2023年3月1日(水)
2月27日(月)14時より、「3町(雨竜・沼田・北竜)営農改善推進協議会・佐野豊 会長(北竜町長)」主催による「地域農業者研修会」が、きたそらち農業協同組合北竜支所(2階研修室)にて開催されました。3町の農業者・団体関係者約50名を超える方々が参加し、熱心に耳を傾けました。
3町(雨竜・沼田・北竜)地域農業者研修会
- 主催:3町(雨竜・沼田・北竜)営農改善推進協議会 会長(北竜町長)佐野 豊
- 日時:令和5年2月27日(月)午後2時00分~午後4時00分
- 場所:きたそらち農業協同組合北竜支所・2階研修室
地域の基幹作物である水稲の生産品質向上と競争力強化に取り組む中、農業を取り巻く環境は大きく変化しています。
今回の研修会は、農業者の減少や後継者問題により、地域や営農に影響を与え始める中、就農の現状や担い手確保の見識を深め、地域農業の振興に資することを目的として開催されます。
研修会では、農林水産省 北海道農政事務所 旭川地域拠点 総括農政推進官・舘下輝 一 氏、株式会社マイナビ 農林水産ジョブアス事業統括部 北海道営業課・竹内沙季 課長のお二方からご講演をいただきました。
総合司会:北竜町役場産業課・続木敬子 課長
ご挨拶:3町営農改善推進協議会 副会長・北清裕邦 氏(きたそらち農業協同組合 北竜地区代表理事)
「今日は、3町営農改善推進協議会主催によります『地域農業研修会』に大勢の皆様にご出席いただきました。本当にありがとうございます。
今日はお二方の講師の方にお越しいただきまして、水田活用の要件などのお話、(株)マイナビの竹内課長から新規就農者や農業の受け入れ体制についてのお話を伺えると思います。
北竜町では、畑地化に向かって取り組んでいる農業者が41戸、面積は172haとなっています。本申請で概ね170ha程が畑地化になるということで進んでいます。
この町全体を考えた時、平場はなるべく畑地化してほしくないというのが本音であります。この地域は、改良区の事業であったり水稲の作付けが主たるものなので、真ん中に畑があると、ちょっとやりづらいのかなということを今考えています。それぞれの形態がしっかり経営ができる状況であればいいのかなと考えています。
今、農家人口がどんどん減っているという大きな課題を抱えている現状であります。なんとか新規就農者であったり、農業実習生であったり、農業に関わる人達をどうやって呼び込もうかということが大きな課題になっています。
そのようなことから、今日の研修をしっかり聞いていただいて、雨竜・沼田・北竜のそれぞれの町の農業の前進に少しでも寄与できればと思います。
後ほど、質問の時間もありますので、積極的に発言していただいて、有意義な時間となりますように心から願いながら開会のご挨拶とさせていただきます。今日はお集まりありがとうございます」と、北清 副会長。
第1部講演:令和5年産に向けた水田農業の取組方針について
- 講師:農林水産省 北海道農政事務所 旭川地域拠点 総括農政推進官・舘下輝一 氏
舘下輝一氏プロフィール
- 1988年、弘前大学農学部卒業
- 農林水産省北海道食糧事務所に入省し、農産物検査、政府米保管・管理、食品表示、経営所得安定対策などの業務に従事されてきました。
2021年からは総括農政推進官として、地域農業の振興や農業者の支援に取り組んでいらっしゃいます
ご講演
水田活用交付金支払い関係、畑地化促進事業の関連予算などについて、詳細な資料をもとにご講演いただきました。
- 主食用米等の令和4/5年及び令和5/6年の需給見通しについて
- 令和3年産、4年産における作付転換状況について
- 令和5年産に向けた水田農業の取組方針について(麦・大豆・野菜・米粉用米への取組検討)
- 水田活用の直接支払交付金の交付対象水田の見直しについて
- 水田活用の直接支払交付金の交付対象水田について(5年水張りルールの具体化)
- 水稲作付以外による水張りの「一定期間」の考え方について(連作障害軽減の観点)
- 令和5年産水田活用予算の全体像
