2023年7月19日(水)
令和5年7月13日(木)、品川フロントビル会議室にて「第19回オーライ!ニッポン大賞表彰式、第18回・第17回受賞者の集い」が開催されました。全国から受賞者35組程、関係者を含めて70名程が集いました。
北海道からは2組、第19回オーライ!ニッポン大賞受賞「下川町産業活性化支援機構(タウンプロモーション推進部)」と、第18回オーライ!ニッポン大賞・ライフスタイル賞「寺内昇&郁子」が受賞、参加しました。
- 1 第19回オーライ!ニッポン大賞表彰式 ・第18回第17回受賞者の集い
- 2 第1部
- 3 休憩時間
- 4 第2部
- 5 第3部:交流会(受賞者の集い)70名程が参加
- 6 その他の写真
- 7 関連記事・サイト
第19回オーライ!ニッポン大賞表彰式 ・第18回第17回受賞者の集い
新型コロナウィルス感染症の影響により、第17回・第18回の表彰式が開催できなかったため、今年3年目となる第19回表彰式と共に、第17回及び18回受賞者の集いがまとめて開催されることとなりました。
オーライ!ニッポン大賞とは
「オーライ!ニッポン大賞」は、都市と農山漁村の間の「人・もの・情報」の往来(おうらい)を盛んにし、日本全国の元気「All right(オーライ)」を目指し、2003年(平成15年)に設立。
この賞は、都市と農山漁村の対流に関する活動を行い、交流の拡大・活性化に寄与した団体や個人、都市と農山漁村、双方の生活文化を楽しむライフスタイルを実践しておられる個人を表彰するものです。
農山漁村を舞台とした新たなライフスタイルの普及促進を目的とし、今回で19回目を迎え、19年目の表彰式となります。
表彰は「オーライ!ニッポン大賞・内閣総理大臣賞」「オーライ!ニッポン大賞・審査委員会長賞」「オーライ!ニッポン・ライフスタイル賞」の3部門で行われます。
主催
- 主催:オーライ!ニッポン会議(都市と農山漁村の共生・対流推進会議)
- 協賛:一般財団法人 都市農山漁村交流活性化機構
- 後援:農林水産省、総務省、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、環境省、全国知事会、全国市長会、全国町村会、一般社団法人 日本経済団体連合会
オーライ!ニッポン会議
- 代表 :養老孟司(東京大学名誉教授)
- 副代表 :安田喜憲(国際日本文化研究センター名誉教授)
- 副代表 :平野啓子(語り部・かたりすと、大阪芸術大学放送学科教授)
- 運営委員長:金子家治(元トップツアー(株)取締役会長)
司会進行:森岡亜紀 氏(一般財団法人 都市農山漁村交流活性化機構)
事務局・吉岡靖二 氏からの全体説明
事務局・吉岡靖二 氏からの「集い」に先立ち、全体の進行についての説明がありました。事務局の「集い」の進行シナリオが素晴らしく、さらに吉岡氏の分かり易い説明がスムースに理解できました。ありがとうございます。
参加される皆さん
全国からおよそ35名程の受賞者と随行者の方々が参加。
第1部
開会挨拶:養老孟司 氏(オーライ!ニッポン会議代表)
「お忙しい中、オーライ!ニッポンの授賞式にご参加いただき心から御礼申し上げます。大賞受賞者の皆さん・関係者の皆さん、今回の受賞を心よりお祝い申し上げます。
オーライ!ニッポンの目的は、都市生活と田舎生活の相互交流の促進です。田舎暮らしをして自然そのものと付き合うことを勧めています。
都市生活者は、自然と向き合うことで感覚を回復することができます。結局それは、まともな生き方、幸せな生き方を作っていくのに役に立つことだと思います。廃屋を借りて住んだり、農家や山の仕事を手伝ってもいいと思います。
動物は本来、匂いを嗅ぎ分けることができます。成長するにつれてそのような感覚を失っていきますが、鍛えれば失ってしまった感覚を取り戻すことができます。田舎暮らしも同様です。
受賞者の皆さんに対し改めて心からお祝いと敬意を表します。
本日お集まりの皆様方の今後益々のご活躍とご健勝を心より祈念申し上げて開会の言葉といたします」。
来賓挨拶:影山義人 氏(農林水産省 農村振興局 農村政策部 都市農村交流課長)
「農山漁村の現在の状況は、高齢化と人口減少が進み、活力を失っているという説があります。
知恵と工夫と希望を持って、豊かで活力ある地域・農山漁村を創る
疲弊する農山漁村を支えるために都市との交流が必要なのかと問われると、決してそうでないと思います。疲弊する農山漁村というものが本当に正しいのか疑問です。
一つひとつの農山漁村の地域を見れば、知恵と工夫と希望を持って、豊かで活力ある地域・農山漁村を創られているという例がたくさんあります。まさに、ここにご出席の皆さんは、そういった農山漁村の代表なのだと思います。
