2020年9月25日(金)
昼食後は、「農事組合法人ほのか」事務所にて懇談会。農事組合法人ほのかの組合員が集合し、活発なディスカッションが行われました。
紙智子参議院議員のご挨拶
参議院議員の紙智子です。2001年より参議院議員として活動し、農林水産委員会に所属しいます。今回、衆議院の田村議員、前衆議院議員のはとやま議員の方々と共にお伺いいたしました。
国会で「種苗法」改定案が閣議決定されていましたが、内容説明要求、反対意見・請願署名等が多く寄せられていることもあり、審議入りしないまま継続となりました。
この法案を巡って、様々な疑問が浮かび上がってきました。国が種苗法の改正案を提出した理由として、シャインマスカットやイチゴ等の日本の登録品種が海外に流出するなどの数々の問題が発生し、こうした日本の優良品種の海外からの逆輸入防止のためであるとしました。
知見の海外流出防止を目的とした改定案の内容では、登録品種において、これまで自由だった自家採種を禁止するとされました。農家の自家採種が禁止されることは、農家の方々が生産していく上での権利を侵害することになるのではないかという疑問が浮上してきました。
消費者の間でも、海外企業の参入等の不安が沸き起こってきました。
そこで、今回の訪問で、北海道の生産者の方々が、今回の法案をどう受け止め、考えているかをお聞きしたいと思います。
農事組合法人ほのかでは、どのような作物を作り、種に関してどのような努力をされているのか、今回の法改正による心配や不安、疑問等について、皆さんのご意見をお聞きしたいと思います。宜しくお願いします。
衆議院・田村貴昭 議員のご挨拶
衆議院議員の田村貴昭です。衆院九州沖縄比例代表、福岡県北九州市出身です。住んでいる町は、専業農家は一軒もない、人口18万人の工業都市です。
農林水産委員会に所属して3年目ですが、農林水産を取り巻く状況が、目まぐるしく変化しています。農業、食料、農村が日本の最も大切な部分であることを認識しています。
農家の声を聞かずして、法律が変わっています。米・麦・大豆の主要品種における種子法が禁止されたので、各県で独自の条例を定めて、安定した種子を作って供給していくという流れが広がっています。
漁業も林業もしかりです。海外資本の大手企業などに利益が渡ってしまうような政治の流れが根底にあります。そこに危機意識をもっています。種のことについては、農家の生産者の声を聞いてから論議すべきである、と言ってまいりました。
北海道を訪問し、一番土と向き合い、一番農産物のこと、種のことを考えておられる生産現場の皆さんの声を聞いて、これからの活動に挑んでいきたいと思います。宜しくお願いします。
国会議員団メンバー自己紹介
田井共生氏(紙議員秘書)、川邉隆史氏(田村議員秘書)、山口佳織氏(田村議員秘書)、前衆議院議員・はたやま和也氏(共産党)、日本共産党国会議員団北海道事務所・小田一郎 事務局長、北海道たねの会・久田徳二 会長(北海道大学客員教授)、NHK札幌拠点放送局・大楠哲平 ディレクターから自己紹介がありました。
農事組合法人ほのか設立までの概略・生産内容についてのお話:森島朝夫 理事
農事組合法人ほのかの設立は、2014年(平成26年)。設立2年前から準備し、法人化を目指す5軒の農家で、稲作の共同作業を開始。3年乗り越えれば、なんとか形になるのではと念じながら、皆で苦労を共にしながら頑張りました。今年で6年目を迎え、年間の総収入は2億円を超えています。
ひまわり油用、ひまわりナッツ用等ひまわりを栽培し、水稲、大豆、秋小麦、そば、ハウスメロン(100mハウス13棟)、小豆、あわ、インゲンなどを栽培。総耕作面積は、1,536a(東京ドーム300個分)です。
出資構成員は9名、新規就農者1名、従業員1名、季節従業員として、奥さん達と元構成員12名で構成されています。
組合員の方々の自己紹介
若い組合員から長老まで、さらに息子さん・奥さん・お父さん・お母さん等と家族ぐるみの皆さんです。
なんと、紙智子 議員と組合員の奥様・板垣美千代さんは、北翔大学時代の先輩と後輩!

