2025年4月24日(木)
4月20日(日)は、二十四節気「穀雨(こくう)」の日。穀雨は、「雨降って百穀を潤す」とされ、柔らかく暖かな雨が降り田畑を潤す季節。その日も春の新芽達に潤いを与えるかのように、恵の雨がパラパラと。。。
お茶会「上井達矢さん(自然下)& あみさん(五風十雨)との対談」
そんな穀雨の日に相応しいお茶会が、札幌円山の「vegan restaurant L’Espérance(レスペランス)」にて開催されました。
レスペランスの素敵なお料理をいただきながら、食前茶を開発した「あみさん(五風十雨のオーナー)」とお茶の素材(北竜町の森林のアカエゾマツ)提供者「上井達矢さん(自然下 代表)」との対談を楽しむお茶会です。


テーマは「森のお茶」!
4月に4周年を迎えた「レスペランス」の特別な食前茶を、あみさん(五風十雨のオーナー)が開発・企画して誕生したスペシャルティーです。

そのお茶の素材となったのが、北竜町で(環境保全の高い持続的森林経営)を営む上井達矢さんの「アカエゾマツ」の葉!
北竜町の森林で育つ樹林「アカエゾマツ」が繋ぐ素敵なご縁!


あみさんと上井達矢さんとの対談
- あみさんは、5年前より札幌南区で、お店「五風十雨」を開店
- 上井達矢さんは、5年前(2020年4月)に北竜町に移住し、北竜町の山林で「自伐型林業」をスタート

アカエゾマツ茶の誕生
🍵 あみさん
「ヴィーガン料理を提供されている白山さんが今後の変化を考えていた際に、新しいお茶の構想が生まれました。
その植物をどこからいただくかということを大切にしています。
今回は、林業関係の木こりをしている信頼できる友人から、北竜町で自伐型林業を営む上井さんを紹介していただきました。そのご縁で上井さんが手をかけ守っている樹木の葉をお茶にしました。
そのお茶を白山さんのお料理に繋ぎ、皆さんに食べていただくという食べ物の全体の循環の流れを意識して活動しています」

循環型・持続可能な林業「自伐型林業」

🌲 上井さん
「林業に関わったのは、幼い頃から自然が好きだったこともあり、庭が森だったらいいなと考え、森の近くで住む生活に憧れていました。森で仕事ができればという浅い感覚で林業を始めました。
そして、森が壊されることによって、生き物が絶滅していくのが嫌だったので、循環型・持続可能な林業「自伐型林業」に惹かれました。
森を考えた時に、土が基本だと思います。海があり土があって、その土の上に草が生えて、虫などの生き物がいて、木が育っていき、人間が暮らせています。
普通の林業は、工業・製造業的なイメージがあり、木を伐採し土を削って土砂崩れが起きやすくなります。
土の上層ができるのに100年以上かかると言われています。今の林業の『今だけ自分だけ』という考え方が嫌いなので、100年後の森を視野に入れながら自伐型林業を実践しています」。

☕️ あみさん
「私と上井さんは同世代です。林業で頑張っている方と仲間になれたので本当に嬉しく思います。前回初めてお会いし、今回が2回目です。初めてお会いしたときも、垣根なく考えていたことが通じて共鳴しました。
上井さんは、私と同じ5年前くらいから、どのようにしたら、自分の森を活かしていけるのかを試行錯誤しながら研究を続けていらっしゃいます。
今は、人間主体の考え方が主流で、人間の都合による社会づくり川づくりなどが行われています。そこに住む生き物が生きづらい環境になっているように感じます。森も川も海もみんな繋がっています」。
🌲 上井さん
「長い目で全体の循環を考えずに、自己中心的に生活していると、自然の流れが崩れ始め、最終的に困るのは自分自身です」。

3月10日に北竜町の上井さんの森林を訪問した時の映像紹介
- あみさん・白山さん・ゆうみさんが一緒に訪問

🌲 上井さん
「森林の素材提供は以前にもありましたが、突然、山に訪問されるというのは稀なので驚きました。残雪の山に『現場を見てみたい』という想いで足を運ぶことは大変珍しいことでした。
思い返すと、以前、砂川の化粧品会社 SHIRO に素材提供したことがあり、その時、社長が直々山に訪問されたことがありました。
今回、お茶にしたアカエゾマツの木は、樹齢30年ほどのまだ若い木です。ある意味葉っぱも柔らかくて生命力に溢れた松です。
森林の中は、完全に遮断された空間なので、結構濃い話ができました。あみさんたちは、葉っぱを味見したり、松の葉に積もった雪を味わってみたり自由奔放に森林の空間を楽しんでいました」。

