2023年12月25日(月)
12月22日(金)18時30分より、北竜町教育委員会主催による「北竜町のこれからの学校づくりを考えるシンポジウム」が北竜町公民館大ホールにて開催されました。
若い世代のご家族をはじめ、50名を超える町民が参加し、北竜町のこれからの学校づくりについての視野・思考を広げて、これからの未知なる新しい学校のあり方について語り合いました。
北竜町のこれからの学校づくりを考えるシンポジウム
キックオフとしての今回のシンポジウムは、元校長であり、現在文部科学省の学校DX戦略アドバイザーなどを務める新保元康 先生のご講演を中心に、義務教育学校の事例、参加者同士の意見交換・質疑応答などが実施されました。
主催:北竜町教育委員会
- 主催:北竜町教育委員会
- 協力:北竜町小中学校、北竜町立やわら保育園、北竜町PTA連合会
北竜町小中一貫教育の学校づくり:2029年開校
北竜町では、2029年(令和11)年度の開校を目指して、小中一貫教育の学校づくりが計画されています。
小学生から中学生が一緒に学び、地域の人々との関わりを大切にしながら成長していく学校づくりに向け、住民検討委員会を設立し、町民の皆様とともに協議を重ねていきます。
受付
ケータリングサービス
会場では、参加者全員に、札幌のささや大福「黒千石大福」2個、子どもたちにはお菓子がプレゼント!さらに自由に飲めるお茶が用意されていました。
ささや大福「黒千石大福」プレゼンㇳ
2020年10月19日(月) 全道一の米産地である空知の新米をはじめ、特産品が並ぶ「空知フェア2020」が、北海道どさん…
お菓子プレゼント、お茶
お茶コーナー
託児コーナー
また、託児所が設置され、小さなお子様を預けて、ゆっくりと安心してシンポジウムに参加可能です。
司会進行:北竜町教育委員会・井口純一 課長
「これまで北竜町では、学校施設をどのように整備・維持するかの方針や町の中心部における公共施設をどのように集約できるかの検討を進めて参りました。
令和5年度・6年度の2か年で、どのような学校教育を目指すのか、教育施設と公共施設が一体となった施設をどうやって整備するのか、その具体的な方針を検討していく段階となっています。
これまでの取組状況として、北竜町の現状における課題は以下の通りです。
- 児童・生徒数の減少
- 移住・定住の促進の課題
- 学校などの公共施設の老朽化
この課題を、『可能性』と読み替えれば、教育環境としては手厚い少人数教育、小中学校が密に連携した教育に繋がり、まちづくりとして、手厚い子育て支援、学校を核とした地域形成の拠点づくりに繋がっていくのではと考えています。
こうした教育環境 & まちづくりの連携により、子育て世代にとって魅力的なまちづくりとなり、移住・定住の促進、さらに地域の発展に繋がるのできると考えています。
町民の皆様と一緒に、これからの北竜町の学校づくりを考えるキックオフとなるシンポジウムです。ぜひ、ご感想やご質問などいただければと思います」。
新保元康 先生のご講演
新保元康 先生プロフィール
1958年(昭和33年)小樽出身。1982年(昭和57年)北海道教育大学札幌分校卒業。
小学校勤務とともに、北海道社会科教育連盟や北海道雪プロジェクト等に長年参画し、地域教材を多数開発。また文部科学省の情報化推進事業の各種委員も歴任。
2019年(令和元年)屯田小学校校長を定年退職。現在は認定NPO法人ほっかいどう学推進フォーラム理事長として多方面でご活躍。
みんながつながる学校 みんなでつくる学校
ひまわりの町「北竜町」:ひまわりの花言葉は「憧れ」「情熱」
農業の町北竜町・みんなを支える北竜町「あかるい農法」
新保元安康氏自己紹介:デジタル庁デジタル推進委員
- 昭和33年:小樽生まれ 65歳
- 昭和57年:北海道教育大学札幌分校卒業
- 札幌市内小学校37年間勤務(付属札幌小9年間勤務 4校で11年間校長)
「北海道は大きい」:北海道のこどもたちにもっと北海道を知ってほしい
東京都が3つくらい入る面積を有する空知地方。北海道全体は、東京都が35個入る広さがある。
今日のお話
- みんなの困ったこと:
・日本の経済力が低下し、子どもたちは不登校、いじめなどの問題をかかえる
・人口減少により働き手や教師不足し、保護者も地域もみんな忙しい(共働きの時代)
- 解決への道:義務教育学校(小中一貫教育)への移行
・日本の教育は3回目の大きな曲がり角にきている「明治5年>昭和22年>令和元年
・GIGAスクール(働き方改革 × 質の向上)
- 70年ごとに日本教育の転換到来(明治以降3回の大転換)
- 明治5年「学制発布」 → 明治22年「教育の民主化 進学制6334」 →
令和元年「GIGA」(コンピューターを使った学習) - 昭和の一斉授業は、近代に必要な平均点の人間育成
- 令和の個別授業は、個別最適な学びであり、個性が活かせる学び
- 実物投影機でノート指導
- クロームブック(各自の端末)で作詞
- 同じ教室で学ぶ複式学級
- 3年生は自律的学び、2年生は先生と一緒に学ぶ
- 実践例:町内5校の小学校と町立図書館をオンラインでつなぐ
- 9年間の連続したカリキュラムで学力向上
- 例えば432制
- 中1ギャップは減(不登校減への期待)
- 特別支援教育充実
- より多くの子どもとのつながり・仲間
- 幼いときから多様性になじみやすい
- 教師の数を確保しやすい(働き方改革)
- 校長は一人で一貫した学校づくり
- 一校に集中した投資(質の高い教育環境)
- 特にICT環境の充実(遠隔合同授業への期待)
- 保護者・地域との協働がしやすい
- いろいろな大人とのふれあい(成長)
- 全世代喜びUP
- 通学負担増(遠距離通学、バス通等)
- 友人関係の固定化
- セキュリティ確保の負担(年齢を超えた様々な人々が入るため、セキュリティの在り方の問題)
- 小中文化の融合に時間がかかる
- 小6の責任感育てられるか?
