2020年9月25日(金)
農事組合法人ほのかとの懇談後、サンフラワーパーク北竜温泉内レストラン風車に場所を移動し、北竜町で自伐型林業に取り組む上井達矢さんと懇談しました。

自伐型林業についての懇談
▶ 紙 議員:自伐型林業については、伐採するだけではなく、自然を残し山を作っていく意識をもって林業を行っていくことを知りました。
まず、上井さんが、どんなきっかけで自伐型林業に取り組むようになったのかをお聞かせいただけますか?
▷ 上井さん:もともと自然が好きで、林業には興味があり、調べたら、新しい形の林業があることを知りました。林業は、自然から富を得ているのに赤字と聞いて、疑問を持ちました。そこで、自伐型林業を知り、これだったら自然を守ることができるのではと実感しました。
大学では、野生動物に関することを学び、特にエゾ鹿の研究をしました。その後、白老の(株)大西林業で2年間修行をしました。
自然が大好きだったことと、もうひとつのきっかけは、森に住みたいなぁという願望があったことです。さらに、雇われたくないとも考えていて、自分のセンスで仕事をしていきたいと思っていました。
去年の終わりまで(株)大西林業で働いていましたが、退職し山を探しました。条件にあったのが北竜町の山でした。今年の1月に山を購入し、4月に引っ越し、林業をスタートしました。
森林・山村多面的機能発揮対策交付金を利用しています。3年間で作業道をつけて、薪をベースとして、その他にも色々、白樺の樹皮の利用(白樺の樹皮はとても丈夫で、可能性を感じています)、白樺の樹皮で編んだ篭、白樺の根っこ、笹の葉茶、メープルシロップなどいろいろあります。また、薪割り体験、クワガタ捕り、ヤチブキの山菜採りなど森の中のいろいろな価値を見出していきたいと思います。
北海道の山は、まだ広葉樹が残っているので、自然災害にも強い、持続的な山作りを目指していきたいと思います。普通だと捨ててしまうような、立ち枯れのカラマツも利用していきたいと思います。

作業的に困難で難しい素材生産を中心にやっていき、加工品制作は、主婦などやりたい方に素材を提供していこうかなと考えています。
▶ 質問:ご夫妻二人でやってらっしゃるのですか?
▷ 上井さん:実は、交付金を受けるには団体が条件になっています。沼田町のご夫婦、新十津川の方等、林業に興味ある方と一緒にやっています。妻もメンバーの一員です。
▶ 紙 議員:自伐型林業を実践する人が日本で増えてきています。若い人々が多く、危険な作業なので、成り立っていけるようにどのようなことが必要なのか、私達も勉強していかなければなりません。どんな支援が必要ですか?
▷ 上井さん:林業を望む皆さんは、山を欲しがっているし、山は待っていてくれています。その人と山とのマッチングが大切なポイントになってきます。

▶ 質問:今の林業は、削って禿山にしていって、豪雨や台風が来たら、ドシャッと崩れてしまいます。それが農業用水や田んぼまで入ってしまう山があちこち存在しています。過剰な開発に疑問を感じています。その点をどう考えていますか?
▷ 上井さん:過剰な開発とは土砂の移動ですよね。日本人が生きていくには、大地の土と岩石があって、森があって、動物などが生きて、そこに雨が降って水が流れ海へと注がれます。ですから、土と岩石は重要な基盤なのに、何故その土を捨てるのかと感じています。
▶ 紙 議員:山を持ち、自伐型林業で生活のやり繰りはできるのですか?

