モルックで木と木の音色が紡ぐ笑顔の輪:北空知ブロック障がい者交流会モルック大会

2025年9月24日(月)

9月19日(金)、清々しい秋空の下、北海道身体障害者福祉協会空知支部・北空知地区協議会主催のモルック交流会が開催されました。フィンランド発祥のモルックを通じて、障がいの有無や世代を超え、誰もが心からの笑顔で繋がる一日。そこには、効率や競争ではなく、互いを思いやり、共に楽しむ「和の心」が溢れていました。木と木が触れ合う軽やかな音色が、人々の心を結びつけ、世界が本当に必要としている温かいコミュニティの姿を映し出していました。

秋空に響く希望の音、モルックが繋ぐ心の輪

9月19日(金)、数日前とはすっかり変わり、どこまでも高く澄み渡る清々しい秋空。黄金色に輝く稲穂が風に揺れる北竜町に、たくさんの笑顔が集いました。この日は、年に一度の「北空知ブロック障がい者交流会」。北空知4町(妹背牛町・秩父別町・沼田町・北竜町)27名の会員の方々が参加し、今年の開催場所は北竜町老人福祉センターです。会場は、温かい拍手と期待感に包まれていました。

北竜町老人福祉センター
北竜町老人福祉センター
受付コーナー
受付コーナー

司会:北竜町社会福祉協議会・中村道人 事務局長

司会進行は北竜町社会福祉協議会・中村道人 事務局長
司会進行は北竜町社会福祉協議会・中村道人 事務局長

コロナ禍を乗り越えて、今、再び繋がる喜び

開会の挨拶:空知地区身体障害者福祉協会・山下好晴 副会長

開会の挨拶に立った空知地区身体障害者福祉協会・山下好晴 副会長(北竜町身体障害者福祉協会 会長)は、優しい眼差しで会場を見渡し、こう語り始めました。

空知地区身体障害者福祉協会・山下好晴 副会長(北竜町身体障害者福祉協会 会長)
空知地区身体障害者福祉協会・山下好晴 副会長(北竜町身体障害者福祉協会 会長)

「こんにちは。今年は非常に温度が高く、豊穣の秋となりました。米価も高いということで、地元の農家 の皆さんは 大変喜んでおります。そんな話を聞くと、私たちもつい嬉しくなるものです。

もともとは、空知地区でレクリエーション大会や研修会をやっておりましたが、例のコロナの影響でできなくなってしまいました。今、空知の主なる行事といえば、このブロックの交流会。交流会というのは、親睦や交流を目的に始まったんです。ただ講演会を聴くのではなく、みんなで楽しみ、語り合いながら交流を深めるのが目的です」。

コロナ禍で途絶えがちだった人の繋がり。その大切さを誰もが再認識した今、この交流会が持つ意味は、これまで以上に大きいのかもしれません。

今日の主役は「モルック」

山下会長は続けます。

「今回は、皆さんも最近耳にすることがあると思います『モルック』を取り入れようと。これなら楽しいし、交流にもなる。やったことがない人も、教えてもらいながらやるのがまた楽しい。競技では失敗したり笑ったり、いろいろなことが起きるでしょう。そんな、楽しい一日にしていただきたいと思います。くれぐれも怪我をしないように頑張ってください」。

その言葉に、会場は温かい期待感で満たされました。誰もが主役になれる魔法のスポーツ「モルック」。その響きだけで、もう心は躍ります。

さあ、ゲームの始まりです!

大会は、北竜町社会福祉協議会と教育委員会の職員の方々が全面的にサポート。チームは町対抗ではなく、さまざまな町の人々が混ざり合う混合チームです。他の町の方との交流を図る、というこの会本来の趣旨が、このチーム分けにも込められています。

サポーターの北竜町社会福祉協議会と教育委員会の職員の方々ご紹介
サポーターの北竜町社会福祉協議会と教育委員会の職員の方々ご紹介

モルックのルール説明:北竜町社会福祉協議会・村井恵 係長

講師を務める北竜町社会福祉協議会・村井恵 係長が、マイクを握ります。

北竜町社会福祉協議会 講師 村井恵様
北竜町社会福祉協議会 講師 村井恵様

「モルックをやったことがある方、どのくらいいらっしゃいますか? 半分以下でしょうか。では質問です。モルックはどこの国発祥のスポーツか、ご存知ですか? そうです、フィンランドです!」。

会場が和やかな雰囲気に包まれる中、村井さんから分かりやすくルールが説明されました。

  1. 「モルック」という木の棒を投げ、「スキットル」という数字が書かれた木のピンを倒して点を取ります。
  2. 先にぴったり50点なったチームが勝利!
  3. 投げる時は必ず下手投げで。投げる位置を示す「モルッカリ」という枠から足が出ないようにします。
  4. スキットルが1本だけ倒れた時は、そのピンに書かれた数字が得点になります。
  5. 複数本倒れた場合は、倒れた本数が得点になります。
  6. 50点を超えてしまうと、25点に減点されて、そこから再度点数を重ねます。
準備を整えて。。。
準備を整えて。。。

そして、今回は特別に「北竜ルール」が発動!試合時間が10分を超えたら、その時点での最高得点のチームが勝利となります。誰もが最後まで楽しめる、思いやりに満ちたルールです。競技は、各チームにはそれぞれの町から選手が5名ずつ入り混じり、5チームに分かれ、2チームずつ10試合が行われました。

世代を超えて響き合う、笑顔と歓声

「おお、やった!」「すごい、うまい!」「あと8点!」

ゲームが始まると、体育館のあちこちから弾むような声が聞こえてきます。狙いを定めて、そっと投げる人。力強く投げ込む人。車椅子から、絶妙なコントロールでピンを倒す見事な一投も。