- 小6での卒業式がない
- 北竜町に脈々と伝わる「和」(やわら)
- 開拓結社「倍本社」の精神「和をもって尊しとなす」が受け継がれている
◎ 日本の自慢できる資源は「人材」=教育の重要さを示す
日本の教育の大転換点
明治「石盤」 → 昭和「黒板」 → 令和「タブレット」
北海道稚内市の事例(2023年1月):機器の特性を生かし、発達に合わせて活用
沖縄県与那国町の事例(2023年6月):複式学級だからこそGIGA
発達段階に合わせた指導
遠隔合同授業
小中一貫教育(義務教育学校)
◎ 1年生から9年生までの一つの学校に、一人の校長、一つの教職員組織
義務教育学校&複合施設のメリット:
みんながつどい・語り・学び・遊ぶにぎやかな学校へ
義務教育学校&複合施設のデメリット:
どうやってマイナスをプラスにするかを考える!
◎ 義務教育学校は、2016年(平成28年)にスタートし、様々な成果が報告されています。
北竜町の学校教育
現在すでに、北竜町では地域のみんなで子どもを育てる環境が整っています。
・学童保育、わんぱく夏祭り、北竜中学生のひまわりガイド、真竜小学校の地域の人々との活動(そば食楽部のそば打ち体験、北竜太鼓、ドラゴンキッズ(バレーボール)、北竜けん玉クラブ
わんぱく夏祭り
北竜中学生のひまわりガイド
真竜小学校の地域の人々との活動
北竜けん玉クラブ
みんなで子どもを育てていく精神が北竜町には培われています。
義務教育学校の先進事例
本間晴海 氏(株式会社ドーコン・総合計画部 主任技師)によるご説明です。
1.当別学園(当別町:児童生徒422人)
❂ 特徴
- 基礎期(1〜4年)、充実期(5〜7年)、発展期(8・9年)
- 学校内が開放的で、ドアがない
- 静かな環境の中での学び
- 玄関から入って最初に図書館コーナーが広がる
- 放課後児童クラブが校内にある
- GIGAスクールの取り組みなど、職員間の授業づくりの勉強・研修会で小学校・中学校間の交流があり、良い影響がある
2.早来学園(安平町:児童生徒310人)
❂ 特徴
- 今年4月開校した新しい学校
- 教育委員会、教職員、地域おこし協力隊員、保護者、議員の方々が参加し議論を重ねた
- 初等部(1〜4年)、中・高等部(5〜9年)
- 1〜4年は45分授業、5年以上50分授業
- 中学校から専科方式を採用、小学校の先生の乗り入れも行っている
- 図書館や技術室、調理室、中ホールなどは一般開放
- 図書館にはカフェコーナーが設置され、開放的な空間で、コンシェルジェ、圖書館司書が在住し対応し、町民も利用可能
3.厚田学園(石狩市:児童生徒36人)
❂ 特徴
- ベースステージ(1〜4年)、チームステージ(5〜7年)、ビジョンステージ(8・9年)
- 厚田コミュニティスクールのほか、参観日における地域住民への開放、図書館での読み聞かせボランティア活動により、地域交流を促進
- 複式学級になる可能性を想定、すべての教室に黒板と電子黒板を2台ずつ設置
- 机・椅子を全学年での利用するため、高さが変えられる油圧式可動品を採用
- 隣に道の駅があり、地域住民の方々と交流によるイベント開催
参加者同士の意見交換・質疑応答
5〜6人のグループに分かれ、自由に感想・意見をダンボールパネルに書き込みます。
質問
- 北竜では保育園から十数年一緒に過ごすため、一貫校にしてしまうと余計に人間関係が固定されてしまうのではないかと心配しています
- 一貫校では小6はリーダー性を育成できるのでしょうか ?
感想
- どの町に住んでいても、きちんと学力をつけてあげることが大切」という新保先生の言葉に深く共感し、重みを感じます。北竜でも子どもは少人数であっても手厚い学校つくりをお願いしたいです
新保先生
- どんどん新しいシステムに変化しているので、いろんな可能性にトライしていくことが大切です!
- 魅力的な学校ができれば、移住者が増える傾向があります
70年ごとに大変革する学校教育!
いままでのシステムに囚われることなく、思いっきりチャレンジ!
地域の人々が繋がって、「和」の精神をもって協力しあい、明るく元気な子どもたちが育んでいくこれからの北竜町の学校づくりに、限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
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◇ 取材・文章:寺内郁子(撮影・編集協力:寺内昇)