▷ 上井さん:まだ結果をだしていないので、今は前向きに頑張るだけです。やることは山程あります。昔の人の知恵をブラッシュアップして、新しいものを作り出すなど考えることは限りなくあります。ひとつずつ形にしていけば、総評としては凄いものになるのではないかと思っています。古いものを新しく蘇らせることができればいいなと思います。
▶ 木村和雄さん(黒千石事業協同組合 理事):上井さんの小豆沢の山の隣の一の沢の山を40町程持っていますが、これまで全然手をつけていません。雑木が多くて、落葉林も40年以上手を入れてなくて、宝の持ち腐れになっています。興味ある若者に、なんとか繋がっていければいいなと思っています。
▷ 上井さん:小規模林業者の場合、グループで集まって行動していて、お互いの山を順番にお手伝いにいったりして行き来をし、応援し合うことをしています。皆さん好きでやる気があるので効率よく活動できます。
▶ 紙 議員:国際連合が定める「家族農業の10年(2019年〜2028年)」において、大規模化の方向ではなくて、自然の実情に合わせて自然を守りながら、家族農業でやっていくことが大切。今までのやり方を見直していく国際的な流れも出ています。
その中で、自伐型林業の人々がそれぞれの役割を果たして行くことは大事なことです。先日実施された集会においても、自伐型林業の人、農業の人、林野の人など皆揃って、家族農業の10年を、お互いに連携しながらやっていこうという話し合いがなされました。
▶ 質問:作業道を作る時は、重機はレンタルですか?
▷ 上井さん:重機は、地元の建設会社さんに応援していただき、ありがたいことに安価でレンタルできています。
▶ 質問:他業種との交流についてどう考えていますか?
▷ 上井さん:自伐型林業同士の交流はもちろんですが、他業種との交流や地元の建設業界との交流などを大切に考えています。山の素材を使った加工品などの繋がりを、現在色々考案中です。
▶ 紙 議員:手稲山の麓で作業をしている方達が、広葉樹の葉っぱを集めて動物園にもっていくとぞうさんの餌になることを聞き、そういう使い方もできるのだなぁと驚きました。枯れ葉は肥料にも使われているようです。
▶ 意見:都会では漁業との連携があり、海が豊かになるのは森が豊かであることに繋がっているという考えがあります。
▶ 質問:上井さんの間伐のポリシーはありますか?
▷ 上井さん:森に残した木は、水や光を浴びて栄養を吸収して、勝手に頑張って強く育っていきます。間伐のポリシーは、そこまでガチガチに決めなくても、各々が考えて適当に間伐すれば、自然の力で勝手にうまく育ってくれると思います。
▶ 田村 議員:私も実は林業に携わったことがあります。7割残していく間伐をやってきました。木と木が触れ合ったら、木を痛めるし、正しい光合成ができなければ成長できなくなるし、青空が見えてこないと話にならないという絶妙な間伐のやり方を山がおしえてくれました。
木の生命力を信じて、自然をちゃんと再生できるように頑張っていることは素晴らしいことです。上井さんのように若い歳から実践してくれることは、大変嬉しく思います。
▶ 紙 議員:下川町は、町を上げての森林の町です。全部繋がっていて、町の計画、商工会議所、森林組合、消費者、間伐後の残材を熱源(木質バイオマスエネルギー)として利用する温泉など一連の流れがあります。
専門に木を何に使うかを考えている「森林づくり専門員」がいます。木を、土木用資材、木酢液、アロマオイルなどの原料にするなど、資源を余すところなく利用しています。そんな方々との交流もいいのではないかと思います。これから先が、上手く軌道に乗っていけるよう願っています。
参議院銀・紙智子 氏、衆議院議員・田村貴昭 氏を囲む懇談会
この後、サンフラワーパーク北竜温泉で「参議院銀・紙智子 氏、衆議院議員・田村貴昭 氏を囲む懇談会」が開催されました。参加者は、各自参加費(町外の皆さんは宿泊費もご負担)を支払っての参加です。

北海道たねの会・久田徳二 会長のご挨拶
「今朝の新聞で嬉しいニュースがありました。優れたジャーナリズム活動を表彰する今年度の「JCJ賞(2020年日本ジャーナリスト会議JCJ賞)」の大賞に「しんぶん赤旗」の「桜を見る会」スクープ報道が選ばれたのです。
地元HBCの「ヤジと民主主義」の番組の中でも重要なニュースだったので、私自身喜んでいました。
北海道新聞にいた頃、私も北海道庁の巨額の不正経理事件報道で「JCJ賞」を受賞しました。この賞は、本気で掘り下げていかないと取れない賞なので、そんなジャーナリズムが今でも生きていることを実感し嬉しく感じました。
2年前に、33年間務めていた北海道新聞を定年退職しました。ジャーナリズムの中にいるより、外に出て、自分の言いたいことを言おうと考えました。「北海道たねの会」を立ち上げ、種子法をきっかけにみんさんと一緒に活動を行ってきました。
今回は、紙さんから「北海道たねの会」にお話をいただき、視察をしたいと依頼されました。真っ先に、北竜町在住の北海道たねの会顧問・黄倉良二さん、当麻町の北海道たねの会顧問・瀬川守さんに相談し、視察が実現いたしました。皆さんに心より感謝申しげます。
北海道たねの会は、2018年6月15日に38人で発足。全国各地との連携に努めました。今、在来種を守る活動に力を入れて頑張っています。今後も皆さんと連携を取りながら、日本の種をしっかりと守っていきたいと思います。どうぞ、宜しくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。
北竜町・佐野豊 町長ご挨拶

