北竜町ひまわりそば生産部会・全国そば優良生産表彰で「農林水産大臣賞」を受賞・最高位の栄誉の祝賀会

2013/03/29 1:32 に 寺内昇 が投稿   [ 2014/08/20 14:47 に更新しました ]
 2013年3月29日(金)

(社)日本蕎麦協会主催による2012年度「全国そば優良生産表彰事業」の各賞が、2月21日(木)に発表されました。
最高賞である農林水産大臣賞の集団の部に、北海道「北竜町ひまわりそば生産部会(藤井二郎 代表)」が栄えある受賞となりました。農家の部は、札幌市の森清さん(59歳)が受賞。3月14日(木)、東京都内で表彰式が開催されました。

全国そば優良生産表彰事業表彰は、日本を代表する健康食である蕎麦の生産技術の向上や、経営改善の面から創意工夫を行い、他の農家の模範となる生産者や団体の表彰を行うものです。
農林水産大臣賞を受賞した「北竜町ひまわりそば生産部会」は、減化学肥料栽培の推進や、トレーサビリティーの確立など、生産から販売に至るまで、組織一丸となって取り組んでいることが高く評価されました。


北竜町そば生産部会・全国そば優良生産表彰・農林水産大臣賞・表彰状   祝賀会舞台 
左:表彰状  右:祝賀会舞台


3月25日(月)には、地元北竜町のサンフラワーパーク北竜温泉で、北竜町農産物生産協議会主催、北竜町農業振興委員会・北竜町畑作生産組合協賛の祝賀会が開催されました。会場内には、佐野豊 町長をはじめ、約72名の関係者の方々が参加し、名誉ある受賞を盛大にお祝いし、祝杯が交わされました。


トロフィー   お祝い   垂れ幕   お祝いの品々 


祝賀会は、JAきたそらち北竜支所営農課・大久保浩隆 課長の司会で進められ、お祝いと感謝の言葉が続きます。


小松正美 地区代表理事   営農課・大久保浩隆 課長 
左:北竜町農産物生産協議会・小松正美 会長  右:北竜支所営農課・大久保浩隆 課長


主催者挨拶:北竜町農産物生産協議会・小松正美 会長

「平成19年に北竜町畑作物生産組合が設立し、その一部として『北竜町ひまわりそば生産部会』の設立となりました。
『求められるそば』づくりを最大の目標として、生産技術の向上、町内の作業受託組織と連携した適期収穫の実現、調整作業のレベル向上、トレーサビリティの実施、販売先の接点強化等の取り組みが、大きく評価されました。
ご苦労いただきました生産者の皆さん、生産部会の皆さん、連携する作業受託組織の皆さんに、心から感謝を申し上げますとともに、栄えある受賞のお喜びを申し上げます。
この度、関係する各組織の皆さんと一緒に祝賀会を開催することができました。
十分に懇親を深めていただいて、ひまわりそば生産部会発展のため、さらなるご指導を賜りますようお願い申し上げます」


来賓挨拶:佐野豊 町長(佐野町長 関連記事

佐野豊 町長「栄えある受賞を心からお喜び申し上げます。
食の安心・安全のニーズが高まる中で、生産から販売までの徹底した品質管理等のトレーサビリティが高く評価されました。今回の受賞は、北竜町にとりましても、栄誉なことで、誇りに思っております。

今日もお忙しい中をお越しいただいた、横山製粉(株)の山田伸司さんには、ひまわり生産部会が日頃より大変お世話になっており、行政の立場からも、厚く御礼申し上げます。

会場模様
 


昨年10月の末、北海道新聞の主催による『北海道の三大産地の
そばを食べよう』というイベントで、幌加内、上富良野に続き、北竜町が選ばれたことを大変嬉しく思います。
関係者の皆さんの長年に渡るご努力に対し、深く敬意を表します。本日は誠におめでとうございます」


