場合は1つ1つに穴があいていますが、密苗の育苗箱は全体がマット状になっていて、根がこの箱の中で絡み合って真っ白になるんです。トラクターで踏みつけない限り、まず壊れない。何年でも使えます」。
密苗田植機——スマート農業の最前線
倉庫の奥に整然と並ぶ、ヤンマー製の密苗専用田植機5台。その存在感は圧倒的でした。
「カーブキーに苗を満載したら、無補給で大体3反(約30アール)ほど植えられます」。
ポット苗の田植機と密苗の田植機では、構造が根本的に異なります。ポット苗の場合は苗箱ごと田植機にセットしますが、密苗の場合は箱から苗のマットを取り出してセットします。田植機の苗箱は常に外に出したまま。この違いが、作業効率を大きく変えます。
さらに特筆すべきは、GPS自動直進機能の搭載です。
「A地点とB地点をスイッチでセットするだけで、その間は自動でまっすぐ走ってくれます。シンプルだから壊れにくい」。
「一人のオペレーターが直進を自動制御に任せながら、前後の植付け状況を確認する。100ヘクタールを5台・10人・10日間で植え終える計画は、こうした技術の積み重ねによって実現しています。
田植えは5月15日から開始予定。1日1台あたり約2町(約2ヘクタール)のペースで進め、5台合わせて1日10町、午後3時頃には作業を終えるという設計です」と丁寧に説明してくださった西野友也さんと長谷川清隆さんです
今後の作業予定——大地と対話しながら
- 4月下旬:とうもろこし播種(6棟のうちのハウスを活用)
- 4月27日〜:水稲播種(密苗ななつぼし)スタート
- 5月連休明けごろまで:育苗期間(約18日間)
- 5月15日〜:田植え開始(5台体制・10日間で完了予定)
- 7月中旬まで:レーザーレベラーによる水田均平作業
今年の作付品種は「ななつぼし」に統一。品種を絞ることで、管理の標準化と出荷計画の単純化を図ります。
「播種したものが芽吹いてくる中盤の頃に、ぜひまた来てください。一番見応えがありますから」と温かくお声がけくださいました。
大地の声を聞きながら、確実に季節を刻んでいく、株式会社みずほの春は、今まさに動き始めています。
みずほ’s REPORT
みずほさんから、営みに関する画像をいただいておりますので、ご紹介いたします。
4月2日(木)自衛隊の方と打ち合わせ
4月6日(月)6棟テントかけ
07:30頃から風が弱くなったタイミングで、6棟(100m)一斉にテント掛け。
Youtube動画
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