きっと皆様、多くの苦労を重ねて、挫折も味わって壁を乗り越えて来られたのだと思います。同時に多くの喜びや達成感、相互理解に辿り着かれて来られたのだろうと思います。
そうした皆様の取組を検証し、皆様の苦労と喜びを分かち合って、他の地域にお伝えするとともに、新しい道を皆様自ら切り開く希望と力を得るということが、この表彰式の大きな意味だと思います。
『お互い様』の精神で互いに支え合う都市農山漁村
このような農山漁村は、都市を支えることができます。『お互い様』の精神で互いに支え合って、足りない点を補うことができます。これが、『都市農山漁村』の意味だと思います。
私の所属する都市農村交流課は、地域の素晴らしい取り組みに学んで、全国の厳しい環境に置かれている農山漁村であっても、そのようなことがどこでも活用できるような支援ツール・補助事業を募集し実施しております。
まさに今担当している『農泊・農福連携・活動計画作成』という事業の追加公募をやっています。今回ご参加の皆さんの中には、これまでお目にかかったことのある方もいらっしゃいます。
ディスカバー農山漁村(むら)の宝へも応募を
現在『ディスカバー農山漁村(むら)の宝』という選定事業を実施しておりので、『オーライ!ニッポン』で選定された方でも、8月の終わりまで募集していますので、是非、応募検討していただけると嬉しいと思います。
私どもは、皆様はじめ、全国の農山漁村の取り組みを心をこめて応援させていただきます。今の時代のフロンティアである農山漁村から都市を含めた、この国全体を元気にすることを私達の仕事だとはっきり表明させていただきまして、農林水産省 都市農村交流課のご挨拶とさせていただきます。改めまして、皆様、本当におめでとうございました」。
賞状授与
オーライ!ニッポン大賞グランプリ・内閣総理大臣賞:特定非営利活動法人 グリーンウッド自然体験教育センター(長野県 泰阜村)
第19回オーライ!ニッポン大賞受賞の皆様
記念撮影:第19回(12人)、第18回(12人)、第17回(11人)
基調講演:養老孟司 氏(オーライ!ニッポン会議代表)
1937年(昭和12年)、神奈川県鎌倉市に生まれる。東京大学名誉教授として、2003年(平成15年)『バカの壁』で毎日出版文化賞受賞、450万部を出版。最新版としては、今年2月に『ものがわかるということ』を発刊されるなど著書多数。
都市と農山漁村の関係を、人の頭と体の関係に例え、両者の交流により日本を「心身ともに健康な状態に」と訴える。
「都市と農山漁村の交流について気になりだしたのは20年以上前のことです。
帰る場所がなくなってきた
お盆になっても帰るところがない都会人がいるという記事が新聞に掲載され、非常に気になりました。
私が若い頃、都会に出てくる人は『上手く行かなきゃ、田舎に帰って百姓やります』という人が多かった時代です。帰る場所があったのですが、どんどんなくなり、都会に住むことが当然のようになってきました。
自分が育ったように子供を育てない
もうひとつ気になったことが子供の問題です。都会の中で子供を育てることは普通ではないということです。
日本人は明治以降、どのように教育をしてきたかというと、『自分が育ったように子供を育てない』という方針です。これは、親としてはやりにくいことで、自分が経験したことのないことを子供にやらせるというものです。
本当にそれでいいのだろうか? それを一番感じたのは、松下幸之助さんに対してです。
経済的に苦しい学生のために奨学金を作るという記事が新聞に掲載されたものを読み、私は『なんでそんなことをするのだろう?』と、言ってしまいました。
松下幸之助さんは、小学校しか出ていなく、大変生活に苦労し成功された方です。そして、若者に対し『自分が生きてきたようには生きるな』という世界を作り上げてきました。
それが良かったか悪かったかは、私に判断できることではありません。
今だけ、金だけ、自分だけ
印象に残っているのは30年前、医学の進化の講義をしていた時、聞いてた生徒が『進化なんて、すでに済んでしまったことを調べて何になるのですか?』と言ってきて、返事に困ったことです。その時、時代が変わったなと感じました。
『今だけ、金だけ、自分だけ』と言われる時代です。歴史が無くなって、『今だけ』という時代に急激になってきた時代です。
この10年後に『オーライ!ニッポン』が動き始めました。
日本人全体がどうしていいか分からない状態
現在の特徴としては『若い人が元気がない』『死ぬ原因のトップは自殺』。健康な社会だと思っていないので、若者が自殺してしまう社会になってしまっている。
