2025年12月12日(金)
- 1 【北竜町こども議会】未来を創る11名の小学生議員たち。大人と子供が「本気」で向き合った、魂の対話
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【北竜町こども議会】未来を創る11名の小学生議員たち。大人と子供が「本気」で向き合った、魂の対話
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窓の外は、静かに雪が降り積もる銀世界。 しかし、2025年12月11日(木)、北竜町役場の議場は、真夏のような熱気に包まれていました。
「令和7年 北竜町こども議会」。主役は、真竜小学校の6年生、11名の員たちです。
これは単なる体験学習ではありません。 彼らは「お客様」ではなく、この町で暮らし、この町を愛する「一人の町民」として、大人たちに問いかけました。
そして大人たちもまた、役職の肩書きではなく、一人の先輩として、真摯に向き合いました。

開会:これは「あなたたち」の議会です
午前9時、緊張した面持ちで議席に着く少年少女たち。 中村尚一議長、そして佐々木康宏町長からの挨拶が、この議会の「重み」を決定づけました。
北竜町議会 中村正一 議長 挨拶

「小学生議員の皆さんには朝早くから、そして保護者の皆様には傍聴という形でご参加いただき、誠にありがとうございます。
こども議会は平成18年(2006年)から始まり、一年おきに小中学校交替で行っています。今日は皆さんから10件の一般質問が行われます。
佐々木町長、田中 教育長は滅多に答弁に困る2人ではありませんが、今日はひょっとしたら鋭い質問で困ることもあるかもしれません。
すぐに対応できるもの、検討が必要なもの、難しいものがあるかもしれませんが、『どうしてダメなのか』を理解できるような説明をしていただけると思います。
皆さん、今は11〜12歳だと思いますが、25歳になれば北竜町議会議員になれます。12、3年後、機会がありましたらぜひ議員になっていただくことも期待しております。
間違っても全然心配ありません。自信を持って最後まで質問してください」。
北竜町 佐々木康宏 町長 挨拶

「グッドモーニング!先日、オーストラリアとのオンライン交流を見せていただき、皆さんが一生懸命英語を使っている姿を見て、私も『おはようございます』ではなく『グッドモーニング』とさせていただきました。
私は『こども議会』という言葉は、なんだか大人目線ではないのかなと気にしているんです。小学生議会、中学生議会。皆さんが主役の、皆さんの議会ですから、そういう思いで臨んでいただきたい。
平成18年に中学生から『パソコンが欲しい』という要望が出され、当時の教育長はすぐに650万円という大きな予算をかけて叶えてくれました。そういう歴史があります。
今日は一生懸命お話ししていただいて、それを叶えるために私たちもいます。一生懸命な質問には、こちら側も一生懸命お答えさせていただきます。
そして、藤田悠乃 議長の凛とした進行により、いよいよ一般質問の火蓋が切られました。

一般質問1:スキー場の活用について
質問:1番 議員

「スキー場でのイベントについて質問いたします。
今はスキー場でやっていたイベントが、改善センターのところでやっています。
スキー場でのイベントは、スキーやスノーボードの大会ぐらいしかありません。もっとスキー場でもいろいろなイベントを予定すると、町の人がコミュニケーションをとったり、スキー場の利用客が増えたりして、北竜町が賑やかになると思いました。ご検討ください」。
答弁:田中佳樹 教育長

「質問してくれた皆さん、勇気を持って出していただき本当にありがとうございます。
新型コロナウイルス感染拡大以前は、町民スキー大会に合わせて『雪んこ祭り』も同時にスキー場で開催されていました。しかし、駐車場が狭い、滑り台等の設置が大変であるなどの理由から、現在は別々に開催しています。
別々に開催した方が駐車場も広く、多くの町民の皆様が集まりやすいと考えていますが、皆さんはどのように思うでしょうか?ぜひ意見を聞かせてください。
北竜町では今、冬でも『ひまわりの里』を活用した雪の遊び場の設置を考えています。この計画と連携して、スキー場でイベントを行ったり、町民以外の方にもスキー場での催し物を開催していただくことも考えられます。
スキー場をたくさんの方にご利用いただけるよう、これからも様々な方法を考えていきたいと思います」。
一般質問2:公園の環境整備について
質問:2番議員