☕️ あみさん
「森林の葉っぱを食べて、『これ美味しい』『この葉っぱの味、違うね』『甘い味がする』『酸っぱいね』『スパイシーな生姜のような刺激がある味』『爽やかな香りがするね』など思う存分森林を味わいました。
松の葉に積もった雪は、とても澄んだ雪だったので、溶かしてお茶に入れたら味が変わります。
植物のエッセンスには、オリジナルのエネルギーが入っているのでそれぞれ異なる味わいがあります」。
生き物全てが繋る想いを込めて握る『おむすび』
あみさん在住の札幌南区でとれた湧水、さらにその湧水で炊いたお米のおむすびが提供されました。
☕️ あみさん
「今日は『穀雨(こくう)』の日で、恵の雨・自然の雨であり、こうした雨に私たちは潤されています。雨や風のお陰で平穏無事に過ごせています。
物事の捉え方次第で、人間の都合に良い悪いかではなく、全部が意味があり全部必要なことだったりします。それぞれがみんな違う役割を持ち、みんな補い合って成り立っています。人間だけでなく生き物全て循環し繋がって、この地球・宇宙が存在すると思っています。
そんな想いを込めて、この『おむすび』を握っています。みんな凸凹の役割を持ってそれを担いつつ、みんなで丸く結んでいくことが大事だと思っています。おむすび、お茶、そしてお茶会もそうした共通した想いが込められています」。

☕️ あみさん
「この『おむすび』は、札幌岳の麓の湧水が流れる田んぼで育てたお米です。化学肥料も農薬の使わず育てている『ななつぼし』のお米です。
白山さんからお菓子をというお話があったのですが、私のことを皆さんに知っていただくのは、やはりこのお米『おむすび』だと感じ、今回作ってきました。
キーポイントとなる塩は、海の塩で『羅臼の塩』です。実は、森は海と仲良しなんです」。

皆さん「甘くて優しい味わい!」「とっても美味しい!」と感動の声。
日常の小さな行動から世の中を変える
🌲 上井さん
「森では葉っぱが落ちて、その葉っぱを虫が食べて、葉っぱに集まった虫を魚が食べて、魚の糞が海に運ばれ、そこにプランクトンが集まって、そのプランクトンがすごく栄養のある水になって海に流れ豊かな海となります」。
☕️ あみさん
「海にプランクトンがいないとお魚が元気になりません。そのプランクトンを食べる生き物がいて全ての命の循環が行われています。
そして今、昆布・わかめ・海苔などの海藻類が危機的な状況に陥っています。ここ10年来収穫が40%ほど減少しているといわれています。その原因の一つに、海や川の状態が良くなくてプランクトンが育たなくなっていることです。森の状態も然りです。
私たちの生活用水には、合成洗剤・洗濯洗剤などが川や海に流れ込むために、荒らされてプランクトンが育たなくなってしまったという研究結果が出ています。
しかし希望もあって、福岡県の宗像市の離島で、生活排水による海や川の汚染を防止するために、入浴や洗濯に『無添加石鹸』を使用するという実験を試みたところ、数年で水質が綺麗になり、微生物・プランクトンの種類と量が増殖したという実験結果があります。
これまでは、社会状況・世界情勢など見ても、苦しいし悲しいし絶望しかないと思っていました。しかし、私たちが、日常の小さな行動から少しずつ変化させ声を上げていけば、世の中が変わっていくことが本当に実現していくと実感しています。そこに私は希望を見出しています。絶望しない気持ちを持つことが希望に繋がっていくと思います。
上井さんとか同世代、若い方々が、今どんどんそういう気持ちで何か活動していきたいと方々がたくさん増えています。
世代を問わず、みんなで手を結んでやっていくことが大事だと思っています。今日来ていただいてるみなさんも何かされていたり、ピンとくるものがあって今日来てくださっていると思います。
できないことを責めるのではなくて、何かできることを見つけて、少しずつ増やしていくことがまず一歩なのではないかと思います。あとは知ることですね」。

🌲 上井さん
「そうですね。知らなし人がほとんどだから、まずは勉強して知ってほしいと思います」。
全ての命の循環を大切に
☕️ あみさん
「一箇所だけを知って信じるのではなく、いろんな方向から見ることが大事ですね。学べるツールも多いです。ネット翻訳を通じて海外のメディアにも触れることもできます。いろんな視点から、自分がどうしたいのかすごく大事だと思います」
皆さんのテーブルに置いてあるアカエゾマツの香りを嗅いでみてください。葉っぱがとても柔らかくて可愛らしい! 上井さんが、特に柔らかい枝を北竜町の森から持ってきてくださいました。
今回、お茶にするためのアカエゾマツを2月頃に送ってもらいました。通常は、自分の目で確認して葉を採取することが多いのですが、上井さんは、植物の状態を観察し選択した上で採取してくださるので、信頼してお任せしました。
私は、葉の状態がどんな感じなのかがわかるので、上井さんがちゃんと愛でた植物を送ってくださったことをすごく実感しました。
植物の葉っぱを採取するときも、その植物の命をいただいています。上井さんがそうした植物の命を大事にくださっていることに共感しています。植物だけでなく虫など、自然界に生きているものの命をいただき、自分たちの命に繋いでいます。
自分が手がけるお茶などにおいても、全ての命の循環を大切にしたいと感じています。植物をどなたが、どのように育て、どういう想いで採取されているのかという視点をいつも大切にしています。表面的なところだけではなく、見えない想いなどのいろんな視点に意識を向ければと思っています」。