どうしてそうなってしまうのかというと、経済問題を含め、暮らし方に問題がある。毎日毎日の日常の生活が変わってきてしまっている。
それは、親が生きてきたように子供が生きるという生き方ができなくなっているので、日本人全体がどうしていいか分からない状態であり、ぼんやりした状態になって、それが続いて来ているのではないかと思います。
人口減少・少子化の現象が世界に広がっている
この歳になって気になっていることは『サイレント・アース 昆虫たちの「沈黙の春」』ディヴ・グールソン著(現代のレイチェル・カーソンによる警告)の本です。
DDT(有機塩素系の殺虫剤、農薬)の害を問うもので『昆虫たちの羽音が聞こえない沈黙の春』への警鐘だとされています。
本書が指摘しているのは『1990年頃から2020年頃までの30年間で、全世界で昆虫の数がおよそ76%減少している』ことです。このことが私の一番気になっていることです。
人と虫は別ですが、人口の動きを見ますと、人口減少・少子化の現象が世界に広がっています。
私は去年今年と続けて行った場所があります。新潟県の佐渡島です。佐渡島はトキ(朱鷺)の保護のために、農家は有機栽培を行っています。一昨日訪問した山梨県では、昆虫が山奥に行かないと見つけられなくなっています。
比較的小さな集団で、自給自足的な生活
現代は、若者が生きづらい社会を作ってしまったのではないかと思います。私はもう若い頃のように元気ではないので、社会運動などをする気はありませんが、ここまで出来上がった大きな社会を変えることは容易なことではありません。
これは、神頼みですね。人間のすることではなくて、天災ですね。次に予測されている南海トラフ地震が2038年とされています。
首都圏直下型の地震が来たときに、東京はどこまで持つかというレベルの様々な問題が起きたときに、思い切って皆さんは生き方を変えなければなりません。
特に子どもたちは、世の中がガラッと変わったときに対応しなければなりません。私は、小学校1年生が終戦でした。世の中が大きく変わった時期です。
今後、世の中で大きく変わっていくことは『価値観』です。それが都会型ではなくて、農山漁村型になっていくと思います。
コンピューターによる未来予測の研究によると、少数の人で構成された小規模な集落がたくさんできてくる社会になると予想されています。
まずは物流が途絶え、食べ物が高騰し、貨幣価値が低下する。黒船到来後、安政東海地震(安政元年)が発生。こうした地震等の天災が幕府・政治を変化させています。
今の日本には、様々な天災が発生しているので、多くの人々が生き方を考えるようになります。毎日必要なものがどこから来て、どのように手に入れるのかを考えます。こうした中、小さな集団であれば、食料等を確保できますが、大きな都会だと手も足も出ない状況になります。
天災が来る度に、世界が変化しています。変わらないものは、毎日毎日の生活・日常です。日常の確保が基本になる社会は、比較的小さな集団で、自給自足的な生活です。自分が生きていくのにどうしても必要なものを、完全に人に頼ることはとても危険な生き方です。それが今、当たり前になっています。
若者がハッピーに生きられないという問題
都会に人口が集中するのは、若者が都会に憧れるからです。昔、私は、都会は黒山の人だかりと思っていました。掻き分けけて入っていくと、真ん中にはなにもないのが都会です。
人が集まっていることが人を集める。それを効率的・経済的に運用してきたのが、現代社会です。地球全体をこれでやっていこうとして問題が発生しました。
ああすればこうなる、こうすればああなると頭で考えてシステムを作って運用してきた。巨大なシステムができて、ある意味ではよかったのですが、若者がハッピーに生きられない問題が生じています。
思い切って生き方を変える
少子・高齢化といっていますが、少子化と高齢化は全く別の問題です。
高齢化は、なにも心配はありません。30年待っていれば全員いなくなるからです。限界集落の高齢化といわれていますが、現在は、都会のほうが高齢者が多くなっています。
世の中でどういうふうに変わっていくか、地震を機会に考えていけばいいと思います。
時期が重要です。早くやりすぎると地震ですべて壊されてしまうかもしれません。上手なタイミングで、どこでどういう生き方をしてくのか考えます。食べ物の調達、水の調達、エネルギーの調達です。
思い切って生き方を変えていくことが、これからの皆さんの課題です。
1日スマホを使わない日を作って、少しはものを考える時間を作った方がいいのではありませんか?