- 畑地化促進事業(畑地化支援・定着促進支援・決済金等支援・体制構築支援)
- 畑作物産地形成促進事業(旧水田リノベーション事業)の概要(支援内容・生産者向け支援のイメージ)
- 水田活用の直接支払交付金等
- コメ新市場開拓等促進事業
- 飼料用米の申請項目の変更について
この後、質疑応答が行われました。
第2部講演:『地域の担い手確保の手法とその受け入れ方について』
- 講師:株式会社マイナビ農林水産ジョブアス事業統括部 北海道営業課 課長・竹内沙季 氏
竹内沙季氏プロフィール
- 名古屋出身。2005年 株式会社マイナビに入社
- 2018年〜 北海道在住6年
- 採用コンサルタント業務に従事し、1,000社以上の採用支援に携わる。2015年から農業分野にて生産法人やJA自治体の担い手支援に従事。新規就農者向けイベントや農業就職フェアなどの企画を行うとともに、「採用力向上研修」「担い手募集におけるPR手法」など、各種研修講師としても活躍。
また、第一次産業の求人サイト「マイナビ農林水産ジョブアス」や、第一次産業に特化したインターンシップ情報サイト「ジョブアス インターンシップ」などを運営
ご講演
「就業者の確保の手法や成功事例などについてお話させていただきます。我が町に人を入れ込むかという考え方の参考になればと思います。
まず、就農者を確保するためには、まず相手を知り(移住・就農希望者の動向や価値観を知る)、自分を振り返り(地域特性や取組)、他から学ぶ(成功事例)ことが重要です。
1.相手を知る:若者の就活における価値観・傾向を知り、農業の魅力を伝える
- 若者の働き方への価値観「残業ゼロ」「仕事の楽しさ」「明るい職場」
- 農業界のイメージを把握する(興味・関心)
- 就職先にもとめているものを理解する(成長できるやりがい、社会貢献度の重要性)
- デジタルコミュニケーションで視野が世界に広がる
- 情報伝達方法を整理する(スマホで応募できる機能を付加する)
- 農業の魅力をつくり、伝える(きちんと整理して明文化し、それを正しいターゲットに向けて情報発信する)
- 移住・就農希望者の動向や価値観を知る(雇用・働き口・収入・生活・交通)
2.自分を振り返る:北海道の特性・優位点・今の取組について伝える
- 定着までの道のりピラミットのワークシートで効果を実感
- ネット情報収集・相談会・イベント参加・現地ツアー・研修・就農
3.他から学ぶ:さまざまな就農の成功事例を学ぶ(情報の伝え方を工夫する)
- 「人の魅力」を伝える重要性、不安・心配・要望を理解し、多様なニーズに寄り添い共感できる地域のビジョンの存在感を示す
- 情報の伝え方を工夫・見せ方・届け方
- 企画や制度の工夫
- 「人の魅力」を伝えることが重要
(1)長野県の事例紹介(特設HPをご紹介)
- 先輩就農者の生き生きとした姿(インタビュー記事掲載)・指導者の紹介・生活情報の掲載・オンライン相談会・アンテナショップの開催
- 相談会参加者の情報・リストが(経過状況・継続・終了の確認)クラウド共有されている
- 農業の関心のある人への情報をわかりやすく整理する
(2)那須塩原市による就農支援の事例紹介
- 工夫ポイントは、多彩な研修内容(自分に合った5つのコースが選択可能)、圧倒的な支援内容(行政・地元農家の手厚い支援)
(3)栗山農業振興公社設立の事例紹介
- PR情報・制度の工夫(自由な営農・地元農家の手厚いフォロー)
成功事例から見えてくる大原則
- 「人の魅力・人柄」「人との出会い」「自分の生き方が実現できる・共感できる地域である」「相手の話を良く聞く」
その後、質疑応答となりました。就農後の状況・アフターフォローについて等の質疑が行われました。
就農の現状を理解し、就農者の考えに耳を傾け理解を深め、地域の取組や人々の魅力を伝え、これからの地域農業の振興・発展に導いていく地域農業研修会に、限りない愛と感謝と祈りをこめて。。。
その他の写真
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◇ 撮影・編集=寺内昇 取材・文=寺内郁子