森の木を一本ずつ見極めて切る
🌲 上井さん
「自伐型林業とは、森の中に100年続く道を作るということから始まります。周りは何も見えず、笹が背丈くらいあるところから始まり、根気よく丁寧に壊れない道をしっかりと作っていきます。少しずつメンテナンスしていきます。
木は昔から生えている木が一番いいものだと感じてます。生き延びる強さがあるので、種を落とし、赤ちゃんの木が3年後には立派に成長していきます。それが凄く可愛くて、やっていて正解だったなと嬉しく感じる瞬間です。
外から木を持ってきて植えたらさまざまな問題が生じ、病気になったり、ネズミに食べられて育たなかったりします。
木を切る場合でも、一度に倒すのではなくて、強い木を残し隣の木を切っていきます。森の木を一本ずつ見極めて切っていくので、めちゃくちゃ手間はかかりますが、いい木が残り必然的に森が豊かになることを意識しています。
太い木がないとフクロウが住めないということもあり、できるだけ太くて丈夫な木を残すように意識して林業をやっています」。

白山将シェフのお料理
食前茶・アカエゾマツ茶
☕️ あみさん
「食前茶になるお茶なので、お料理を邪魔しないように、控えめな香りと優しい味わいを表現しています」。
アカエゾマツのお茶は珍しく、以前味わった時に、すっと自分の体に馴染むような感覚があり、フレッシュなすっきりとした味わいです。ひとつまみ塩を入れるとスープのような旨味も感じられます」
食前茶として、グラスに入った『アカエゾマツ茶』がサーブされ、コースお料理の中にも二番茶・三番茶としてソースの出汁などに使われているとのことです。
お茶は淹れ方やその日の気分などによって、微妙に味わいが変わっていきます。飲むたびに味の変化が感じられるので、皆さんそれぞれに楽しんでいただけると嬉しいです」。

「塩を入れると、スープのような滋味深い味わいになりますね。美味しい!」と感動してじっくりゆっくりお茶を味わう参加者の方々。


カリフォルニアニンジンの一皿:森を散策していることをイメージしたお料理
🍸 白山シェフ
「山に咲く花など、いろいろ混ぜていくと黄色のピーチの味わいがあったり、いろんな香りがするお料理です」。
ニンジン、ラディッシュ、ピーチ、エディフルフラワーなど、鮮やかな色を愛で、香りで心和らぎ、優しい味わいで身体が満たされる一皿!!!


川をイメージしてカニさんをトッピング
🍸 白山シェフ
「森から川へ流れていく感じのお料理です」。

春巻きの皮でアレンジされた器には、切り干し大根、舞茸、セロリなどの野菜たちが不思議なハーモニーの味わいを奏で響き合って、鮮やかなグリーンソースの川にほんわか浮かぶファンタジーな一皿!!!
トッピングされたクリームの上で戯れる二匹のカニさんがとっても可愛い!

海のイメージ
🍸 白山シェフ
「海の魚をイメージしたお料理です」。
クスクスとカブの葉っぱを合わせたソース、アボガドのグリーンピューレに旬の新鮮なアスパラが添えられ、モナカのお魚さんがトップに鎮座する海の世界が感じられる一皿!

古代小麦に炭を入れて魚の骨型に形どられたクッキー
モナカのお魚さんの骨のクッキーにびっくり!!

🍸 白山シェフ
「森から川へ、川から海へ、そして森に戻っていくというストーリーを表現したコース料理です」。
디저트
タピオカを使ったアイスをサンドして、お尻を向けたクマさんモナカが超キュート❤️
金柑の甘酸っぱさとほろ苦さが、全体をキュッとしめて、心も身体も大満足!!!
お尻を向けた、ちょっぴり捻くれ者のクマさん & タピオカアイスモナカ&金柑ジャムさんです。



古代小麦のマフィン

希望のマフィン

和製ハッカ茶:柔らかくて優しい味わいのお茶
- 滋賀県産無農薬のほうじ茶と合わせたハッカ茶
- 白山さんの素粒水を使って淹れたお茶




お茶の生みの親「あみさん」、素材の育ての親「木こりの上井達矢さん」、芸術的お料理クリエイターシェフ「レスペランスの白山将シェフ」、共鳴し合う魂が織り成す人々の素敵なお茶会!!!
生きとし生けるものの命の循環に意識を向け、日々の生活の小さなモノ・コトに想いを寄せて大切に生きていく人々との貴重なひとときに、限りない愛と感謝と祈りを込めて。。。

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☕️ オーガニックレストラン「五風十雨」ホームページ ☕️ Instagram
🍸 ベジタリアン/ヴィーガン対応レストラン「レスペランス」ホームページ 🍸 Instagram
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