JAきたそらち・早崎優美 代表理事組合長JAきたそらちホームページ

JAきたそらち・早崎優美 代表理事組合長「本日は栄えある受賞、誠におめでとうございます。
『日本蕎麦協会』は、玄そば、そば粉、そばの生産、加工、販売、及び関係者する方々が、そばの長期安定的供給を確保し、品質の向上、加工、流通の改善を図ることを通じて、そばが国民の自然栄養食品としてしっかりと確保して、そのことによって、消費啓蒙を図り、食生活の改善合理化に資することを目的としています。
北竜町ひまわりそば生産部会は、こうした日本蕎麦協会の最高位の賞を受賞されました。まさに、日本蕎麦協会が目的としている受賞です。
横山製粉(株)さんとの連携によって、生産から加工・販売・流通まで一貫した製品の確保がなされていることは、実に素晴らしいことです。このことは、消費者の皆さんが心から求めている最大のテーマであり、そのテーマが実現して今回の受賞となったと言えます。
この受賞を機に、さらに一層の『求められるそば』の普及・発展を心よりご祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします」


受賞者祝辞:ひまわりそば生産部会・藤井二郎 部会長

ひまわりそば生産組合・藤井二郎 組合長
「この度は、栄誉ある賞を頂き、誠にありがとうございます。受賞の知らせを聞いたときは、まさかという気持ちでありました。

平成19年の設立以来今日に至るまで、お客様の満足度を最大の目標として、生産技術の向上に励んでまいりました。また、アグリサポートとの連携により、生産から販売に至るまで、生産者の意識改善を促しながら、組織が一丸となって、徹底したトレーサビリティを確立し、安心してユーザーに提供できるよう努力してきました。

私達のこうした取り組みを評価していただき、このような立派な賞を戴けたことは、深く関係機関のご指導の賜物と心より感謝申し上げます。
これからは、表彰に満足することなく、これまで以上に精進し、栄誉ある賞に背くことないよう、励んで参りたいと思います。いままでに変わらぬ、ご支援、ご指導の程、宜しくお願いいたします。本日は本当にありがとうございます」


▶ 受賞経緯・祝電ご披露

JAきたそらち北竜支所営農課・谷内健二さんより受賞の経緯について説明がありました。
全国そば優良生産表彰事業についての趣旨、主催、対象地域、参加資格、審査基準、北竜町ひまわりそば生産部会農林水産大臣賞(最高位)受賞の経緯における推薦理由、審査講評について等についてでした。

藤井組合長のごあいさつの後、営農課・墓田真知子 主査より、祝電のご紹介がありました。多くの方々から、貴重な祝電をいただきました。心より感謝申し上げます。


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乾杯:横山製粉(株)山田伸司 常務取締役生産本部長横山製粉(株)ホームページ

横山製粉(株)山田伸司 常務取締役生産本部長「北竜町とのお付き合いは、およそ10年前からです。当時は、高田幸男さんをはじめ、たくさんの方々にお世話になりました。
石臼を使う製粉については、試行錯誤を重ね、品質も向上し、さらに、札幌のそば専門店で高い評価を得て、世に知られるようになりました。その後、品質管理についても妥協することなく、関係者皆様方のご協力とご努力により、高い品質を維持しています。
北竜町産そばの製粉一筋に歩んできたこの10年間ですが、私の人生で、ひとつのことにこれほど情熱を傾けて、取り組み続けたことは、これがはじめてです。関係者皆様に心より感謝申し上げます。
本日は誠におめでとうございます。乾杯!!!」



乾杯   懇親会   懇親会   懇親会 
乾杯!そして懇親会


2012年度「全国そば優良生産表彰事業」農家・集団

各入賞は以下の通りです。

・主催:(社)日本蕎麦協会

農林水産大臣賞
会場を飾る花
・農家:森清 氏(北海道札幌市)
・集団:北竜町ひまわりそば生産部会(藤井二郎 代表・北海道北竜町)

農林水産省生産局長賞

・農家:生井一郎 氏(茨城県八千代町)
・集団:妙高在来蕎麦振興組合(石野昭一 代表・新潟県妙高市)

全国農業協同組合中央会長賞

・集団:宝谷そば生産組合・森薫 代表(山形県鶴岡市)

(社)日本麺類業団体連合会長賞

・集団:会津いいでアグリサポート株式会社(苗村正 代表・福島県喜多方市)

全国蕎麦製粉協同組合理事長賞

・農家:津滝俊幸 氏(長野県白馬村)

(社)日本蕎麦協会長賞

・農家:藤田博子 氏(茨城県常陸大宮市)


