2012年11月13日(火)
11月13日(火)、澄み渡る青空の中、高齢者向け「みどり団地公営住宅」建設(2期)工事の検定が、佐野豊町長をはじめ、関係者の方々により行われました。去年建設された4戸に続き、今年5月より始まった4戸の増築が完成しました。
みどり団地公営住宅・全8戸(撮影:2012年11月13日)
みどり団地公営住宅は、北竜町地域住宅計画に基づいて建設されたもので、ユニバーサルデザインを取り入れた高齢者向公営住宅です。
高齢者・障がい者向けのバリアフリー設計を基準とし、オール電化、夜間電力を使う蓄熱による省エネ暖房システム、火災警報機と連動した緊急通報システムの設置、外断熱構造の採用などあらゆるところに深い配慮がなされています。
2012年5月17日に工事が開始され、今日11月13日に検定を迎えました。
この6ヶ月間、徹底した基礎づくり、連日30度を超える真夏日が続く中での工事、秋の長雨にもかかわらず、納期までの完成をめざして、早朝から休まず丁寧な建設工事が続けられました。
建設工事(2012年5月〜11月) 写真(47枚)はこちら
みどり団地前の道路工事
▶ 徹底した基礎づくり
今回の建設を最初から見学させて戴き、大変感動した部分が、徹底した基礎づくりです。
基礎工事の中で、重要なポイントのひとつが、凍結深度。凍結深度は、地表から下の一定の深さまで凍結するライン(深さ)を示したものです。
この数値は、外気温、地質、地下水位、標高などによって異なります。各市町村によってその地域ごとの標準的な値が定められています。
北海道において、冬場に気温が0度以下に下がるような寒冷地では、地面が凍結すると、膨張して地盤が押し上げられます。そこで、建物の基礎の底板(フーチン)や給水管は、凍結深度より深いところに設置されます。凍結深度より浅い給水管は、凍結によって土が持ち上がったとき、水道管も持ち上げられて破裂したりすることがあるためです。
北竜町は、凍結深度80cmと定められているため、GL(グランドレベル)から80cm地盤を掘り下げ、その下に基礎底板や水道管が設置されます。その後、鉄筋、コンクリートで基礎が作られます。
「建設については、基礎工事、外断熱構造に徹底的にこだわって施行し、あらゆる点に考慮しながら作業を行なっています。また、今年は特に夏の暑さが厳しかったので、水分補給やアイス配りなどで、熱中症防止に配慮しました。
さらに、道路工事もあり、多くの工程が立て込んでいましたが、無事故で工期どおり工事が完了できて何よりです。今年は、積雪前に引越しできることを願っています」
と、工事完成の喜びの表情を浮かべながら、現場の事業主代理人の藤信清彦さん((株)北興建設)がお話くださいました。
この後、11月16日(金)には「みどり団地公営住宅」の住居者への説明会が行なわれ、積雪前の引越しが始まります。
みどり団地公営住宅建設(2期)工事の検定(2012年11月13日) 写真(36枚)はこちら
佐野豊町長をはじめ、みどり団地公営住宅建設関係者の皆さん
▶ 高齢者向「みどり団地公営住宅」概要
▼ みどり団地公営住宅・平面図
(クリックすると拡大します)
- 住所:
北竜町字碧水15番地の2(地図はこちら)
今回建設された棟の住宅は4戸。
来年2011年度に建設された4戸を合わせ、
合計8戸の団地。
- 構造:
木造平屋建・基礎断熱。凸凹のないシンプルな設計。住宅へのアプローチは、内廊下で囲まれていて、さらにポーチが道路に近いので、冬の除雪負担が軽減されています。木造建築は、コンクリートなどより低コストで建築でき、コンクリート構造より、室内の面積を広くとることから採用されました。
- 屋根:長尺カラー鉄板、無落雪屋根
- 外壁:金属板(ガルバリウム鋼板)。腰の壁には北竜町産レンガを使用。積雪寒冷地での耐久性・断熱性を確保するとともに、周辺景観との調和を考慮しています。
- 一戸当たりの専用面積:「1LDK」52.17㎡(約15.7坪)
- 「オール電化」:
高齢書者には火災の心配がないオール電化システム。ガスコンロではなく「IHヒーター」、お湯も電気温水器。暖房設備は、蓄熱式暖房。夜間の安い(夜間の電気料金は、昼間の1/3)電気を利用して、熱をレンガに溜め込む省エネシステム。 電気料金は、同様の設計の他の団地での実績では、冬期、IHヒーター・風呂・暖房・電灯などを全て合わせて、1か月間15,000円ぐらい(2011年度冬実績)。
- 熱交換型換気システム:
強制換気システムと併設して設置。室内の温かい空気で、外から入ってくる冷たい空気を温めて室内に入れる熱交換装置が設置されています。
- 緊急通報システム設置:
火災警報器と連動した緊急通報システム。緊急時にはハンズフリーで深川消防組合本部と連絡が取れるように配慮されています。
- 共用部の照明:
廊下の照明は、棟の入り口部と住戸の玄関出口付近に設置された人感センサーで制御され、自動的に点灯消灯。常夜灯はLED照明を採用するなど、省エネルギーにも配慮されています。
- 住居内のドア:
住戸内建具は全て引き戸。約8帖の主寝室はベット2台が設置可能。ベッドの3方から介護できるスペースが確保できます。寝室のドアは釣り戸となっており、床にやレールが引かれていないバリアフリー。トイレ内部も車いす移動可能な広さで、トイレドアは、取り外し可能な3枚の引き戸が設置されています。
- オートクローズ機構ドア:
玄関からはいるリビング入口のドアと洗面所入り口のドアには、オートクローズ機構がついており、ドアが全閉する手前から自動的にカチッと閉まる仕組みになっています。
- Low-E 複層ガラス:
ガラスは、「Low-E 複層ガラス」を使用。冬の室内の暖気を逃がさず、夏の太陽光を反射する「冬暖かく、夏涼しい」ペアガラスを使っています。省エネ効果も抜群。
- 2期工事・建築主など:
・建築主:北竜町長 佐野豊
・工事期間:2012年5月17日~2011年11月18日
・工事施工者:北興・藤岡経常建設共同企業体
((株)北興建設(藤井雅仁 代表)、(株)藤岡建設(藤岡紀元 代表))
・工事管理者:北竜町役場建設課
・設計者:(株)創明建築設計事務所
◆ 関連ページ
・工事検定(Picasa写真:35枚)
・建設工事(Picasa写真:47枚)
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◇ 撮影=寺内昇 取材・文=寺内郁子
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