2038年には、私の101際の誕生日を迎えられるかどうかが現在の唯一の楽しみです。昆虫が増えるような社会になるといいなと思います」。
休憩時間
養老孟司氏と記念撮影タイム
議事進行が想定以上にスムースに進行したため「養老孟司氏と記念撮影タイム」が急遽設定されました。受賞者の皆さんは、喜ばれて一緒に撮影をされました。
第2部
受賞者の活動内容の紹介
事務局が作成したスライドをバックに、第19回、第18回、第17回の受賞者が各自2分間スピーチしました。
受賞団体の発表順
1. グリーンウッド自然体験教育センター
2. 下川町産業活性化支援機構(タウンプロモーション推進部)
3. 遠野山・里・暮らしネットワーク
4. 東彼杵ひとこともの公社
5. 明日香の未来を創る会
6. 有田川町×龍谷大学
7. ながさき南部生産組合
8. 瀬崎真広さん
9. 牛田光則さん
10. 三瓶裕美さん
11. 國田将平さん
12. 山中裕加さん
==== 第18回受賞者 ====
13. 竹田文化共栄会
14. 自然史データバンクアニマ net
15. 青山沙織さん
16. (有)兵吉屋
18. 小さな村総合研究所
19. Peace & Nature
20. ロコネクト合同会社
21. 寺内昇さん・郁子さん
22. 門脇富士美さん
23. 髙坂勝さん
24. 水野裕之さん
==== 第17回受賞者 ====
25. そらの郷
26. 奥矢作移住定住促進協議会(欠席)
27. あば村運営協議会(欠席)
28. (有)シュシュ(欠席)
29. ソーシャルファームさんじょう
30. 静岡文化芸術大学 引佐耕作隊
31. (株)日向屋
32. 志藤一枝さん
33. 塩月祥子さん
34. 岡山茉莉さん
35. 和田新藏さん
第19回オーライ!ニッポン大賞グランプリ・内閣総理大臣賞
特定非営利活動法人 グリーンウッド自然体験教育センター(長野県 泰阜村)
第19回 オーライ!ニッポン大賞:3件
下川町産業活性支援機構・タウンプロモーション推進部(北海道 下川町)田村泰司 町長
特定非営利活動法人 遠野山・里・暮らしネットワーク(岩手県 遠野市)
一般社団法人 東彼杵ひとこともの公社(長崎県 東彼杵町)
第19回 オーライ!ニッポン大賞・審査委員会長賞:3件
特定非営利活動法人 明日香の未来を創る会(奈良県 明日香村)
有田川町 × 龍谷大学(和歌山県 有田川町)
農事組合法人ながさき南部生産組合(長崎県 南島原市)
第19回 オーライ!ニッポン・ライフスタイル賞:5者
瀬崎 真広(セザキ マサヒロ)さん(東京都 江戸川区)
牛田 光則(ウシダ ミツノリ)さん(新潟県 上越市)
三瓶 裕美(サンベ ヒロミ)さん(島根県 雲南市)
國田 将平(クニタ ショウヘイ)さん(広島県 広島市)
山中 裕加(ヤマナ ユカ)さん(愛媛県 西条市)
第18回 オーライ!ニッポン大賞・ライフスタイル賞
受賞者の2分間スピーチから、北竜町の寺内昇&郁子の活動を紹介させていただきます。
寺内昇&郁子(テラウチ ノボル&イクコ)(北海道 北竜町)
「北海道北竜町から参りました、情報発信一筋13年目の寺内昇&郁子です。
本日は、このような受賞者の集いが開催されましたことに、心からお祝い申し上げます。またお声がけいただき感謝申し上げます。ありがとうございます。
北竜町は、旭川市の西方、日本海側の留萌市の東側の隣町です。人口1,650名程、高齢化率45%、日本の未来を示すような町です。
農業の町として、日本農業賞大賞・2016年を受賞した『ひまわりライス』、『ひまわりメロン』『ひまわりスイカ』、そしてディスカバー農山漁村(むら)の宝・2018年・第5回優良事例に選定された黒千石事業協同組合の黒千石大豆(小粒黒大豆)が特産品です。
観光資源としては、『ひまわり』が有名です。東向き斜面に咲く23ha・200万本のひまわりは圧巻です。夏におよそ1か月間開催される『北竜町ひまわりまつり』には、全世界から30万人ほどの観光客が訪れます。
