2022年6月2日(木)
『広報ほくりゅう(2022年6月号 No.682)』に、北竜町診療所・浦本幸彦 所長が書かれたコラム『いざという時』が掲載されています。
北竜町の特別養護老人ホームの職員皆様、そして関係者皆さまの誠実で真摯な素晴らしい対応に、心より感謝と御礼を申し上げます。コラム全文を紹介させていただきます。
(特別養護老人ホームでは、5月4日にクラスターの発生が公表されましたが、5月31日に健康観察期間が終了し、終息しました【引用元:北海道新聞 2022年6月2日付け】)
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診療所だより
No.286 診療所長 浦本幸彦
いざという時
「いざと言う時にその人の本当の姿が現れる」
だれでも調子の良い時は人に優しく笑顔です。でも窮地に陥った時に人にどのように接することが出来るかはその人次第です。
これはGW明けの週に書いています。
ご存知のように特別養護老人ホームを中心に町内でも新型コロナ感染者が発生した。いわゆるクラスター事例です。
まだ対応途中ですが、最初の患者判明から連鎖的に患者発生が続きその感染力の強さに驚かされました。
本町施設職員の迅速な対応で即座に追加検査や感染予防策を打ちたて実行されました。
これは非常に大切な事で、初めての事に逡巡することなく対応できたことは並大抵のことではありません。
一般の方とは異なり入所者は重症化しない限り、症状のある方でも本町施設で介護、看護を続けなければいけません。いきなりの重責が降りかかってきたわけです。
しかし本町施設では、その日のうちに感染病棟の整備、患者隔離、職員に対する感染予防策の周知徹底を図っています。
もちろんこれには保健所の 指導や感染症専門家の助言などもあったようです。
迅速な対応で現在発生より2週間ほど経過しましたが、1日の患者発生数は著減してきています。まだまだ油断はできない状況ではあります。
しかしその中で特筆すべき事があります。懸命に介護や健康観察、支援業務を行っている職員たちです。
介護員や看護師に感染者が出て絶対的な人数が足らない場面でのこれらの献身は彼らの真の姿を表してくれました。
感染力の強いコロナウイルスです。誰もが怖がって当たり前です。
本町施設の看護師や介護士、職員は専門家ですからその恐ろしさを熟知しています。しかし誰一人不平不満を口にすることなく普段以上の愛情を持って入所者へ接していま した。
冒頭の言葉ではありませんが、いざという時に瞬時に体を動かすことが出来るかどうかが問題です。思ったり口にすることは簡単です。しかし、それは困っている方には何の役にも立ちません。
さらに驚いたことに連日の激務で疲れているはずなのに 職員の表情は予想以上に明るかったのです。
それは「尽くす」事に集中しているからかも知れません。誰も評価はしてくれませんが、損得抜きで全員が純粋な心で尽くしているからでしょう。
この数年、新型コロナ感染症に対し尽力している関係者などに感謝の言葉や勇気をたたえる言葉を見聞きしました。
その時は、「確かにそうだね」と思っただけでしたが、現実に直面すると本町施設の職員すべてが一丸となって戦っている姿を見て、その勇気を称え、感謝の気持ちを伝えずにはいられません。
ありがとう、本町施設職員の皆さん。
皆さんのひかり輝いている真の姿が見えました。
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