「草刈りや落ち葉拾いについて質問いたします。
今の公園は草がたくさん生えていて、遊びづらいので草刈りをしてほしいです。秋になると落ち葉がたくさん落ちていて、汚いので落ち葉拾いをしてほしいです。
このようなことがもし改善されたら、公園で遊ぶ人が増えると思います。よろしくお願いします」。
答弁:佐々木康弘 町長

「町には児童公園が6箇所、その他に金比羅公園と碧水公園があります。
草刈りは『シルバー人材センター』といって、60歳から80歳くらいまでの方々が中心になって行ってくれています。
年に2回、町内会にもお願いして全部で4回くらいやっていますが、議員の言うように、なかなか綺麗にならない部分もあります。
できるだけ綺麗に使いたいと思っていますが、公園の数が本当に8箇所必要なのかという議論もあります。少し減らして、その分、一箇所を集中的に管理することも考えています。
私が小学校の時、公園で落ち葉を集めて焼き芋をしたんですが、消防の人にとても怒られました(笑)。
そういう冒険ができるような公園ができればいいなと思っています。皆さんの自由な発想、やりたいことをやる、失敗してもやり直せる、そんな場所作りを一緒に考えていきたいです」。
一般質問3:遊具施設の設置について
質問:3番議員

「遊具施設の設置について質問いたします。
北竜町には、秩父別町の『キッズスクエアちっくる』みたいに子どもたちが遊べる場所は少ないかと思います。
隣の妹背牛町には、子どもたちが遊べる『遊水公園うらら』があります。子どもたちが自由に遊べることはとても大切なことだと思いますので、北竜町にもこのような遊び場を作るべきだと思いますが、どうでしょうか」。
答弁:佐々木康宏 町長

「皆さんのお父さん、お母さんからも同じ要望が寄せられています。
先ほどお答えしたように、児童公園を少し減らしながら、その代わりどこかに皆さんが満足できるような公園、遊ぶ場所を作ることを今考えています。
秩父別町の『キッズスクエアちっくる』は10億円という大きなお金を使って作りました。大きなお金はすぐには難しいかもしれませんが、皆さんが遊べて、お父さんお母さんも一緒に過ごせる場所を考えています。
今、北竜町では、小中学校を一つにして9年間の学校(義務教育学校)を作ろうとしています。その新しい学校の計画の中で、皆さんが楽しく過ごせるような、そんな学校にしたいと考えています。3年後になりますが、皆さんの意見を反映させていきたいです」。
一般質問4:改善センターの休館日について
質問:4番議員

「改善センターの休館日について質問をいたします。
今、改善センターの休館日は月曜日です。月曜日は学校が早く終わります。学校が早く終わったし、改善センターに行こうと思っていても、月曜日が休館日で遊べません。
もし休館日を日曜日にしたら、改善センターに来てくれる人が増えると思います。日曜日を休館日にして、その日に清掃などをすれば清潔を保てますし、遊びに来てくれる人も増えると思ったので、休館日は日曜日にしてほしいです。ご検討よろしくお願いします」。
答弁:田中佳樹 教育長

「議員は他の町の情報も調べて質問されていましたね。素晴らしいです。
現在は、開館日にはできないメンテナンス作業を月曜日の閉館日に行っています。また、日曜日を休館日にすると、日曜に行われているスポーツ大会やトレーニングルームを使いたい方が利用できなくなるという課題もあります。
ただ、町では現在、学校と公民館、改善センターを合わせた『複合施設』の建設を計画していて、その時には休館日をなくすよう計画しています。
新しい施設ができるまで時間はかかりますが、教育委員会では、新施設ができるまでの間も休館日の廃止に向けて検討中ですので、もうしばらく時間をいただきたいと思います」。
一般質問5:街灯の明るさについて
質問:5番議員

「街灯について質問いたします。
街の中の街灯をもっと明るくしてほしいです。私は10月の初めの頃、18時半ぐらいに歩道を歩いていたら、街灯が暗いことに気がつきました。
よく見えなくて不安な気持ちになりました。このままでは怪我や事故が起きてしまうと思います。そのため、街灯をもっと明るくしてほしいです。よろしくお願いします」
答弁:佐々木康宏 町長