私達は13年前に東京から北竜町に移住しました。私達が独学でWebサイトを構築。妻が文章、私が写真撮影とWeb運営をしております。Website、Facebookページ、Instagram,Youtube channelも継続しております。多い日は、1か月間で200件ほどの記事をアップするなど、13年間、町の情報を発信し続けています。
北竜町民に光を当て、どのような町民がどういう想いで農作物を育てているか、町民がどのように人生を楽しんでいるかをお伝えしています。
そして、町民の喜び・感動をより多くの方々と共感し分かち合いたいという想いで、私達自身も、喜び・共感し・感動する想いを、素直に表現し発信しています。
北竜町はとても素晴らしい町です。是非、一度足を運んでいただければと思います。本日は、誠にありがとうございました」。
講評:オーライ!ニッポン会議副代表・平野啓子 氏
1960年(昭和35年)静岡県沼津市生まれ(62歳)、都立国立高校卒業、早稲田大学卒業、フリーアナウンサー(元NHKキャスター)、かたりすと(語り部)、一般財団法人 防災検定協会元理事長、大阪芸術大学放送学科教授、武蔵野大学非常勤講師(伝統文化研究)、こども家庭審議会 児童福祉文化分科会委員
「受賞者の皆さん、本当におめでとうございます。
初めての3回の受賞者の集い
新型コロナウィルス感染症の影響により、2回(17回・18回)も表彰式が見送られました。表彰式を20年ほど続けてきた私達にとって考えられないことでした。
受賞の皆さんにお会いしてお話することが楽しみでした。書類審査から対面となり、直接お会いしてお話することで新たにわかることがあります。それが今後の繋がりにもなり、どんなに素敵な表彰式であろうといつも心がワクワクするような表彰式です。
今回、19回・18回・17回の3回の受賞者の方々が一同に会しての表彰式は、オーライ!ニッポンにとって初めてのことです。
今日皆さんとお会いして、元気な活動の様子、熱気あるスピーチに接しました。審査の最中は、全てが素敵な活動で、その中から選ぶという行為に、私達は心苦しかった日々を思い出しました。書類から湧き上がってくるエネルギー、素晴らしさをすべての活動から感じ取れました。
これまでの応募総数は2,072件
これまで応募者は2,072件(オーライ!ニッポン大賞1,792件、ライフスタイル大賞280件)。その中で、受賞数が、合計313件(オーライ!ニッポン大賞236件、ライフスタイル大賞77件)。
ご参加いただいた皆さんが、如何に選りすぐられた方々であるかを実感していただけると思います。私はオーライ!ニッポンが始まった平成15年度(2003年度)からずっと審査員として、受賞された取り組みだけでなく、全応募の取り組みの概要を拝見しております。改めて数をみて、凄いことだと思いました。
平成17年(2005年)4月の全国の市町村数が2,395です。これまでの応募の2,072件にも匹敵するほどの数になっています。重複はあるものの、全国の市町村で割ると、応募数は、全国市町村の85%になっています。これだけ多くの活動に取り組む仲間の皆さんが、全国各地にいらっしゃるということです。授賞のエールを受ける方々は、わずか15%の確率です。
こうした授賞により、これまでも、これからも特に優れた方々の横の繋がりが、今後沢山出でてくることを期待しています。
忖度のない厳正な審査
審査委員会では、喧喧諤諤で、全く忖度なく、厳正な審査を行っています。
審査条件として、
- 継続年数(何かの理由で活動が終了してしまうとその事業が支えられなくなる可能性が発生する場合がある)
- モデル性として汎用性を重視(他の地域で活用できるかどうか。社会的にインパクトがあるもの)
- 効果の重要性(経済的効果、人的効果、期待される効果)
- 失敗しても何度も挑戦していく心意気を重視