表彰の目的・審査基準

全国そば優良生産表彰事業は、(社)日本蕎麦協会の主催のもとに1989年(平成元年度)から実施されていて、今年で24回目。
表彰は、全国都道府県を対象地域とし、参加資格は、個人3ha、団体20以上の作付面積を有するものです。
審査基準は、周長水準及び品質、栽培技術、作付体系、生産コスト引き下げ努力、契約栽培や加工・直売などへの取り組み、消費拡大および地域農業への貢献などがあげられています。


北竜町ひまわり生産部会の取り組み
会場を飾る花
「土が基本のそば栽培・畑の地力を維持向上させる努力」

北竜町の畑の総面積は1,000ha。その内550haがそば畑で、町の畑の半分以上がそば畑です。
2007年(平成19年)に「北竜町ひまわり生産部会」が設立。
農家116戸が、ソバの「キタワセソバ」「レラノカオリ」(新品種)を467ヘクタールで栽培。315トン全量をJAきたそらちへ出荷。JAきたそらちを通して、ほぼ全量の販売先は、横山製粉(株)(札幌市)1社。

品質向上につながる取り組みの特徴

1.そば・小麦・大豆を組み入れた3品種輪作体系への取り組み

周期的に違う作物を作付することによって、土壌バランスの偏りを軽減

2.赤クローバーを緑肥にする独自の栽培方法への取り組み

クローバーなどのマメ科の植物は、空気中の窒素を土壌や体内に取り組む働きがあり、窒素肥料の補充の低減可能。緑肥クローバーの栽培により、連作障害防止や地力増進を測り、化学肥料使用料の低減。さらには、病虫害に強い作物が育つ為、農薬使用量の削減に繋がる。

3.トレーサビリティ(生産・流通履歴を追跡する仕組み)の実践

1個体の生産から出荷まで細かな情報の提供ができる体制を構築。生産履歴が明確なので、利用者にとって安心安全なシステムが確立している。

4.主要販売先である横山製粉(株)との密接な交流を重ることによって、ユーザーの要望に応えることができる安心安全な製品づくりが実現できる

横山製粉(株)が製粉するそば粉「カムイ」は、北海道北竜産の玄そばを、石臼で丹念に製粉した風味豊かな一本挽きのそば粉。この「カムイ」と名づけられたそば粉は、玄そば(殻付きそばの実)の外殻だけを除き、旨味をたっぷり蓄えた胚芽や薄皮をすべて石臼で挽いていくという昔ながらの製法を作られるもの。
石臼の上臼の重みで粉砕しながら挽くことで、摩擦による熱が発生しにくくきめ細やかなそば粉に仕上がるそうです。
石臼1台で1日に挽ける量はわずか20kgというほど貴重なそば粉です。

こうして、一つの町で生産された、ほぼ全量のそば粉が、信頼性の高い一つの製粉会社へ流通していく仕組みにより、生産から加工・流通まで一貫して、安心安全な製品が担保されるのです。

5.北竜町における、そば打ち同好会「そば食楽部(くらぶ)北竜(中村尚一 会長)」の存在

「そばを打ち・味わい・みんなで楽しむ」そばをこよなく愛する人々の集まり

そば愛好家の仲間が集まり、2004年(平成16年)4月4日に設立した「そば食楽部北竜」は、今年で9年目を迎えます。町内の様々な職種の人々が会員となっていて、現在およそ50人。
道場での練習は月3回、8のつく日。そば打ち段位認定の上位段を獲得する方々が、年を重ねる毎に増加しています。
平成24年度には、横山製粉(株)さんや「そば食楽部北竜」の皆さんを中心に多くの人々の協力によって、新たに「新そば祭り」が開催され、町中で新そばを楽しみました。第6次産業化への足がかりが期待されます。


栄えある受賞を心よりお祝い申し上げます。おめでとうございます!


