JICA北海道・札幌の研修員(タジキスタン、ウズベキスタン)が田からもの(佐藤稔 代表)で研修

2012/07/23 16:45 に 寺内昇 が投稿   [ 2012/10/05 1:47 に更新しました ]
2012年7月24日(火)

7月18日(水)、独立行政法人 国際協力機構北海道国際センター(JICA北海道・札幌)が行なっている研修員受入事業のひとつ「中央アジア地域 未利用有機物資源を活用した持続型農業」の研修が、有限会社 田からもの(佐藤稔 代表)の有機栽培圃場(北竜町惠岱別)で行われました。


JICA
移動車に貼られている
JICA(独立行政法人 国際協力機構)ロゴマーク


JICA北海道・札幌の研修事業

JICA北海道・札幌は、世界の約90か国(アジア、大洋州、中南米、中東、アフリカ、東欧など)の開発途上国から、年間およそ350人の技術者や行政官などを受け入れて、各国で必要とされている知識や技術に関する研修を行なっています。

そうした事業の一環として行なわれている研修コースのひとつが、今回の「中央アジア地域 未利用有機物資源を活用した持続型農業」。北海道農業の優れた事例を広く紹介することにより、それぞれの国における農業の発展に役立てることを目的としたものです。今回の研修を受託されているのは、公益財団法人 北海道農業公社です。

今回の研修コースは、北海道内で講義と視察を混じえながら、一か月間(2012年6月24日~7月24日)に渡り実施。中央アジアのタジキスタン、ウズベキスタンから、政府・農業関係者6名を研修員として招いての研修です。
タジキスタン、ウズベキスタンは、綿花栽培が主要輸出品であり、その他として、稲、小麦、大麦、ジャガイモ、野菜、果物等が栽培されています。

研修コースでの講義内容は、環境保全型農業概論、クリーン農業、有機農業、土壌診断、農業技術普及組織等、広範囲にわたる農業概論の学習。視察場所は、札幌市、帯広市 大空町、北見市、北竜町等で、様々な有機栽培農場を訪問します。


今回の研修は、研修監理員さんの通訳により、ロシア語で説明されました。

北竜ひまわりライス生産組合の組合長、JAきたそらち北竜支所の監事をされている佐藤稔さん、さらに農林水産省が選定した第1回「農業技術の匠」ならではの、農業技術、農業経営など、様々な視点から丁寧に詳しくお話されました。


▶ (有)田からもの・農場概要

・圃場:
 合計40ha:水田26ha、そば畑13ha、苗床1ha
 水田26ha:有機栽培米0.64ha、特別栽培米14ha、一般栽培米11.36ha

・ 社員:
 4名:佐藤稔さん(56歳)奥様の美佳さん、新規就農の竹谷全さん(35歳)、研修中の森谷慶一さん(21歳)


▶ 農業経営

・北竜町の農家は、現在65歳~70歳の農家の方々が占める割合が大きい。10年後には、農業を継続することが困難となる農家が増え、農家数は半減すると思われます。今後、農家経営は、規模を拡大するか、法人化するか、という2つの方向しかありません。

・農業の経営状態としては、3分割されます。Aクラス=経営が良い状態、Bクラス=経営状態が良くも悪くもない状態、Cクラス=将来、経営が成り立たない状態。最終的には、経営管理能力の高い農家しか、生き残ることができません。

    
ウズベキスタ、タジキスタンからの研修員の皆さん


▶ 有機農業の取り組み

・佐藤稔さんは、1991年(平成3年)から有機栽培に取り組みはじめました。20年間、毎年毎年が試行錯誤の繰り返し。

・努力の結果が認められ、佐藤稔さんは、2008年(平成20年)12月、農林水産省の第1回「農業技術の匠」に選定されました。
 「農業技術の匠」とは、「農業を地域に普及し、地域活性化に繋がる農業技術を自ら開発・改良した農業者」を対象に、農林水産省が全国から選定するもの。佐藤稔さんの匠の技は「除草剤に匹敵する代替技術で有機栽培米を作る」として高く評価されました。
  有機栽培でありながら、慣行栽培と変わらない収量を上げられている佐藤稔さんは、全国から注目されています。

・除草作業は、田植え前の2回の代かきから行なわれます。田植え後の機械除草が2回、手取り除草が2回。

・田植え10日後に「ロータ式除草機」で条間を攪拌して土を柔らかくし、「ティラガモ除草機」で株間を除草。

・種子消毒や、いもち病の予防には、米酢希釈液(3回散布)を使用。

・ドロオイムシの駆除には「ドロオイムシクリーナー」と名付けられた機器が付いたトラクターを使用。

・有機栽培米の収穫時の値段は、通常のお米の倍の値段になります。
  特別栽培米の玄米1俵(60kg)は12,000円程、有機栽培米の玄米1俵は、25,000円程。

▶ 有機栽培圃場の自然環境

・農業用水は、山林からの養分豊かな水が流れ込む恵岱別ダムから、良質の水が供給されます。
 農地は、恵まれた環境にあります。

・農薬散布がないために、田んぼには、トンボや虫など多く、自然界の生命循環のいいバランスが保たれています。

・帯広畜産大学や拓殖大学北海道短期大学の環境農学科等の学生が、有機栽培農場における生物等の調査のために、田からもの有機栽培圃場を訪れています。


佐藤稔さんのレクチャー    佐藤稔さんのレクチャー
田からもの有機栽培圃場での佐藤稔さんのレクチャー(通訳はロシア語)


▶ 農業機械の見学

・ロータ式除草機:田植え後に、条間を攪拌して土を柔らかくしする機械

・ティラガモ除草機:ロータ式除草機使用後に、株間を除草する機械

・ドロオイムシクリーナー:ドロオイムシクリーナーの回るゴム板で、稲についている虫をはたき落とす機械

・フルクローラトラクター:キャタピラーが付いた田んぼを耕す機械

・田植え機:田植えに使用する機械


除草機の見学    除草機の見学
ロータ式除草機、ティラガモ除草機、ドロオイムシクリーナーを見学


研究員の皆さんは、一つ一つの農業機械に、とても興味深いようで熱心に聞き入り、たくさんの質問をされていました。

タジキスタン、ウズベキスタンの国は、ソ連崩壊後、農薬や化学肥料が配給されなくなった為に、それ以降は、必然的に有機農業に取り組まざるをえない状況にあるとのこと。除草の技術、稲作の収量を上げるための技術について真剣に学んでいらっしゃいました。
研修にいらっしゃった皆さんは、自国に戻られると政府や農業の責任ある立場として、国を導かれる方々です。佐藤さんの有機栽培にかける熱意が、東アジアの皆さんに伝わっていきました。

有機栽培における田からもの圃場での研修は、午前中1時間。午後からは、浦臼鶴沼ワイナリーに向かい、循環型農業(ワイン残渣の堆肥化)を学びます。


ティラガモ除草機    ティラガモ除草機
ティラガモ除草機


フルクローラトラクター    田植機にビックリ
左:フルクローラトラクターに多くの質問  右:田植機に興味津々


生命の息遣いが聞こえてくるような田んぼ、

命育み、命が循環する北海道の農業が

世界へと発展し、広がっていく、これからの農業に

大いなる感謝と願いと祈りをこめて。。。


青々と広がる(有)田からもの圃場
青々と広がる(有)田からもの圃場


有限会社 田からもの(代表取締役社長 佐藤稔)
 北海道雨竜郡北竜町字惠岱別
 Tel・Fax:0164−34−3710


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北竜町産ひまわりライス紹介ページ


◇ 撮影=寺内昇 取材・文=寺内郁子



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