オーライ!ニッポンは、何度も応募が可能です。事実5〜6回もチャレンジされている方も存在します。審査員は、努力の小さな進化も見逃さすことなく、そうした前向きな姿勢をとても嬉しくもありがたく受け止めています。
選定されたという素晴らしさより、継続されて努力されている姿がとても美しく見えます。そして安心感があります。将来にわたり継続があってこその誇りあるオーライ!ニッポンの活動です。
点数化して順位をつけるような審査ではありません。それぞれの立場から議論を深め、審査員の経験と知見識見に基づいて、その活動の価値を共有し評価して選定する作業を行っています。
選定された活動が高く評価されると、同じような活動をしている人々に勇気が生まれる可能性があります。
新しい取り組みで苦労の末、成果が上がるケースの場合、その先行する苦労さを評価してあげたいと思うこともあります。
静岡文化芸術大学・引佐耕作隊に見る世代を超えた理解・普及の広がり
静岡文化芸術大学・引佐耕作隊に注目いたしました。大学4年間の活動で、先程の発表で、3年前の受賞で当時の部員が変わったので、自分は事情がよくわからないとお話されていました。
『恐れていた事が起こったかな』と、一瞬考えましたが、なんと以前より参加人数が多くなって発展しているということをお聞きし『凄いな、素晴らしい!』と心から思いました。
当時大学1年生だった学生が4年生になり全学年がこの事業に触れられる年度を迎えられた今、オーライ!ニッポンでも応援することが、今後の農業への世代を超えた理解・普及の広がりや農業の未来を想像する上で、とても有意義なことだと思います。今後の良い未来に繋げていただきたいと思います。
様々なチャレンジをしているSDG’S、Z世代と言われる若者の応募もあり、これからがとっても楽しみです。
広がる女性・若者・外国人の活躍
また、全体的に女性の活躍が多くなっているように感じます。女性が積極的に活動し、余裕をもってスピーチされている姿を拝見して、時代の変化を感じました。全ての女性の活動が町を活性化させる要素になるのではないかと思います。
農山漁村での活躍の場所には、女性・若者・外国人など広がっています。外国人・経験豊富なビジネスマン、誰にでもチャンスがあって、温かく仲間として迎えられているように思います。
子供の世界にすごく貢献できる受賞者の皆さん
私は養老先生の元でご一緒させていただいております。養老先生の考え方に影響を受けたのか、虫のことに興味を持つようになりました。
コロナ禍で人と会えない中、養老先生は、動画配信をされています。養老先生のお話は、一つひとつがこんなにも胸に染みる素晴らしいご講演です。
皆さんの取り組みは、生き物であると実感しました。これからの子供を育てる力、子供が良い方向に育っていく力を発揮されるのではないかと思います。
皆様が、農業だけではなく、人間の心というざっくりしたものでなく、子供の世界にすごく貢献できる力をお持ちなのではないかと思います。これからも皆さんのお力で、オーライ!ニッポンの活動の中身を充実させていただければと思います。
どうぞ、積極的に活動を展開していただき、審査委員会を代表して、皆様にお祝いとお礼を申し上げます。
都市と農山漁村の交流が益々活発になりますよう、ご活躍をお願い申し上げて、私の講評とさせていただきます。
本日は、遠路はるばる、受賞者の集いにご参集いただき、誠にありがとうございました」。
第3部:交流会(受賞者の集い)70名程が参加
交流会会場へ移動:会場は「三代目鳥メロ」にて
都市と農山漁村を活性化させ、日本を元気にする「オーライ!ニッポン」大賞に、限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
その他の写真
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◇ 取材・文章:寺内郁子(撮影・編集協力:寺内昇)