各種製品   インスタントそば   乾そば   乾そば 
北竜町産そばを使った様々な乾そば(サンフラワーパーク北竜温泉ショップ)


自ら栽培したそば粉を、

自ら打って食べ、町のみんなで、そばを愉しむ町、

情熱と愛情がいっぱいのそばを

まるごと味わえる「そばの町・北竜町」。

そんな北竜町の究極のそばを 愛しみ育てる、

北竜町ひまわりそば生産部会のさらなる発展とご活躍に、

大いなる尊敬と感謝と祈りをこめて。。。


横山製粉(株)の石臼製粉「カムイ」で打たれたそば 
横山製粉(株)の石臼製粉「カムイ」そば粉使用



祝賀会 
祝賀会




参考資料

 ◎ 参考データ(行政機関のホームページ)

(1)全国のそば収穫量(H19〜H23):
農林水産省統計情報>分野別分類・作付面積・生産量、被害、家畜の頭数など作況調査(水陸稲、麦類、豆類、かんしょ、飼肥料作物、工芸農作物)>確報(統計表一覧)・作物統計(普通作物・飼料作物・工芸農作物) 平成23年産〔Excel:e-Stat〕>全国農業地域別・都道府県別累年統計表(平成19年産~23年産)・6そば EXCEL

(2)全国のそば収穫量・都道府県別(H23):
・同上>確報(統計表一覧)・平成23年産〔Excel:e-Stat〕>統計表(平成23年産)・3 豆類・そば・豆類(乾燥子実)及びそばの収穫量(全国農業地域別・都道府県別) - そば EXCEL

 (3)北海道のそば収穫量・市町村別:

北海道農政事務所農林水産統計公表資料(北海道)>平成23年産そばの市町村別収穫量(北海道)EXCEL
・同上>平成24年産そばの市町村別収穫量(北海道)EXCEL

※ 以下の表・グラフは、上記統計情報を元に、寺内昇が作成


<全国> 作付面積・収穫量
  作付面積(ha) 収穫量(ton)
H 19 46,100 26,300
H 20 47,300 23,200
H 21 45,400 15,300
H 22 47,700 29,700
H 23 56,400 32,000
※ H19〜H21の収穫量は主産県の合計値を使用
<北海道> 作付面積・収穫量
  作付面積(ha) 収穫量(ton)
H 19 16,800 12,900
H 20 16,500 11,400
H 21 14,900 7,000
H 22 15,400 11,100
H 23 19,300 11,400
H 24 21,700 19,700


<全国> 作付面積・収穫量
<全国> 作付面積・収穫量





<北海道> 作付面積・収穫量
<北海道> 作付面積・収穫量
<全国>収穫量・都道府県別ベスト10(平成23年度)
  収穫量(ton) 1反(10a)当たりの
収量(Kg)
北海道 11,400 59
福島県 2,630 70
山形県 2,570 55
長野県 2,400 66
茨城県 2,330 87
福井県 1,940 49
栃木県 1,870 89
秋田県 1,020 40
新潟県 890 56
鹿児島県 775 61






<全国> 収穫量・都道府県別(H23)
<全国> 収穫量・都道府県別(H23年度)
<北海道>収穫量・市町村別ベスト13(平成23年度)
  収穫量(ton) 1反(10a)当たりの
収量(Kg)
幌加内町 2,170 70
深川市 1,320 65
旭川市 507 45
音威子府村 422 55
沼田町 310 59
北竜町 292 54
蘭越町 268 70
共和町 240 69
新十津川町 235 42
南富良野町 226 84
和寒町 220 56
滝川市 218 57
新得町 211 94

<北海道>収穫量・市町村別ベスト13(平成24年度)
  収穫量(ton) 1反(10a)当たりの
収量(Kg)
幌加内町 3,540 109
深川市 2,280 97
音威子府村 994 124
旭川市 854 71
剣淵町 577 111
沼田町 554 85
名寄市 471 114
士別市 465 85
和寒町 452 99
滝川市 450 81
新得町 387 123
新十津川町 367 69
北竜町 362 64
<北海道> 収穫量・市町村別(H23年度)
<北海道> 収穫量・市町村別(H23年度)

<北海道> 収穫量・市町村別(H24年度)
<北海道> 収穫量・市町村別(H24年度)


北竜町のそば畑

北竜町の位置   北竜町の形   北竜町のそば作付圃場位置図 
左:北竜町の位置  中:北竜町の形
右:北竜町のそば作付圃場位置図(提供:JAきたそらち北竜支所)


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◇ 撮影・編集=寺内昇  取材・文=寺内郁子