「街灯は暗い。本当に暗いですね。私も歩いていますが、年を取ってなおさら見えなくて、ぶつかりそうになることもあります。
今の街灯は、北竜町誕生100年を記念して平成3年(1991年)に作られたものです。
その後、平成21年(2009年)に『マイマイガ』という蛾が大量発生し、虫が集まりにくいLED電球に交換しました。それが今日まで続いています。
今の『ひまわり街灯』は建ててから30年以上経っているので、未来に向けた町づくりとして、新たな街灯を建てることを計画しています。
(新しい街灯のイメージ図を見せながら)虫が寄らないこと、そして上に雪が積もらないデザインを考えています。
また、横に町のイベントなどのPRができる表示機能もつけたいと思っています。皆さんが安心して通学・通行できるように考えています」。
一般質問6:熊対策について
質問:6番議員

「熊対策について質問いたします。
最近、ニュースでクマが出没し、たくさんの人が怪我をしているのを聞きます。今年、北海道では被害件数が65件、死亡者が5人、目撃情報も410件あります。北竜町でも多くの目撃情報が出ています。
例えば、クマは耳が良いらしいので、公共の場の近くをパトカーなどが見回りをしたり、暗くなるのが早い時期は6時になったら外出を控えるよう防災無線で呼びかけたりするのはどうでしょう。
少しでもクマ被害を防げると思うし、町のみなさんが安心して暮らせると思います。ご検討よろしくお願いします」。
答弁:佐々木康宏 町長

「議員、ありがとうございます。クマ被害は今や『災害級』と言われています。国会でも議論され、国を挙げて対策を考えています。
北竜町でも今年は14頭のクマが捕獲されました。本来は臆病な動物ですが、最近は人に慣れてしまい、住居の近くまで来るようになっています。山の実り(エサ)が少なかったことも原因の一つです。
防災無線について、今は『出ました、気をつけて』という事後放送ですが、竹林さんの提案のように『出る前の注意喚起』も検討したいと思います。
町内ではお巡りさんや、猟友会のハンターさんたちが一生懸命協力してくれています。町みんなで町民を守る対策を、これからもしっかりと行っていきます」。
一般質問7:宿泊施設の拡充について
質問:7番議員

「北竜町の宿泊施設について質問をいたします。
私は観光客がたくさん泊まれるような宿泊施設を北竜町に増やしたらいいと思います。
夏にひまわりを見に来てくれた観光客が、1日で帰ってしまうのを見て、もっと北竜町を楽しめるように、多くの人が泊まれるホテルやコテージなどを作ったらいいと思いました。
そうなれば、北竜町がもっと賑やかになり、発展すると思います。
答弁:佐々木康宏 町長

「今は『サンフラワーパーク』しか宿泊施設がありません。昔は『大正館』という旅館もありましたが、なくなってしまいました。
まずはサンフラワーパークのお部屋をもっと楽しく、綺麗にしたいと考えています。
また、美唄市では建設業者が空き家をリノベーションして、無印良品の家具や綺麗なキッチンを入れた素敵な民泊を作り、成功しています。
北竜町にも建設業者がたくさんあるので、そういった取り組みができないか声をかけていきたいと思います。
さらに、10月に公民館で行った『クラフトマルシェ』のようなイベントを増やしたり、『わくわく未来創造館』という新しい拠点を作ったり、移動できる『トレーラーハウス』を活用した宿泊やお店の可能性も計画しています。
皆さんのアイディアで、町の未来は変わります」。
一般質問8:夜のひまわりまつりについて
質問:8番議員

「夜のひまわりまつりについて質問いたします。
私は夜のひまわりまつりの花火もきれいだけど、ひまわりは使わないで、真っ暗でひまわりが見えないともったいないので、ひまわりをライトアップしてはどうかと考えました。
もし、ひまわりの里の営業時間を長くし、ライトアップすると、観光客も増えると思います。継続してライトアップしていただければと思います」。
答弁:佐々木康宏 町長