参議院議員・紙智子氏、衆議院議員・田村貴昭氏、前衆議院議員・はたやま和也氏にお越しいただきました。これまで、色々な政党の代議士の方々にお越しいただきましたが、北竜町に宿泊してくださった先生方ははじめてです。心からご歓迎申し上げます。ありがとうございます。
紙先生の事務所には、北海道の問題、国保の関係等で行政活動の折、訪問させていただいております。その都度、迅速にご対応していただいていることを心から感謝と御礼を申し上げます。
北竜町は、明治26年(1893年)に千葉県の印旛村、本埜村(合併後、印西市)の吉植庄一郎氏率いる開拓団が桑をおろしたとされる町です。人口1,770人と北海道でも小さな町で、ひまわりを町のシンボルにした農業の町です。
本当に美味しいお米を生産しております。明日から本格的にうるち米の稲刈りも始まると聞いております。今年は雪が少なくてちょっと心配しましたが、JAきたそらち北竜地区代表理事の北清裕邦さんから、今年の米は良いよ、という話も聞いて期待しております。
平成2年(1990年)に、「国民の生命と健康を守る安全な食糧生産の町」ということで、黄倉元北竜町農協組合長を中心に宣言がなされました。安全で美味しいお米を消費者に届けることを長年続けております。そのことが高く評価され、平成28年(2016年)に日本農業賞大賞を受賞いたしました。NHKホールで授賞式が行われました。
また、黒千石事業協同組合が農林水産省の「第5回ディスカバー農山漁村(むら)の宝」の優良事例として選定されました。総理官邸で行われた授賞式では、首相と並んで記念撮影をしました。
6月には、種子法の関係で、元農林水産大臣の山田正彦先生と農業テーマのドキュメンタリー映画の原村正樹監督、さらに当麻町の瀬川守氏等方々が来町され懇談させていただきました。
生産者の皆さんとともに先生方と懇談ができることを嬉しく思います。宜しくお願い申し上げます。
紙 議員のご挨拶

心のこもったご挨拶いただきましてありがとうございます。黄倉さんには、宿泊を含めいろいろと段取りをつけていただき、心よりお礼申し上げます。
種苗法が国会で一旦閣議決定されたものが、様々意見書が提出され、ネットでも炎上し議論を呼んだため、審議できませんでした。これは、私が2001年に国会に送っていただき、農林水産委員会の活動の中で初めてのことです。
先送りされたことは、次の国会で審議されるということなので、それに向けて丁寧に聞き取りをしなければならないし、なんといっても現場で頑張っておられる生産者の皆さんの声を聞かずして取り組みないと思いっています。そうした調査の一旦として、北竜町に訪問させていただきました。
午前中は、黒千石事業協同組合のお話を伺いましたが、黒千石大豆を生み出していく過程において大変なご苦労があり、情熱無くしてはできなかったと思います。そうしたご苦労の中で、町として誇りをもって活動されています。努力して生み出していったものが、マイナスの時代にさらされるかもしれないことを改めて考えさせられました。
午後は、農事組合法人ほのかにて懇談させていただきました。法人設立の理由として「黙っていたら続かなくなるという危機感があったから」という言葉を伺い、これは大変な判断と決断だったに違いないと感じました。勇気をもって挑戦していったからこそ、今があることを実感しました。
今回来てよかったと強く思います。やはり現場に来なければこういう話はきけません。今日お聞きしたことを土台にしながら、国会に挑みたいと思います。
共同して、北海道の農業、日本の農業、現場の努力がちゃんと実る精神を作っていく方向に力を注いでいかなければならないと思います。本当に今日はありがとうございました。
衆議院議員・田村貴昭氏ご挨拶

「黄倉さん、このような素晴らしい会をセッティングしていただきありがとございます。こんな歓待を受けたことはこれまでございません。大変感激いたしております。
今回は、北海道民のことを考え、日本の農業のことを一生懸命考えておられる方々が沢山らっしゃることに感動いたしました。
私達のできることは、日本の農業を国の基幹産業として、しっかりと支え前に進めていくこと、落ち込んでいった農業基盤・生産基盤を盛り返していくこと、食糧備蓄を増やしていくこと、そのような農政を目指していくことだと考えております。
今日は、黒千石大豆を直に採種する現場も立ち会わせていただき、生で食べさせていただきました。黒千石茶を3本もいただき、お昼には黒ちゃんハンバーグ定食も味わわせていただきました。大変美味しゅうございました。黒千石ラブ・loveになっております!!!
今日はこれから色々なお話も聞かせていただけるようで宜しくお願いいたします」と田村氏
前衆議院議員・はたやま和也氏の乾杯音頭

今日は、このような場を作っていただきありがとうございます。今日一日、いろんなことを学ばせていただき、ありがとうございました。豊作と北竜町のさらなる発展を祈りながら、私達も頑張る決意をこめて乾杯させていただきます!
それでは、乾杯!

JAきたそらち北竜地区代表理事・北清裕邦氏 中締め

今日の種を中心としたお集まり、紙先生、田村先生にお会いでき、大変良い機会だったと思います。
北竜町に来ていただいたからには、この町を忘れずに、これからどんどん北竜町を宣伝していただいて、こんな町もあるぞといっていただければ嬉しいと思います。
今日の出逢いに心から感謝申し上げて、中締めをさせていただきます。ごくろうさまでじた! 乾杯!



生命の源である「種」に秘められた永遠の魂、
命育む生産者の方々、支え見守り応援する多くの皆さんの熱い想いに、
限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
その他の写真
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子