懇談
▶ 紙 議員:新規就農者の方は、この法人に就農する前は、どこで、どんなことをしていて、ここに就農した理由を教えていただけますか?
▷ 新規就農者・金田さん:滝川市出身で、以前は自動車整備をやっていました。後輩から北竜町の話を聞いて、ご縁をいただきました。
▶ 紙 議員:やってみてどうですか?
▷ 金田さん:楽しいです!!!
▶ 質問:家族農業でやってきた時と、法人で共同作業との違いや感想をお聞かせいただけますか?
▷ 山田家お母さん:ひとりで黙々とやっていた頃より、みんなでワイワイ、おしゃべりしながら作業を進めていくほうが楽しいです!
若い子や、誰かしら様々な部分で手伝ってくれるので、身体の負担も軽く、楽です。
▶ 質問:後継者の息子さんはどのように感じていましたか?
▷ 山田家息子さん:将来的に一番不安だったのは、先輩達の土地が不耕作になっていくことでした。男一人でできる仕事は限界があるのですが、男2人だと倍以上の仕事、実際は3倍くらいの仕事をこなせることもあります。
土地を守っていくとしたら、みんなで協力しあってやっていくのがいいのかなと思います。
▶ 田村 議員:農作業全体の分担や分業・作業方法などを教えていただけますか?
▷ 中山成幸 理事:作物別の分担はなく、ほとんど全員で全作物に取り組んでいます。ただ、作業的には、担当者はいます。メロン栽培においては、水谷代表のご指導のもと、手分けして行っています。
▶ 質問:法人を設立したきっかけをきかせていただけますか?
ほのか・水谷茂樹 代表理事(北竜町農業委員会 委員長)のお話
法人設立当時は、人口減少、農業者の高齢化など稲作をめぐる環境が厳しく変化した時代でした。このままでは、町から農家がなくなり、共倒れしてしまうのではないかという危機感を抱いていました。
そこで、地域ぐるみで協力して、農地と農業を守っていこうという強い想いから、様子をみながら試験的に実施していき、徐々に法人化の方向へ舵をきっていきました。
最初、地域全体で始めましたが、話を進めていくうちに、自分の考えでやっていきたい人、経営的に考えが合わない人など、次々に抜けていきました。
近年、北竜町の「農事組合法人ほのか」という名前も次第に認知されるようになり、なんとか落ち着いてきた感じです。
ほのかは、北竜町美葉牛地区の耕作面積の4割を担っています。美葉牛地区には、大きなライスセンターが2個所あり、そこが中核となっています。個人農家も地区全体で一緒に稲刈りなどをしています。
地域に集荷施設がないので、それが逆に良い結果を招いているかもしれません。作物は全量、農協へ出荷して、低温倉庫で保管管理されています。
ほのかの経営で特徴的な部分は、法人経営に女性が参画していることです。メンバー全員に決算内容(農産物の販売価格や生産費等)などを詳細に説明し、一覧表で明示しています。
お母さん達が、自分たちの作ったものがどのくらいの値段で販売されているかを理解し、その上で作業を進めます。メンバーの生産意欲の向上に繋がっています。
作業内容も、如何に効率を上げていくか、皆で考えて、常に行為工夫を繰り返しながら、ワイワイ楽しんで作業を進めています。
楽しい分だけ苦労も多いですが、大きな苦労もみんなで分け合えば、なんとか乗り越えていけるます。みんなで力を合わせて頑張っています!