「実は昔、ライトアップをやったことがあるんです。でも、その時は虫がすごくて……大失敗しました(苦笑)。ですが、今はLEDなど虫が集まらないライトもあります。
私は『やらない理由』は絶対に言いません。なんとかやれる方法を皆で考えて、やりたいと思います。失敗した担当者も悔しがっていますから、リベンジしたいですね。
今年はアイドルライブやプロレスなど新しいイベントを行い、1か月で23万7000人の方が来てくれました。夜のイベントができれば、さらに多くの人に来てもらえるはずです。
来年はひまわりまつり40周年。皆さんの企画やアイデアをぜひ教えてください。一緒に挑戦しましょう」。
一般質問9:町内での習い事について
質問:9番議員

「習い事について質問いたします。
私は習い事のために町外へ通っています。デマンド交通も利用しています。
北竜町内で習い事をしたいと思うのですが、今は町内にはそうした機会があまりありません。
町で習い事の先生を呼んで、公民館などで、週に1回くらいで習い事ができないでしょうか。ご検討ください」。
答弁:田中桂樹 教育長

「議員の質問に答える前に、一言。先ほどの議員は他町の情報を調べ、ある議員は体験を語り、そしてある議員は数値を明確にしていました。本当に素晴らしい視点です。
習い事についてですが、町では今、環境を整える準備を進めています。
今年度の夏休みから始めた『オンライン公設塾』もその一つです。また、11月からは新しい習い事として『ダンススクール』を開設しました。
現在、小学生6名が参加しており、これからは低学年向けのクラスも開設予定です。すべてを開設できるかはわかりませんが、たくさんの人の力を借りながら、選択肢を増やす努力をしていきたいと思います」。
一般質問10:お店・コンビニの誘致について
質問:10番議員

「北竜町のお店について質問いたします。
北竜町にはチェーン店やコンビニなどがあまりないので作ってほしいです。
今は街中に買い物できる場所が『ココア』ぐらいしかありません。コンビニは『セイコーマート』しかありません。外食などのチェーン店もあまりないので、大きな市や街に出かけることになります。
もし町にコンビニやチェーン店ができたら、町の人たちは生活が楽しく、楽になると思います。ご検討よろしくお願いします」。
答弁:佐々木康宏 町長

「北竜町には、平成30年(2018年)に町が建てたスーパー『ココア』があります。これはお金儲けのためではなく、町民がいつでも生鮮食品を買えるように作った、北海道でも珍しい『町営スーパー』のような場所です。
そして『セイコーマート』。チェーン店ですが、本当に町民のことを考えてくれています。
配達に行ったらゴミを持って帰ってあげたり、お年寄りに『元気ですか』と声をかけたり、頼まれたら物を届けたり。
町が応援したくなるようなお店がセイコーマートです。コンビニをもっと増やしたいという気持ちもわかりますが、まずはココアやセイコーマートといった、今ある素晴らしいお店にもっと磨きをかけてほしい。『ローソンに負けないぞ』というくらい、皆で応援してほしいと思っています。
小さい町でも、君たちが輝くような町を作りたい。ただ単にお願いだけで終わるのではなく、10年、20年先の未来につながるいい機会だと思っています」。
閉会:未来へのバトン
全ての質問が終わり、渡辺広斗 議員が代表してお礼の言葉を述べました。
「今日は質問に答えてくれてありがとうございました。こども議会をやってみて、議会の仕組みを知ることができました。
今日の議会で、未来の北竜町がより良いまちになるように、私たちも頑張ろうと思いました」。
この言葉に、会場からは温かい拍手が送られました。

北竜町の現状において、大人が抱える事情や、現在進行形の計画、そして「なぜ今あるものが大切なのか」を、子供たちと同じ目線で語り合った1時間。
そこには、世代を超えた「信頼」と、北竜町が大切にする「和の心」が確かに息づいていました。
11名の小学生議員の皆さん、本当にお疲れ様でした。皆さんが投げかけたボールは、しっかりと大人たちの胸に届いています。
そして、そのボールを投げ返すのは、これから大人になる皆さん自身でもあるのです。

北竜町の今ある現状をしっかりと受け止め、こどもも大人も共に考え、きらりと輝く未来の北竜町を目指し共創していく頼もしい「こども議会」に愛と感謝と祈りを込めて。。。
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