一本の木の棒が、スキットルに「カラン!」と当たるたびに、「わーっ!」という歓声が上がります。チームメイトのスーパープレーに、まるで自分のことのように喜び、ハイタッチを交わす姿。惜しくも外れた時には「ドンマイ!」「次があるよ!」と励ましの声が飛び交う。

そこにあったのは、競争ではなく「共創」の風景。勝敗を越えて、この瞬間を共に楽しもうという、温かい「思いやりの心」が満ち溢れていました。これこそが、世界中の人々が心のどこかで求め続けている、本当の豊かさではないでしょうか。

ナイス!
ナイス!
狙いを定めて!
狙いを定めて!
そーれ!
そーれ!
次の狙いは?
次の狙いは?
やったー!!!
やったー!!!
お見事!!!
お見事!!!
狙い撃ち!ナイス!
狙い撃ち!ナイス!
一本狙い!!!
一本狙い!!!

各町の活動報告 ~それぞれの歩みと、ひとつの想い~

熱戦が繰り広げられた後、参加した4町の身体障害者福祉協会から、それぞれの活動報告が行われました。町の特色や規模は違えど、そこには会員を想う温かい心という、共通の輝きがありました。

沼田町:活発な行事で、笑顔を繋ぐ

新年会から始まり、研修会、浜辺でのジンギスカン、増毛町での果物狩り、そして忘年会と、年間5~6回もの活発な行事を開催。会員数は現在37名。個人情報の壁がありながらも、町の保健福祉課と連携し、手帳の交付があった方へ丁寧に声をかけるなど、仲間を増やすための地道な努力を続けています。

沼田町
沼田町

秩父別町:一人ひとりに寄り添う、温かい活動

会員数は22名。会員の高齢化に合わせ、さくらんぼ狩りを温泉での食事会と持ち帰りに変更するなど、誰もが参加しやすい形を工夫しています。また、会合に出られない会員のお宅を訪問し、果物を届けるなど、一人ひとりに寄り添うきめ細やかな活動が印象的でした。

秩父別町
秩父別町

妹背牛町:明確な目標を掲げ、学びと交流を深める

「障がい者活動の推進」「福祉の充実」「地域の活動の推進」という3つの目標を掲げ、計画的に事業を推進。地域の総会や全道大会への参加を通じて、会員同士、そして他地域の組織との交流を深め、常に学びの姿勢を忘れません。会員数は17名と少数ながらも、皆で楽しめる新しいアイデアを模索しています。

妹背牛町
妹背牛町

北竜町:町の協力と共に、未来を見つめる

北竜町
北竜町

新年会には町長や担当課長も出席し、行政の話を聞く研修の場ともなっています。夏のひまわりまつりのボランティア活動を終えた後、ゴロッケ大会や、美味しいと評判のレストランでの忘年会など、楽しみを企画。一方で、山下会長からは切実な問題提起も。会員数が8名ほどと伸び悩む背景に、「自分は障がい者ではないと思いたい」という新しい世代の意識があることを指摘。「障がい者であることを自覚し、仲間と結びつくことの大切さを伝えたい。行政とも連携し、この課題に取り組んでいきたい」という力強い言葉が、会場の心に深く響きました。

大会結果発表、そして閉会へ

モルック大会の結果は、1位が全勝の1番チーム、2位が5番チーム、3位が同率で3番チーム・4番チームと発表され、各チームの健闘に大きな拍手が送られました。予定よりも早く終了するほど、皆さんの上達ぶりは目覚ましく、サポートに入ったスタッフからも「すごく楽しかったです!」と声が上がります。

大会結果発表
大会結果発表
健闘を讃え、皆さんで拍手!
健闘を讃え、皆さんで拍手!

心を繋ぐために ~共通の課題と、未来への誓い~

閉会の挨拶:空知地区身体障害者福祉協会・中川淳二 事務局長

各町の報告で共通していたのは、会員の減少という大きな課題。その中で、空知地区身体障害者福祉協会・中川淳二 事務局長が、温かくも力強い言葉で会を締めくくりました。

空知地区身体障害者福祉協会・中川淳二 事務局長
空知地区身体障害者福祉協会・中川淳二 事務局長

「皆様、大変お疲れ様でした。北竜町の皆様、素晴らしい企画をありがとうございました。この交流会は、本来こうあるべきだと感じています。座学の研修ではなく、本日のモルックや、先日の中空知ブロックで行われたカラオケ大会のように、皆さんの親睦と交流を深める企画こそが、結束をより強くするのだと痛感しました。

会員数の減少は全道的な課題で、特効薬はありません。しかし、我々ができることは、親睦交流を深め、協会の魅力を高めていくこと。そうして会員減少に歯止めをかける。その方向で、空知地区としても事業を考えていきたい。皆様とご一緒に、ご協力をお願いいたします」。

そして、来年の開催地が秩父別町であることが告げられました。課題を共有し、知恵を出し合い、また来年、笑顔で会うことを約束する。その誓いが、会場を一体感で包み込みました。

親睦と交流を深めるモルック大会に感謝を込めて!
親睦と交流を深めるモルック大会に感謝を込めて!

この北竜町から生まれた温かい笑顔の輪が、また来年、秩父別町でさらに大きく花開くことでしょう。この素晴らしい一日が、日本中へ、そして世界中へと、希望の波紋のように広がっていくことを心から願っています。

様々な困難を乗り越え、スポーツを通して、町を超えて人々が繋がり交流し親睦を深めて、毎日を明るく元気に活動していく、北空知ブロック交流会に、限りない愛と感謝と祈りを込めて。。。

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