▶ 質問:米の直接支払交付金の廃止はどうお考えですか?
▷ 水谷代表:かなり痛手で、きついですね。直払交付金で機械等を購入することができました。この交付金がなければ、機械を買えずにそのまま農家をやめざるを得なかったと思います。
▶ 紙 議員:私達も賛成しました。この交付金で、農家のみなさんは一息付けたと言っていました。、私達は、復活法案を提出しているのですが頓挫させられています。
▷ 水谷代表:その後、米価は上がってきたのですが、10%の消費税がかかってくるし、手数料も取られるので、儲かっているように思われがちですが、ほとんど変わらない状態です。
中山間地域は、本当に大変です。この辺は雪が多く、冬の除雪作業や、融雪剤散布などに費用がかさみます。
▶ 質問:ほのかで自家採種はありますか?
▷ 水谷代表:自家採種はありません。種はすべて購入しています。食用目的で栽培した種を販売するときは、国の一定基準で統一された種子でなければ、販売することができないように法律で定められています。
私達の場合、自家採種の問題はないのですが、購入している種そのものが、モンサントのような海外企業が種子販売に参入し、品種改良し、種を独占してしまうことに繋がってしまうのではないかと危機感を抱いています。

ひまわりの種の製造元を調べる議員団の皆さん。

北海道たねの会・久田徳二 会長

種の外資系企業のグループは、種子企業、農薬企業であり、いずれも遺伝子操作技術をもっています。いつ遺伝子操作されるかどうかわからない状況にあります。これが、我々にとっての一番の不安です。
こうした種の会社が、国産で安心できる会社であることを消費者は望んでいます。日本国内で栽培できる安心な種を販売できる会社を探すしか方法はないと思います。
京野菜は、古くから京都にある在来種です。大事に大事に育てています。京野菜は厳格な基準があって、それをバックアップしているのが、府立農業試験場です。そこで栽培された種を農家さんに配給し、各農家さんで大切に育てられています。
北海道は、米をはじめとした主要作物は、きちっと管理されています。その他のものは、残念ながら手薄です。ひまわりや野菜などはほとんど手放しで、外国の種が幅を聞かせていると考えられます。

若者の要望:金田知樹さん
嫁も札幌から来て、新規就農し、子どもも一人授かりました。もうひとり子どもが欲しいと思っても、1年間以上休んでしまうと、融資額を一括返済しなければなりません。その辺の要件が難しい問題です。
紙 議員
青年就農給付金の場合、最初は使う人が増えたのですが、財源的に予算を増やさないため、ハードルを高くして、減らす形に制度が移行してしまいました。そのため、あちこちから問題が発生してきました。
家庭をもち、子どももできて前向きに進もうとおもっても、続けられないような制度になっていて、就農を援助するという趣旨が違ってきました。梯子をかけておいて、後で外すような状況がおきています。
田村 議員
9月末に国会で各省庁からの概算要求があるので、今の話を提出してみます。
農業は血の通った生命の産業!(ほのか作成資料より引用)
「ほのか」から若者たち・および皆さんへのメッセージ
田んぼや畑は、食糧生産工場ではありません。
農業は、車やテレビを流れ作業で作る様にはいきません。
爺や婆・嫁や子供が、太陽と水と土の恩恵を受けながら、時には自然と闘いながら、自分に知恵と体と心で食べ物を育てる、血の通った命産業です。
農家は、地域を作っています。田舎を守っています。そこにいる人間を育てています。
「ほのか」ができたのは、農業で、自分たちとまわりの人たちを・この自然を・北竜を守り育てていくためです。
「農業は生命の産業」の素晴らしいメッセージに心から感謝いたします。ありがとうございます!!!
ほのか事務所の壁に大きく掲示されている「黒板五郎の遺言」
ここには何もないが自然だけはある。自然は充分毎年喰わしてくれる
自然から頂戴しろ。そして謙虚に、つつましく生きろ
(テレビドラマ「北の国から」黒板五郎の遺言より)
この後、サンフラワーパーク北竜温泉へ移動しました。
Những bức ảnh khác
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◇ Nhiếp ảnh/biên tập: Noboru Terauchi Phỏng vấn/văn bản: Ikuko Terauchi